閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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今回と、その次の回はトリニティ・ガードの過去と、こちら側の世界の事に関しての情報が登場します。

この幕間は時期的には「【8】水底の楽園 -深海図書館-」の数週間後にあたります。

因みに「【X1】番外編その1 -IS・ドルフロ世界について-」は【8】の数日前の話なので、こちらの方が後の話になります。

なお、この世界は10年以上私が基盤として使い続けていた世界観を一部トリミング、調整して使用しているので若干複雑な過去を持っています。


【17】幕間:トリニティ・ガードのこれまでとこれから その1 -戦いの軌跡・EDF-

あれは夏の終わりごろだっただろうか・・・。

 

俺はふとトリニティ・ガードの過去が気になってルウさんにその疑問を投げかけたんだ。

 

・・・

 

・・・・・・

 

ルウ「トリニティ・ガードの過去・・・か。」

 

一夏「ちょっと気になって・・・。」

 

ルウ「まぁ、別段隠すようなことはないし、この世界の歴史とも大きくかかわっているからね。さて、まずどこから話そうか・・・。」

 

ルウさんはしばらく考えたのちにPDAに当時の資料を表示しつつ語り始めた。

 

ルウ「トリニティ・ガードの源流が始まったのは大雑把にいえば40年くらい前になるかな。といっても、この名前になったのは4年ほど前で、それ以前は特に勢力名は無かったけどね。」

 

一夏「40年・・・。」

 

ルウ「当時は何の変哲もない鎮守府でしかなくて、あくまで海の安全を守るための、いわば派出所みたいな立ち位置だったかな?それに変化が訪れたのは今から15年前、歴史では『第一次星間戦争』として教えられているね。」

 

一夏「せ、星間戦争!?」

 

ルウ「そう、我々が『フォーリナー』と呼んでいた侵略性エイリアンによる地球侵略との戦いよ。といっても、この時の戦いは確かに激戦だったけどそこまで長い戦いにはならなかったね。」

 

宇宙人と既に戦争をしていたということなのか・・・。今の平和な日常からは想像がつかない。

 

ルウ「私たちがマザーシップを撃墜したことでフォーリナーは旗艦を失い撤退を余儀なくされた。フォーリナーとしては地球人を甘く見過ぎていたんだろうけどね。そのあと残された巨大生物の残党狩りやらなんやかんやあったけど、それからはしばらくは平和だったよ。」

 

一夏「だった?」

 

ルウ「終戦から約7年後、今から7年ほど前にフォーリナーは戻ってきた。10隻のマザーシップを引っ張り出してきてね・・・。戦略兵器級の威力を持った対地レーザー砲「ジェノサイド砲」を有するマザーシップが1隻だけでもてこずったのにそれが10隻ときた・・・。」

 

一夏「ひぇ!?」

 

ルウ「それでも人類はフォーリナーが戻ってくることは想定していた。対フォーリナー戦のために第一次星間戦争時に組織された地球防衛軍『EDF』は終戦後も税金泥棒だのなんだのと誹りを受けつつもフォーリナーの再来に備えて7年間軍拡を続けてきた。」

 

7年間税金泥棒と罵られながらも万一に備え続けてきたEDF・・・。何事もなければタダの無駄遣いで済むが、もし備えないまま再来されていたらどうなっていたか・・・。

 

ルウさんの表情はそう言っているようだった・・・。

 

ルウ「結論から言えば、その備えは正解だった。フォーリナーは進化していた。7年間準備し続けてきたのに差は全く埋まっていなかった。フォーリナーの技術さえも積極的に取り込んだにも関わらずだ。だが、備えていたからこそ対等の条件だったともいえる。」

 

一夏「もし備えていなかったら歯が立たなかっただろうね・・・。」

 

ルウ「その通り。マザーシップ艦隊を地球到着前にレールガンと大型ミサイルで3隻撃沈、1隻大破に追い込めたのも大きい。そのあとの攻撃は防御フィールドに弾かれたけど、それでも4隻を排除できたのは大金星と言えるね。」

 

そのあとのマザーシップ殲滅戦も比較的順調に進んだと付け加えて、そこで表情を暗くしながら一度区切った。

 

