閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
【BGM:「サブノーティカ」より「Lost River(ロストリバー)」】
海中調査。
ISは元々真空の宇宙で活動するためのパワードスーツとして開発が行われた経歴がある。
その為、海中でも活動することは普通に可能だ。
ただ、水圧がかかる分絶対防御にかかる負荷は真空の宇宙より大きくなりやすい。
中深度くらいまでなら兎も角、ディープダイビングを行えばシールドエネルギーの消費も割とバカにならない。
無論、深海でシールドエネルギーが尽きればその先に待ち受けているのは「死」だ。
その危険性を考慮してSFSが水中用に開発したストライカーパックが「ヴォーテクスストライカー」だ。
絶対防御のフィールドを効率よく展開・維持することをサポートする2枚のシールドモジュールと、頑強な耐圧殻としての機能を持ち、補助バッテリーも内蔵された本体ブロックで構成された、一見蟹のようにも見えるストライカーパックは空中での性能を犠牲にする代わりに水中でのISの運用性を大幅に高める事を大いに助けた。
また、推進装置としては一般的なスクリューポッド(事故防止用のカバーがついているスクリュー)を採用しており、またアルテラ社製の強力なフラッシュライトも内蔵されている。
その性能は試作段階故に正式仕様ではないとはいえ、リヴァイアサン級巨大生物には流石に負けるが、それ未満の生物が相手なら余裕で追い払えるだけのスペックを有していた。
だが、それはあくまで惑星クレイドルを基準にした話。
あの星の海も、人の手が全く入っていないむき出しの自然と言うだけあり、迂闊な真似をすれば余裕で死ねる環境だ。
だが、この海の環境は明らかに異常だった。
「準リヴァイアサン級」と形容できる、リヴァイアサン級ほどではないがそれに準ずるサイズを誇る危険生物が相当数棲息している。
本来リヴァイアサン級というのはあまり群生しない。
リーフバックやシートレーダーと言った温厚な種は群生する場合も多いが、一般にリヴァイアサン級と扱われるリーパーやカリセレートと言った獰猛な種は棲息数自体が少なく、あまり群れない。
獰猛な種は基本的に縄張り意識が強く、同種相手であろうと縄張りを荒らす者には容赦しない。
プランクトン食性故に大型生物を捕食する必要性が無いゴーストでさえ、縄張り維持のために侵犯者を一撃を加えるまで執念深く追い回し、襲い掛かってくるほどに縄張りにはうるさいのだ。
それを考えると、この海は本当に常識外なのだ。
決して広くない領域に多彩な準リヴァイアサン級が多数棲息しているという、どうすればこんな生態系を支えきれるのか理解に苦しむ環境だ。
・・・どういう食物連鎖なんだ・・・。
・・・。
・・・・・・。
三姉妹「「「ひいぃぃぃぃぃぃぃいえ!?」」」
シイム「あれで生物なの?!」
ティア「大きいぃ!!」
ウロボロス「撃てェ!撃てェ!!」
海底の地形だと思っていたのが実は特大のカニだったという事実に三姉妹は恐怖しつつも、ウロボロスの号令と共に自らを挟みちぎろうと襲い掛かってくる巨大なハサミに対してバックパックに内蔵されたメーザー(音のレーザー)砲を全員で撃ち込む。
緑色の射線確認用レーザーと共に放たれたメーザーは装甲板と形容できる表皮には少し傷をつけた程度だったが、その衝撃により巨大カニ(命名:マウンテンクラブ・リヴァイアサン)を一瞬ひるませることには成功し、その隙をついてその場から離脱する助けとなった。
・・・。
・・・・・・。
シイム「ちょ!?墨吐いた!?って・・・?ひぃ!?」
シゴ「さ、サンダー!?!?」
ウロボロス「魚雷を全て叩き込め!!一旦撤退じゃ!!」
大きなイカがいきなり墨を吐いたと思ったら、ISのスキャナーはその墨の正体を強力な「酸」であると伝えてくる。
巻き込まれたシイムとシゴには絶対防御の守りがあるのでダメージは無いが、代わりにゴリゴリとシールドエネルギーを削られる。
