閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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「AA」という車両区分:Anti Air(対空)を意味しており、対空戦車であることを意味します。テオドールの車両区分はAAですが、車両サイズではHT(重戦車)に区分されます。第六話では最初「HT」扱いでしたが、同型の対戦車用戦車を別に製作することが決定したためこちらが「AA」にスライドしました。(第六話のあとがきも修正済)

トランスフォーム:今回テオドールが見せるトランスフォームですが、これはそうする必要がある役回りの車両にあらかじめ追加のマテリアルをつぎ込んで追加する後付け機能です。今回先頭車両を担当したテオドールは無人稼働だったためこの機能があらかじめ追加されていました。


【9】鉄血の闊歩者達 -Sangvis Ferri Striders-

*S09地区*

 

【視点:ガイア(上空のボルテックスから送られてくる映像越し)】

 

一夏が恐らく物心ついてから初めてであろう平穏無事な生活を送っていたころ、ガイア達は鉄血工業跡地からの長距離移動を終えて目的地のS09地区にたどり着いた。

 

ここにはI.O.P本社や大手PMCの「グリフィン&クルーガー」の本拠地がある。身を落ち着けるのには適していた。

 

尤も、道中何が起こるかわからなかったために解体した旧本社ビルなどを多数の戦車や戦闘ヘリに組み替えていたために到着時に盛大に驚かれたが・・・。

 

M4「・・・。」

 

SOP「・・・。」

 

ST-AR15「・・・。」

 

M16「・・・。」

 

かのAR小隊を中心に盛大に警戒されているが、まぁいきなり大量の戦車や戦闘ヘリが列をなしてやってくれば警戒されるのも是非もなしである。

 

ガイア「・・・さて、このままにらみ合っていても時間ばかり無駄に浪費することになるし、往来の邪魔だからね・・・。」

 

私はそう呟いて先頭車両に指示を送った。

 

・・・

 

【視点:M4】

 

最初に動いたのは車列の先頭に居た深緑にオレンジのラインが入った車体、主砲と二種類の対空砲を備えた重戦車・・・「Code775_テオドール」・・・だった。

 

ガチャン!!ガラガラガラガラ・・・!!

 

SOP「え?今の音は?」

 

履帯の一部が外れ、火花を散らしながら巻き取られていく。

 

続いて装甲板も分割され始め、シルエットが少しずつ変貌していく。

 

M4「なに・・・?何が起きているの・・・?」

 

私も眼前で起きている出来事に対して理解が追い付かない。

 

ギゴガギゴ・・・!ガチャガチャ!!カーン!キンコンカン!!

 

小気味良い音を立てながら眼前で戦車一両が丸々変形しているのだから無理もないのだけどね。

 

やがて戦車は立ち上がり、人型になった。

 

S09地区の誰もが度肝を抜かれ、それでも両手に移動した単装砲と機関砲に最大限の警戒を払っていると・・・。

 

Code775「待ってほしい。我々に貴方達と敵対する意思はない。」

 

人型に変形した戦車が男性の声でしゃべりだした。そして自ら正座の姿勢をとり、両腕の砲を自ら外して目の前に置いた。

 

背中から伸びた主砲も格納され、正座の姿勢のまま両手を上げて戦闘意思がないことを示していた。

 

M4「あ、貴方は一体・・・?」

 

私は恐る恐る尋ねた。

 

Code775「私は『AA_Code775』、車両名テオドール。この車列の先頭の防衛部隊長を担当しています・・・貴女は?」

 

恐らく私の名前を聞いているのだろう・・・。

 

M4「・・・M4・・・M4A1です。」

 

テオドール「M4さんですね。口で説明するよりも直接見てもらった方が早いと思われるので、すみませんがペルシカリア女史をここへ呼んでもらえませんか?会わせたい人が二人、こちらにいます。」

 

ペルシカ「・・・ここにいるわよ・・・。」

 

不機嫌そうな口調で見るからに不健康そうな女性が応じた。そう、彼女こそがペルシカリア女史、私たちの生みの親にしてかつて存在した天才科学者集団の一人だ。

 

この時のペルシカが不機嫌なのは鉄血工業が襲撃にあって、職員が全員行方不明になっていたことが原因だった。

 

一報を聞いたペルシカは即座に私達AR小隊に現地調査を命じたけど、本社があったはずの場所には何もなく、職員は全員行方知れずという報告しかなくて意気消沈していたの。

 

そこにこの騒ぎであり、乗り気じゃないどころじゃないにもかかわらず彼女も引っ張り出されることとなり酷く機嫌が悪かったのだ。

 

