閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
*束達の秘密基地がある島*
ルウ「ここが?ぱっと見では何もないように見えるね。でも、下から妙なエネルギー反応がするね。」
火逐「流石に秘密基地だから巧妙にステルスされているね。」
マドカ「こっちだよ。ついてきて!」
一夏「あはは・・・マドカのやつ、目に見えてはしゃいでるな。」
トサ「コン♪」
今すぐにでも駆け出したいという気持ちを抑えて歩いているのが手に取るようにわかる程の解りやすさだ。マドカに重桜艦娘達のようにしっぽがあったならきっと今頃バタバタと千切れんばかりに振りまくっているだろう。
そうこうしているうちに俺たちは島にある森の中に入り、木陰の洞窟に足を踏み入れていた。
洞窟はしばらくは岩肌がむき出しの自然な洞窟だったが、途中から鉄板らしき人工の壁に切り替わっていた。
ただ、ステルスのためか照明が無く、マドカの懐中電灯と・・・。
火逐「夜間戦闘用の探照灯がこんなところで役に立つとはね・・・。」
火逐さんの探照灯(光量は抑えてある)が照明代わりだった。
やがて金属製の扉が目の前に現れ、マドカはその横にあるテンキーに暗証番号を入力してロックを解除した。
扉が開くとそこには・・・。
ルウ「おお・・・結構しっかりとした作りなんだね。」
思いのほかしっかりとした作りの・・・それこそ離島鎮守府の地下施設と遜色ないレベルにしっかりとした作りの基地があった。
と、そこに・・・。
鈴音「・・・え?一夏?」
一夏「あれ?鈴?なんでここにいるんだ?」
ふと横を見ると通路を歩いていた鈴と目が合った。たしか何年も前に中国に戻っていたはずだが・・・。
みるみる鈴の顔が涙でくしゃくしゃになってきて・・・
鈴音「一夏!!今までどこ行ってたのよ!?!?」
一夏「おおぅ!?」
急に鈴がこちらに向かって走り出して来たので一瞬飛び蹴りでもされるのかと思い、それでも散々心配させたのだから甘んじて受けようとしたが、予想に反して抱き着いてきた。
鈴音「皆心配してたんだよぉ・・・!」
一夏「ああ・・・うん。・・・ごめんな。」
俺はただ詫びながら鈴の頭を撫でた・・・。
・・・
火逐「・・・で、お取込み中大変申し訳ないけど・・・。」
ルウ「・・・そろそろ移動しない?」
1分ほど泣きじゃくる鈴を慰め続け、ようやく鈴が落ち着きを取り戻したところで火逐さんたちが申し訳なさそうに口を開いた。
いくら秘密基地の中で人通りが無いとはいえ通路のど真ん中でこれは流石に恥ずかしく、俺と鈴は二人そろって顔が真っ赤になった。
鈴「ところで、この二人は誰?一夏まさか・・・?」
ルウ「いや、それは無い。」
火逐「私達は去年私達の世界に飛ばされてきた一夏さんを保護していた者の代表みたいなものよ。」
二度目である・・・。
と、そこへ・・・。
アン「ッ!!一夏!!」
更にアンが抱き着いてきた・・・。
更に1分ほど足止めが確定してしまいマドカとルウさんたちは苦笑いを浮かべていた・・・。というか、アン迄ここにいたのか・・・。二年前にイギリスにもどっていたはずだけど・・・。
・・・
アン「うぅ・・・ぐすっ・・・やっと・・・やっと会えたぁ・・・。」
ようやくアンも落ち着いて、やっと移動を再開した。
アン「で、この女の人たちは誰?」
やっぱりそうなるか・・・。
ルウ「このパターン、三回も続いたら流石に飽きてしまうね・・・。」
アン「え?」
軽くゲンナリしたような表情を浮かべたルウさんにアンが疑問の声を上げた。
マドカ「お兄ちゃんを保護してくれていた人なんだって。」
火逐「これあと何回あるのだろうね・・・。」
ルウ「流石にこれで終いにしてほしい気はあるけど・・・。」
一夏「あと最低でも一回はありそうだけどね・・・束さんの分が・・・。」
ルウ&火逐「「Oh・・・。」」
結構疲れた表情を浮かべた二人にマドカと鈴とアンは「本当にごめん・・・。」と呟いた。
しかし、マドカに案内されて束さんの部屋に来た俺は別の意味で面食らった。
束「あ、いっくんだ・・・やっと・・・帰ってきてくれたんだ・・・。ごめんね・・・こんな有様で・・・。」
すっかり衰弱した様子でベッドの上で上半身を起こして弱弱しい笑顔でこちらに微笑んでいる束さんの姿に俺たちは開いた口が塞がらなかった・・・。
一夏「えっと・・・束さん?それどうしたんですか・・・?」
束「ああ・・・これね・・・。去年の秋あたりからちょっとね・・・あはは・・・。」
ルウ「いやいやいやいや!!どう考えたってちょっとじゃないでしょ!!それに3ヵ月以上この状態!?一体何をどうしたらこうなるのよ!?」
鈴「実はさ・・・。」
・・・
・・・・・・
