閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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※この話から第6話までの間はドルフロ側の描写ばかりになります※

※また、ドルフロ側はこの時点から本格的に原作から乖離していきます※


【4】蝶の舞わぬ空 前編 -デストロイヤー-

*鉄血工業本社 第6倉庫*

 

【視点:ガイア】

 

アルケミスト「おい・・・、貴様何をしている。」

 

ガイア「あうち・・・。」

 

アルケミスト「何をしているんだと聞いているんだ。」

 

ガイア「有体に言うと、寝てました。」

 

アルケミスト「それは見りゃ解る。段ボールの中で猫のように丸くなって寝ていたところを見つけたんだからな。」

 

う~ん参った。理由をくっ付けようにもキレのいい理由が思いつかない。

 

決して疚しい理由などない・・・というか、ここで寝ていたのはただ寝たかっただけだからだ。

 

AIから発生したメンタルモデルなら睡眠は不要じゃないかって?

 

健康的な活動のためにはAIだろうがメンタルモデルだろうが睡眠なりなんなりしてクールダウンしないといけないんだよね。

 

ガイア「えっと、ところでお名前は?」

 

アルケミスト「話題逸らすな!」

 

うん、なんとも出来の悪いコントだよね!お互いコントをやる気なんて毛頭ないんだけど!!

 

そうこうしているうちに腕に装備された武器をこちらに向けてきた。

 

コアが惑星クレイドル側に残されたままなので別にどこを撃たれても急所がないので死にはしない。

 

ただ、痛いことに変わりはないので撃たれたくないのだ。

 

それに頭で解っていても目の前の事態に恐怖を感じないわけではない。

 

どうにも進退窮まった状態に陥った私だが、助け船は思いがけない方向から飛んできた。

 

サクヤ「アルケミストちゃん~!どこに行ったの~!」

 

アルケミスト「ん?マスター!ここだ!」

 

ガイア「あれ?サクヤさんの声?」

 

アルケミスト「ん?何故マスターの名前を知っている?貴様まさか・・・。」

 

ガイア「何を想像しているのかわからないけど、決して疚しい理由や事情は無いと、この答えに私は心臓(そもそも私に心臓なんてないんだけどね・・・)を捧げるわ。」

 

アルケミスト「ほぅ。いい根性だ。」

 

サクヤ「どうしたのアルケミストちゃん?あれ?ガイアちゃん?」

 

ガイア「どうも。今日はあの社長さんの機嫌はどう?」

 

サクヤ「どうもこうも、デストロイヤーちゃんの試験がなかなか先に進まないってずっと不機嫌なのよ・・・。」

 

アルケミスト「・・・なんなんだ?」

 

一応そのあと事情説明をした。

 

因みに衣服に関しては私が二人の前でアルケミストの衣服を参考にした姿にテクスチャを変更して見せたことで納得してもらった。

 

サクヤ「凄い・・・どうやったらそんなことができるの?」

 

ガイア「ん~企業秘密ってことで。あくまで衣服を変更するくらいしかできないから言うほど凄いわけじゃないし・・・。」

 

アルケミスト「しかし、まさかマスターが話していたお喋り相手が貴様だったとは・・・。」

 

ガイア「昨日話した時は軽い世間話程度しかできなかったけどね。」

 

アルケミストという名前の戦術人形は少々バツが悪そうに私に頭を下げてきたので、私は頭下げなくていいからと制止した。そもそも、私は部外者なのだから。

 

ガイア「ところで、デストロイヤーだっけ?ちょっと私も会っていいかな?」

 

サクヤ「え?」

 

ガイア「私もこう見えてAIには詳しいし、何かの助けになれるかもしれないし。」

 

・・・

 

・・・・・・

 

そのあと私はサクヤさんに案内されてデストロイヤーという戦術人形の試験を見学した。

 

彼女の射撃試験はお世辞にも良好とは言い難かった。

 

何回訓練と試験を重ねてもどういうわけか狙いが定まらないというのだ。

 

ガイア「グレネーダーをこのボディサイズで扱うのはちょっと厳しいような気もするけど、何かそれ以外の原因がありそうなのよね・・・。」

 

サクヤ「それ以外の原因?」

 

