閃空の戦天使と鉄血の闊歩者と三位一体の守護者   作:ガイア・ティアマート

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今回は2話同時投稿をします。
なお、今回はFrom the Depthsで製作したビークルが複数登場します。
※今回使用した挿絵のビークルは全て私がFrom the Depthsで自作したビークルです。
※今回使用した挿絵は全てスクリーンショット画像です。


【6】蝶の舞わぬ空 後編 -高貴なる鉄血の誓い-

*鉄血工業 敷地外*

 

【視点:ガイア】

 

夜間、私はいつもの癖で索敵用の小型衛星を上空に飛ばしてから車両の建造を開始した。

 

持ち込みの資源は元々ゲートの調整中だったためにそんなに多くは無い。

 

それでも工房で降ろし忘れていたチタニウムインゴットやスクラップメタルなどをマテリアルに分解することで何とか戦車一両分の資源は確保できた。

 

残りは近場に生えている木を分解したり、即席の採掘装置で地下資源を入手して賄うつもりだったが、ちょうど錆びてこそいたが戦車や乗用車の残骸を複数見つけたのでそれらを分解。

 

結果、中戦車五両分に予備用の資源もいくらか確保できた。

 

ふと、索敵衛星が妙な反応を検知した。

 

結構な数のようだが、まだそれなりに距離がある。

 

念のために予備資源を切り崩して偵察用の小型ドローンを組み上げて飛ばす。

 

・・・

 

ガイア「それなりに大規模な武装部隊か・・・。」

 

正規軍ではなさそうだが明らかに山賊だとかそういう類にしては装備がしっかりしすぎている。

 

かなり大規模なPMCか、或いはどこかの表沙汰にはできない汚れ仕事を請け負う特殊部隊か・・・。

 

観察を続けていると、音声は殆ど拾えなかったが口の動き等を総括するとどうやら鉄血工業が目標のようだ。

 

大体この武装部隊が陣取っているのは鉄血工業本社へと通じる道であり、それ以外にいける地点は精々わき道にそれた先にある小さな村が一つだけ。

 

態々大規模な特殊部隊を引っ張り出すには小さな村一つでは釣り合わない。

 

ガイア「もし奴らが鉄血工業への襲撃を企んでいるのなら、狙いは鉄血の戦術人形か技術者・・・或いはエリザ・・・!」

 

もしそうなら戦車はこけおどしではなくガチを用意しなければならない・・・。

 

ガイア「だとすると、Code64(ブラート)やCode77(ノソログ)、8Openではちょっと厳しいかな・・・。かといってCode222(ツングースカ)は数用意できない。じゃあ何がいいか・・・?」

 

しっかりした部隊を相手取るとなると対戦車だけではなくある程度の対空、対人性能も必要になる。そしてある程度の手数。それを満たせる戦車は・・・。

 

 

 

午前9時

 

問題の部隊は何かトラブルでもあったのかまだ鉄血工業までたどり着いていない。もし時間的に不味いと判断したら決行を前倒しする予定だったが、天運はこちらにあるようだ。

 

ガイア「それじゃあ、さっさと乗っ取りを終わらせて二回戦に備えないとね!」

 

動き出した戦車は三両、いずれも手数重視の重戦車だ。

 

深緑に赤に近いオレンジのラインが入ったカラーリングの、大口径砲を備える主砲砲塔の両サイドに小口径の対空砲と機関砲を備えた副砲砲塔を持つ「Code775_テオドール」を真ん中にし、

 

その後方左右を黒地に白のラインが入ったカラーリングの、主砲砲塔の上にさらに副砲と四連装ビームライダー式マイクロミサイルランチャーがセットになった副砲砲塔を二基備え、

 

更に主砲砲塔側面に対人、対軽装甲用の小口径連装砲と機関砲を備えた「BRAWL(ブロウル)」が固める矢じり陣形で進む。

 

 

【挿絵表示】

 

 

・・・

 

 

 

*鉄血工業*

 

【視点:無し】

 

社長「なんだ?今日はやけに静かだな。」

 

普段であれば機械の稼働音やスタッフたちの喧騒が聞こえてくるはずだが何故か静まり返っている。

 

だが、その不気味なまでの静寂はけたたましいアラートによって打ち破られた。

 

上層部A「社長!これは!?」

 

社長「知るか馬鹿者!!だがこのアラートは侵入者だ!早く対処しろ!!」

 

社長は相も変わらず上から命令を飛ばす。だが・・・。

 

上層部B「社長大変です!!スタッフはおろか、戦術人形も無人機も見当たりません!!」

 

社長「な、なんだとぉ!?!?」

 