残りの4人が即座に魚雷キャニスターに格納されていた魚雷を全て酸吐きイカ(命名:アシッドスクイド・サブリヴァイアサン)に叩き込み、巨大な触腕に二人が捕まる前に救出、一旦海上の船へ撤退した。
途中で短刀の様な手のひらサイズの魚(命名:ダガーフィッシュ)が突っ込んできたがシールドモジュールで弾いて押しとおった。
それでも何匹かシールドに突き刺さってしまったが・・・。
・・・。
・・・・・・。
【BGM:「サブノーティカ」より「Safe Shallows(浅瀬サンゴ礁海域)」】
アーキテクト「絶対あり得ないよね?」
ゲーガー「ああ、生態系として不自然だ。普通だったらこんな生態系成立しない。」
船に戻って来たウロボロスたちの報告を受けたアーキテクトとゲーガーはこの異常な生態系に首をひねった。
ガイア「万能者さんの調査では基本的な生態系自体は普通なんだって。でもね・・・。」
私は一度言葉を区切った。
ガイア「草食種に対して肉食種、それも大型の種の量が少し多すぎるし、サイズもおかしい。」
私はそういって画面に食物連鎖のピラミッドを表示した。
そのピラミッドは最下層の分解者とその上の植物と草食種までは普通だったが、そのさらに上の小型肉食種と大型肉食種の比率が下の3つに対して大きすぎた。
ガイア「普通だったらこんな生態系支えきれない。隣接海域やまだ調査出来ていない領域にそれを補う何かがあるのか、サイズに反して意外と省エネルギーなのか、或いはこの生態系自体が意図的に作られたかものなのか・・・。少なくとも、現段階では私にはこのあたりの生態系自体が一種の「罠」のように見えるね・・・。」
ここに来るまでに遭遇したボスザメ「ティアマット」の一団も考慮すると、私にはこの海の生態系はかなり異質に映った。
あれだけの大群をたった一体のボスザメが築き上げるとなると、少なくともここ数年でこうなったとは思えない。
相応に長い期間をかけてあの大規模な一団が構成されたと考えるのが自然だが・・・。
ガイア「万能者さんの調査の結果を照らし合わせると、この異常な生態系が形作られたのは結構最近の話みたい。長くても1~2年程度。常識では考えられない異常な変化・増殖速度だね。」
ウロボロス「・・・本当に非常識の極みじゃな・・・。」
シイム「あんなバケモノ軍団がそんな短時間にって・・・。一体何をどうしたらそんなことになるのよ・・・。」
ティア「崩壊液絡みとか?連中全部実はELIDでしたって方がいっその事納得がいくけど・・・。」
ガイア「・・・それだけならいいのだけどね・・・。生態系は「罠」同然、生物の在り様に至っては最早「バグ」としか形容出来ない異常性の塊だよ。惑星クレイドルにもここまで修羅の国的な海域はそうそう無いと思うよ。あるとすればクレーターエッジの外側のVOID領域だね。」
シゴ「VOID領域?」
ガイア「私も直接見たわけじゃないけど、雫工房長曰く『複数のゴースト・リヴァイアサンが「カエレ!!」と言わんばかりに容赦なく襲い掛かってくる』んだって。」
フィアーチェ「ひえぇぇ・・・。」
ナイン「恐ろしい・・・。」
ガイア「あと、万能者さんの話によると、陸上もかなりマズい事になっているらしいよ。そして、島のどこかにこの異常の原因と思われる物があるかもしれないって。」
シゴ「・・・というと?」
ガイア「場合によっては私たちも上陸する必要が出てくるかもね。その問題の原因物が今どうなっているかは不明だけど、異変発生の数日前に森林火災があったらしいから何か関係があるかもしれないって。」
ウロボロス「なら、儂とシイムとティアの三人で上空から探索するか?」
ガイア「そうなるね。だけど海中調査の方はどうしようか・・・。シートラックとプラウンスーツがあれば私も調査に出られるけど、生憎どちらも無いし、材料も足りないからなぁ・・・。」
私たちは頭を抱えつつも、次の動きを模索した。
はい、場合によってはウロボロス、シイム、ティアを航空探索に回します。