ルウ「・・・まさかこの10隻のマザーシップが『前座』だったとは、当時の私も含めて全く想像できなかったけどね・・・。」

 

そのあとの掃討戦のさなか、突如現れた蜂型の巨大生物。

強力な対空能力を有する蜘蛛型巨大生物であるバウとレタリウスを屠ったウィングダイバーの精鋭部隊『ペイルチーム』を歯牙にもかけずに鎧袖一触で全滅に追い込んだという。

 

ルウ「私もウィングダイバーの一部隊『ヴァルキュリアチーム』を率いていたけど、あの巨大生物を相手にするのは中々骨が折れたよ・・・。」

 

「私が蜂が苦手というのもあるんだけどね・・・」と、ルウさんは付け足した。

 

ルウ「まぁ正直な話、ウィングダイバーの隊員ってポンコツが多かったのよね・・・。被撃墜の原因はその多くが無茶な突撃をして返り討ちにあったり下手な飛び方をして味方の射線に割り込んで誤射誤爆をされたりといったバカみたいな原因でね・・・。」

 

「あの飛び方は酷かった・・・何度「この愚か者めが!!」や「全くこのスタースクリームめ!!」と怒声を張り上げたことか・・・」と、ルウさんは凄く遠い目でぼやいた・・・。

 

ルウ「飛べるんだから飛びまくる、突撃主眼だから突撃する・・・なんて短絡過ぎる。あくまで飛ぶという選択肢があるだけで飛ばなきゃいけないなんてことは無い。だから私はウィングダイバーの戦術に「飛ばない」と「近づかない」を追加したのよ。」

 

一夏「敢えて飛ばない・・・そして敢えて近づかない・・・ですか。」

 

ルウ「そう。飛んだら危険な相手や近づくと危険な相手を前にして態々相手の土俵に上がってやるなんて律儀な真似してやる道理はない。下手をすれば命を落とすことになる。そして蜂を倒した後も鬱陶しいことは続いたよ・・・。」

 

一夏「え?」

 

そのあとの言葉に俺は開いた口が塞がらなくなった。

 

・・・女王蟻と女王蜂に始まり、300m級の可変式砲艦『アルゴ』の襲来に、戦闘機よりも強い飛行型巨大生物『ドラゴン』の出現・・・。

 

・・・そして、無数のブロックユニットで地球そのものを覆い隠してしまう桁外れのスケールを持つ対星兵器『アースイーター』の襲来・・・。

 

ルウ「特にアースイーターが厄介だったよ。しらみつぶしにブロックを破壊しても壊した端から新しいブロックが追加投入されるからキリがない。かといって放置したら日光を遮断されるだけでなく下面に搭載された無数の砲台に地表を焼かれる。放置なんてできなかった・・・。」

 

一夏「・・・。」

 

ルウ「不幸中の幸いは、全世界のEDF隊員たちが奮戦してくれたおかげでアースイーターによる地上への被害は言うほど深刻化しなかったことにある。艦娘や深海棲艦の助けもあって、この美しい星は守られた。もしそうでなかったらどうなっていたことか・・・。」

 

俺は言葉も出なかった。

 

この世界も必死で戦い、そして平和を勝ち取ってきたのだ。この話を聞く限りでは、どこかで地球が滅んでいても何らおかしくない。

 

ルウ「最終的にはアースイーターを統括する中枢モジュール『ブレイン』を撃破するために乾坤一擲の大決戦が繰り広げられたよ。EDFも持てる戦力は全て投入したよ。その中には鹵獲したアルゴを改造した砲艦『島風』も含まれていたよ。」

 

一夏「・・・。」

 

ルウ「最終的にはブレインを撃破し、地球はとりあえずの勝利を得た。無論犠牲は決して少なくはなかった。最終決戦では砲艦『島風』が墜落し大爆発したブレインから私たちをかばって大破したし、隊員の中には死傷者や四肢欠損者も複数出たよ。」

 

一夏「そんなに・・・。」

 

