閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
その代わり、フォトンアーツやテクニックがこれでもかと言う位使われています。
【BGM:「PSO2の「ビッグヴァーダー戦」」より「Colossal Machinery-Big Varder」】
アナウンス『試験開始。』
そのアナウンスと同時に両者ともに飛び出した。
楯無さんのIS「ミステリアス・レイディ」の主武装であるガトリングガンを内蔵したランス「蒼流旋」から無数の銃弾が放たれる。
私は即座に「ダークアビス」の主武装に設定した「ルガーランスⅣ」をビームグレネードモードに設定して、銃弾の嵐に穴を穿つように連続で放った。
放たれた複数のビームグレネードは飛んできた銃弾を焼き消し楯無さんに迫るが、手前に突如現れた水の壁に遮られてしまった。
ルウ「火逐のリトル・エクスカリバーの機能に似ているけど、原理は別だね・・・。」
リトル・エクスカリバーの水は艤装内部のストレージに格納されたナノマテリアルを水・・・より厳密には「海」に変化させているものだが、これは水そのものではなくそれに近い性質を持つナノマシンを使っているようだ。
加えて、リトル・エクスカリバーの水はあくまで自身に有利なバトルフィールドを形成するための補助的な物だ。
機能面、戦術面において有利な状況を生み出しこそするが、戦闘には直接寄与しない。
だが、こちらは水そのものを積極的に戦闘スタイルに組み込んでいる。
ルウ「・・・中々どうして厄介な・・・。」
水というのは不定形の存在だ。加えて凝固すれば氷、蒸発すれば水蒸気へと変化する。
変幻自在の武器にして鎧。
射程距離は最低でも視界範囲内。
加えて動作の先読みも困難。
それが私が下したミステリアス・レイディ、更識楯無さんに対しての評価だ。
水を武器として自在に操る敵とし合ったことは殆ど無く、加えて彼女の場合その中でも桁外れの技量を持っているであろうことを考慮すると、冗談抜きに出し惜しみすれば敗北は必定だ。
故に私は、ISだけでなく「自身の持ちうる全ての技術」を投じる事にした。
楯無「はぁ!!」
ルウ「「零式ナ・ザン」!!」
蒼流旋に水を螺旋状に纏わせて突撃を仕掛けてくる楯無さんの攻撃に合わせて、私は左手を突き出し風属性のテクニックを放った。
超高速振動する水の螺旋槍に凝縮した風の螺旋弾が衝突し、激しい音を立てて両者がぶつかり合い、そして風の螺旋弾が弾け飛んだ。
だが、既に私は距離を取り、次なるテクニックのチャージを終えていた。
ルウ「「サ・メギド」!!」
後ろに飛び退りながら、私は左肩の五連装ミサイルランチャーからミサイルを放つと同時に左手に握ったタリス「コートタリスD」から闇属性のフォトン弾を三発投射した。
合計8発のミサイルとフォトン弾は散らばったあと楯無さんめがけてホーミングしながら迫る。
楯無「不思議な技を使うのね!でも!!」
楯無さんは左手に呼び出した蛇腹剣「ラスティー・ネイル」に水を纏わせ、それを振り回してミサイルとフォトン弾を叩き落した。
ルウ「まだまだ!!「イル・フォイエ」!!」
右手に呼び出したウォンド「コートヴァージ」で追撃を仕掛ける。今度は頭上から降ってくる大きな火炎弾だ。
楯無「甘いわ!!ッ!?」
大きな火炎弾を蒼流旋で迎え撃とうとするが、威力が想像以上だったのか少しよろけた。
ルウ「「グランウェイヴ」!!」
私はその隙を見逃さず、ジェットブーツ「ファーレングリフ」を足に装備し、そのまま楯無さんに急速接近する。
楯無「かかったわね!!」
その接近に合わせて楯無さんがラスティー・ネイルで迎撃にかかるが・・・。
ルウ「織り込み済みさ!」
