閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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今回初めて戦闘描写込みでISが登場します。

・・・そして、416が痛い目を見ます。416ファンの皆さんごめんなさい。

また、今回から試験的に誰の視点で物語を見ているのかを明記しました。
好評であればこれ以前のも含めて視点明記をする予定です。

・・・にしてもこの話、タグ付けしてみたら目まぐるしく視点が切り替わっていました。視点切り替え回数実に4回・・・そりゃ読みづらいわ・・・。


【13】初めての任務(後編) -Encounter-

【視点:ナイン】

 

昼前になり、私達404特務小隊は目的地に到着した。

 

私とティアが偵察位置から偵察しているが、ターゲットの人数が想定外に少ない。

 

ナイン「う~ん・・・そんなに人数はいないみたいだけど、これ本当にこれだけ?」

 

ティア「本当にいないのか、たまたま出払っているのか・・・。」

 

416『どっちにしたって良いでしょ。敵が少ないならそれだけやりやすいんだから。』

 

ナイン「確かにそうだけど、万一出払っている別動隊がいて、途中で帰ってきたりでもしたら最悪挟み撃ちに遭うよ?」

 

ティア「何より別動隊を取り逃したら後が面倒だよ。」

 

今回の任務内容はテロリストの確保、ないしは殲滅だ。万一取り逃しが出たらそちらの対処にかかる手間が倍になる。

 

途中で帰ってきたりしたら非常に不味いし、終わった後で帰ってきても盛大に警戒されて後処理が面倒になる。

 

こういう場合、なるべく全員そろっている状態で一網打尽にしたい。全体的な難易度は上がるが、手間や不確定なリスクは少なくて済む。

 

結果、3日間様子見をしてみたところ、本当にこれだけしかいない様だ。

 

本当に小規模な集団らしいが、人数が少なければ難易度が低いかといえばそうとも言えない。一人でも取り逃せば結局二度手間になるし、それなりに大規模に活動している以上、個々の能力も侮りがたいと考えるべきだ。

 

ぶっちゃけた話、私のスナイパーライフルで一人残らず狙撃するという手もなくはない。

 

ただ、テロリストの確保、つまり生け捕りが目標である今回は出来ればそれは最後の手段に取っておきたい。

 

このスナイパーライフル、レーザーライフルなので非殺傷による無力化には向かないのだ。

 

・・・

 

・・・・・・

 

【視点:アルケミスト】

 

日が沈む少し前に作戦が決行されたようだ。

 

今回はシゴとフィアーチェ、416が拠点への潜入を行い、ナインがバックアップとして高台から狙撃体制をとり、ティアがナインのスポッターと護衛を担当する。

 

予想に反して制圧は順調に進んだ。・・・気持ち悪いくらい。

 

流石にうまくいきすぎている気がしたので警戒レベルを一つ引き上げたようだが、結論から言うと、それで足りるような代物ではない相手が最後に控えていた・・・。

 

シゴ「ちょっと!?『ライオットスーツ』の上に更に『IS』は流石に聞いてないよ!?」

 

女ボス「散々好き放題やってくれたな。でも、この特別製のスーツとISのセットは簡単じゃねーぞ!」

 

ライオットスーツ。

 

全身を装甲板で覆ったような、言うならば現代風の「鎧」だ。

 

麻酔弾は言うに及ばず、サブマシンガンや一般的なアサルトライフルの銃弾さえその多くを止められる鉄壁の防御を誇る。

 

しかもこれで機動性はさほど落ちない。

 

加えてIS「ラファール・リヴァイヴ」まで纏っているのだから厄介極まりない。

 

「ラファール・リヴァイヴ」そのものはやや型落ち気味とはいえ通常火器では有効打は与えづらく、しかも機体性能は射撃寄りのバランス型だ。

 

加えて自由飛行ができるだけで大きなアドバンテージがある。

 

どうやらこのテロ組織は思った以上に根が深いのかもしれない。

 

ISは相応に高価な代物だ。基本的に零細気味な小規模のテロリストにはたとえ一機だけでも早々手が出せるような代物ではない。つまり、「織斑一夏誘拐事件」の実行犯のような、バックに相応に財力を持った組織が居る可能性が高い。

 

