閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
ハイエンドには劣るものの相応の性能を持ち、ローエンドほどではないが製造にかかるコストと期間が抑えられる、ちょうど中間に位置する存在であり、「ミドルレンジモデル」とも呼ばれます。
基本的に大規模部隊を指揮する機能が削られ、ボディの骨格系も通常骨格を使用しています。
また、最大の特徴としてIOP製の戦術人形側の規格にも合わせられており、IOP製、SFS製の双方と互換性があり、外見もIOP製に近いデザインとなっています。
これはIOP製戦術人形との合同作戦においてより円滑な連携ができるようにと設計されたためです。
UMP三姉妹:今作ではUMP三姉妹は三人ともSFSで生み出された戦術人形という設定です。
*S09地区 SFS本社ビル*
鉄血がS09地区に本社を構え、SFSとして再スタートしてから2か月が過ぎた。
新しいハイエンドモデルとして戦闘兼教練用戦術人形「ウロボロス」がロールアウトしたのがつい最近である。
今は任務に備えて他のハイエンドモデルや警備班員達と模擬戦を繰り返して経験を重ねている。
一応ボディが完成する前から電脳空間で千本組手で訓練していたのだが、電脳空間と現実の戦場では何かと感覚にズレがあるということで自ら追加で組手をしてもらっているらしい。
なお、今日はAR小隊も訓練がてら彼女の組手に付き合っていたのだが・・・。
M16「げぇ!?それを避けるか!?」
SOP「うわぁ・・・凄い動き・・・。」
ウロボロス「いや、このままではまだ足りぬ。まだ感覚がズレている・・・!」
M4「うそでしょ!?この動きでまだ本調子じゃないって・・・!」
ST-AR15「一応こっちの攻撃は多少は当たってはいるけど、全くクリーンヒットしないな・・・!」
ウロボロスは中々ストイックな性格らしく、また自分の現状に満足しないタイプのようだ。
一人でAR小隊四人を同時に相手取って好勝負を繰り広げているにも拘らず未だに自分の動きに不満があるようだ。
そして、そんなウロボロス相手に一向に有効打を与えられない現状にAR小隊もより一層奮起していた。
その喧噪を聞きながら、私は社長室の椅子に座ってペルシカからかかってきた電話に応対していた。
・・・なお、社長室とは言うが、そのありようは一般的な社長室とは大きく乖離していた。
よくあるような高価な家具や調度品、装飾品の類は一切なく、木製の手作りテーブルにパイプ椅子、そして工作機械とベッド替わりに旧鉄血の倉庫からそのまま持ってきた大きな段ボール箱。寧ろ学校の工作室だといった方がまだ納得がいくレベルである。
一応来客用のソファーが応接室にはあるのだが、一方でこの工作室・・・ではなかった、社長室は他の研究室、開発室とあまり違わないどこか懐かしい雰囲気を醸し出していた。
ガイア「・・・新しい特殊小隊用の人形ですか・・・。」
ペルシカ『そう、AR小隊だけじゃこの先忙しくなって手が回らなくなるかもしれないから、今のうちに別の精鋭部隊を用意しようということになってね。IOPでも作っているんだけどちょっとこっちも今鉄火場で・・・。』
ガイア「それでうちに?構わないけど、何名必要?」
ペルシカ『エリート人形が一人編成溢れで待機しているから、3~4人かな。』
ガイア「了解。時間はかかるかもしれないけどね。」
ペルシカ『急ぎじゃないし、無理言っているのは解っているから。それじゃあお願いね。』
ガイア「ええ。それじゃあまた。」
ガチャ。
ガイア「・・・さて、どうする?」
ハイエンドモデルを新しく作ってもいいが、流石に三人も作るのは時間がかかりすぎる。既に開発スタッフの負荷軽減のための設計開発特化のハイエンドモデル「アーキテクト」と「ゲーガー」の開発が進んでいるところにハイエンド三名は重い。
何より外見的特徴が違い過ぎるSFSの戦術人形では向こうのエリート人形も居心地が悪いだろう。
一応、一人は過去に保護した戦術人形を派遣するという形も取れるが・・・。
ガイア「・・・そういえば、ハイエンドとローエンドの両極端しかいないんだなぁ・・・。」
鉄血系の戦術人形は無数のローエンドモデルと無人機械兵器をハイエンドモデルが統率するというスタイルをとっている。だが、ローエンドの戦闘能力はお世辞にも高いとは言えず、逆にハイエンドは一人生み出すのにもかなりの時間がかかる。
その中間に位置する、「ミドルレンジモデル」・・・大規模部隊を指揮するほどの性能は無くてもいいから育成にそこまで時間がかからない戦術人形・・・を作れればどうだろうか?
