【自由ノ地平線】Oath of Promise   作:暁月 輝路

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8話の筆が波に乗ったので、ある程度早めに次話は出せそうです。
前編の続きとなります。


第7話「ファースト」後編

 開始6分ほどの端末のキルログには、夜冬が倒した敵の名前と死因が流れていました。

《残り120人》《チャンピオン健在》

《----死因殴殺、----死因失血、----死因圧殺》

 最初の人の手による(ファースト)キルでした。

そこから一時的にログが落ち着くと、地道にログが流れていきました。

刺殺、殴殺、撲殺、焼殺等色々流れ、静かだった樹海は騒がしくなりました。

しかし、決着はあっという間についていき、人の減る早さも、戦闘時間も短時間で減って終わります。

30分経った頃には4回目のマップの現在地更新が行われました。

この時点で2人は最初の3人を合わせて、8人静かに屠っていました。

 

«4回目だ。大分ログが流れていたから人はそこそこ減っていると思う»

«早く終わらせてさっさと帰りたい»

 そう言っている間に、端末の更新画面を見ました。

《残り67人》《チャンピオン健在》

《----死因爆殺、----死因自爆、----死因自爆》

 30分しか経っていないのに、もう半分近くまで減っていました。

そしてマップでは皆が必然的に中心に寄って、ほぼ一触即発レベルでした。

«こんなに近いと、音鳴らした瞬間寄ってきそうだな»

«そうだな»

夜冬は端末をしまうと、ユウトに問いかけました。

«《グラップリングフック》の機動力が活かせる時だぞ。引く時は言え、俺は《罪》を使って撹乱する»

«了解»

 そうして夜冬は《クローク(光学迷彩)》を使用して透明になると、ユウトは腰に携えた刀に手を添えました。

«起きろ、《日輪(にちりん)》»

そう言って、《日輪》と呼ばれ抜かれた刀は太陽の如く輝いて周囲を照らし、同時に不快になるような異音を放ちました。

それは樹海を一気にざわめかせ、戦いの始まりとなりました。

 

 

【ユウトの刀】

《日輪》《月輪(げつりん)》の2つがある。

 鞘内で状態が変化するある意味『生きた刀』であり、《日輪》は刀身が白く輝く発光し、目眩しと異音を司る。

《月輪》は刀身が黒く光を吸収し、目の錯覚と無音を司る。

 そしてどちらも相手からは刀身の長さが分からないようになっており、有利に立つことはできるのだが、

目眩しの光と目の錯覚を起こす光の吸収は、使用する本人にも影響があるので、戦闘時目を瞑るのが決まりだ。

 

 

《日輪》の異音は不快感を煽り、我慢するにしては頭の中にずっと残るような異音を発します。

それに耐えかねた他の人は次々と光の方へと寄ってきます。

«12時方向に2、8時方向から2と4、3時方向から5接近»

夜冬はユウトの《日輪》で索敵がしやすくなり、それを報告します。

«了解»

«まるで虫だな»

 台詞通り夜冬からすると、敵は光に寄ってくる虫のようでした。

しかし光に向かってくる敵は他の敵達の事も視認し、光に向かうべきか他を始末するべきかを木の影に身を潜めて考えました。

«ユウト、俺はもしどこかの部隊が他を襲うようなら、俺はそれに紛れて奇襲をかける»

«了解、じゃあ結託した部隊と5人部隊は引き受けよう»

«いや、結託部隊は任せろ»

 15秒ほど経つと敵はそれぞれ木の影から現れ、各々の行動をし始めました。

北の部隊は西の2人部隊にハンドサインで協力を煽り、その部隊も同じような事を考えていました。

そしてその後方にいる4人部隊は二手に別れて北と西の2人部隊を襲いに行きました。

その中に1人、おかしなフォルムのスーツを着た敵がいたのを見過ごしてしまいました。

東の部隊は3人が光へ、2人は他の部隊に襲われないよう警戒していました。

«どうやら、ただの乱戦だ。3時方向が詰めて来てる»

 それを聞いたユウトは刀を巧みに操り剣舞をすると、そのままの流れで攻撃を始めました。

 

