閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
UMP三姉妹:原作ではUMP9だけルーツが違いましたが、今作では三姉妹揃ってSFS謹製の戦術人形となっています。
また、広域戦術連携のために三人ともIOP式のツェナーネットワークとSFS式のオーガスネットワークの両方へのアクセス権限を持っています。
三姉妹の呼び名:45が「シゴ」、40が「フィアーチェ」、9が「ナイン」となっています。
45は9が呼び始めたのが定着したもので、シゴと呼ぶようになった理由はみんなが数字を「いち、に、さん、し、ご、ろく・・・」と読み上げていたのを聞いて「「45」だから「シゴ」」という理由で呼び始めたようです。
40は最初はドイツ語読みの「フィーアッツィヒ」と呼ばれるはずでしたが、ちび達曰く「呼びづらい」という理由からイタリア語風の読み方に変形して「フィアーチェ」となりました。
9は普通に英語読みです。
元々は普通に数字読みの予定でしたが、9が45をシゴと呼ぶようになったことから残りの二人にも数字にちなんだ名前を付けることになった結果こうなりました。
アーキテクトとゲーガーが開発している大型砲台:ジュピターの事です。ですが、完成は大分先です。
グリフィン、IOPとSFSの関係:各々同業者という関係であり、それぞれが助け合い、支え合うことでELIDやテロ組織などの様々な問題に対応しています。
エーカーズ(ACARS):エーカーズというのは略称であり、正式名称は「Automatic Communications Addressing and Reporting Sysytem」となっています。
航空機で使われている同名のシステムと基本的には同じであり、小隊の現在位置と定時報告、ボディ等のメンテナンス用パラメータを自動的に送信するSFSが小隊用に試作した支援システムです。
一般の通信装置とは別回線を使用しており、必要とあれば定時報告によって支援要請をすることも可能です。
今回の実戦において問題が発生しなければ今後全ての小隊に標準装備される予定です。
*SFS射撃訓練場*
三姉妹が完成してから一か月が経過した。
一番の懸念だった45の不器用もかなり改善され、後は今日の試験で好成績を収めれば合格だ。
「ぐにゅう!?」と変な声を上げながら足をぐねって転倒していたのが懐かしく思える。
そして・・・。
シゴ「・・やった。やったよ!!私できた!!」
リコリス「やったじゃない!貴女遂に成し遂げたわ!!」
ナイン「おめでとうシゴ姉!!」
フィアーチェ「頑張ったねシゴ!アタイも嬉しいよ!!」
ペルシカ「やるじゃない!これなら大丈夫そうね!」
デストロイヤー「やったね!努力が実を結んだよ!!」
シゴはついにやり遂げたのだ。
ガイア「最初は肝が冷えたけど、こういうのも案外悪くないかもね。」
サクヤ「本当。デストロイヤーちゃんも自分の事みたいに喜んで・・・。」
サクヤさんは目頭が熱くなったのか目元をおさえている。
また、サイドアームに関しても平行して訓練が積まれていた。
シゴがブルートの物を改良したダガーナイフ6本と高速移動用のアサルトチャージャー「マルチウェイ」、
フィアーチェがスケアクロウのビットを簡略化したレーザーガンビット4基とその充電用デバイスが追加された飛行用のフライトモジュール「シュライク」、
ナインがイェーガーのスナイパーライフルを改造した折り畳み式の長射程狙撃レーザーライフルとアルケミストのそれと同型の光学迷彩となっていた。
因みに開発、改造を担当したのはアーキテクトとゲーガーの姉妹で、一つ下の妹たちへの姉からの餞別みたいな形になっていた。
同様に同じ小隊に参加することが決まったG11のティア・ファーヴニルにもサイドアームとして大型レーザーブレード「グラム」が贈られていた。
また、4人ともラウンドスピナーという地上走行用のローラーダッシュユニットが脚部に外付けされているという結構な重装備だ。
来週にはIOP側から派遣される戦術人形との顔合わせ、そして初任務がある。
ただ、ペルシカには一つ懸念があった。
IOP側から派遣される戦術人形「HK416」の性格の問題だ。
優秀ではあるのだが何が何でも完璧であろうとするあの強迫観念染みた性格の彼女が果たして眠たがりのティアやマスコット枠のちびっこ三姉妹とうまくやっていけるのか?そこだけが最大の懸念だった。
ティアは兎も角生まれてからまだ日が浅いちびっこ三姉妹が416に軽んじられるのではないかと内心気が気ではなかったようだが・・・。
残念ながら時間がない。初任務も本当ならもっと後、顔合わせのあと何度か合同演習と親睦会を行った後でやる予定だったが、急遽任務が入り込んでしまったのだ。
