閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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ドルフロの事件関係:ベイラン島事件等、いくつかの事件は発生時期やその結果等様々な部分に差異が生じていますが、これはISとドルフロの二つの世界が融合しているこの独特な世界故の原作とのズレです。

トラック島離島鎮守府:トラック諸島から南に少し離れた小島に存在する鎮守府です。小島は北の天見島(あまみじま)、南の虹見島(にじみじま)、東の未来見島(さきみじま)、西の国見島(くにみじま)の4つが存在し、鎮守府は国見島にあります。
他にも天見島には大型空港「ヘンダーソン」とマスドライバー「リコリス」が存在し、虹見島には大規模農園が存在します。
なお、未来見島には戦時中に使われていた校舎や病院、居住施設がそのまま残されていますが、ある理由から島そのものが立ち入り禁止となっています。
当然トラック島離島四島は現実には存在しない架空の島です。
位置関係はトラック諸島(現フェイチャック・アイランズ)の「ユードット」の南、「クオーブ環礁」の西です。


【3】鉄血工業 -ガイア・ティアマート-

*トラック島離島鎮守府 国見島*

 

【視点:一夏】

 

ルウ「さて、貴方もリハビリができるレベルまで回復したとヴェスタルさんがGOサインを出したから、そろそろ貴方の事を詳しく聞かせてくれませんか?」

 

一夏「それは構いませんが・・・。」

 

俺の目の前には先端が紫色に染まった水色の髪の毛をツインテールにして、右目が青で左目が赤という所謂「オッドアイ」な女性がパイプ椅子に腰かけ、メモとペンを持って俺に対して質問をしてきている。

 

彼女の名前は「叢雲ルウ」で、この鎮守府の提督をしているらしい。

 

対する俺はソファに腰かけている。後ろにはヴェスタルさんが万一の体調急変に備えて同じくパイプ椅子に腰かけていた。

 

ルウ「そんなに固くなる必要はないですよ。貴方を元居た場所に帰すための情報収集がメインですから。」

 

一夏「はぁ・・・。」

 

ルウ「まず、貴方はどこから来ましたか?ああ、ここに来る直前にどのあたりにいたのかという話です。」

 

少し考えたのち、わかる範囲で回答した。

 

一夏「詳しい場所はわからない。けど、ドイツのどこかの廃倉庫だったはず。」

 

ルウ「廃倉庫?何故そんなところに?それにあの重症は?見たところ銃撃を受けたようだったけど。」

 

一夏「拉致監禁されたんです。千冬姉が・・・あ、俺の姉です。で、千冬姉が出場する「第二回モンドグロッソ」がドイツで開かれて、その応援に現地入りしたら会場で拉致されて・・・。」

 

ルウ「・・・モンドグロッソ?」

 

ルウさんの両目が金色に変色していたが、俺はそれに気づかなかった。

 

一夏「はい、ISを使った世界大会の一つです。」

 

ルウ「IS・・・?いや、そのまま続けて。拉致された後どうなったんですか?」

 

一夏「?・・・で、犯行グループの目的は俺を人質に千冬姉を棄権させたかったらしいんですけど、大方日本政府がその情報を握りつぶしたのかそれが千冬姉に伝わらなかったらしくて。」

 

ルウ「・・・。」

 

ルウさんは顔を顰めていたが俺も若干うつむき気味でしゃべっていたので気づかなかった。

 

一夏「結局俺は犯行グループに撃たれて・・・そういえば、意識を失う直前に緑色の光の壁のようなものが目の前に・・・」

 

ルウ「え?」

 

ルウさんはどこからともなく一つのPDAらしき水色の端末を取り出し、何か操作したと思ったらそれを俺に手渡した。画面には石造りのようなひし形のアーチが映し出されており、そのアーチの内側には俺が最後に見た光の壁とそっくりの光の壁があった。

 

ルウ「その光の壁ってそれと同じようなものですか?」

 

一夏「ええ、よく似ています。でもこのアーチ状の装置は何ですか?見たことないんですけど。」

 

ルウさんはしばし言葉を考えるかのようにうつむいてから口を開いた。

 

ルウ「このアーチ状の装置はこことは違う惑星・・・私たちは『惑星クレイドル』と呼んでいる海洋惑星にかつて居た異星人が作ったテレポートゲート発生装置です。そしてこの装置を使ってゲートを開き、本来ならマスターゲートとスレイブゲートの二点を繋ぐのだけど、未来見島にゲートは存在しません。そもそも、あの島は原則立ち入り禁止なんです。」

 

一夏「え?」

 

ルウ「それと、こちらからもいくつか質問してもいいですか?」

 

一夏「ええ、構いませんが・・・。」

 

今の話で登場した『惑星クレイドル』とは何だろうかと思ったが、ルウさんの表情は真剣だったのでそれに関する質問は後回しにすることにした。

 