ガイア「意見を聞いてみますか・・・。」
その後、開発部の意見を聞いてみたが、「やってみよう」とトントン拍子で話が進み、更にリコリスさんがちょうどUMPシリーズという3つのサブマシンガンをアイデアとして提示してくれたので即座に製作に取り掛かることとなった。
カタログスペックとしてはハイエンドモデルと比較すると大規模部隊を指揮する機能はオミットされ、代わりに特殊部隊用ということで電子戦のための機能が追加された。
他にもスティグマを使うことで教練時間を短く抑え、更に空いた領域にそれぞれサブウェポンを扱うための補助プログラムを組み込む形をとった。
他にも只の兵器としてではなく、意思持つヒトとして生まれ生きてほしいというサクヤさんの願いも込めて人間らしい趣味まで持たせる・・・と、結局中身は他のハイエンドと大きな差がない仕上がりとなってしまった。
違う点はボディがハイエンドモデル用の特殊強化骨格ではなく通常骨格を使用している点くらいである。
だが、その分製造工程が短く済み、AIの電脳学習も期間を短く収められたため、初めてとしては充分及第点といっていいだろう。
また、ついでの作業として既存の戦術人形に補助ユニットを装備するための外付けの試作ハードポイントユニットも用意して、そのデータ収集も同時に行うようにする。
何事も本職には及ばずともある程度扱える武器を別に用意して戦闘スタイルに幅を持たせたい。その方がより柔軟に状況に対応できるし、この技術が確立できれば色々と応用が利く。
特に、いずれ来るかもしれない『戦術人形がISを纏って戦場に立つ』日に備えて必要な技術やデータを蓄えておいた方がいいと考えた結果でもある。
ただ、一部スタッフはなぜかそれとも別の作業を続けている。
後に社外でも有名になる変態(誉め言葉)スタッフの集団である。
前の社長に散々虐げられてきた鬱憤とストレスの反動が鉄血解放後に爆発したらしく、ことあるごとに人形たちのスキンを作り上げているのだ。
まぁ、致し方ないところはあるし、何より実用性は保持しているのだから特に権限を引っ張り出してまで面と向かって咎め立てする理由もないので基本放置しているが。
一つ難点があるとすれば、スキンのデザインが趣味性の塊であり当事者(スキンを身に着ける人形)達の評価が割れる点だが。
この間のスコーピアス要望の家庭菜園用の作業着もそうである。ネタに走り過ぎたデザインだったために顔を真っ赤にしたスコーピアスに取れたての獅子唐を口の中にねじ込まれたのだ。
なお、そのデザインの内容に関してはスコーピアスの要望により伏せさせてもらう。
その前のトバイアスの時は勝手にスキンを作ったために「よーし!貴方達の今日の夕ご飯のオムレツの中身は保証しないから覚悟しなさい!!」と言われていた。
結果はハバネロをたっぷり混入させられて口から火を噴く羽目になったというものである。
・・・こちらのスキンの内容も伏せさせてもらう・・・。
尚、予め宣言されていたのに何故食べたし・・・と思うかもしれないが、彼女は元々不味い食材を如何にしておいしくできるかを必死に研究していたのだ。そうでもしなければ自分が山賊どもにひどい目に遭わされるからだ。
そして、その悪辣な環境から解き放たれ、ガイアの手で美味い食材という弾薬としっかりした調理器具という武器を与えられたトバイアスはその怪物振りを遺憾なく発揮、高級レストランクラスの料理を次々作り上げ、何時しか料理長となっていたのだ。
故に、何か仕掛けられていたとしてもその美味さを知るものとしては食べずにはいられないのは是非もなきことである。実際激辛だがそれでもなおおいしかったらしい。
一方でティアのお化けスキンは本人も気に入っていた。
そんなこんなであっという間に日は流れ、ゲーガーとアーキテクトの二人が完成した一週間後にUMP三姉妹は完成した。
長女がUMP45、次女がUMP40、末妹がUMP9となった。
ただ、訓練は想定外にうまくいかなかった。何故かというと・・・。
・・・
*射撃訓練場*
サクヤ「4、45ちゃん・・・大丈夫?」
リコリス「・・・め、命中率2割以下・・・。」
ガイア「・・・どこかミスでもしたんだろうか・・・。」
45「・・・えぐえぐ・・・もうやらぁ・・・。」
デストロイヤー「な、泣かないで!私だって昔は射撃成績ドベだったし!!」
45「ふえええええええん!!」
40「大丈夫だって!アタイ達も手伝ってあげるから!」
9「泣かないで45姉!」
・・・
45は射撃に関しては某黄色いニクイやつ並みの『無類の不器用』だった・・・。
まぁ、こればっかりは訓練を積んで慣らしていくほかないのだが、もう一つの問題が・・・。
・・・
*三姉妹の部屋*
ピシャーン!!!