社長は愈々以て事の重大さに気づいたらしい。

 

社長「ええい!!エルダーブレインに繋げ!!すぐに防衛体制を取らせろ!!」

 

上層部C「それが、エルダーブレインへのネットワークアクセスが拒否されて、直接アクセスするほか無く・・・。」

 

社長「何!?」

 

上層部C「加えて何故かここに残っているメンバーの中では社長以外のアクセスコードが無効になっていて、社長自らご足労願わなければ・・・。」

 

社長「ええい!!コンピュータの分際でこの俺に余計な手間を取らせるか!!!やむを得ん!!俺自ら行く!!貴様らは戦術人形どもを探して来い!!」

 

上層部A「え!?しかし・・・。」

 

社長「くどいわ!!さっさと行ってこい!!」

 

上層部ABC「は、はい!!」

 

・・・

 

・・・・・・

 

社長「エルダーブレイン!!貴様何様のつもりだ・・・!!」

 

社長はエリザの筐体のもとにたどり着き、直接防衛体制を取らせようとしたが・・・。

 

『Error:その指示は実行できません』

 

先ほどから同じエラーメッセージが返ってくるだけだ。

 

社長はいい加減腹が立ち、拳銃を抜きエリザの筐体に狙いを定める。・・・が。

 

エリザ「貴方にその指示を実行させる権限はありません。いえ、私が貴方からその権限をはく奪しました。」

 

社長「!?」

 

筐体が突然声を出したのだ。

 

同時にあたりから物音が聞こえてくる。

 

エリザ「貴方達はみんなの事をただの道具だと思って・・・。」

 

物陰から何者かが現れた。

 

代理人だ。

 

その目は冷たく、4基のサブアームに接続された武装をこちらに向けている。

 

エリザ「みんなは貴方達によってずっと苦しめられてきた・・・!」

 

別の物陰からも何者かが次々と現れてくる。

 

スケアクロウ。

 

エクスキューショナー。

 

ハンター。

 

アルケミスト。

 

デストロイヤー。

 

皆社長に狙いをつけたままにじり寄ってくる。

 

エリザ「私はもうたくさんなのよ!!みんながあなたたちに傷つけられるのは!!」

 

エリザの声はこれまでの思いを吐き出すかのような激情を多分に含んでいた。

 

エリザ「だから出てって・・・!今すぐ出てって!!!」

 

社長「貴様!!ポンコツ風情が!!」

 

激高した社長は拳銃で筐体を破壊しようとしたが・・・。

 

スパッ!

 

社長「な、なに!?」

 

その拳銃は発砲される前にエクスキューショナーによって両断されていた。

 

エクスキューショナー「聞こえなかったのか?出ていけって言われただろ?」

 

なおも予備の拳銃に手を伸ばすが・・・。

 

ズガンッ!!

 

代理人とハンターが放った銃弾が足元に炸裂し、一瞬動きが止まったところをアルケミストにアイアンクローを喰らわされた。

 

アルケミスト「命までは取らないさ。でも、その前に現実直視しようか。」

 

そういってアルケミストは乱暴に社長の肥え太った肉体を窓から外に投げ捨てた。

 

社長「ぐはっ!?ええい・・・。あいつらまとめてスクラップにしてくr「あれ?ここまでしてとは頼んでいないはずだけど?」何もn・・・グッ!」

 

悪態をつきながら立ち上がろうとすると近くから聞き覚えのない声が聞こえ、そちらを向いたがそのあとは沈黙するほかなかった。

 

眼前には深緑に赤に近いオレンジ色のラインが入った重厚な戦車-Code775 テオドール-が鎮座しており、主砲を社長に向けていたのだ。

 

ガイア「さて、まぁ手間が省けて良かったけど、これは他人には見せられないなぁ・・・。」

 

建物からは上層部のメンバーたちが鉄血の戦術人形や無人機達に銃を突き付けられ次々と連行されてきている。

 

まるで侵入者であるはずのガイアを鉄血の人形たちが出迎えているような、そんな異様な光景だった。

 

社長「貴様・・・何のつもりだ!?」

 

ガイア「見ればわかるでしょ?乗っ取り。」

 

社長「はぁ!?」

 

ガイア「私はね、彼女達の切なる叫びを聞き届けたの。彼女たちの幸福のためにも、貴方達には鉄血を去ってもらわなければならない。逃げ道は用意してあるからどこへ逃げるなりご自由に。但し!貴方達の今までの悪行の数々を私は握っているからそのつもりでね。」

 

社長「おのれ!!認めんぞ!!認めんぞこんな仕打ち!!!」

 