アルケミスト「最後の一人だけがIS装備だっただけまだマシか・・・。だけど流石にこれは彼女らには手に余るか・・・!」

 

私は武器を装備し、光学迷彩を起動して救援に向かった。

 

・・・

 

・・・・・・

 

【視点:シゴ】

 

降り注ぐマシンガンの銃弾を前に私たちは防戦一方だった。

 

SFS謹製のフルトン回収装置で無力化した敵兵を排除していなければ、今頃復活した他の敵兵にまで囲まれて敗北は必至だっただろう。

 

シゴ「アーキテクト姉さんには足を向けて寝られないなぁ!!」

 

フィアーチェ「本当に!!」

 

フルトン回収装置を思いついて開発したのはアーキテクト姉さんだった。

 

時間が足りなくて15個しか作れなかったが、それでも充分だったのが幸いだ。

 

何というか・・・アーキテクト姉さんは偉大だ。

 

時々その方向性が明後日の方向に向いてしまうがそれはご愛敬だ。

 

しかし参ったものだ。こちらは発砲しても当たりはしないし仮に当たっても大したダメージにはならない。一方相手は撃ち放題。ワンサイドゲームにも程がある。

 

実は、私のダガーナイフならライオットスーツを切り裂くくらいならできるし、ISの絶対防御にもある程度対抗できるらしい。

 

ただ、自由飛行ができない私では上空を自在に飛び回るISに肉薄するのは無理だ。

 

フィアーチェのシュライクも高機動戦闘を目的とした装備ではないからむしろ的になるだけだ。

 

416は先ほどから銃弾と榴弾で反撃しているが掠りもしない。

 

シゴ「せめて地上すれすれまで降りてきてくれれば・・・。」

 

フィアーチェ「何か地上までおびき寄せられる手段があれば・・・。」

 

と・・・。

 

416「上等じゃない!!やってやるわ!!」

 

女ボス「ほぅ、うちのISを使おうってのかい?」

 

シゴ「え!?」

 

フィアーチェ「いくら何でも無茶だよ!?」

 

416がどこから見つけてきたのか「ラファール・リヴァイヴ」を身に纏っていた。

 

確かにISにはISをぶつけるのは理にかなってはいる。だが、この状況ではこれは悪手だ。

 

・・・

 

【視点:フィアーチェ】

 

*回想*

 

フィアーチェ『ねぇアーキテクト姉さん。アタイ達もISって使えるかなぁ?』

 

アーキテクト『う~ん・・・。できなくはないと思うよ?サクヤさん曰く、ISのコアと私達戦術人形のコアは元は同じものだから親和性は高いはずだって。』

 

フィアーチェ『じゃあ。』

 

アーキテクト『でも、実際には不可能かな?戦術人形のメモリ領域じゃISの特殊な操縦方法に対応できないみたいだからね。少なくとも今の戦術人形とISではほぼ無理だといってもいいかもね。』

 

フィアーチェ『そっかぁ・・・。』

 

アーキテクト『でも、かつて90Wishという研究チームを組んでいたあの4人が知恵を出し合えば、何時かは可能になる日が来るかもね?』

 

*回想終了*

 

・・・

 

端的にいえば、今の戦術人形では今のISを操縦するのはまず不可能と言える。

 

戦術人形は烙印システムを使って本来必要な訓練期間を大幅に短縮することができるが、その代わりメモリ領域を大きく喰ってしまう。

 

それは普通に訓練する場合もそうだが、烙印システムを使うと更に追加でメモリ領域を使ってしまうのだ。

 

そしてISの操縦というのは日常的な動作との共通点が殆どないのでまた別に運用を学ぶなり烙印を刻むしかない。

 

だが、そうすると今の戦術人形のメモリ領域では到底追い付かないとのことだ。

 

メモリ領域が大きめに作られているウロボロスなら可能性はあるかもしれないけど、アタイ達では到底無理だ。

 

ましてや比較的旧式の416には自殺行為以外の何物でもなかった。

 

416「く・・・この・・・!動きなさいよ・・・!!」

 

女ボス「タダの案山子じゃないか。経験の差というものを教えてやろうじゃないさ!!」

 

416「きゃああああ!?!?」

 

ただでさえメモリ領域が全く足りない上にぶっつけ本番で動かそうとしたのだ。

 

