閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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【26】変革への第一歩 -Reboot-

【視点:一夏】

 

ルウ「その案件だけど、実はもう設計だけは済ませてあります!」

 

火逐以外の一同「「「「はい!?」」」」

 

仰天の声を上げた俺たちと苦笑いを浮かべる火逐さんをしり目に、ルウさんはコンソールを操作してモニタに何かの設計図らしき物を映し出した。

 

映し出された物はISのようだが既存のどのISとも違った。

 

線は直線が多く、アメリカ製ISのテンペスターやフランス製ISのラファール・リヴァイヴに近い雰囲気がある。

 

が、装備面が大きく異なっていた。

 

まず手持ちの射撃武器はグレネードランチャーが付属したアサルトライフル『ガルム-44 Mk.2』と折り畳みによって三銃身式レーザーサブマシンガンとロングバレルレーザーライフルを使い分けられる大型レーザーライフル『ケルディム-R』の選択式になっている。

 

サイドスカートにはレーザーサーベルが二本と、そのサイドスカートと一体化したホルスターにコンバットナイフが二本となっている。

 

最大の特徴は追加兵装システムで、いくつかのバックパックユニットの中から選択して装備可能なほか、コネクターの規格さえ合っていれば例え自作の物でも装備、運用が可能なバックパックシステム「ストライカーパックシステム」が採用されているとある。

 

他にもやや大きめのシールドが付属している等、全体的に汎用性が高い設計になっている。

 

だが、ストライカーパックシステムこそ既存のISから見ると斬新なものではあるが、残りは既存のISにも似たような装備があり、どちらかというと既存のISをブラッシュアップしたような雰囲気だ。

 

ルウ「『P-00 ラベンダー』、ただひたすらに量産性と汎用性を重視したISとして設計してみました。細かい所はまだ詰めていく必要はあるけど、まずは第一歩としてざっとデザインしたらこうなった。」

 

アン「何ていうか、軍用機って雰囲気がするかな?」

 

ルウ「軍人の私が設計した影響も多分にあると思うけど、これから追々調整していくよ。・・・実はこれでもかなり絞って設計したんだよね・・・。」

 

束「へ?」

 

オータム「それどういうことだ?」

 

ルウ「これを量産型ISとして売り出すということは、当然敵対組織やテロ組織の手にも流れる可能性はある。だからいずれ相対することも見越して性能を意図的に絞って設計したのよ。極力既存の技術の流用で済ませてね。」

 

「で、その反動で自分用に作ったのがこんなバケモノになっちゃったのよね・・・」と次の設計図を見せてくれた。

 

基本的な部分は今のラベンダーと大凡同じだが、全体的に見ると最早別物ともいえる機体だった。

 

手持ち武器等まだ決まっていない部分がいくつかあるらしいが、両肩とサイドスカートがかなり特殊だった。

 

本来ISの腕部はISライダーの両腕にアーマーを着込むスタイルを取るが、このISはISライダーの両腕のアーマーは最低限にとどめられ、代わりに背中からアームで接続された肩パーツから更に機械の腕が伸びている。

 

サイドスカートも複数の可動パーツを繋ぎ合わせて横だけでなく正面もカバーするロングスカートの様になっており、更に大型のシザーアームや安定翼としても使えるとある。

 

それはまるで、6本の腕を持った阿修羅のような機体だった。

 

更に、このISは簡易変形により戦闘機のような巡行形態になることもできるとある。

 

動力機もさっきのラベンダーがパワーセル1基だったのに対して、こちらはイオンパワーセル2基とフォトンドライブ5基という非常に豪勢な仕様となっている。

 

鈴「えっと・・・これって?」

 

ルウ「一応私達用のISとして設計しては見たけど、ラベンダーで絞った設計にした反動でかなり暴走してしまった結果、こうなった。作りたくて作るのではない、作ってしまうのが私の悪へk・・・」

 

一夏「いやいや長いよ。セリフ欄に収まらないよ。」

 

火逐「メタイメタイメタイ・・・。」

 

流れるようにコントになる。

 

束「すっご・・・。実は私もみんなが襲撃のたびに大なり小なり怪我をして帰ってくるからもっと強いISを作ろうと思っていたのよね。でも、その前に体調を崩しちゃって・・・。」

 

ルウ「これでもまだバックパックとかいくつか設計が終わっていない部分があるから最終的にどうなるかまでは解らないけどね。」

 

火逐「もしかしたら、ISの利権を貪る大国や大規模組織とも事構える必要が出てくるかもしれないってこと?」

 

ルウ「そうならなければそれに越したことはないけど、無いとは言い切れないからね・・・。」

 

火逐さんの質問に対してルウさんが肩をすくめながら答えた。

 

確かにISを束さんが望んだ本来の姿に戻すためには多くの障害と戦う必要がある。そして、その障害がどれほど大きいのかも未知数だ。

 

相手がどれほどのものになるか解らない以上は可能な限り備えるほかない。9か月ほどの付き合いでしかないが、ルウさんがどういう考え方をしているのかは俺にもかなりの部分が解っていた。

