閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

なお、ドルフロ側視点の話がもうしばらく続きます。


【12】初めての任務(前編) -First Misson-

*作戦領域*

 

【視点:フィアーチェ】

 

何とか無事に作戦領域に入った404。因みに今回は一番経験豊富な416が指揮を執ることになっている。

 

作戦領域は林のような場所で、赤い紫陽花が所々に咲いている。

 

生憎の雨模様だが隠密には有利だし、何より紫陽花が映える。尤も・・・。

 

416「UMP45!花なんて後でいいでしょ!!」

 

シゴが紫陽花が映えることに率直な感想を述べたら416に怒られた・・・。

 

気を取り直してアタイ達は目的地へ向けて進んでいく。

 

しばらく進んでいくと青い紫陽花が咲いていた。

 

416はそのまま進もうとするけど・・・。

 

シゴ「ちょっと待って!!」

 

シゴが待ったをかけた。

 

416「なんでよ!?青い紫陽花摘んでいくなんて言ったらぶっ飛ばすわよ?」

 

416の文句を無視してシゴはかばんから金属探知機を取り出して組み立てていく。

 

416「何やってるのよ?」

 

シゴ「私の思い過ごしかもしれないけど、ちょっと気になるから。」

 

そう言って金属探知機であたりをスキャンするシゴ。ほどなくして反応があった。

 

シゴ「やっぱり地面に何か金属が埋まってる・・・。ちょっと大回りしたほうがいいかも・・・。」

 

画面を見ると地表近くに何か板状の金属が埋まっているようだった。

 

416「それがどうしたのよ?」

 

シゴ「只の金属板かもしれないけど、もしこれが地雷だったらと思うとね・・・。」

 

416「地雷!?」

 

シゴ「誰が設置したのかはわからないけどね・・・。ターゲットが仕掛けたブービートラップかもしれないし、旧大戦時代の残りかもしれない。どちらにしても何があるのかわからない以上避けた方がいいと思うけど。」

 

416「う・・・確かにそのとおりね・・・。」

 

万一生きている地雷だったら非常に危険だ。まだ始まったばかりだというのに落伍者が出る危険性があるし、何よりターゲットに警戒されたら難易度が飛躍的に跳ね上がる。

 

416「にしても、なんでわかったのよ?」

 

シゴ「このあたりに咲いている紫陽花が教えてくれたの。このあたりの紫陽花って殆ど赤色なのにあそこだけ青色だったでしょ?」

 

416「でも、紫陽花の色と何が関係するのよ?」

 

シゴ「紫陽花は咲いている土壌の酸性度で花の色が変わる特性を持っているの。殆どの紫陽花が赤色だったということはこのあたりの土壌が塩基性寄りだということだけど、あそこだけ青色・・・つまり酸性寄りだったの。」

 

416「それって、もしかして・・・。」

 

シゴ「金属から溶け出した酸化鉄とかがあのあたりの土壌を局所的に酸性にしていた可能性があったから調べたの。もちろんたまたまそこだけ酸性寄りの土壌だったって可能性もあったけどね・・・。」

 

完璧を自称する416もこれには脱帽するしかない。416にはそういうことは全く分からないのだ。

 

416「一つ聞いていい?あんたは何でそんなこと知ってるのよ?」

 

シゴ「私の趣味がお花の栽培なの。育てるためにはいろんな花の情報を知らないといけない。だからそうやって勉強しているうちに自然と身についたの。」

 

416「ふ・・・ふ~ん・・・そうなんだ・・・。」

 

普段の416からすれば馬鹿っぽい理由かもしれないけど、それで現に一つリスクを回避できたのだから馬鹿にできない。

 

アタイもシゴの植物に関する知識の多さと深さには何度も舌を巻いたほどだし。

 

更に進んでいくと、今度はナインが声を上げた。

 

ナイン「不味いね。遠いけど嵐の音が聞こえる・・・。」

 

416「嵐・・・?そんな音聞こえないけど・・・。」

 

ティア「いや、ナインの耳に狂いはないよ。早いうちに雨風を凌げる場所を見つけておいた方がいいね。そのためにも少し急ごう。」

 

ナインの趣味は音楽だけど、その対象は決して人が奏でる音楽だけではないよ。自然が奏でる自然の音楽もまた彼女の守備範囲なんだよ。

 

そして416は普段眠そうにしているティアがその眠そうな表情を捨てて本気の目に変わっていることに内心驚愕していたみたい。

 

416(何こいつら・・・?一体何なの?)

 

416は自分の理解の範疇から逸脱した事態の連続に軽く混乱していたみたい・・・。

 

・・・

 

・・・・・・

 

ザーーーーー!!!!

 

ピシャーン!!!