ガイア「見ただけではわからないけど、射撃試験の成績がいつまでたっても上がらないのはデストロイヤー側の問題というよりも武装側に何かあるような気がするだけ。」

 

アルケミスト「どうにかできるのか?」

 

ガイア「まずは原因を突き止めないことにはどうにもこうにも・・・。分析する時間が欲しいかな。私の持っている機材を使えば原因をある程度は絞り込めるかもしれない。」

 

私はデストロイヤーのグレネードランチャーにアドバンスドキャノンやCRAMキャノンにも使われることがある「弾道表示装置」をつけさせてもらい、もう一度訓練をしてもらった・・・すると。

 

ガイア「あれ?なんで一発撃つたびに弾道がこんなにブレるんだろう?」

 

表示装置をつけてもらってもう一度試してもらうと、一発ごとに表示される弾道が変わっていた。

 

デストロイヤー「う~~~~・・・!!!」

 

そういえばデストロイヤーも射撃時にはどういうわけか眉間にしわを寄せていたけど、その原因もこれなのかもしれない。

 

ガイア「デストロイヤー、もういいよ。原因が解ったかもしれない。」

 

デストロイヤー「しゅ~・・・。」

 

よっぽど負荷がかかっていたらしく、デストロイヤーは頭から湯気を噴きながらへたり込んだ。

 

ガイア「サクヤさん。このグレネードの砲弾を調べてみたいので一箱分借りて行っていいですか?」

 

サクヤ「え?」

 

ガイア「もしかしたら砲弾に何か欠陥があるのかもしれないので、それを確かめたいんです。」

 

サクヤ「えっと、じゃあ担当の人に確認してみるけど、それがデストロイヤーちゃんの試験がうまくいかない原因なの?」

 

ガイア「まだ確証はないけど、もしかしたら砲弾が規格通りの設計じゃないのかもしれない。一発一発性能にばらつきがあって、そのせいで射程距離が毎回ズレるからデストロイヤーはそのズレを無理やり補正しようとして、

 

それでも次の砲弾もまた射程距離が違うからまたズレて・・・といった感じで砲弾のズレに振り回されて混乱しているのかもしれない。といってもまだ仮説でしかないけど。」

 

その後検査名目で一箱貸してもらい、私は夜なべしてグレネード弾を解体して原因を調べた。

 

 

 

 

*翌日*

 

【視点:サクヤ】

 

サクヤ「ガイアちゃん。どうだったかな?」

 

私はガイアちゃんが借りた倉庫に来たが、彼女はペンやら紙やらで散らかった机に倒れ伏すように寝ていた。

 

サクヤ「あらら、寝ちゃってたか・・・。」

 

ふと、机の上にあった紙に目が行った。

 

そこには検査した砲弾の検査結果が手書きで書かれていた。

 

そしてその項目の一つ「ガンパウダー」に赤ペンで「不適切」と書き込まれていた。

 

他にも散らばっている紙を見てみると、それぞれの項目の詳細検査結果が書き込まれていた。

 

そして、「ガンパウダー」の詳細項目には図表と細かな結果が書き込まれていて、結果の部分には赤字で『検査不合格』という評価と、その理由が書き込まれていた。

 

サクヤ「『ガンパウダー量に許容範囲外の誤差を多数検出。不純物の含有量も許容範囲外の砲弾を多数検出。ガンパウダーの製造工程か輸送工程、及び砲弾への充填工程に看過できない問題がある可能性あり。』ですって・・・?」

 

さらにその下に置かれていた紙には『この砲弾を使用した場合、砲弾毎に飛距離や発射角に許容範囲を超えた誤差が発生するため狙った個所に攻撃するのは極めて困難。』と書かれていた。

 

だがその下に書かれた一際目立つ太い赤字に私は目を見開いた。

 

『危険レベルの誤差を有する砲弾を検出。発射不良や暴発といった重大事故の原因になる危険性あり。』

 

・・・

 

ちょっと待ってほしい。

 

つまり、デストロイヤーちゃんは今までいつ暴発事故が起きてもおかしくなかったかもしれない粗悪品砲弾を知らないままに使い続けていたということになる。

 

私は一瞬意識を手放しかけ・・・。

 