即座にグランウェイヴを派生させ、大きく後ろに飛び退り躱した。
飛び退りつつレールガンと機関砲を見舞うのも忘れない。更に・・・。
ルウ「「カイザーライズ」!!」
両手に呼び出したワイヤードランス「ネイクロー」を地面に突き刺す。
ラスティー・ネイルでレールガンと機関砲を弾き逸らしていた楯無さんは危険を感じ取ったのか即座に飛び退る。
そこに一瞬遅れて地面からネイクローの先端部分が地面から勢いよく飛び出してくる。これで回避が間に合っていなければネイクローの刃に足から頭まで切り裂かれていただろう。
楯無「今のは危なかっ・・・ッ!?」
ルウ「「ディストラクトウィング」・・・。」
ISの腕部に装備したデュアルブレード「コートグライドD」のフォトンアーツで再び急接近。X字に斬りつけにかかる。
楯無さんは慌てて蒼流旋でガードしようとするが・・・。
楯無「なっ!?」
左側のシザースカートが蒼流旋をがっちり挟んでいた。
この距離ではラスティー・ネイルでのガードは無理だ。
通常の剣に戻すにしても、そのままガードするにしても、このタイミングでは刃が戻り切る前にディストラクトウィングが直撃するし、仮に間に合わせようとしても右側のシザースカートがそれを許さない。
必然、水の壁でガードする他ない。そう誰もが思っただろう。
楯無「残念・・・。」
背後から気配がする。どうやら正面のは何かしらの方法で作った分身のようだ。
必殺の一撃をダミーに受けさせ、自らは隙を晒した相手を背後から悠々と討つ。実に合理的な戦法だ。
・・・だが、それも織り込み済みだ。
ルウ「そこ、背中注意だ。悪く思え。」
両手に装備したネイクローの先端部分はまだ地面に突き刺さったままだ。
私はそのままワイヤーを高速で巻き取り、地面から抜けたネイクローを戻しつつ、それで背後に攻撃を仕掛けた。更に・・・。
ルウ「「ヘブンリーカイト」!」
ディストラクトウィングを最速キャンセルしてそのまま多数のフォトンブレードを展開して跳躍しながら大きく切り上げた。
正面の分身は多数のフォトンブレードの斬撃をモロに喰らって細切れになるが、直ぐに水になって吹き飛んだ。
ルウ「水分身か・・・。」
目の前のがダミーである事を可能性として頭の中に置いていたとはいえ、初見で見ただけで看破は恐らく無理だろう。初見でなくともここまで精巧な分身では厳しい。
私もシザースカートが蒼流旋を挟んだ際に、そこから帰ってくる感覚に違和感を感じたからこそ眼前のそれがダミーだと確信した。
因みに楯無さん本人は結構不意打ち気味に放ったネイクローの追撃とヘブンリーカイトのフォトンブレードをどちらも回避していた。
ルウ「「ディフューズシェル」・・・!」
左手に呼び出したアサルトライフル「コートアサルト」で飛び退りながら逆落とし状態の姿勢で散弾を浴びせるが、水の壁で難なく防がれる。
楯無「お返し!!」
ルウ「「ナ・バータ」!!」
言葉通りのお返しとばかりに多数の水の槍が襲い掛かってくるが、右手に同時に呼び出していたロッド「コートステッキ」で水の槍の射線上の大気に連鎖冷却反応を引き起こす。
本来は強力な冷気を浴びせ続けるテクニックだが、今回はその機関部分に当たる連鎖冷却反応そのものがメインである。
範囲内に届いた水の槍は連鎖冷却反応に晒された途端に強制的に氷状態に変化して動きが止まった。
確かに水を操る相手というのは厄介だが、流石に外部要因などに起因する自分の意図とは違うタイミングでの形態変化に対しては対応できないようだ。
楯無「・・・これだけやっても一発も当てられないなんてね・・・。」
ルウ「それはこちらのセリフさ・・・。」
両者ともまだまだ余裕の領域である。と・・・。