AR小隊も、つい先日始動したネゲヴ小隊も駆けずり回っているが処理が追い付かないのが現状である。そのため纏った時間が取れず殆どぶっつけ本番となってしまったのだ。
それに関してはガイアを含めたSFSのみんなも危惧している。
三姉妹とティアは同じSFS所属なので交流もあり、連携訓練も充分積めたが、416がそこに加わるとどうなるかが予測がつかない。
416が協調性のある性格であれば心配する必要はないのだが、残念ながら416は下手すると一人で突っ走りかねない性格だ。
ガイア「・・・念のために、アルケミストをバックアップに行かせるかな・・・。」
サクヤ「賛成・・・。チームとしてちゃんと動けるのかまだ不安だし・・・。」
これでも三姉妹とティアの訓練もかなりの早巻きなのだが、それでもこれなのである。
個人戦闘能力は確かに大切だが、それ以上にチームワークが作戦行動においては重要視される。
勝手に動き回られてはただ迷惑になる程度ならまだ良い方、下手をすれば仲間を死の危険に晒す恐れもある。
アルケミストなら光学迷彩によるステルスがあるから万一の時も即座にフォローに入れる。
何よりアルケミストは代理人を除けば一番総合戦闘能力が高い。想定外の事態が発生したとしても余程の事が無い限り皆で生還することくらいなら造作もないだろう。
兎に角今は備えることしかできない。本当なら代理人もつけたいのだが、生憎ここ最近ドタバタしているせいでグリフィンで捌き切れない任務をSFSが代わりに引き受けているためこちらも人手不足なのだ。
エクスとハンターは数日前に賊から村を守る任務に出発してまだ帰っておらず、デストロイヤーもここ最近オフだったが二日後にはアドバンスドキャノン装備で正規軍のテロ組織殲滅任務に協力するために出発しなければならない。
スケアクロウは明日までアルケミストと共に長距離輸送部隊の護衛に出ているし、それが終わってしばらく休んだら今度は環境NGO職員の護衛に出なければならない。
ちょうどアルケミストは輸送部隊護衛任務のあとしばらくオフになるのだ。尚、代理人はアルケミストと入れ違いにスケアクロウの任務に同行する。
アーキテクトとゲーガーは戦闘能力はあるが二人にも正規軍からの依頼で試作大型砲台の設計開発を任されており動けないし、ウロボロスもグリフィンで新人人形の教練で手一杯だ。
近々エリザの人型端末も完成するが戦闘用ではないので頭数には数えられない。
ローエンド達や戦車、戦闘ヘリも大半が様々な任務に出撃しておりSFSには警護班以外の戦闘要員があまり残っていないのだ。
一応新たなハイエンドやミドルレンジの開発計画は立ってはいるが、開発はまだ先になる。ビークル建造も資源的な余裕がない以上現時点では増産は厳しい。
ガイア(なるようになるしかない・・・か・・・。うまくやってくれるのを祈るしかないのが辛いところね・・・。)
アルケミスト一人つけるだけでいっぱいいっぱいな現状だが、今はこれでいくしかないと私は自分に言い聞かせた。
いつでも最善の選択ができるわけではない。理由は何であれ、最善の選択肢を選べない事はよくある話だ。
ならば次善、最悪でも「最悪の中の最善」を選ぶしかない。兎に角今手元にあるカードの中で可能な限り最善の選択をするほかない。後はただ祈るのみ。
そして、みんなの最初の懸念は見事的中してしまった。
*IOP会議室*
HK416「で、なんで私がこんな連中と組まなきゃいけないわけ?」
ペルシカ「まぁまぁ・・・。」
開口一番に416の文句が放たれ、それを私が宥める。
一方言われた側のティア、シゴ、フィアーチェ、ナインはといえば、ティアは眠そうに聞き流し、残りは苦笑いで受け流す。
ティアは普段から眠そうにしている(山賊時代の虐待で負った電脳の物理的な損傷が原因。因みに修理不能だった。)のが原因で、残り三人はド新人&相変わらずのちびっこスキンが原因だ。
対して416は結構な古参である。持ち前のプライドの高さもあってかこのキャラが濃い面々に拒絶反応を示すのも致し方ない。
ヘリアン「はぁ・・・416、文句を言うのは勝手だが、どこもかしこも人手不足だ。それはSFSも例外ではない。そんな中無理を通して大急ぎで人員を用意してくれたんだ。その物言いはいくら何でも失礼だぞ?」
ヘリアンの窘めを聞いて不機嫌そうに鼻を鳴らす416。
そこで私はワザと416を煽った。
ペルシカ「う~ん、じゃあいっそのこと4人だけで行ってもらおうかしら?身内同士なら連携もうまくいくだろうし。」
416「何よ!完璧な私を一人のけ者にするっていうの!?」
ヘリアン「なら文句を言わずにとりあえず一回一緒に任務をこなして来い。そのうえで文句があるのならその時に聞いてやる。」
