閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
束「何故ならば、我が社はそれ以前に真の世界初の男性ISライダーを発見していたからです。それが彼、織斑一夏くんです!」
間違いなく爆弾発言であろう内容を世界中に発表する束さん。
一夏さんもその発表に答えるように一歩前に出て自身のIS「ホワイトナイトメア」を起動し、それが事実である事を証明する。
束「皆様も恐らく疑問に思っているでしょうが、彼は第二回モンドグロッソの折に誘拐され、その後死亡したとされていた『あの織斑一夏』で間違いありません。彼は瀕死の重傷を負いましたが、ここにいる叢雲ルウさんと叢雲火逐さんが彼を保護し、一時期匿ってくれていたのです。」
これは微妙にニュアンスを歪めているが嘘は言っていない。
まさか私達二人が平行世界から来た存在であり、一夏さんも9か月間平行世界に流されていたなんて事実を話してもいくら何でもリアリティに欠けてしまう。
なので予め対外的にはどう公表するかを話し合い、カバーストーリーを作っておいたのだ。
報道陣からはこの二つの特大情報に関する質問が寄せられた。
質問は大まかに二種類・・・「何故世界初の男性ISライダーの存在を隠していたのか」と「何故織斑一夏の生存を隠していたのか」だ。
後者に関しては束さん達が一夏さんの生存を知ったのが3ヵ月前だからというのもあるが、前者に関しては寧ろ公表しておいた方が普通に考えれば会社にとっても大きなプラスになる。隠している理由が無いのだ。だが・・・
束「皆様の疑問もごもっともですが、結論から言いますと、共通する理由は『織斑一夏くんを女性利権団体から守るため』です。」
・・・「織斑一夏誘拐殺人(未遂)事件」の事を鑑みると、話が変わってくる。
束「確かに織斑一夏くんがISを起動したのは我が社が創業されるよりも前。その時点で公表しておけば我が社の企業価値は高まり、より他社との競争も有利に運べたでしょう。ですが、これは同時に大きなリスクを背負う事にもなります。皆様にとっても女性利権団体が黒幕であったあの『織斑一夏誘拐殺人未遂事件』は未だ記憶に新しい事でしょう。それが私達が彼の生存と、彼が世界初の男性ISライダーとなったことを公表しなかった一番の理由です。」
男性記者「と、申しますと、やはり女性利権団体からの攻撃を警戒してという事でしょうか?」
束「はい。皆様も知っての通りでしょうが、日本の女性利権団体は昨年に私達の手で壊滅させましたが、諸外国の女性利権団体は未だ健在であり、日本の団体も未だに残党が残っているのが現実です。それだけでなく、女性利権団体絡みのテロ行為も未だに世界中で散見されています。対して、我が社は未だ駆け出しの新米企業であり、その時点で公表していた場合は最悪我が社諸共今度こそ織斑一夏くんを亡き者にしようとより苛烈な攻撃を仕掛けてくる危険性がありました。それを回避するために本日迄この情報を公の場に公表することを避けていたという事です。本来であれば、高校進学の時までは発表を控えるつもりでしたが、今朝のあの報道を受けて、急遽今日発表することとなりました。」
女性記者「高校進学の時までとは、どういう意味でしょうか?」
束「それは、ここにいる我が社の専属パイロットである織斑一夏くん、織斑マドカさん、織斑鈴音さん、織斑アンさん、篠ノ之箒さん、叢雲ルウさん、そして叢雲火逐さんの計7名を我が社の企業代表としてIS学園に入学させる予定だからです。」
IS学園とはこの星で現状唯一の『世界立』の学校だが、同時に究極の『治外法権』だ。
IS学園では学園規則こそが学園島の法と律であり、他の国の如何なる法律も学園島では無効となる。
この発言に記者たちは目に見えて納得したように見えた。
若干極論ではあるのだが、IS学園に在籍する生徒に危害を加えることは、即ち全世界に対しての宣戦布告とほぼ同義と言える。
言い方を変えれば、IS学園の生徒になるという事は、そういう危害を加えようと画策する存在に対する、恐らくこの星で現状最大級の抑止力となる。
如何に世界各地に広がっている女性利権団体であろうと、おいそれと手出しができるような場所ではない。
故に記者たちは理解したのだ。「だからこそ、高校進学の時までこれらの情報の発表を控えていた」のだと。
・・・尤も、私達には一抹の不安があった。
--狂気に喰われた存在に、生きた人間の常識は通用しない--
如何にIS学園への入学がこの星で最大級の抑止力であろうと、それに胡坐をかくことは出来ない。
どれほどの抑止力を用意していようと、それでも攻撃を仕掛けてくる存在というのはいるのだ。
それに、「それが抑止力として機能しなくなるほどの強大な敵」が現れない保証などどこにもないし、「それが抑止力としての機能を失うような異常事態」が発生しないという保証もまたどこにもない。