楯無『やっぱり・・・。これで確信したよ。貴女、この世界の人じゃないでしょ?』
楯無さんからプライベートチャンネルで通信が届いた。
ルウ『・・・その心は?』
楯無『理由はいくつかあるけど、代表的な理由は3つよ。まず貴女と火逐さん。二人の存在はつい最近忽然と現れた。どれだけ遡っても数か月前以前の情報が書類上の物以外全く出てこない。これだけでも真っ当なルーツを持った人じゃないという事は解るでしょ?』
ルウ『それで?』
楯無『加えて実技試験の内容よ。二人が持つこの世界では見たことも聞いたことも無い特異な戦闘スタイルと技。多彩な武器武装を手足の如く操って見せる外見不相応な異常ともいえる技術力。加えて使っているISも、火逐さんのは他社のどの既存品とも設計思想が違い過ぎるし、貴女のISは他のホワイトラビット・カンパニーの企業代表の皆のと共通点こそあるけど、様々な面で明らかに不自然なこの世界の技術とのミッシングリンクがある。』
ルウ『なるほどね・・・。』
楯無『極めつけは、さっきから時々使っている魔法みたいな多彩な攻撃。貴女達のISの動力器から放出されている粒子と関係しているみたいだけど、そんな技術この世界にはまだとっかかりすらないのよ?どうかしら?』
ルウ『ほう・・・。』
どうやら、状況証拠を積み上げていった上でこの結論に行きついたようだ。
普通の人であれば「別の世界の住人」という考えなどさっさと考察から外してしまうだろう。あまりにもオカルトチック過ぎる上に、そもそも明確な定義が出来ない以上なんでもありになってしまい考察にならないからだ。
だが、彼女は状況証拠を積み上げ、この戦いの中でその状況証拠を更に補強し、その普通ならあり得ないと斬り捨てられるこの答え以外にはあり得ないという結論に達したのだろう。
恐らく試験開始以前から違和感を感じ取っていたのだろう。
多分あの記者会見の時だ。その時点から目をつけられていたのだろう。
そして、どのような手段を使ったのかまでは不明だが、独力で私たちの秘密に王手をかけてみせた。
普通の人なら気にしない、気になっても適当に流してしまうような事を見逃さない観察眼に、「常識」に捕らわれない柔軟な思考力と推察力。
その実力には敬意をもって応えるのが筋ではあるが・・・。
ルウ『残念だけど、こんなところでは言えないね。時間が出来たら此方から自室に招待しましょう。その時に答え合わせです。』
楯無『ふふ・・・つれないんだから・・・。』
ルウ『用心深いと言ってほしい。どこで誰に見聞きされるか解らない。』
私の答えは、事実上私たちが「訳アリ」であることを、最低でも中らずと雖も遠からずだと暗に認めているようなものだ。
だが、例え彼女が信頼するに足る人物だとしても、今ここで真実を伝えるのは得策とはいえない。関係ない人に知られて後々ややこしい事になったら面倒過ぎる。
楯無「なるほどね。にしても、貴女のような強者と戦うなんて多分初めてよ。こんなに感情が高ぶるなんて・・・。」
ルウ「光栄な限りね。」
実際問題、私も結構高ぶっているがそれを表にはあまり出さない。
楯無「貴女が相手なら・・・私も全力を出せるわ!!」
その言葉と共にミステリアス・レイディが青白く発光し出した。
楯無「え?なにこれ?こんなの初めて・・・。」
想定外の事態に困惑する楯無さん。だが・・・。
ルウ「あるかもとは思っていたけど、やはりISにもこの境地があるなんてね・・・。ならば我々も応えよう!!」
その掛け声とともに私はソードの「コートエッジ」を持った右手を前に突き出し、それに応えるようにダークアビスも赤紫色に発光し出した。
ルウ「さぁ、第二ラウンドと行こうか・・・!貴女達の全てを、我々にぶつけて見せろ!!】