 

一時間ほど強行軍で突っ切り、たまたま発見した放置された物置らしき建物の中に入って少しすると雨脚が急速に強まり、一気に嵐となった。

 

416(本当に嵐になった・・・。)

 

半信半疑だった416はまたしても混乱してたみたい。

 

この時の416は、自分の中の常識が少しずつ、だが確実に音を立てて崩れ落ちていくような・・・そんな言い知れない不安感が彼女を支配していた。

 

416(いや!私は完璧よ!M4やM16なんかとは違う!!私は、完璧なんだからッ!!)

 

416はそう自分に言い聞かせていた。一方で・・・。

 

シゴ「・・・やっぱし雷怖い・・・。」

 

フィアーチェ「う~んやっぱり慣れないのかなぁ・・・。」

 

ナイン「確かに凄い音だし、万一直撃したら一撃だものね・・・。」

 

ティア「Zzzz...」

 

私達4人は至極マイペースだった。

 

そんなどこかほのぼのしたムードに気づくことなく、416は一人嫌にピリピリした空気を張り詰めさせていた。

 

・・・

 

・・・・・・

 

結局嵐は翌朝になるまで収まらず、そのまま一夜を廃屋で過ごすこととなった。

 

一応交代で見張りを立てての睡眠だったのだが、4人はすっかりリフレッシュできたのに対して416は一人だけげっそりしていた。

 

416(あーもう・・・変に目がさえて眠れやしなかったわ・・・。)

 

戦術人形は基本睡眠は必要ない。だが、電脳をリフレッシュする目的では睡眠をとった方が効率が良い。

 

だが、416は気負い過ぎと過度の緊張で全く寝付けず、結局丸一晩完徹する羽目になったのだった。

 

おかげで昨日のログが殆ど整理できず、電脳がオーバーロード気味だった。

 

416(あいつら・・・なんでこんなところに来てまで普通に寝れるのよ・・・?)

 

416はこんな状況下でもマイペースに行動できる4人に対して苛立ちを覚えるのと同時に、一抹の嫉妬を覚えていた。

 

尤も、416の不眠の最大の原因は完璧であろうとする強迫観念が原因なのだが、この時の416はそんなこと知る由もなかった。

 

シゴ「あれ?416どしたの?」

 

416「!?」

 

シゴ「・・・調子悪いならもう少し休む?」

 

シゴの言葉は混じりっけない善意、あくまで気遣いだったのだが、今の416にそれはアカンやつだった。

 

416「そ、そんなの必要ないでしょ!!予定が押しているのよ!!」

 

シゴ「でも、顔色が・・・。」

 

416「いいからッ!!私は完璧なのよ!!この程度なんでもないわよ!!」

 

シゴ「う・・・うん・・・。」

 

416の気迫に押されて引っ込むシゴ。しかし一方で・・・。

 

416(あーもう!!心配してもらったのに何で私はこんなことしか言えないのよッ!!)

 

純粋に心配されたにもかかわらず突き放す事しか言えない自分に対しても416はイラついていた。

 

 

 

*いくらか離れた崖の中腹の洞窟*

 

【視点:アルケミスト】

 

アルケミスト「まさか丸一晩降るとはなぁ・・・。」

 

初っ端から悪天候の洗礼を受ける羽目になっていた404だが、バックアップについている私も当然その洗礼を受けることになっている。まぁ私は慣れているし、彼女らもあまり堪えていない様だ。

 

ただ一人を除いては・・・。

 

アルケミスト「あー、416のやつ完全にやられた顔しているな・・・。」

 

遠くから長距離望遠装置で様子をうかがうと416の表情が中々やつれているのが見えた。不安が的中したといったところか・・・。

 

資料によると実戦経験はそれなりに豊富だがこういうタイプの任務は経験が少なく、またスコールの直撃を喰らうこともなかったらしい。

 

スニーキングする上では雨は音をかき消してくれるので有難い節があるのだが、同時に体力を余計に消費する原因にもなる。

 

丸一晩身動きが取れなかったために休むしかなかったにも拘らずあそこまでやられた顔をしているということはまともに休息をとれなかったのだろう。

 

アルケミスト「目標地点までもう距離がない。うまくやってくれるといいが・・・。」

 

そう独り言をつぶやいて望遠装置を再び覗き込む。

 

ふと、レンズの向こうのシゴがこちらを向いた。そして目を細めながら首を傾げた。

 

アルケミスト「やば!?」

 

咄嗟に岩場に身を隠す。

 

アルケミスト「ここから向こうまで2000mは下らないはずだ・・・。いくら間に障害物がないとはいえこの距離で怪しまれるとは参ったなぁ・・・。」

 

少し間をおいて恐る恐る再び望遠すると、シゴは「勘違いかな?」といった表情で出発準備をしていた。

 

アルケミスト「危ない危ない・・・。裸眼の視力は人間より多少良い程度のはずだけどなんで怪しまれるかなぁ・・・?」

 

ELID退治はもちろんのこと、テロリスト鎮圧の時もこんな経験はなかった。

 

アルケミスト「・・・まぁ、うれしい誤算かな・・・?」

 

そう呟きながら私も移動準備に入った。

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