閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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実技試験の中ではこれ書くのが一番大変でした。

だって単純な試合では意味が無いから・・・。

本当にこういう特殊な目的を持った戦いって書くのが中々に難しいし、中々イメージが湧いてこない・・・。

何度も書いては消し、書き直しては巻き戻し・・・。


【44】 姉弟対決 -禊-

【BGM:「Edge Works of Goddess ZABABA(off vocal)」】

 

 

アナウンス『試験開始。』

 

 

一夏「じゃあ・・・行くぜッ!!

 

千冬姉がその言葉に反応する前に俺は地面を蹴って突撃した。

 

千冬「なっ!?」

 

ガキィン!!

 

一瞬反応が遅れた千冬姉だが、それでもガードには成功する。

 

打鉄の「葵」とホワイトナイトメアの「重桜(かさねざくら)」がぶつかり合い、甲高い金属音が響き渡る。

 

千冬「くっ!いつの間にこれほどまで・・・。一体どこで何をしてたら・・・!?」

 

一夏「考え事している暇はねぇぜ!!」

 

俺は身を翻し、少し距離を取ったのちに再び突撃を仕掛けた。

 

この戦い、俺は「重桜」一本のみで戦うつもりだ。

 

自分の思いを届けるためには千冬姉の得意分野で正面から打ち合う。これがベストだと考えた上での結論だ。

 

無論、「重桜」一本で戦う分、それ一本に全力を注ぎこむ。

 

全力で俺の真心を刀に乗せて届ける。・・・口で言うのは簡単だが、実際にやるのはやはり難しい。

 

いくら精神的に参っているとはいえ、曲がりなりにも千冬姉はまごうことなき強者。

 

そんな強者相手の真剣勝負に闘志ではなく真心を込めて打ち合うというのは、雑に言えば右を向きながら同時に左を向く様なものだ。だが・・・。

 

一夏(それでも、やらなきゃいけない・・・!)

 

俺は力強く再び千冬姉に斬り掛かった。

 

・・・

 

・・・・・・

 

【視点:千冬】

 

一夏からの猛攻を必死で受け流す・・・。

 

一夏の太刀筋はどこで鍛えたのか解らないが、どれもこれも正確だ。

 

いくら本調子とは程遠いとはいえ、いくら機体が試験用の打鉄とはいえ、嘗て武器が刀一本だけの暮桜でISバトルの世界チャンピオンとなった私が、反撃に移る事すら叶わない・・・。

 

・・・なのに。

 

千冬(どういうことだ?一夏と打ち合えば打ち合う程、何かが刀を通して伝わってくる・・・。)

 

鋭い太刀筋は思わず見惚れる程のものだが、その伝わってくるものに私は困惑した・・・。

 

それは・・・。

 

「感謝」

 

「思いやり」

 

「気遣い」

 

「心配」

 

そう・・・、伝わってくるものは、どれもこれも優しい感情だった。

 

正直な話、私は例えこの場で一夏に斬り殺されようと、それは仕方が無い事だと、そうされても当然だとさえ考えていた・・・。

 

だが、一夏の刀から伝わってくる感情はそんなものとは無縁な物、寧ろ対極に位置する物ばかり。

 

それが一層私を困惑させた。

 

そして・・・。

 

千冬(これほどの腕前・・・どこで・・・?)

 

この約一年の間、一夏はどこで何をしていたのだろうか・・・?

 

それに応えるように、一夏の刀から何かが伝わってくる・・・。

 

「それは後で教える」

 

その感覚にハッとして一夏の顔を見た。

 

その表情は柔らかで、安堵していることが見て取れた。

 

「よかった」

 

「伝わった」

 

千冬(・・・そうだったのか。)

 

一夏は私を恨んでなど、憎んでなどいなかった。

 

それを伝えるために・・・。

 

千冬「がふっ!?」

 

一夏「え!?千冬姉!?

 

突然私は吐血した。

 

それだけじゃない。体中が悲鳴を上げるかのような痛みが襲ってきた。

 

視界が傾き、意識が一気に遠のく。

 

一夏の叫び声も、周りで巻き起こっているであろう悲鳴も殆ど聞き取れなかった・・・。

 

・・・

 

・・・・・・

 

【視点:一夏】

 

俺は意識を失い墜落しそうになる千冬姉を見て、思わず抱きかかえて支えていた。

 

そのまま地面に着地した俺たちの元にルウさんたちが急いで駆け寄り、千冬姉に応急手当を施してくれた。

 

そして・・・。

 

一夏「不摂生が原因?」

 

ルウ「信じられない話だけど、それ以外に考えられないね。ざっと見てみたけど、体の中身があちこちボロボロだ。」

 

箒「あれだけボロボロの生活をしていたからな・・・。私たち一家も可能な限りフォローしていたつもりだったが・・・。」

 

火逐「最後の引き金が何かまではわからないよ。全力の打ち合いに体がついてこれなかったのか、はたまた緊張の糸が切れて寄り戻しが一気に襲い掛かってきたのか・・・。少なくとも命に別状はないだろうけど、念のために病院に搬送すべきだね。」

 

鈴音「一夏は付き添ってあげて。大丈夫。話す時間は充分にあるだろうから。」

 

一夏「ああ、そうするよ。」

 

アン「マドカも一緒に行ってあげなよ。ちゃんと話さないまま出てきちゃったんだし。」

 

マドカ「・・・うん。」

 

そうこうしているうちに山田先生と、先生として潜入していた雨姉さんが担架を持って駆けつけた。

 

そして俺とマドカは担架に乗せられた千冬姉と共に病院へと向かった。

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