ルウ「私も左腕と右足を複雑骨折、あばらも数本折れて治療に何か月も費やした。しかも我々はフォーリナーに勝てたかといえばそうとも言えない。恐らく連中はこう思ったんだろう。『割に合わない』とね・・・。」

 

一夏「わ・・・割に・・・。」

 

ルウ「恐らく次は連中も最初から本腰入れて雪辱戦に臨んでくるだろうから、我々は止まるわけにはいかない。我々の技術革新が、地球の命運を握っているといっても過言ではない。危機は未だに完全には排除できていないからね・・・。」

 

一夏「そんな・・・。」

 

ルウ「それなのにアズールレーン首脳陣の馬鹿どもは・・・いや、この話はまた今度にしよう・・・ちょっと話疲れた・・・。」

 

そういわれて俺は時計を見たが、なんと3時間もぶっちぎりで話し込んでいた・・・。

 

・・・上の文章だけで言うとそんなにかからないと思うが、実際にはもっと細かいところまで詳しい説明があった。それこそどこでどんな敵をどれだけ倒したかとかそういうレベルの話だ。

 

それを全部書いてしまうとそれだけで数十ページにも及ぶ超大作になってしまう。だから今回俺は細かいところは端折ることにした。

 

ルウ「せっかくだから、これを飲むか・・・。」

 

一夏「ちょ・・・それって一体・・・。」

 

ルウさんが冷蔵庫から取り出した瓶の中には紫色の異様な液体が入っていた。

 

ルウ「これは蜘蛛型巨大生物「バウ」の血液を日持ちするように加工したものよ。見た目の色はあれだけど、これが存外おいしくて栄養満点なのよ。」

 

一夏「ええぇ・・・。」

 

ルウ「戦争後期の物資不足のころは巨大生物の血肉で料理を作っていたほどよ。因みに私はこれが大好物でね、家畜改良したバウを飼ってるし、艦娘達にも意外と大好評よ。」

 

一夏「お、おおぅ・・・。」

 

ルウ「末期のころには武器も弾薬も足りなくなってね・・・。余ったレンジャー用の武器や大破した戦闘機の部品を使って戦時改造したユニットを使って必死で一日一日を生きるために戦い続けたよ。」

 

一夏「あ・・・おぉ・・・。」

 

ルウ「今のご時世も私はいろんな連中と戦っているよ。でもフォーリナーほどじゃない。深遠なる闇?終の艦隊?そんなの私に言わせればまだまだ雑魚よ。確かに厄介な連中だけどただ厄介なだけ。底はおおよそ見えているからね。でも・・・。」

 

一夏「でも?」

 

ルウ「フォーリナーは未だに底が見えない。あれだけの恐怖と絶望を振りまいておきながら、まだその強さの果てが測れない。私でさえ本能レベルでフォーリナーに対する恐怖を刻み付けられたのに、この上まだ沢山の何かを隠しているような予感がする。」

 

一夏「そんなに・・・!?」

 

ルウ「当然銃後の民たちに刻まれた恐怖と絶望はこんなものじゃない。EDFの軍拡を税金泥棒だと揶揄する者は最早当時を知らない極々少数だけしかいない。軍拡を怠れば今度こそ地球は、人類は終わるという確信に似た圧倒的恐怖があるからね・・・。」

 

一夏「・・・。」

 

言葉が出ない。

 

ルウ「まぁ、次元の漂流者である貴方に言ったところで・・・あんまり意味は無い話だけどね・・・。(ゴクッゴクッ)ぷはぁ!あー美味い!!体中の疲れが駆逐されていくようなこの感覚はやっぱりたまらないね!」

 

一夏「・・・。(ゴクリ・・・)」

 

ルウ「飲む?」

 

一夏「・・・頂きます。」

 

因みに味はといえば、表現しにくい初めての味だったが、口当たりが良くて喉ごしも爽やかというなんとも複雑な気分になる味だった。

 

・・・まぁ、疲労回復効果もあるということもあって俺も事あるごとに飲むようになったのだが・・・。




星間戦争とEDF:世界線で言うと「地球防衛軍4」の世界線を採用しています。

バウの血:本作でのオリジナル設定です。
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