 光輝く刃が踊る。

刀身こそ見えず、見えるのは刀を持つ者と周囲。

刃の異音は重く反響する風切り音となり舞う。

それは地面を滑るように、弧を描きながら飛んでくる。

光に向かうどころかやって来て、刃は高速で3人を襲った。

着地の動作はなく、まるでずっと浮いているように3人を綺麗に切り裂き、高速移動する光は彼らの飛び散る鮮血に明るさをもたらし、その紅さを一瞬で目に焼き付けるほどだった。

 その光は瞬時に次の獲物を襲った。

再度弧を描きながら迫ってくる光は大きく飛び上がり、1人を脳天から串刺しにした。

まだ立っている死体の肩に足を乗せ、後方に回転すると同時に光の刀は頭を裂き、又もその鮮血と中身をくっきりと見せた。

 そしてもう1人もまっすぐ飛んできた光が何かも分からぬまま、この世を去った。

 

«さぁて»

《グラップリングフック》を使いこなし、地面に一度も着くことなく5人を屠ったユウトを尻目に確認すると、夜冬は《クローク》を使い動き始めた。

«さぁ人が多いところに《デコイ》が動き回ってると君達はどうするかな?»

 その時の夜冬の左眼には"水色の炎"が浮かび上がっていた。

そして同時に一定間隔に夜冬が5体現れ、5体の夜冬は一斉に銃声の鳴る方向へそれぞれ動き始めた。

 

 