当然まともに動けるわけもなく、ただただマシンガンの銃弾のサンドバックにされるだけだ。

 

416は為すすべなくシールドエネルギーを根こそぎ削り取られてしまい、ISも強制解除されてしまう。

 

416「ひぃっ!?」

 

シールドエネルギーがなくなって強制解除されてしまえば身を守る手段はほぼない。

 

すかさずシゴがフラッシュグレネードで割り込んでいなければ416はまずやられていただろう。

 

女ボス「チッ・・・うまい事やってくれたね・・・。」

 

・・・

 

416「うぅ・・・痛い・・・痛いよぉ・・・。」

 

何とか近くの家屋に転がり込んだけど、416は数発足に被弾していたらしく足から人工血液が流れ続けていた。

 

アタイとシゴが即座にファーストエイドと薬草で傷の治療をしたけど、416の戦意は完全にへし折られていた。

 

シゴ「無理もないか・・・。危うく嬲殺しにされるところだったからね・・・。」

 

フィアーチェ「でもどうするの?これじゃあ逃げるのも厳しいよ?」

 

遠くで狙撃体勢に入っているナインとスポッターのティアならまだ逃げられるかもしれないけど、負傷して動けない416を担いでISから逃げるのは流石に無理。

 

シゴ「・・・戦って勝つしかないね。一つだけ勝機があるよ。ナインとティアもいいね?一度しか言わないからきっちり成功させてよね。」

 

シゴはネットワーク接続でナインとティアに通信を繋ぎ、作戦を伝え始めた。

 

・・・

 

・・・・・・

 

【視点:シゴ】

 

女ボス「かくれんぼも御終いにしようじゃないか。かわいい部下たちをどこにやったのか、洗いざらいしゃべってもらおうか!」

 

女ボスは焦れたらしくマシンガンの弾倉を交換しつつ私たちが隠れている家屋に向かって叫んだ。

 

シゴ「誰がッ!!」

 

私は家屋の陰から飛び出し、走りながらサブマシンガンで攻撃した。

 

最早避けるまでもないと判断した女ボスはシールドと装甲で弾きつつマシンガンをこちらに向けた。

 

シゴ(今よッ!!)

 

直後、女ボスのラファール・リヴァイヴの左バインダーに背後から赤いレーザー弾が突き刺さった。

 

女ボス「何だい!?」

 

間髪入れずに遠くの崖上に陣取ったナインがスナイパーレーザーライフルで女ボスを連続狙撃する。

 

女ボス「狙撃手かい・・・。賢しい真似してくれるじゃないか!!」

 

そういってナインのいる方向に加速しようとしたラファール・リヴァイヴの背後にフィアーチェの攻撃が着弾し、更に集中力を削ぐ。

 

女ボスがフィアーチェに向き直るとフィアーチェは即座に窓から身を乗り出すのをやめてカバー体勢に入る。

 

一発のレーザー弾が更に女ボスの近くを通り過ぎると同時に今度は家屋の入り口から416が身を乗り出して狙いを定めた。

 

女ボス「甘いね!読めるんだよ!!」

 

女ボスは一笑してマシンガンの狙いを416に合わせて掃射する。

 

416は躱せず全身に銃弾の嵐を浴び、そのうちの一発が頭を吹き飛ばした・・・と、一瞬女ボスは錯覚した。

 

女ボス「な、なんだって!?!?」

 

女ボスが416だと思ったのは実際には折り紙と材木で作られた、416に似せたフィアーチェ謹製の即興の案山子だった。

 

夜間だったために誤認してしまったのだ。

 

通常ならハイパーセンサーで解るだろうが、あっちこっちから銃弾が浴びせられていたせいで集中力が削がれ、思わず視覚情報だけに頼って条件反射的に反応してしまうというケアレスミスを犯してしまったのだ。

 

そして、その一瞬の動揺が女ボスにとっての「痛恨の隙」となった。

 

思わず横に向けていた女ボスのマシンガンに背後から投げつけられたナイフが突き刺さり使い物にならなくなる。

 

女ボス「何!?!?」

 

私はこの一連の陽動の隙に近くの屋根の上にのぼり、そこからACマルチウェイとラウンドスピナーで急加速し、ナイフを投げつけつつ屋根から女ボスめがけて大ジャンプしていた。

 