416「いいわ!やってやろうじゃないの!!」
ヘリアン&ペルシカ(・・・ちょろい。)
・・・
・・・・・・
5人が退出した後、会議室には私とヘリアンの二人だけが残っていた。
ヘリアン「なぁペルシカ。今更だが、私は416を外したまま任務にあたらせた方がいいように思うのだが・・・。」
ペルシカ「そう思うのは解るわよ。でも、4人とも実戦経験が殆どないから一人はベテランが欲しいのよ。それに・・・。」
ヘリアン「それに?」
ペルシカ「416もいい加減協調性というものを学ばないと不味いのよ。あの子が今まで溢れていた原因、貴女も知ってるでしょ?」
ヘリアン「ああ・・・やたらと完璧に拘るせいで隊の和を乱すことが多くてどの小隊でも扱いきれなくて持て余されてきた問題児・・・だったか。」
私の言葉にヘリアンも遠い目で項垂れる。
ペルシカ「HK416型戦術人形は皆完璧に拘る性格をしているけど、あの子はその中でもかなりの重症よ。あのままどこにも混じれないまま終わらせるなんていくら何でもでしょ?」
ヘリアン「なるほど。つまり416にとってもいい刺激になってくれればということか。・・・うまくいけばいいが。」
ペルシカ「あの4人はSFSの社風の影響もあってかとてもアットホームな集まりだからね。うまくいかなければその時はその時としか言いようがないけどね・・・。SFSからは万一の備えでアルケミストがバックアップに就くって連絡があったし。」
ヘリアン「しかし、今回の任務は大丈夫だろうか・・・?」
ヘリアンは手元の資料に目を落とし表情を曇らせた。
密林地帯に潜伏していると思われるテロリストの確保、或いは殲滅。
情報が不足しており人数は元より練度や装備も殆どわかっていない、正直なところ、結成したての404特務小隊の手には余りかねない任務だ。
最悪、情報を可能な限り収集して誰一人欠けることなく帰還できればそれでよしなのだが、416の事だから無茶をしかねない。
4人のチームワークは実戦演習を見た自分でもわかる通り気心が知れていることもありしっかりしていたが、そこに屈指の問題児である416が入って果たしてうまく回るかどうか・・・。
ペルシカ「チームワークを乱すスタンドプレイは仲間を危機に陥れ、殺す事にもなる・・・か。」
正直な話、私ももっと時間が欲しかったというのは大いにある。ぶっつけ本番でうまくいくとは思えない・・・が、唐突に割り込んできたこの任務は断ろうにも断れるような内容ではなかったのもまた事実。
ヘリアン「・・・こちらからもバックアップに誰かを派遣できればいいんだが・・・。」
ペルシカ「・・・その誰かが416しかいなかったからこうなっちゃったんだけどね・・・。」
ヘリアン「違いない・・・。」
SFSが助けてくれるようになって負担は確かに軽くはなっているが、ここ最近テロ組織の動きがやけに活発になっている性でどこもかしこも人手が足りていない。
数か月前に近くのドイツで起きた誘拐事件も、その主犯格は日本の女性人権団体だった。曲がりなりにも人権団体を標榜している組織が誘拐などという手段をとる等世も末である。
この事件に関しては自分にとっても他人事ではない。誘拐された織斑一夏とは昔日本で合同研究していた頃に何度もあったことがある。
一夏本人は当時5歳だったから覚えていないだろうがこちらは覚えていた。盟友の束とその家族が一夏とその家族と家族ぐるみの付き合いだったことも知っている。
だから、束が報復行動に出たときに自分も微力ながら両家族の関係をリークする形で力添えをした。そのために私はカリーナに頭を下げたので驚かれたが・・・。
・・・因みにリコリスとサクヤはニュースが入って来なかったらしくこの地区にたどり着いてしばらくしてから知って驚愕していた。
ペルシカ「本当にこの世界、どうなっちゃうのかしら・・・。」
ELIDによる汚染が奇跡的にも極低濃度だったにもかかわらずこの混沌ぶり、その現実に私はこの世界の行く末に底知れない嫌な予感を感じていた・・・。
・・・
・・・・・・
*ヘリポート*
一夜明け、404特務小隊の初任務が開始される時間となった。
三姉妹は長距離移動に備えてちびっこスキンではなくノーマルの姿に戻っていた。
ヘリアン「いいか!任務内容の確認をする!目的は該当地域に潜伏していると思われるテロリストの確保、或いは殲滅だ!だが、お前たちはまだ実戦経験が殆どない!よって、手に余ると判断したら可能な限り情報収集をしたうえで誰一人欠けることなく撤退しろ!以上だ!!」
「「「「了解!」」」」
416「任せておきなさいよ!完璧な私の手にかかれば大したことないわよ!!ばっちり確保してやるわよ!!」
ヘリアン(お前が一番心配なんだよ!!)