 状況として、光は突然離れて高速で移動していき、その間に合流が出来たという感じだ。

何せ、付近には沢山の敵が居て、中でも異様な光を放つ奴はもっと威圧的だった。

何とか西にいる部隊と合流し、対話したいところだが、あまりに動けない。

光が離れて動いてるとはいえ、木の影から出るということは光にあたり見つかってしまう。

他にどこに部隊がいるのか分からないが、西にいる応答してくれた部隊を信じ、駆け寄り仲間も出来るだけ近くで動いてくれたが、予測した通りの最悪の事が起きてしまった。

他の部隊に狙われたのだ。

 敵の数は分からなかったが1発の銃弾が微かな音を出して自分達の背中を通り過ぎた。

幸い自分達の装甲は防弾だが、中身には衝撃が来てしまう為、可能な限りは当たりたくない。

滑り込みで倒木の辺りに伏せると、10数m先に結託を要請した部隊が心配そうにこちらを見ていた。

「なぁ、お前1人だけでも向こうに頑張って行けるか?」

 突然仲間がそう言ってきて、困惑した。

「行けないことはないと思うが、何処にいるかも分からない状況で向かうには怖いな…」

「なら、俺が囮になろう。行けよ」

「………任せた」

 俺たちは"バッ"と倒木の傍から起き上がり仲間は腕に装備されたエネルギー弾を連射して乱れ撃ち、俺は全力で走った。

エネルギー弾にも多少の光量があるので、陰の敵を見つけやすい利点もあるがその逆も当然あった。

そしてエネルギー弾とは違う銃声が連射された。

それが4つあり異なる銃声と連射速度だった。

それら弾丸は仲間の装甲でぶつかり、潰れ、弾け飛んんだ。

「そ"こ"か"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"───!?」

 しかし、1発の銃弾が仲間の腕を飛ばし、エネルギー弾の連射を止めた。

その後はもう振り返らず走った。

連射の中に混じる鈍重な銃声と遅い連射速度を聞く度、生々しい肉の飛び散る音を出し、それが3発。

振り返りたくもない、悲惨な光景が広がっているだろう。

俺は目標の部隊に合流すると、「すまない」と言われた。

「私達も君達の方へに向かえば、素早く話せただろう…そのせいで君の仲間が……」

もう銃声は聞こえない。

だが、足音は確実に近づいていた。

「その話は後だ。目的を光じゃなく後ろを叩こう。あの異音は…中々耳障りだが…」

「悪い…了解した。我々の装甲はそう厚くない代わりに動き回れる、武器も近接でね」

「なら照明弾を放つから突っ込んでくれ」

「分かった」

「早速行くぞ…3…2…1…Go!」

 両腕から俺は照明弾を放物線状に放出し、あの光とは別の光を生み出し、その下にいる隠れた部隊を探し当てた。

そこに俺もエネルギー弾を撃つが対策が施されているのか、その相手の装甲に傷さえ付けられなかった。

協力してくれた2人はそれを見て、駆け寄った。

先に俺に銃弾が飛んできたが、後に外れ、攻めていった2人に銃口が向いていた。

 そして速さに翻弄され、外れた弾丸は木々に辺り弱い跳弾を起こした。

しかし速さはあるものの、弾丸による弾幕により2人は近付けずにいて、厳しいものがあった。

するとまた後方、あの光の存在した方向から足音が迫っていた。具体的には5つ程。

 大まかに予測で位置を特定し、振り返って撃つがエネルギー弾は弾かれ、そしてその時全員が同じ見た目だった事に驚いた。

脳の処理が追いつかない状態で、また別の事が起きた。

再度重い銃声が響き、振り向くと走り回っていた会話を交わした人の頭が胴体から離れていた。

 それを見た俺は色んな方向にエネルギー弾を撃ち出し、錯乱した。

無我夢中にエネルギー弾を撃ち続けた…

が、それも一時の間で終わった。

 

 

«……»

 デコイと奥でやり合っている部隊に挟まれ、混乱した彼は全方向に乱雑に弾を撃ち出しましたが、あまりにエネルギー弾が弱く、着弾した事にも気付かずに夜冬を背後まで辿り着かせてしまいました。

夜冬は彼の頭を掴み首に爆弾を取り付け、思いっきり蹴り飛ばすと、彼は奥にいた部隊の1人にぶつかると、その体を散らしました。

«一網打尽だ»

安心した勢いで《クローク》と《デコイ》を解除し、ユウトの居る光の方を見ると、動きも収まっていて終わったようでした。

 そうして、再度合流しようとした時でした。

 "ガチャコン"

と小さな音が爆発が起きた方から聞こえ、夜冬は条件反射のように左腕を振りかぶりました。

«…!»

その時、爆煙の中から一筋の弾丸が飛び出し、それを夜冬は拳を握った左手で弾きました。

弾は威力を落とし、地面に潰れた状態で落ちると共にそこへ2滴の血が落ちました。

 «なんて威力だよ……対物ライフル5回並までは中身にダメージ通らないのに…»

 夜冬の左手は人差し指と中指の股から手首までの装甲が消し飛び、衝撃をもろに受けた小指と手のひらからは出血をしていました。

【未来】の力は時として桁違いな力を生み出す時もあり、【現代】の力で試した装甲が【未来】で通じる可能性は無きにしも非ずでした。

 故に始めて、夜冬はこの試合に置いての初の脅威を見出しました。

夜冬はすぐさま《クローク》を使い、逃れようとしますが、スーツが覆われていない左手はくっきり現れていました。

敵はそれを爆煙の中から見えているように、再度別の部分を狙撃してきました。

逃れたつもりが今度は左肩の装甲を破られた夜冬は急いで、ユウトに呼びかけます。

«ユウト…手練のスナイパーが居る、しかも相当やばい銃を使ってやがる。オマケに多分サーマルとかその類いを使って狙ってるから気をつけろ……»

«なっ…やられたのか?»

«軽くだが、意外と損害がでかい。1発で俺のスーツの耐久を持って行って、中身にも僅かにダメージが通った…クロークも一部が隠れない状態だ…»

«分かった。そっちに向かうが、そいつ以外に敵は?»

«多分殺った。何故かアイツだけが生きてる»

«了解»

 このゲーム最初のダメージにして重いダメージを食らった夜冬に未だ無傷のユウトが援護に向かった。




お疲れ様です。
バトロワにおいて敵無しと思われた2人を困惑をさせた初めての敵です。
あと、なんだかんだ戦略的な発言とかさせてますが、ほぼノリなので全然意味無い行動が多々あります。
作者の脳が戦うか引くかの2択しかないので、戦略立てるのは苦手です。
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