BanG Dream!〜世界を笑顔にする剣客〜 作:ズラマヨ
「お願いします!」
「さぁ、来るでござるよ」
「はぁぁ!」
バシン!バシッ!
「す、すごっ…」
今日は剣心さんとイブちゃんの稽古の日。普段は事務所でするんですが今回は学校の武道場で練習しています
私は今日パスパレのお仕事もバイトもないのでイブちゃんの稽古の見学に来てます
「…!イブ殿かなり腕を上げたでござるな」
「いえ、まだまだです。…師匠、お願いがあります」
「ん?」
「一度師匠の全力を見せて下さい」
「えっ?いや、でも…」
「お願いします。私も師匠の実力が知りたいです」
「分かった…でも全力は全ての稽古が終わってから。代わりに拙者の技を1つ見せるでござる」
「ありがとうござます。私も今できる全力を尽くします!」
「そうか…」
「…いきます!」
イブちゃんの得意技 剣先を水平にしてそのまま相手に押し込む技。刺突
「はぁぁぁ!」
「!!」
イブちゃんの突きを体を回転させ回避しその遠心力を使った一撃が炸裂する
しかしその一撃はイブちゃんの面のギリギリを寸止めにしていました
「…参りました…」
「少し休憩するでござるよ」
イブちゃんと剣心さんは私の両隣に座って休憩を入れ始める
「さっきの技は一体なんですか?」
「飛天御剣流、龍巻閃。神速の古流剣術でござるよ」
「私には見極めることができませんでした。まだまだブシへの道のりは遠いです」
「でもさっきの刺突はかなり良かったでござる」
「ありがとうございます。でも正直迷ったんです」
「迷った?」
「刺突は目上の人にするのは失礼と聞いたことがあります。私も刺突をするべきかすごい考えてしまって…」
「そうでござったか…拙者剣道のことはよく分からないでござるが少なくとも拙者は気にしないでござるよ。それに刺突なら今までに嫌という程受けてきて実際死にかけたこともあるでござる」
「死にかけた?師匠は一体何者なんですか?」
「おろ?はぐみ殿に聞いてないでござるか?拙者は…」
「明治からきた剣客さんだよね」
「あ、彩殿…」
「えぇ!?聞いてないです!」
「あっ、やっぱり言い忘れてたでござる。拙者は元長州派維新志士でここに来る前は流浪人となって全国を旅していたでござる」
「そ、そうだったんですか…」
確かに始めて剣心さんにあった時、イブちゃんに過去から来たとは一言も言ってなかった。それは驚くよね
「それで剣心さん。刺突で死にかけたっていつのことなんですか?」
「あぁ、1番最初は確かあの時…」
ーーーーー
今から170年ほど前。幕末の京都では血で血を洗うような命のやり取りが繰り広げられていた。当時、維新志士と徳川幕府軍の治安維持のために結成された組織、新撰組や見廻組の戦いが行われていたのだ
そして
「いたぞこっちだ!」
「追え!」
「志士共め逃がさんぞ!」
手負いの志士が新撰組の追跡から逃げていた。しかしその追跡は厳しく追いつかれそうになった時、、、
ザッ…
「むっ…!?」
「…退け」
そこに現れたのは別の維新志士。そう…
「退けば命は助ける。退かねば…」
「あ…赤い髪に左頬の十字傷!!」
「まさか…!ひ…」
そう、その人物こそ
人斬り抜刀斎!!