ルウ「なるほどね・・・つまり根を詰め過ぎて体調を崩したのが最初で、それからずっと悪化し続けていると・・・そんなことある?」
火逐「ちょっと検査してみないとね・・・。とりあえずみんなは別の部屋に移動してくれる?」
一夏「え?検査できるんですか?」
ルウ「ある程度原因を絞り込む程度ならね。」
・・・
・・・・・・
ルウさんたちが束さんの検査をしている間、俺たちはこの一年間何があったのかを別室で話し合った。
俺の事に関しては三人とも複雑そうな表情だった。まぁ、向こうに居た時の方が居心地が良かったのだから複雑な話である。
マドカは最初の段階から束さんと一緒に行動していたらしいが、鈴とアンは後から加わったらしい。
アン「実は私、一夏が行方不明になる2か月前に両親を鉄道事故で亡くしてね・・・色々とゴタゴタしていて気が付いたら一夏が行方不明になったこと、束さんが怒ってその事件の首謀者の女性利権団体に報復をしたことをニュースで知ってね・・・。」
アンもまた両親を亡くしてしまい、そのうえ俺まで行方不明になったせいでそうとう精神的にキていたらしい。元々アンの両親も女性利権団体に対して良い印象を持っていなかったし、行き過ぎた活動に対して苦言を呈することも多かった。
それでもしかしたらその事故も女性利権団体絡みではないかと警戒した束さんが万一に備えてアンを探して保護したらしい。実際にはその鉄道事故は見づらい信号機と逆光による信号の見間違いが原因で女性利権団体とは無関係だったらしいが。
鈴の方はもっとひどい話だった。
鈴は俺が行方不明になった後も俺の生存を信じて、中国の代表候補生を目指して努力を重ね、ついに主席となった。
だが、次席とその親の陰謀により二人の成績はすり替えられ、代表候補生への道を絶たれてしまったのだ。しかも・・・。
オータム「そこから先は俺が説明するよ。」
一夏「え?えっと、貴女は?」
オータム「俺はオータムっていうんだ。束とは腐れ縁でね、色々と協力していたんだよ。で、俺が鈴を迎えに行ったんだけどよ、本当に危なかったぜ・・・。」
一夏「え?それってどういう・・・。」
オータム「多分その次席の親どもの差し金だろうけどよ、鈴の両親の店がチンピラどもの襲撃に遭いかけてたんだよ。あの二人がたまたま居てくれなかったらヤバかったぜ・・・。」
一夏「あの二人?」
鈴「お店の常連さんで中国では有名な格闘家の東方先生と、その弟子の飛鳥さん。時々私も稽古つけてもらっていたのよ。」
オータム「あの二人がチンピラどもを撃退してくれていなかったら下手すら鈴の両親は殺されていたかもしれなかったからな・・・感謝の極みだぜ。」
一夏「そうなんですか・・・いつか会う機会があったら俺からもお礼を言わせてもらいたいな。」
鈴「東方先生たちはまだ中国で山籠もりの修行をしているみたいだから会う機会が来るのはまだまだ先だと思うよ。まぁお店は失くしちゃったけど、父さんも母さんもここで保護されているから言うほどかな・・・?」
一夏「でもなぁ・・・。」
そんな卑怯な真似をして鈴の人生を滅茶苦茶にした次席の親達に俺は軽く怒りを抱いた。
と、そこへ・・・。
ルウ「おまたせ。一応何とかしてみたけど、後は当人の生への執着次第としか言いようがないね。」
火逐「ただね、ちょっと面倒なことが分かったからそれについても説明させてよね。」
俺たちは火逐さんのちょっと歯切れの悪い言葉に疑問を覚えながらその話を聞くことにした。
・・・
・・・・・・
ルウ「所で、先に確認するけどこれで全員かな?」
束さんの部屋にこの秘密基地に居る人全員が集められ、ルウさんが全員いるのか確認した。
ただ、マドカ曰く「スコールさん」という人が留守らしい。
何でも食材の買い忘れがあったらしくて出直しているらしい。
ルウ「まぁ、スコールさんには後で説明するとして、私達としてもちょっと目を疑ったのだけどね、信じられない事が解ったよ。」
皆が目を見合わせている中、火逐さんが続きを口にした。
火逐「束さんの体調不良の原因だけど、基本は慢性的なストレスと過労が原因の衰弱だったのだけれど、もう一つ原因があったのよ。・・・ちょっと信じられないだろうけど、「呪い」がかけられていたのよ。」
「「「「「・・・は?」」」」」
皆が一斉に気の抜けた声を上げた。
ルウ「私達もびっくりしているのだけれど、残念ながら事実だよ。信じがたい話だけどね・・・。」
アンの両親が巻き込まれた鉄道事故
大雑把な描写しかしていませんが、イギリスで実際に発生した列車の正面衝突事故が元ネタとなっています。
この事故は衝撃の瞬間でも取り上げられたことがあります。
東方先生と飛鳥さんについて
早い話がスパロボで登場したネタを少し弄って引っ張ってきたものです。