閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者 作:ガイア・ティアマート
【視点:楯無】
はぐらかされた・・・訳じゃない。
彼女は「ここでは言えない」と言った。つまり、少なくとも中らずと雖も遠からずと言ったところだろう。
しかも、これほどまでに他者に聞かれることに対して警戒しているという事は、つまりそう言う事だ。
それにしても、彼女は本当に強い。
楯無「なるほどね。にしても、貴女のような強者と戦うなんて、多分初めてよ。こんなに感情が高ぶるなんて・・・。」
ルウ「光栄な限りね。」
ここまでワクワクする戦いは恐らく初めてだ。
あまりの興奮に胸の高鳴りを抑えられる気がしない。
楯無「貴女が相手なら・・・私も全力を出せるわ!!」
その時だった。
私のミステリアス・レイディが突然青白く発光し始めた。
楯無「え?なにこれ?こんなの初めて・・・。」
体の内から力が無限に湧き出てくるような、そんな経験したことのない異常な高揚感・・・。
ルウ「あるかもとは思っていたけど、やはりISにもこの境地があるなんてね・・・。」
ルウさんの発言に思わず声を上げそうになった。まるで心当たりがあるかのようなその発言に。
でも、私がその意味を問う前に彼女は大剣「コートエッジ」を持った右手を突き出し・・・。
ルウ「ならば我々も応えよう!!」
それに応えるように彼女のダークアビスも赤紫色に発光し出した。
【BGM:「PSO2の「採掘基地防衛戦:絶望」の禍王ファルス・ヒューナル戦」より「Violent Dynasty(Resonant Defensive.ver)(通称:処刑用ワキマエヨ)」】
ルウ「さぁ、第二ラウンドと行こうか・・・!貴女達の全てを、我々にぶつけて見せろ!!】
その声と共にルウさんは今まで以上の速度で突撃を仕掛けてくる。
楯無「この!!ッ!?」
咄嗟に水の槍で迎撃を図るが、その展開速度、数に驚いた。
今までとは比べ物にならないほどの性能を見せ、恐らく自分の中では最高記録であろう攻撃がルウさんを迎え撃った。
ルウ【流石!だが!!「ワイルドラウンド」!!】
IS腕部が持つワイヤー付きの鉤爪「ネイクロー」を高速で振り回して多数の水の槍を吹き飛ばしながら突っ込んでくる。
負けじと私も、何故か出来るという確信があった「吹き飛ばされた水を即座に再度槍にする」という初めての芸当を成し遂げて背後から襲い掛からせるが、ルウさんは後ろを見ずに左手に二本保持したコートグライドを振るって光る剣のような物を後ろから追ってくる水の槍に射出して撃ち落としにかかる。
ルウ【「イグナイトパリング」!!】
楯無「はあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そのまま私たちは激しい打ち合いになった。蒼流旋とコートエッジが激しくぶつかり合う。
お互いに相手の攻撃を受け流し反撃を浴びせようとするが、まるで示し合わせた剣舞であるかのようにお互い全く攻撃が相手に届かない。
楯無「せやあああああ!!!」
ルウ【「サーベラスダンス」!!】
ならばと距離を取りラスティー・ネイルを伸ばして切り掛かるが、ルウさんもIS腕部のネイクローを振り回して応戦する。
空中でラスティー・ネイルと二本のネイクローが、まるで荒れ狂う蛇の如くぶつかり合い、お互い弾かれる。
ルウ【これでは千日手か・・・、ならば式を変える!「シューティングスター」!!】
ルウさんはそう言うと、今度は両方に刃が伸びた剣「コートダブリス」に持ち替え、跳躍しつつ大きく横に薙ぎ払ってきた。
楯無「くっ!このぉ!!」
嫌な予感がした私は受けるのではなく、後方へジャンプして躱した。
一瞬後にさっきまで私が立っていた場所に上空から光の剣が5本連続で降り注ぎ、地面に突き刺さった。
ルウ【「アブソリュートクエーサー」!!】
楯無「まだまだぁ!!」
瞬間、私たちは今度は空中で斬り合っていた。