ーーーーー
「ちょっと待ってください!師匠ってまさか…」
「あっ…うっかりしてた…」
「人斬り抜刀斎…確か歴史の教科書に載ってるよね。幕末の京都で幕府軍から恐れられた伝説の維新志士。左頬の十字傷が特徴だって…まさか剣心さんが…」
「驚いたでござるか?」
「は、はい。でも師匠が強い理由がハッキリしました」
「そうでござるか」
「他にそのことを知ってる人はいるんですか?」
「この時代だと美咲殿と花音殿、それに黒子の人達でござる。…拙者が人斬りで怖いでござるか?」
「…いえ、私は師匠のことを尊敬してます。怖いなんて思いません」
「私も剣心さんが悪い人なんて思えない。だから美咲ちゃんや花音ちゃんも一目を置いてるんだと思います」
「そうか…ありがとう…」
ーーーーー
話は戻って幕末時代。
新撰組の前に立ち塞がった拙者の前に現れたのは…
「只者じゃないと睨んではいたがやはりな…」
「斎藤組長!」
「行くぞ…」
その男は深く腰を落とし刀の切っ先を相手に向け独特の構えととった
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
水平に突き刺す切っ先は新撰組隊士独特の技。平刺突
そしてその平刺突を極限まで極めた技こそその男が最も得意とした技。深く腰を落とし刀の切っ先を相手に向け、その峰に軽く右手を添えた状態から中距離の間合いを一瞬で詰めて突進し標的を貫く。その技の名は…
ーーーーー
「牙突…新撰組3番隊組長。斎藤一の一撃必殺の技…」
「牙突…ですか…」
「拙者も幾度となく刺突を得意とする者と剣を交えてきたがこれほどの技を持ったものは斎藤を置いて他にはいなかった」
「その斎藤一という方は確か壬生の狼と恐れられた人ですね?」
「…!よく知ってるでござるな」
「イブちゃんすごい…」
「私も新撰組のことはたくさん調べて知っています。とても強かったと聞きました」
「そうでござるな。特に1、2、3番隊の組長とは決着が付かぬまま明治になってしまった程でござる」
「へ、へぇ…」
「師匠。他に強かった人はいないんですか?」
「他には…」
それは明治のなってからのこと。拙者が流浪人となり神谷道場に住みだした時のこと。会津出身の医者、高荷恵殿が武田観柳に人質にとられ屋敷に乗り込んだ時に出会った
「江戸城御庭番衆御頭、四乃森蒼紫」
「御庭番衆…忍者ですね!」
「あぁ、初めて戦った時は小太刀を使い鉄壁の防御をし、強力な拳法で攻撃を仕掛ける戦闘でござった」
「剣心さんはそんな人達と一人で戦っていたんですか?」
「いや、拙者にも頼れる仲間…いや友がいた」
ーーーーー
その友と初めて会ったのは牛鍋屋でのこと
食事の席で昼間から酒を飲み店内で大声で怒鳴り散らす自由民権の壮士がいた。聞こえはいいがただ酒の力を借りて暴れるだけの酔っ払い
そして此奴らが看板娘のたえ殿を突き飛ばした時
「おいおい、自由民権ってのは弱い者のためにあるんだろ?それともなんだ、あんた達の自由民権ってのは酔いに任せて暴れる自由のことかい?」
「なんだと貴様!」
「大丈夫かい?」
「あっ、はい」
「我々に喧嘩売る気か!?」
「…そうだな…たまには売ってみるか」
「なに…」
「俺ャあ普段は買い専門なんだがよ、弱い者イジメはするのも見るのも大嫌えなんだ。特に自由だ正義だ平等だのと綺麗事を吐きまくる偽善者野郎のイジメはムカついてたまらねぇ」
「なんだと貴様!」
「表へ出ろ!」
自由民権の壮士に従ってその男は店の外に出る。見たところ只者ではござらんな。長身で髪が逆立ったその男の背中には悪一文字があった
「泣いてもゆるさねぇからな」
壮士の一人はすでに血の気が立っている
がその男はいたって冷静だった
「まずはあんたの力試しだ一発ぶち込んできな」
指をくいくいとさせ挑発するその男
「ガキが!!」
「…!」
「喰らえ!」
そいつは寸鉄を隠し持っておりそれを使って男の頭に一撃を入れた。卑怯といえば卑怯だが寸鉄はもともと隠し武器
しかし
「…ちっ…寸鉄使ってこの程度かよ。てんで話になりゃしねぇ」
「あっあっーーーーっ!」
そいつの指は折れており腕からも出血をしていた。それだけあの男の頭が硬いということだろう
「全力を出したら弱い者イジメになっちまう。指一本で相手してやらぁ」
ゴツッ!