そのためにも私達は常に爪と牙を研ぎ続けなければならない。
それこそが、人生の大半を戦場で過ごしていた私の経験則である。
そんな私達の、取り越し苦労で済んでくれればありがたい懸念事項をしり目に、報道陣は報道カメラに熱く語ったり、メモやタブレットに情報を記録しようと大忙しだった。
・・・
・・・・・・
女性記者「それでは、一夏さんに真の世界初男性ISライダーとしての意気込みを一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
二、三細かい質問ののちに一人の女性記者が一夏さんに意気込みを聞いてきた。
そりゃ、記事の目玉になるのだからこの場にいる報道陣なら誰だって欲しい言葉だろう。
一夏「意気込み・・・といえるものかどうかは解らないけど、こいつは・・・「ホワイトナイトメア」は俺を主に選んでくれた。なら、俺はそれに恥じない様に己を磨き、そして為すべきことを為すだけです。」
一夏さんは待機状態に戻してあるIS・・・左腕の腕輪を胸元に掲げながら宣言した。
その姿を撮影するために報道陣のカメラから無数のフラッシュが放たれた。これは明日の朝刊の一面の大見出しは確定だろう。
・・・
その後ISライダーの撮影会がしばらくの間行われ、記者会見は終了と相成ったが・・・。
女性A「男がISライダーになる等・・・認められるか!!」
終了間際にナイフを構えて一夏さんに吶喊してくる女性。大方どこかのタイミングで紛れ込んでいたのだろうが・・・。
一夏「舐められたものだよ・・・。」
そのナイフは一夏さんの振るった靖国刀「
女性B「チッ!あいつへまを・・・!」
ルウ「お前もだよ・・・。「卑遁・囮寄せ」・・・!」
二階席からスナイパーライフルで一夏さんを狙撃しようと動いた別の女性に対して私はシールドのアンカーランチャーを射出し捕縛、そのまま二階席から力ずくで引き摺り降ろした。
箒「まさか本当に仕掛けてくるとはな・・・。」
アン「しかも二人もバカが釣れるなんてね・・・。」
マドカ「・・・二人じゃなくて三人みたい・・・。」
ジト目状態のマドカさんがそういって指さした先では、鈴音さんと火逐が更に一人の女性を拘束、連行してきた。
こちらは拳銃で銃撃しようとしたらしいが、火逐が投げつけた訓練用の魚雷が顔面に直撃し、仰け反った隙に鈴音さんに取り押さえられたらしい。
鈴音「・・・どうするのこいつら?」
一夏「やっぱり警察に引き渡すか?」
ルウ「その方がいい。今日は朝からデスマーチだったから皆疲れてるのに、その上残業なんてやってられるか。」
私はそう吐き捨てながら「レタリウス」という女郎蜘蛛型巨大生物の吐き出す糸を元に作られたワイヤーネットで実行犯三名を「わたあめ」にした。
白いワイヤーネットでぐるぐる巻きにされた実行犯の姿は実にシュールである。
火逐「取り敢えず、報道関係者の皆さんの避難を最優先に。まだ何かあるかもしれない。」
一夏「初っ端から波乱万丈な滑り出しだな・・・。」
・・・
結局他には何もなかったし、報道関係者達は既に撤収準備に入っていたのでそこまで大きな騒ぎにはならなかった。
ついでに、逮捕された実行犯たちの証言から未だ地下に潜伏している女性利権団体の一派がまた一つ、一斉逮捕となったというのを後にニュースで知った。
そして、これらのニュースは世界を駆け巡り、世界に大きな影響を齎すことになるだろう。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
【その日の夜】
ルウ「さて、ここからが本番だ・・・。予定よりやや早かったが、これからが忙しくなる・・・。」
私は独り言を溢しながら机に向かっていた。
ルウ「まぁ、そんなことよりIS学園に入学する以上、当然試験はある・・・。筆記でズッコケない様に勉強の詰めをしないとね・・・。」
私の学歴なのだが、実は小学校にすら通っていない。
小学校に入学する以前の年齢からある理由で自ら戦場に立ち続けていた私は、21歳の頃にグラール太陽系でガーディアンズの育成学校に入るまで学校教育は初等教育すら全く受けていなかった。
流石にそれでは色々と不便故に、それ以前から独学で勉強をしていたがやはり独学故にかなり非効率で、未だに細かい穴が残っている。
偉人と名高いかのトーマス・エジソン氏も、学校教育をほとんど受けなかったがために大人になってから色々としくじったと言われており、こういうことはなかなかどうして侮りがたい。
まぁ、ISに関する知識に関しては束さんや、私達がこの世界にくる以前からIS学園に教師として潜入していたスコールさんとオータムさんから空き時間に教わったので、今は抜けが無いかの見直しがメインだ。
そうやって夜が更けていくなか、私は学んだIS関係の知識の見直しを続けた。