 

一言でいえば「最悪の事態を想定してそれに合わせて対策を練る」タイプだ。そして、そのためならば多少卑怯卑劣な手段さえも必要だと判断すれば、そうすることが最もプラスが大きくなると判断すれば使うことを厭わない。

 

言うならば、合理主義で功利主義、加えて現実主義と言ったところだろう。

 

だからこそルウさんは大国や大規模組織と事構えることを想定しているのだろう。

 

ルウ「尤も、イオンパワーセルに関しては材料のイオンキューブがアレだから当面は通常のパワーセルで間に合わせるしかないよ。」

 

マドカ「え?希少品ってこと?」

 

ルウ「いや、イオンキューブ自体は非枯渇資源なんだよ。ただね、それを製造できる施設がね・・・。」

 

前に聞いたことがあるが、イオンキューブは惑星クレイドルの最深部の施設でしか現状製造できないらしい。

 

イオンキューブ自体は惑星の火山活動による地熱発電で得られたエネルギーを貯蔵する為の物なので条件さえ整えばここでも作れるようになるだろうが、製造用の装置が再現できないらしい。

 

火逐「ガイアは行方不明、雫も既に極点調査に出てしまったからイオンキューブを製造施設まで取りに行ける人が今居ないのよ。」

 

ルウ「とりあえず、目下の目標はラベンダーの量産体制を確立することとこの専用機の設計を完了させて製造に移ることね。」

 

束「遅くても三月中頃までには始動しておきたいわね。あまり遅くなったらIS学園への進学関係でややこしいから。」

 

一夏「IS学園への進学?」

 

束さんの言葉に俺は思わず聞き返した。

 

束「私達が教えてもいいし、そもそもマドカちゃんと鈴ちゃんは既に結構な実力だけど、それでも表舞台に立つ以上はIS学園に入っておいた方がいいからね。」

 

ルウ「なるほどね。でも、だとすると今日が1月19日だから・・・、かなりの強行軍になるよ?」

 

束「大丈夫!私が十徹くらいすれば結構余裕g・・・」

 

ルウ「ダメ!」

 

いつものように無理をすることを宣言する束さんの言葉をルウさんが遮った。

 

ルウ「徹夜はいい仕事の敵だよ。一日徹夜しただけで人間はありとあらゆるスペックが20~50%は低下する。慢性的な睡眠不足でも同程度スペックが落ちる。ましてや十徹なんて論外だよ。そもそも貴女は病み上がり。養父さんがドクターストップ(物理)を喰らわせに飛んで来るからダメ。」

 

束「ひぇ!?流石にドクターストップ(物理)は嫌だなぁ・・・。」

 

ルウ「だから無理はしないようにね。」

 

束「はぁい。」

 

ルウさんの脅し半分の忠告を前に束さんは大人しく引き下がった。

 

ルウ「とりあえず目の前の課題をどうにかしないと・・・とりあえずこっちでも何か使えるものが無いか探しておくから。」

 

束「ありがとうね。じゃあ、無理しない程度に頑張りますか!」

 

一同「おー!!」

 

 

 

・・・一方そのころ・・・

 

 

 

*SFS本社

 

【視点:????】

 

ガイア「へぇ、最近夜間を中心にちらほらと確認されているELIDの変種との戦闘、及びその戦闘技術を鍛えるための教導用ハイエンドモデルか・・・。」

 

????「はい。銃器での攻撃は効果が薄かったという報告もあったと聞いたので。」

 

ガイア「確かにこの先必要になるかもしれないし、反対する理由は無いけど・・・。」

 

????「・・・「無いけど」?」

 

若社長の含みのある言葉に僕は思わず問いかけた。

 

ガイア「・・・この設計は難しいよ?肩から腕が六本も生えていて、その六本の腕がそれぞれ独立して刀を振るうだなんて、調整は決して楽ではないと思うけど、それでもいいの?」

 

????「いえ、その点に関しては大丈夫です。」

 

確かに六本腕の戦術人形というのは前例が無い。

 

サブアームという意味で多腕型と言えば代理人がいるが、あれは脚部にサブアームが4本ついているというものだ。普通の腕程繊細かつ複雑な動作は出来ないし、そもそもそういうことを要求されるような運用目的で装備されたものではない。

 

今回提案したハイエンドモデル「トレーナー」は同じ規格の腕が肩に三本ずつ、計六本ついているというかなり異形的なデザインだ。

 

若社長はその難しさを見抜いたからこそ気遣いの意味でそういったのだろう。

 

だが、僕ならできる。何故ならば・・・

 

ガイア「なら良いけど・・・。」

 

そういって若社長は承認の判を押してくれた。

 

僕は「ありがとうございます」と頭を下げ、そして自室に戻ってコンピュータに向き合う。

 

モニタにはハイエンドモデル「トレーナー」の設計図が映し出されている。

 

????「かつては修理することさえままならなかったけど、今の僕なら・・・僕たちなら君をこの世に蘇らせることができる。だからもう少し待っていてくれ・・・。」

 

・・・■■■■・・・。

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