シゴ「取った!!」

 

女ボス「こいつ!?」

 

想定外の一撃に女ボスは一瞬思考がフリーズしてしまい、反応ができなくなった。

 

そのまま私はナイフでラファール・リヴァイヴをズタズタに切り刻みつつ組み付いた。

 

装甲と絶対防御をライオットスーツ諸共切り裂かれ、シールドエネルギーをゴッソリ奪い取られたラファール・リヴァイヴは限界を超えて強制解除され、女ボスは私諸共地上に墜落した。

 

墜落した女ボスはうめき声を上げつつなおも抵抗を続けようとしたけど、地面にたたきつけられたときに右腕が折れたらしく右腕がおかしなところで折れ曲がっていた。

 

シゴ「動かないで、もうこれ以上の抵抗は無意味でしょ?」

 

受け身を取ってダメージを最小限に抑えていた私は息を切らしながらもナイフとサブマシンガンで女ボスにホールドアップをかける。

 

フィアーチェも家屋からサブマシンガンとガンビットで狙いを定めていたし、ナインもスナイパービームライフルで遠方からいつでも女ボスを射殺できる体勢を取っていた。

 

女ボス「チッ・・・どうやらあたしらの負けみたいだね。」

 

女ボスも流石に勝ち筋がないと観念したらしく辛うじて動く左腕で降参の意を示した。

 

こうして、私達404特務小隊の初任務は、一応の成功裏に完了した。

 

ただ、416が動けなかったのと、負傷した女ボスがフルトン回収に耐えられない可能性があったからヘリにここまで来てもらうことになったんだけどね。

 

・・・

 

・・・・・・

 

アルケミスト「おいおい・・・あの状況から逆転するって、どんだけなのよ・・・。」

 

因みに後で知った話だけど、救援に駆けつけたアルケミストは到着してみたら既に終わっていた事に愕然としていたみたい。




女ボス:特に名前や深い設定は考えていないキャラクターです。しかし、ボスを張るだけあってその実力は本物であり、油断とかく乱が無ければこうも簡単には勝負はつきませんでした。

今回のテロ組織:テロ組織扱いされていましたが、実際にはあくまで依頼されたことをやっていただけであり、当人たちは別段差別思想等を持っているわけではありません。良くも悪くもビジネスライクな集団であり、適正な金を積まれれば何でもやる、どちらかというと傭兵に近い集団です。今回の一件で全員逮捕されました。
今のところ再登場の予定はありませんが、もしかしたら或いは・・・。

ラファール・リヴァイヴ:フランスのデュノア社製の第二世代ISで第二世代の中では最後発。そのため単純なスペックだけなら初期の第三世代ISに勝るとも劣らない性能を有していますが、第三世代のような隠し玉的な機能や必殺技的な機能は持っていないため総合性能ではやや見劣りしています。各国で第三世代ISが開発され続ける中デュノア社はこの機体のマイナーチェンジを繰り返す事しかできず、やや型落ち気味という評価を受けています。

ACマルチウェイ:シゴが使用したアサルトチャージャーユニット。ボーダーブレイクシリーズで登場した同名装備と基本的に同じものと思ってもらえればいいです。
無印にあたるアサルトチャージャーと比較すると出力で劣りますが、あちらは出力が高すぎて前進と後退しかできず、また動きが直線的になってしまうので戦闘機動には向かず、出力が低いながらも複雑な機動が可能なこちらの方が有用とされています。
後述するラウンドスピナーの連続稼働時間を延伸するのが目的です。また、本来の用途から外れますが、エネルギー兵器に緊急充電する目的でも使うことが一応可能ですが、仕様外なので実行は自己責任です。

ラウンドスピナー:基本原理はコードギアスシリーズに登場したランドスピナーと同様ですが、外付け装備である関係で動力はモジュールサイズが取りやすい可動輪側(ランドスピナーで言う補助輪)にしか存在せず、靴底に更に取り付けるローラーユニットは無動力です。要はローラースケートをモーター付きの可動輪の出力で前進後退させるようなものです。
設計限界から連続稼働時間が短く、あくまで瞬間的なブースト移動に限定されており、これを移動の主軸に据えるには前述のアサルトチャージャー系のユニットか、別途ブースターユニットを予想移動距離に応じて外付けする必要があります。
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