ルウ「まず、『艦娘(かんむす)』という言葉は知っていますか?」

 

一夏「いえ、初耳です。」

 

ルウ「それでは、『マスドライバー』は?」

 

一夏「漫画やアニメの中でのことなら聞いたことはありますけど・・・。」

 

ルウ「では、『セイレーン』、『アズールレーン』、『レッドアクシズ』、それに『トリニティ・ガード』という勢力名は?」

 

一夏「・・・なんですかそれ?聞いたことありません・・・。」

 

ルウ「最後に、今は西暦何年ですか?」

 

一夏「えっと、西暦2061年だったはずだけど・・・。」

 

ルウ「・・・。」

 

ルウさんは再び言葉を考えるかのようにうつむいて・・・。

 

ルウ「・・・驚かずに聞いてください。」

 

衝撃的な事実を口にした。

 

ルウ「今までのやり取りで、少なくとも貴方はこの世界の出身者ではない。つまり、この世界とは別の、所謂『平行世界』から何らかの事故でこの世界に流されてきたと考えられます。」

 

一夏「・・・え?」

 

ルウ「まず、今は『西暦2034年』なんです。これで少なくとも貴方が未来から過去に飛ばされた可能性が浮上します。」

 

一夏「え!?」

 

自分がいた時代よりも過去の時代に来てしまっているという事実を聞かされ驚くも、ルウさんは更に言葉をつづける。

 

ルウ「そして、天見島のマスドライバー「リコリス」は世界的にも有名だし、艦娘という存在も、セイレーン、アズールレーン、レッドアクシズ、そして私たちトリニティ・ガードもまた世界的に有名な名称なので、少なくとも30年弱の時間差であれば仮にその時代にはもう存在しないとしてもどこかで名前くらいは聞くはずなんです。もし、同じ世界線で完全な失伝をしてしまっているのなら、後世の為政者から過去の事象が黒歴史として封印されるか、情報が記憶、記録の両方から失われるレベルの大規模ハザードが起きたことになりますが、どちらも少々考えづらいです。聞く限りですが、前者であればそうする理由が見当たらないし、後者であれば世界大会どころではないはず。それだけの失伝となれば文明レベルも相当後退していなければ説明がつきません。それなのにそれらの単語を一切知らないというと、貴方はただ未来から過去に飛ばされたのではない可能性が高いです。だとすると、一番可能性として高いのが平行世界跳躍ということになります。」

 

一夏「・・・。」

 

あまりの事に言葉を失う。平行世界?そんなSF全開の事態に自分が巻き込まれた?

 

ルウ「私たちとしては別段稀有な話ではないのですが・・・、実は貴方が流されてきた日と同じ日に、惑星クレイドルでも一人がゲートの調整中に行方不明になっているんです。恐らくは入れ違いで貴方の世界のどこかに流されたのかと・・・。」

 

一夏「・・・。」

 

なんといっていいかわからない。いや、そもそも元の世界に戻れるのか?鈴やアンに再び会えるのか?

 

ルウ「誰か大切な人がいるのですね?」

 

一夏「!?」

 

ルウ「顔に出てます。その件ですが、時間はかかりますが貴方を元の世界に届けることは可能です。」

 

クスリと微笑みながらルウさんは言った。

 

ルウ「但し、どれだけ時間がかかるのかまではわかりませんので、それまで使う部屋の手配をs・・・」

 

ドタドタドタドタ!!

 

ガラッ!!

 

????「ルウ!!退屈だ!!相手しろ!!」

 

ルウ「コルボー!今仕事中よ!あと病み上がりの人がいるから騒がない!」

 

突然黒い服を着た少女がやってきてルウさんに何かをせがみ、それに対してルウさんは喧しいと怒鳴り返した。

 

コルボー「だったら早く仕事終わらせて相手してくれ!」

 

ルウ「だったら重桜の長門と演習してきなさい。彼女もたまには運動したいでしょうから。」

 

コルボー「そうか!じゃあ行ってくる!」

 

ルウ「はぁ・・・。」

 

嵐のように現れて嵐のように去っていったコルボーという少女にルウさんは心底ぐったりしていた。

 

ルウ「あーとりあえず、部屋の件ですが明日までに手配しておくので、それまでは医務室で待機しておいてください。」

 

一夏「は、はぁ・・・。」

 

 

 

 

またしても時は1か月ほど巻き戻り、一夏が元居た世界では・・・。

 

 

*鉄血工業本社周辺*

 

【視点:ガイア】

 

ガイア「あれ?こんなところに会社なんてあったんだ・・・。」

 

私の眼前には無骨ないくつもの建造物が立っていた。

 

あたりを会社のスタッフと思われる人々がせわしなく駆けずり回っている。やけに女性が多いが・・・。

 