こちらの不安を知る由もない416の発言にヘリアンは心の中でツッコミを入れた。
ペルシカ「まぁ、倒せるんだったら倒してもいいけど、それ口にするのフラグだからね?」
416「?」
私もそこはかとなくツッコミを入れたが416は何のことかわかっていないようだ。まぁ、このネタは昔日本で研究していた頃に偶然見つけたサブカルチャーの物なので知らないのも仕方がないのだが・・・。
ヘリアン「まあいい!そろそろ時間だ!」
メンバーはSFSから譲渡された輸送ヘリ「AH_Code24_TypeC ハインドキャリアー」に乗り込み、基地を後にした。
*同時刻 SFS本社正面玄関*
ガイア「三姉妹はオーガスネットワークに自身の位置を定期的に定時報告システム「エーカーズ」を使って報告してくるから見失うことはまずないと思うよ。」
アルケミスト「ああ。ちょうどいま出発したようだ。報告があがっている。」
アルケミストはそういって報告書を閲覧する。
エーカーズ定時報告[ヘリに乗り込み出発 現在異常なし...]
簡素な報告だが余計な情報が少ない方がこういう提示報告は読みやすくていい。
ガイア「・・・ごめんなさい、ようやく休めると思った矢先に仕事押し付けて・・・。」
アルケミスト「気にするな、かわいい妹たちの初陣だ。それにいい気分転換にもなるさ。」
ガイア「そういってくれると私も幾分気が楽になるわ。」
サクヤ「気を付けてね。あの子たちもそうだけど、貴女もケガしないようにね。」
アルケミスト「任せてくれ。それじゃあ、行ってくる。」
アルケミストはそういうとアーキテクトが用意したバイクに乗り込み、陸路で404特務小隊を追いかけ始めた。
ガイア「・・・何事もなければそれに越したことはないけどね・・・。」
私はそう独り言を呟いた。
AR小隊:原作通りのメンバーですが、この時点ではまだRO635は加入していません。
ネゲヴ小隊:IOPが用意した新しい小隊。404特務小隊より数週間早めに始動しています。
なお、彼女らもウロボロスが鍛えました。
404特務小隊:原作で言うところの「404 Not Found」に相当する小隊ですが、原作との乖離点が非常に多いです。
まず、UMP40が参加している上に違法人形は一人もおらず、加えてHK416以外は全員SFS出身となっています。
また、原作のような非実在存在でもなく、特殊な任務を専門とする小隊として認知されています。
なお、原作で登場したサポート要員のシーアとデールはこの時点ではまだ登場していません。
デストロイヤーの武装:元のグレネードランチャーはオミットされ、換装式のランチャーパックを装備しています。
主に対物、対建造物戦闘を想定したCRAMキャノン装備と対人、対ELID戦闘を想定したアドバンスドキャノン装備の二種類が存在します。
HK416:元々完璧に拘る性格ですが、今回404特務小隊に参加した個体はそれが特に酷く、隊の和を乱すことが多くてどこの小隊でも持て余されてきたというかなりの問題児です。ネタバレになりますが初陣で痛い目を見た結果自分に素直になれるようになり、結果的に更生します。
補足すると、原作からして「基本は冷静だが、徹底した完璧主義者。そして怒りの沸点が低めな激情家。」、「人当たりがややキツく、M4やM16が絡むと途端にムキになる。」と総評される性格ですが、今作で404に参加した416はその中でも殊更その性質が強く出ている個体で、それ故に何度となく小隊内で意見違いを繰り返してしまい様々な部隊を盥回しにされてきたという経歴を持っています。
根っこは悪人とは程遠いのですが、タダでさえ行き過ぎた強迫観念とヒステリックな性質を抱えている上に上記の経歴でそれらが更に拗れてしまっているためこういう性格になってしまっていますが、彼女自身が一番それに関して危機感を抱いています。
ただ、完璧主義者という性質から素直になれず、結局今までうまくいかずここまで来てしまったという感じです。
アーキテクトとゲーガー:原作でも人気な凸凹コンビですが、今作ではアーキテクトのふざけ具合がかなり弱いのでゲーガーの心労は大したことになりません。
家族という繋がりで繋がっているSFSの人形の例にもれず、色々な装備などを作ってあげたりしています。
ヘリアン:本名ヘリアントス。
原作通りの立ち位置だが同時にブリーフィングの説明をすることもある。
なお、原作通り「合コンの負け犬」であり(ゲームでも探索のニュースでネタにされてしまうほど)、いい加減何か拗らせそうだとはペルシカ談。
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今年の投稿はこれで最後の予定です。
皆さま、良いお年を。
そして、来年もよろしくお願いします。