サクヤ「うああああぁぁ・・・!?!?」

 

・・・間一髪で掴みなおした。

 

ガイア「んあ・・・?あ、サクヤさん。どうしたんですか?」

 

サクヤ「あ、ゴメンねガイアちゃん。ちょっとびっくりしちゃって・・・。」

 

ガイア「私もその結果を見たときは背筋が凍り付いたからね・・・。試験用の砲弾がそんな論外クラスの粗悪品だったなんて・・・。」

 

論外クラスの粗悪品。

 

その言葉を聞いて私の気は重くなった。

 

ずっとそばにいたはずなのに、全く気づけなかった・・・。

 

ガイア「あまり気負い過ぎないでください。原因さえ解ってしまえばどうとでもなるから。・・・でもこの調子だと在庫の同規格のグレネード弾は全部ダメでしょうね・・・。」

 

サクヤ「どうしよう・・・。今から別の所から砲弾を取り寄せようにも時間が・・・。」

 

あの社長がこれで納得してくれるかどうかわからない。

 

いくらデストロイヤーちゃんに非がなかったとはいえ、今まで成果を残せていないことに変わりはない。

 

ガイア「・・・仕方がない!こうなったら砲弾は私が作ろう。最悪武装ユニットごと作り直してしまえばいいし。」

 

サクヤ「え!?そんなことできるの!?」

 

ガイア「砲弾設計装置と弾薬精製器を組み合わせて砲弾を自己精製できるようにしてしまうの。」

 

そういいながらガイアちゃんはいくつかの機材をどこからともなく取り出し、それを手早く組み立てなおしていく。

 

ガイア「サイズが合わないから一度ばらして小型化して再構築する必要があるけど、10分程度で終わると思うよ。ところで~・・・。」

 

サクヤ「うん?」

 

ガイア「ここって、『エリザ』って女の子が居るんですか?」

 

サクヤ「!?」

 

ガイア「いや、さっき寝ていた時に夢の中で会ったの。凄く辛そうだったからちょっと気になって・・・。」

 

・・・

 

*その夢の内容*

 

【視点:ガイア】

 

ガイア「あれ?これって『夢』・・・?」

 

夢の中の私は鉄血工業の敷地内に立っていた。

 

???「・・・しくしく・・・」

 

ガイア「???」

 

どこからともなく女の子のものと思わしきすすり泣く声が聞こえる。

 

私はその声を頼りに敷地内を走り回り、ある大きな建物の中に入った。

 

本来人間・人形問わず多くの職員が歩き回っているはずの敷地内や建物内はまるでそれらが丸ごと最初から存在しないかの如く静まり返り、人っ子一人見かけなかった。

 

大きな黒いスーパーコンピュータのような機械の前でうずくまり泣きじゃくる少女一人を除けば・・・。

 

ガイア「どうしたの?貴女の名前は?」

 

???「・・・エリザ。」




アルケミスト:鉄血のハイエンドモデルの一人で特殊戦闘を主眼化している。近中距離での高速戦闘を得意としており、タイマン勝負は元より一対多数の殲滅戦にも適性がある。原作では非常にサディスティックな性格だったが、今作ではそういう性質は無く、厳しいが仲間思いな姉貴分としてのキャラクターになっている。少々ネタバレになるが、彼女の性格は犬もどき氏の「METAL GEAR DOLLS」での設定を参考にしており、蝶事件によりマスターであるサクヤを自らの意志とは関わりなく殺してしまったがために心が壊れてしまい原作のような性格に変性するはずだったが、今作では蝶事件が起こらないためそうはならない。

デストロイヤー:鉄血のハイエンドモデルの一人で蝶事件が発生するはずだった時までに作られたハイエンドモデルの中では一番末っ子になる。決して不器用というわけではないが、使用していた砲弾の欠陥により散々泣きを見ていた。原作での尊大な振る舞いは今作では砲弾の欠陥が原因で散々自分をコケにしてきていた上層部に対するフラストレーションが蝶事件により爆発、人類を見下すような態度という形で表在化しており、小心者な性格が素の性格という解釈になっている。自分の責任の埒外に原因があったとはいえ、訓練で赤点を出し続けていた経験から他者に対する思いやりの精神を持っている。
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