閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
ここ最近休みなしに働いているせいで若干過労気味で、最新話を書こうとしているのに頭がちっとも回転しません。
休みが無い原因としては職場の同僚が一人骨折でダウンしたことで、その穴埋めにシフトが調整された結果、今まで土曜日が全休だったのに半日出勤になってしまい疲労がとり切れなくなってしまいました。
そのため、この先しばらくの期間本編の更新頻度を半分の二週間おきにする予定です。
最新話を楽しみにしている方々には申し訳ありませんが、ここ最近ずっと寒い日が続いていて体調も悪くなる一方で、下手すると限界を超えて長期間ダウンしかねないためこのような予防処置を取らせていただきます。
この休みなしのシフトがいつまで続くのかは不明なので、更新頻度半減期間は現状無期限とさせていただきます。
シフトが戻り、体調が安定してきたら改めて更新頻度を元に戻す報告をします。
*IOP会議室*
【視点:ヘリアン】
404特務小隊の初任務が終わり、提出された報告書を私とペルシカで閲覧する。
ヘリアン「結果オーライとはいえ、やはり懸念していた事態が発生してしまったか・・・。」
出発前から不安だった416の暴走。それがものの見事に炸裂してしまった事が報告書からも読み取れる。
ペルシカ「ISを無理やり使おうとして返り討ち・・・か。よっぽど焦っていたのかな?416にしては随分とらしくない無謀な事をしてるね。」
ペルシカの意見には私も同意だ。
416は確かに若干の暴走の気があったが、今までにあったことと比べるとこれはかなり思い切ったことだ。精々が些細な命令無視や独断専行という、充分問題ではあるが程度は軽いものばかりだった。
それが今回に限っては随分と派手にやっている。
彼女は基本多少リスキーな事はやってもここまで無謀な真似はしなかった。それはひとえに彼女が完璧を自称しているからというのがあるのだろう。
多少暴走しても自分にできることとできないことは弁えていたため、これまでの作戦でも問題行動こそあったがそれが原因で失敗につながるということは無かった。
別に運が良かったからということではなく、危険は冒しても無謀な真似はしないからこそ今まで失敗しなかったのだが・・・。
ヘリアン「報告書では初日に廃屋で一夜明かした時にひどく調子が悪そうだったとあったな。」
ペルシカ「ログを見てみたけどあれは寝不足だったみたいよ?原因までは解らなかったけど。」
ヘリアン「本人から直接聞ければいいんだがな・・・。」
その問題の416だが、メンタルにかなりのダメージが発生したらしく帰ってきてからずっとフリーズしたままだった。
その原因を探るためにもこうやって報告書を読み解いているのだ。
ペルシカ「おや?初日から色々とあったみたいだね?」
シゴが紫陽花の色から地雷のリスクを回避したこと、ナインが嵐が来ることを音で察知したこと、416が寝られない中で四人は交代で熟睡したこと・・・そして。
ヘリアン「おや?寝起きをシゴに心配されたところで電脳がエラーを吐いているな?」
それはちょうど416がシゴに心配された際につい声を荒げてしまったタイミングだったことは後に知ることとなる。
ペルシカ「もしかしたら、色々と初体験の事が多すぎて自分の価値観が壊れちゃったのかもね。404の他のメンバーってみんな今までの戦術人形と比べてかなり特殊だから。」
ティアは一応元はIOPの人形だが、残り三人はSFS生まれで他の人形たちと比べても人間味が強い。
加えて三人の持つ趣味は今回の任務の中でも活用されている。シゴとナインの件は言うに及ばず、フィアーチェも持ち込みの折り紙と現地にあった木材で即席の案山子を作ってテロリストのボスをかく乱している。
なお、この女ボスは連行される途中で「油断していたってのはあるかもしれないけど、それを差し引いても手ごわかったよ。敵としては二度と会いたくないね。」と404特務小隊を高く評価していた。
416がフリーズしたままなのは、完璧を自称していながら作戦遂行に貢献するどころか、焦るあまり無謀な真似をして自滅してしまった挙句、残り4人だけで任務を成功させられてしまったショックも多分に含まれているのかもしれない。
と・・・。
シゴ「ペルシカさん、シイムのお見舞いに来たんだけど、どこにいるの?」
いつものちびスキンな404メンバーがやってきた。
ペルシカ「え?「しいむ」?」
フィアーチェ「HK416の事だよ。「416」だから「シイム」ってわけ。」