激しい連撃をいなし、何とか反撃しようとするが・・・。
ルウ【「セイバーデストラクション」!!】
ルウさんの手を離れ、彼女の周囲を何本もの光の剣を伴い、高速回転しながら斬りつけてくるコートダブリスに防がれる。
刹那、ダークアビスの腕部にいつの間にかコートグライドDが握られていることに気づく。否、ハイパーセンサーが何故かそれを指摘してきた。
ルウ【「ディストーションピアス」!!】
楯無「そこぉ!!」
意表を突くタイミングで放たれた強力な2連突きを、私は一瞬早く水の槍で弾き飛ばす。
腕部を離れたコートグライドDはそのまま拡張領域らしき空間に回収されていく。
ルウ【読まれたか!だがそうでなくては!!「グリッターストライプ」!!】
飛び退ったルウさんは腕部に新たに装備されたコートヴァージと、その色違い「コートヴァージD」から何条もの光の帯を乱射してくる。
それら全てが私を狙うが、水の槍を飛ばして全て撃ち落とす。
ルウ【ならば「ルミナスフレア」!!】
楯無「はあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
今度は光の帯を纏ったビームを放ってくる。私も正面から強く太く束ね上げた水の槍で迎え撃つ。
双方の攻撃が空中で衝突し、そしてはじけ飛ぶ。
ここまで何度も距離を変えて攻防を繰り返したけど、何度やっても結果は同じだ。
ルウ【もう時間も無いというのに、これだけ手を変え品を変えても結局は千日手か・・・。】
楯無「そうね・・・、ところでかなり蒸してきたんじゃない?」
ルウ【あれだけ水がはじけ飛べば、そうもなるさ。】
ルウさんは次の攻撃準備をしているのかコートグライドを手に持ち、光の剣を展開している。
でも、私の準備はもう済んでいるのよね。
楯無「じゃあ、ちょっとすっきりさせちゃおっか。」
ルウ【ご自由に。】
楯無「じゃあ遠慮なく・・・「クリアパッション」!!」
その瞬間、強力な水蒸気爆発がフィールドを飲み込む。
これが私の最大最強の技だ。今の状態なら威力が大きく上がっているだろうから、一気にシールドエネルギーを削り切ることも出来ただろう。
ルウ【今のはかなり危なかった・・・。直撃していればタダでは済まなかっただろうね・・・。】
楯無「・・・え?」
煙が晴れた先には、無傷のルウさんが地面に降り立っていた。
ルウ【「スターリングフォール」・・・。タイミングを合わせるのが難しかったけど、上手く無効化出来た。】
楯無「・・・何をしたの?」
私は思わず質問した。私の最大最強の一撃、それもアリーナのフィールド全体を攻撃範囲にした今の一撃を「回避」ではなく「無効化」するだなんて、どういうことなのだろうか?
ルウ【「スターリングフォール」は少し特殊でね、発動時に少しの間攻撃を受け付けなくする効果が付随している。逆に言えば、こうでもしなければどうにもならなかったのだけどね・・・。】
楯無「読まれていたのね・・・。にしても、そんな技まであるだなんてね・・・。」
ルウ【回避技としてはタイミングを合わせづらい上に、攻撃技としては火力が出し辛い中途半端な所があるけど、今回は賭けに勝てたらしい。】
アナウンス『タイムアップ!両者のシールドエネルギー残量同値につき引き分け!』
そこで時間切れとなった。残量同値とあるが、結局お互いに全くダメージを奪えていない。
楯無「ふぅ・・・まさか私が全力で戦って勝てないだなんてね・・・。」
ルウ【お互い様さ。しかし、久方ぶりに覚醒者同士の試合が出来たよ。ありがとう、ここまで滾る戦いは久々だったよ。」
勝敗はつかなかった。でも、お互い満ち足りていた。
楯無「それはそうと、その「覚醒者」というのは?」
ルウ「その詳細に関しても後のお楽しみ。こっちは説明するのが少しややこしいからね。それに久々に暴れたからちょっと疲れたし・・・。」
楯無「それもそうね。」
お互いに久々のガチバトルを超えて、久方ぶりのどこか心地よい疲労感に包まれていた。