45「ぴぃ!?」
40「ど、どったの45?」
45「雷・・・怖い・・・。」
9「・・・45姉・・・。」
・・・
生まれて間もないという意味では当然なのだが、凄い怖がりなのだ。
尤も、怖がりというのは危険察知の面では有利であり、部隊長として必要な「引き際を見誤らない」ために欠かせないスキルである。
しかし、何故意図して設定したわけでもないのにこうなったのかが解らなかった。
そして、他の二人も子供っぽいところが多かった。
・・・
*訓練場*
9「わーい。」
エクスキューショナー(エクス)「わー止せ9!それ危ないから触るな!!」
エクスの刀に興味津々の9。後日エクスが抜き身のままだとちび達がケガするかもしれないと鞘を作ってもらっていた。
・・・
*ダクト内*
アルケミスト「おーい40。出てこーい。」
カチッ
40「・・・。」(懐中電灯を自分の顔に当ててニコニコしている)
アルケミスト「うわぁ!?!?(ゴチンッ!!)あッ・・・くぁぁぁぁぁぁぁ・・・。」
おふざけ大好きの40。ダクトの中は埃まみれだし何がいるかわからないから止めてほしい。
・・・
なお、三人ともあの変態がいつの間にか作っていたロリスキンを適用したままだ。見た目と行動が相まって完全に子供である。
そんなこんなで2週間経過したころには三人のメンタルも徐々に落ち着いてきた。
また、45が花、40が折り紙、9が音楽と、それぞれ趣味の方向性が決まったようだ。
・・・45の不器用は相も変わらずだが、それでも40や9の協力もあって徐々に改善してきている。
ただ、スキンと行動ロジックの影響で元々特殊部隊用だったはずなのに完全にマスコット枠である。
ガイア「まぁ、これに関してはもう少し時間をかけるしかないか・・・。」
私はマスコット三姉妹となったUMP三姉妹の事をぼんやり考えながらそう呟いた。
登場人物
UMP45:射撃に関しては無類の不器用で凄く怖がりな性格。昔のUMP45を知らない人からすると違和感しかないだろう。趣味は花。
UMP40:おふざけ大好きでいたずら好きな性格。加えてフットワークが軽くその点に関してはハイエンドモデルに勝るとも劣らない。趣味は折り紙。
UMP9:好奇心旺盛でなんでも触りたがる性格。趣味は音楽。
ウロボロス:原作との乖離が激しいハイエンドモデル。
非常にストイックな性格で自分の現状に満足せず、暇があれば訓練や修行で自らを高めることに余念がない。
元は上層部が蠱毒の原理で最も優れたAIを作ろうと計画されていたのだが、ペーパープランの段階で上層部が追放され、残されたプランをガイアがサルベージし、路線変更した結果今の彼女になった。
新兵の教導を目的として再設計されており、また試験的にメモリ領域が他のハイエンドよりも大きく設計されている。
エクスキューショナー(エクス):処刑人。
最初期のハイエンドモデルでターゲットの確殺を主眼化した突撃番長。
だが、実際には面倒見が良い性格。
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10話まで投稿されましたがなんとここに来るまで感想が一件だけという事実に内心戸惑っています。
良いのだか悪いのだかわからないので本当にこのままで良いのかわからず内心不安です。