「つまらねぇ喧嘩売っちったぜ」
男はデコピン一発で自由民権の壮士を気絶させた
ーーーーー
「デコピンで倒せるなんて…」
「その後拙者に喧嘩を買わないかと言われたが断ったでござる」
「その人が剣心さんの友達?一体誰なんですか?」
「早く続きを聞かせてください」
「そうでござるな。あの後…」
ーーーーー
あの後、その男は全く隠そうとしないバカ正直な闘気をむき出しにして神谷道場に現れた
「喧嘩しにきたぜ」
「やはりお主か喧嘩は遠慮すると言ったはずでござるよ」
「そうはいかねえんだ。これは喧嘩屋としての喧嘩こっちも退く訳にはいかねぇ」
「相手が維新志士 緋村抜刀斎なら尚更な」
「!!」
「長州派維新志士緋村抜刀斎、使う剣は古流剣術"飛天御剣流"その剣の腕をかわれて人斬りとして剣を振るう」
「働いたのは14〜19歳の五年間。前半分は文字通り人斬り、闇に蠢く非情の暗殺者。後半分は新撰組などの幕府方の剣客集団から仲間を守る遊撃剣士として本来陽の目を見るはずのないあんたが今日有名なのはこっちの働きのためだな」
この男は想像以上に拙者のことを知っていた
「そして天下分け目の戊辰戦争。第一戦にあたる鳥羽伏見の役に勝利したのち失踪、そして今は流浪人緋村剣心として生きる」
「本当の喧嘩ってェのは相手を知ることから始まる。知った上で闘い方を決める。わざわざ幕末動乱の中心地だった京都に出向いて調べたんだ大体当たりだろ?」
なるほど通りでここまで詳しく知っている訳だ
「…それで闘い方は決まったでござるか」
「そこよ問題は!調べても分かったのは大まかな経歴だけ"飛天御剣流"ってのは一体どんな剣術かとか非情の人斬りが不殺の流浪人になったいきさつとか肝心のところは一切わからねェ」
「わからねぇからこうして正門から正々堂々真っ向勝負に出たってわけさ」
「…拙者も分からぬ」
「あ?」
「弱い者イジメを見るのもするのも嫌うお主が何故に喧嘩屋なんて理不尽な生業をする?何故これに見よがしに悪一文字などを背負ったりする?」
「性根は真直なはずなのに今のお主はひどく歪んでしまっている」
「何がお主をそのように歪ませたでござるか?」
「何がってー……」
「……ーやめた」
「
「ただこれだけは言っておく。俺は維新志士なんてのは俺の大嫌えな偽善野郎だと思ってる。正義の名の下に好き勝手
「そんは維新志士共の中で最強と謳われる伝説の"人斬り"を俺は心底ブッ倒してみてえのよ!!」
ーーーーー
「どうしてその人は剣心さんのことを…維新志士を憎んでいたんですか?」
「やつの名は相楽左之助。元赤報隊の一員だった男」
「赤報隊?何ですか?」
「赤報隊って確か年貢半減令の嘘をついたニセ官軍だったと思うけど…」
「確かに歴史にはそう残っている。だが実際は違った…」
「「えっ?」」
「赤報隊は明治政府に切り捨てられたでござるニセ官軍の汚名を着せられて」
「どうして…」
「その当時の政府の財政状態では年貢半減を実行できなかった。だから赤報隊にニセ官軍の汚名を着せ処罰することで全てを無かったことにしたんでござる」
「で、でも剣心さんには関係ないことじゃ」
「左之にとっては拙者も同じ維新志士。その全員が憎かったはず」
「その後はどうなったんですか?」
「左之の喧嘩の申し入れを受けて戦った。それから拙者達と多くの戦いを経験して今では最も頼れる友でござる」
「……なんかすごいですね。そんなことが過去に起きてたなんて、正直考えたこともなかったです」
「真のブシへの道のりは険しいです」
「おろ?まぁそれだけ今は平和な世の中ということでござるよ。さぁイブ殿そろそろ再開するでござる」
「はい。…師匠、もう一つ教えてください。師匠の師匠は一体どんな方なのですか?」
「拙者の師匠は…」
師匠との出会いはもっと昔。両親を失い人買いに買われ奴隷となった日。移動中に拙者たちを乗せた馬車が野盗達に襲われた
今回登場したのは斎藤一、四乃森蒼紫、相楽左之助の3人です。京都編ではかなり活躍したメンバーですね。ですが蒼紫はだいぶはしょりましたすいません。機会があればまた書きます
今回は左之助メインでした
次回は回想編の続きになります