ヴォーテクスストライカーですが、形状的にはガンダムSEEDシリーズのフォビドゥン・ヴォーテクスのバックパックをほぼそのまま独立したバックパック化したようなモノですが、一部仕様が異なります。
また、バイザーゴーグルが付随しており、深海などの低光量領域でも光を自動で増幅補正して視界を確保する事が出来ます。
武装は高威力の単射モードと低威力の連射モードを切り替え可能な固定式メーザー砲を一門装備しています。
また、シールドモジュール基部近くの片側一基、合計二基のハードポイントには三連装短魚雷キャニスターと八連装マイクロハイマニューバ魚雷ランチャーポッドを選択式で搭載可能で、今回は三連装短魚雷キャニスターを装備していました。
以降、こちらで登場した異常生物たち。
・マウンテンクラブ・リヴァイアサン
リヴァイアサン級の中でも最大クラスと思われる巨躯を誇る巨大カニ。動きそのものは比較的緩慢だが、装甲板と形容できるほどの頑強な外殻は多くの攻撃を受け止め、巨大な鋏はそのパワーも相まって捕まったが最後、ISを装備していても生還は絶望的だろう。
もしこの外殻のサンプルを得られれば、深海水圧にも耐えられる高性能装甲板の開発に大いに役立つだろうが、非常に攻撃性が高いこのリヴァイアサン級への接近は極めて危険であり、気取られることなくサンプルを採取するのはほぼほぼ不可能と言える。
潔く死骸や脱皮後の外殻から採取すべきだろう。
・アシッドスクイド・サブリヴァイアサン
大王イカの様な姿の準リヴァイアサン級巨大生物であり、サイズで言えばSubnautica Below Zeroで登場した「スクイドシャーク(実はあれでもリヴァイアサン級)」とほぼ同サイズ。
触腕による締め上げもさることながら、吐き出す墨には強酸性の物質が含まれており、接近するのは非常に危険である。
どうやら光に反応する性質を持つらしく、フラッシュライトが不要な注目を集めていた模様。後の追加調査の結果、光源さえなければそこまで攻撃的にはならないらしい。
端的に説明するとSubnauticaで登場した「クラブスクイド(光源に反応してEMP攻撃を放つ)」と「ガスポッド(腐食性の液体を格納したカプセルを散布する)」を足して二で割ったような性質を持つ大王イカです。
・ダガーフィッシュ
肉食の小型魚。
性質的には他の生物との共生関係を持たない以外はSubnautica Below Zeroで登場した小型肉食魚「シンビオート」に似ており、群れで回遊している。
形状的にはヤマト2199のガミラスのデストリア級重巡洋艦の左右幅が薄くなったデザインに近い。
口から吸いこんだ水を尾部の穴から勢いよく噴射することで推進する性質上非常に遊泳速度が速く、加えて正面部分にまで伸びた背びれと左右斜め下に広がる胸びれはナイフの如く硬く鋭いため、「ダツ」のように突っ込んできて突き刺さったり切り裂かれたりする危険性がある非常に危険な魚。
その攻撃力は正面から突っ込んだ場合に限りますが、ヴォーテクスストライカーのシールドに突き刺さる程であり、生身でダガーフィッシュの群れに挑みかかることは「死」を意味すると言っても過言ではない。
ひれは可動性が無く、姿勢制御等には使えない完全な武器としての機能に特化しており、方向転換は尾部を上下左右に向けることで行う。このため小回りが利かず、勢い余って岩などに衝突して死亡したり、岩に突き刺さったりすることもある。
ロール角制御の方法に関しては、恐らく身を捩って調整しているものと思われる。
原理は不明だが、攻撃態勢に移行すると目が赤く発光するという性質があるが、これにどのような意味があるのかは現状不明。群れ内での情報伝達目的であるという仮説はあるが、確証はない。
なお、ヒレと骨以外は食べることが可能。無駄のない引き締まった肉質でヘルシーな体と、タンパク質豊富で美味な目玉が特徴。加えてヒレと骨は加工してナイフ等にすることも可能と無駄のない魚である。