当然意気消沈していた間はいつもにもまして不摂生だったために彼女は普段以上に薄汚れていて、目の下の隈も普段の3割増しだった。

 

ペルシカ「・・・今凄く虫の居所が悪いんだけど・・・。」

 

テオドール「・・・あの、何かあったのですか?」

 

M4「実は、先月の鉄血工業襲撃事件で旧友が生死不明で・・・。」

 

ペルシカ「・・・。(余計なこと言うんじゃないよ)」

 

私の返答に対してペルシカが目で抗議してきた。怖いよ・・・。

 

テオドール「あぁ、そういうことですか。なら、尚の事会わせるべきで・・・・」

 

????「ペルシカー!!!久しぶりー!!!」

 

ペルシカ「はああああ!?!?」

 

突然一人の女性がペルシカに飛びかかった。

 

突然の事態に全員が唖然とした。

 

????「うわ臭ッ!?ペルシカ相変わらず不摂生してるわね!!」

 

サクヤ「リコリス先輩!!久しぶりだからっていきなり抱き着きにかかるのは流石に不味いですよ!!」

 

リコリス「これが飛びかからずにいられますか!?サクヤ貴女だって楽しみにしてたじゃない!!」

 

ペルシカ「リコリス・・・?サクヤ・・・?」

 

ペルシカの目からは大粒の涙が溢れていた。そういえばリコリスとサクヤといえば、鉄血工業で働いているペルシカの旧友にして天才科学者だ。

 

リコリス「あれ?ペルシカどうしたの?目にゴミでも入った?」

 

ピキッ

 

何か嫌な音がした・・・。

 

テオドール「R.I.P.・・・。」

 

テオドールさんが「あちゃー」と言いたげに呟き、顔を逸らした。

 

ペルシカ「・・・んだけ・・・。」

 

リコリス「?」

 

ペルシカ「人がどんだけ心配したと思ってるのよアンタはぁッ!!!!!」

 

ゴチンッ!!!

 

リコリス「ふにゃっ!?!?」

 

ペルシカの拳骨が脳天に直撃してリコリスさんは変な声を上げた。

 

ペルシカ「てっきりみんな死んだと!!!・・・どんだけ・・・!・・・心配したか・・・うわあああああん!!!」

 

リコリス「あー・・・うん。まぁ、なんというか、なんだかんだ言って私たちも若社長が居なかったら今頃死んでただろうけどね・・・。」

 

ペルシカ「ぐすぐす・・・ひくっ・・・。若社長・・・?」

 

サクヤ「私たちを人間人形問わず助けてくれた恩人ですよ。」

 

テオドール「ええ・・・何というか、すみません。」

 

M4「いえ、まさかこのような展開になるとは・・・。というか、じゃあ貴方達って・・・。」

 

テオドール「そういえばまだそこは言っていませんでしたね。旧鉄血工業のスタッフたちと人形たちをこのS09地区へ護送してきたんです。」

 

M4「・・・「旧」?」

 

テオドール「まだ新しい社名が決まっていないので・・・、それはそうと、IOPの方々に協力を願いたいのです。実はここに来るまでに山賊と交戦していまして、山賊にこき使われていた人形たちを保護したのですがこちらも物資不足で本格的な治療ができていないのです。」

 

M4「ええっと・・・。まぁ、とりあえず町に入れても大丈夫だと思うので・・・。」

 

テオドール「この町のどこかに鉄血の所有地があったはずなので、一度そこに移動させてもらえますか。流石にいつまでもここでつっかえていては邪魔に成るので。」

 

・・・

 

・・・・・・

 

*S09地区 旧鉄血所有地*

 

だだっ広い空地に何両もの車両が列をなして入っていく。

 

しかも驚いたことに戦車は所定の位置についたかと思うと次から次へと粒子状に分解され、それが集まって何かしらの建物を形作っていく。

 

ペルシカ「で、貴女が問題の若社長なのね。・・・子供?」

 

ガイア「まぁ確かに体格子供だけどね・・・。ところで、人形たちはどうでしょうか?」

 

ペルシカと会話をしている少女が旧鉄血工業の上層部を追放して鉄血の皆を助けた事実上の社長さんだという。にわかには信じられない・・・。

 

ペルシカ「検査してみないとわからないけど、見る限りでは簡単な修理で充分そうね。メンタルも安定しているし。」

 

ガイア「サクヤさんのおかげですよ。私にはああいうのは真似できないし。」

 

ペルシカ「それで、貴方達はこれからどうするつもり?」

 