折り鶴と見舞い花を持参してやってきた404メンバーを見る限り、少なくとも彼女らからは416は悪く思われていない様だ。
416ももう少し素直になれれば苦しむこともないだろうに・・・。
・・・
・・・・・・
*HK416の部屋*
ナイン「シイム~見舞いに来たよ~。」
皆で416の部屋にやってきたが、416は相変わらず焦点の合わない目で天井を見ながらフリーズしていた。
シゴ「シイム、ごめんね・・・。私がもっと早く閃いていたら、あんな怖い思いしなくて済んだのに・・・。」
シゴはどうやら自分が直ぐに妙案を閃かなかったせいで416があのような危険を冒したのだと思っているようだ。
「・・・がう・・・。」
ヘリアン「ん?今だれか何か言ったか?」
ティア「え?私じゃないよ?」
「・・・ちが・・・違うの・・・。」
ペルシカ「「違う」?もしかして416?」
416「違うの・・・シゴのせいじゃないの・・・。」
416がいつの間にかフリーズが解除されていたらしく、涙を流しながらむくりと身を起こしていた。
シゴ「シイム!気が付いたの!?」
フィアーチェ「よかった!みんな心配してたんだから!」
ナイン「おはようシイム!」
416が目覚めたことに喜ぶ404メンバー。
416「違うの・・・違うの・・・あたし・・・あたしぃ・・・!」
416は嗚咽を溢しながら言葉を紡ぐ。
416「あたしが余計なことしちゃったから、みんなを危ない目に・・・!あたしのせいで、みんなを・・・みんなを・・・うぇえええええええええん!!!」
とうとう子供のように泣き出してシゴに抱き着く416。
ヘリアン(紆余曲折あったけど、416もようやく素直になれたのかな・・・?)
ペルシカ(色々あったけどね・・・。まぁ、後はじっくり時間をかけて行けばいいか。)
416「ううぅ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・!ひっくぅ・・・あたしが・・・うぇえええええええええん!!!」
シゴ「泣かないでよシイム!みんな生きて帰ってこれたんだから充分だよ!」
ティア「あわ、あわ、あわわわわ・・・。」
フィアーチェ「作戦自体も成功したんだし、そこまで思いつめなくたって大丈夫だよ!」
416「だって・・・だってぇ・・・(ぐぅぅぅぅぅぅ)・・・あ。」
ナイン「トバイアスさんが弁当持たせてくれたから食べようよ。」
416「う、うん・・・食べる・・・。」
今まで完璧に拘るあまり空回りが目立っていた416だったが、ようやく彼女にも居場所が出来たといえるだろう。
・・・
・・・・・・
ちょうどそのころ、テレビではドイツのとある研究施設が襲撃されたというニュースが流れていた。
だが、その研究施設は何年も前に閉鎖されていて態々襲撃するような価値などないはずだった。
後の調査で判明したのだが、この研究施設は閉鎖された後にひそかにとある研究グループが無断で非合法な研究のために使用していたのだ。
そして、襲撃を仕掛けたのは篠ノ之束達だった。
襲撃の理由は、この施設が最強のISライダーを生み出すために人体実験という非人道的な実験を行っていたため。
研究スタッフたちは既に遁走していたらしいが、その場に残されていたモルモットにされていた孤児たちは束らが全員保護していた。
その中には、後に「クロエ・クロニクル」という名前を持つことになる未来のISデザイナーもいた。
因みに、何故束がこの研究施設の存在を知ったのかというと、この研究施設の情報を束にリークしたのは他ならぬ「エリザ」だったのだ。
エリザはリコリスやサクヤとの会話の中で束の事も知っていた。彼女も自分たちの生みの親の一人であることも、そしてS09地区に来てから新たに、今はIS絡みで非人道的な行為をしている組織を討つために動いていることを知った。
そして、エリザはネットワーク上で様々な情報を閲覧する過程で偶然この施設の実態を知り、その無法を看過できなかったために束にリークしたのだ。
当然束が動かないはずもなく、めでたく(?)違法研究は叩き潰されることとなり、天災を怒らせればただでは済まない事を世界は再び思い知ることとなった。
ISは元をただせば人類が宇宙で活動する日を夢見て束が生み出した夢の結晶。それ絡みで誰かが理不尽な不幸を被ることは束にとっては到底我慢ならない事なのだ。
・・・尤も、それでも馬鹿やる輩は馬鹿を止めないのだが・・・。
シイム:HK416に対してシゴ達が付けた愛称。
今回の一件でようやく彼女も己の中の柵(しがらみ)や歪みと決別できました。