ガイア「せっかくだから、あそこでここがどこか聞いてみようか・・・、あっといけない。この姿じゃ不自然すぎるわね・・・。」

 

ふと自分の今の服装がひまわり模様のワンピーススタイルの水着だということを思い出し、私は顔を赤らめながら遠くの女性職員の衣服をトレースし、それで外装テクスチャを書き換えた。

 

そして私は徒歩でその建造物へ向かった。

 

・・・

 

・・・・・・

 

ガイア「・・・案外怪しまれないのね・・・。いや、私まで気が廻っていないのかしら?」

 

てっきり怪しまれるとばかり思っていたので軽く拍子抜ける私。そうして窓の近くの木箱に腰かけていると・・・。

 

???「ねえちょっといいかな?」

 

ガイア「うわあ!?!?」

 

そこに不意打ちで声を掛けられ盛大にずっこけた。

 

???「あ、ごめんなさい。おどろかせちゃった?」

 

ガイア「・・・心臓に悪いって・・・。」

 

???「ごめんなさい。ところで見ない顔だけど、新人さん?」

 

ガイア「そうじゃないけど・・・。あ、私はガイア・ティアマートというの。」

 

???「『ガイア・ティアマート』ちゃんね。なんだかすごい名前ね。あ、私はサクヤ。この鉄血工業の戦術人形たちのAIメンテナンスとカウンセリングをしているの。」

 

ガイア「(戦術人形?何の事だろうか?)サクヤさんね。もしかして日本出身?」

 

サクヤ「わかる?もうずっと帰ってないんだけどね・・・。束ちゃんも元気にしているかなぁ・・・。」

 

ガイア「『束』さんって?」

 

サクヤ「10年前にある研究を一緒にしていたの。他にはこの鉄血工業のAI設計者のリコリス先輩と、後はIOPにいるペルシカ先輩の4人でね。ISや戦術人形のコアの元となるベースコアは私たち四人で開発したのよ。」

 

軽く得意げに胸を張るサクヤさん。

 

???「サクヤ!貴様何を油を売っておる!」

 

サクヤ「あ、すみません!今すぐ!!・・・社長がおかんむりだから行かなくちゃ・・・。」

 

ガイア「話し相手くらいならいつでも。」

 

サクヤ「ありがとうねガイアちゃん。それじゃあまた今度!」

 

私はこの会社に言い知れない闇を感じた。

 

サクヤさんの表情にちらついた影、そして社長の怒鳴り声と、それを聞いたサクヤさんの恐怖にも似た暗い表情。

 

ガイア「乗り掛かった舟だし、何とかしたいなぁ・・・。」

 

私はそう呟きながら、その場を離れた。

 

きっとこの世界は私の知る世界ではないのだろう。

 

でも、理由が何であれ関わってしまった以上、そして、「放っておけない」と思った以上、サクヤさんや同じ思いの社員のみんなを助けたい。

 

私の心にはそういう思いが渦巻いていた。

 

ガイア「とりあえず、寝床を探しますか。使われていない倉庫か何かの隅っこを使わせてもらえれば・・・。」

 

そう呟きながら、私はその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ところでアズールレーンの長門に演習を挑んだコルボーはといえば・・・

 

 

 

*トラック島離島鎮守府 虹見島沖演習場*

 

【視点:無し】

 

チュドーン!!!

 

コルボー「ぎゃあああああああ!!!!」

 

長門(アズレン)「余に大口を叩いた割には歯ごたえがないぞ!どうした、遠慮はいらんぞ!本気で参れ!!」

 

*虹見島野菜農園*

 

綾波(アズレン)のクルクス「あれ・・・何なん・・・です・・・?」(きゅうりを手に持ったまま固まっている)

 

綾波(艦これ)「手の込んだ自殺。」(トマトを収穫しながら)




登場人物

コルボー:まどマギシリーズに登場した少女。一夏同様過去に別の世界からこの世界に流れ着いた漂流者だが、記憶を失っているために元の世界に送り返せないまま居ついてしまっている。ルウや火逐相手に退屈しのぎに演習を持ちかけるが大概適当にあしらわれる。

サクヤ:犬もどき氏の連載小説「METAL GEAR DOLLS」の追憶編で登場した故人(蝶事件が起きる前にELIDに感染し事実上死亡した)・・・の、平行世界の同一人物。(本人は世界の壁を飛び越えて、例えばいろいろ氏の連載小説「喫茶鉄血」の準レギュラー等になっています)原典では出身地などの細かい設定が殆どなかったので今作では日本人としています。

リコリス:この時点では名前だけ登場。原作では既に故人でしたがこれは蝶事件が起きる前の時間軸なのでまだ存命しています。なお、原作では人物像に関する設定が全く見当たらなかったので人物像は捏造100%となります。
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