ガイア「とりあえずここで一から鉄血を再出発させるつもりだけど、社名は変えたいのよね。どこかの特殊部隊に襲撃された以上鉄血の名前をそのまま使うのは流石に危険そうだし。」

 

二人が話し込んでいるのを他所に保護されていた人形たちが自己紹介をしていく。

 

スコーピアス「えっと、スコーピオン型の元戦術人形の『スコーピアス・アルタレスト』だよ。これからは家庭菜園でもしながらのんびり過ごすつもりだよ。」

 

トバイアス「WA2000型の元戦術人形の『トバイアス・リーパー』よ。今は旧鉄血の料理長をやらせてもらってるわ。」

 

ノアル「MP5型戦術人形の『ノアル・アイギス』です!第二警備班長をやらせてもらってます!」

 

ティア「G11型の『ティア・ファーヴニル』だよ・・・。ゴメン・・・ちょっと眠いんだ・・・。」

 

時雨「SIG510型の『時雨・シュミット』よ。といっても、戦術人形は引退して今は研究スタッフなんですけどね。」

 

バレッタ「Micro Uzi型の『バレッタ・パラベルス』よ。第一警備班長をやらせてもらっているわ。」

 

・・・

 

・・・・・・

 

ペルシカ「結局、大部分が貴方達の下で働くことを選んでいたのね。」

 

ガイア「なんでか好かれちゃってね・・・。ところで、検査結果はどうでした?」

 

ペルシカ「結果は良好。何人かはスティグマが切れちゃっていたけどそれでも前を向いて新しい生き方を見つけていたわ。」

 

ガイア「保護したときは凄く憔悴してたり、怯えていたりとひどい有様だったけど、カレー作って食べさせてあげたらみるみる活力を取り戻したみたい。」

 

ペルシカ「カレー?」

 

ガイア「私が独自に改造した魚介系海軍カレーだけどね。」

 

ペルシカ「よっぽどおいしかったのか、それともそれ以前が地獄だったのか・・・。そういえば、一つわからないことがあるのよ。なんでAR小隊は貴方達の事を見つけられなかったのかしら?」

 

ガイア「謎の勢力の追撃を避けるためにワザと北側に大回りしたから多分それが原因だと思う。」

 

謎の勢力?いったいどこの誰だろうか?後で聞いた話だけど、どこかの特殊部隊らしいけどどこのかまでは解らなかったらしい。

 

ペルシカ「そう・・・。ねぇ。」

 

ガイア「何?」

 

ペルシカ「リコリスとサクヤを助けてくれて、本当にありがとう・・・。」

 

ガイア「私はやりたいこととやるべきことをやっただけだから。」

 

ペルシカ「でもいつかはお礼をさせてほしいのよ。ところで、会社の名前はもう決まったの?」

 

ガイア「ああ、新社屋に機材やらなんやらを運び込んだりとまだ作業が残っているから、それが終わってから正式に発表する予定だけど、一応もう決まっているの。」

 

ペルシカ「へぇ、どういう会社名?」

 

ガイア「まるっきり別の名前にするのも変な感じだから、鉄血というフレーズは残そうと思っているの。だから・・・。」

 

そこでガイアさんは一度言葉を切り、そして会社名を口にした。

 

『Sangvis Ferri Striders(鉄血の闊歩者達)』・・・通称『SFS』




ペルシカ:IOPの研究室長。
リコリス、サクヤ、束とは共同研究者という関係。
原作とはあまり乖離が無いが、時折ネタに走ることも。

スコーピアス・アルタレスト:スコーピオン型。名前の由来はスコーピオンのもじりと、さそり座を意味するアンタレスとあらゆるものを溶かす錬金術用の溶媒「アルカへスト」を組み合わせた造語。

トバイアス・リーパー:WA2000型。名前の由来は彼女のキャラクターデザインの参考となったHITMANシリーズの主人公「エージェント47」が使用する偽名。

ノアル・アイギス:MP5型。名前の由来は彼女の好きな色である「黒」を意味するノワールと、魔よけの盾のアイギス(フォースフィールドを持つことから)。

ティア・ファーヴニル:G11型。名前の由来は彼女のスキンの一つから竜の名前として使われることもあるティアマトと、黄金を守る竜「ファーヴニル」から。

時雨・シュミット:SIG510型。名前の由来はSIG510から51を抜いてもじった時雨(SIG 0:シグ レイ)と、シュミット・ルビン小銃の後継として生み出されたことからシュミット。

バレッタ・パラベルス:Micro Uzi型。名前の由来はパラベラム弾を使用することから銃弾を意味するバレッタとパラベラムをもじったパラベルス。

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