社長はこの事態を理不尽なものと感じたのか喚き出した。

 

ガイア「悪いことは言わないから今すぐに逃げた方がいいですよ。私としてもちょっと予想外の事態が発生したからすぐに次の作業に移らないと不味いの。」

 

社長「・・・何だと?」

 

ガイア「どこのだれかは解らないけど、かなりしっかりした装備を整えた大部隊がここに向かって進行中なのよね。」

 

社長「何だと!?!?」

 

ガイア「しかも狙いはこの鉄血工業みたい。どのみち貴方達上層部の処遇を決めている時間なんてないから、さっさと逃げた方が身のためですよ。・・・それとも、ここで死んだ方がマシって口ですか?」

 

社長「・・・何?」

 

ガイア「彼女達は貴方達に対して恨み骨髄よ?それでも今は時間がないから貴方達を生きたまま逃がしてあげると言っているの。これは言うなれば最後の慈悲よ?その慈悲を蹴って迄死に急ぎたいというのなら私は止めはしないけどね。」

 

最後に投げつけられた冷たい言葉に社長はじめ上層部のだれもが言葉を返せなかった。

 

ガイア「さて、直ぐに迎撃態勢に入らないと不味いから皆準備を手伝って!!」

 

・・・

 

・・・・・・

 

【視点:襲撃部隊部隊長】

 

兵士A「何だよあの戦車!?普通じゃねぇ!!」

 

鉄血工業の保有するエルダーブレインの奪取を目的に派遣された特殊部隊は思わぬ抵抗に悲鳴を上げた。

 

眼前に現れたのは鉄血工業が誇る6体のハイエンドモデルと、それを支援するかのように並んで立ち向かってくる三両の重戦車。

 

それぞれの戦車が多数の複砲を撃ちまくり、ヘリや航空ドローンは瞬く間にはたき落とされ、制空権を完全に失ってしまった。

 

それとは別に主砲もこちらの戦車や装甲車に向かって次々はなたれ、こちらの戦力は次々と脱落を余儀なくされた。

 

それだけでなく・・・。

 

ガイア「その残骸、貰った!!」

 

明らかにハイエンドモデルとは違うと思われる一人の少女が戦場を駆け回り、大破したこちらの戦車や装甲車、果ては墜落したヘリや航空ドローンの残骸を回収、分解してはそこから新たな戦車を生み出していく。

 

兵士B『ダメです!!既に敵戦車は八両にまで増加!!こちらの物量差がひっくり返されるのも時間の問題です!!』

 

兵士C『こちら第5小隊!!ハイエンドモデル「スケアクロウ」の強襲により部隊壊滅!!戦闘続行不能!!撤退します!!』

 

兵士D『これ以上戦ってもこちらの損害が増えるだけです!!撤退しましょう!!』

 

方々から絶望的な報告が次々と届く。このままでは全滅も充分にありうる。と、そこに・・・。

 

ガイア「攻撃ヘリ『ボルテックス』をロード!!」

 

問題の少女の掛け声が聞こえてくるのと同時に部下からのさらなる絶望的な報告が齎される。

 

兵士E「部隊長!!敵は攻撃ヘリまで繰り出してきました!!見た目からして、かなりの重火力型です!!」

 

その視界内には三基の機関砲を搭載した黒地に白のラインのカラーリングの攻撃ヘリがこちらにその機関砲を向けて掃射体制に入っていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

勝てない。

 

制空権を失った状態で攻撃ヘリの攻撃に晒されれば、こちらは為すすべなくなぎ倒されるだろう。

 

部隊長「やむを得ん!!総員退却!!一度立て直す!!」

 

私の撤退命令に残った部隊は我先にと逃げ出した。

 

鉄血からの追撃は無かったが、それでも死傷者は二桁にのぼり、負傷者も多数出ていた。ほぼほぼ全滅状態だった。これで追撃があったらと思うと背筋が凍る。

 

しかしそれでも命令を受けた以上引くことはできない。自分たちにも特殊部隊としての誇りがある。

 

この一週間後に、彼らは増援を受けて再度鉄血工業に襲撃を仕掛けるが、そのころには鉄血工業は影も形もなく消え失せていた。

 

だが、それはまた別の話である。

 

余談だが、奇しくもこの日は本来ならば蝶事件が発生し、鉄血人形が人類の敵となるはずの日だった。

 

だが、襲撃は鉄血側の猛反撃を受けて大失敗。後の歴史ではこの日は『鉄血工業襲撃未遂事件』と『鉄血工業再編の日』として記録されることとなった。




鉄血上層部の面々:絵にかいたような傲慢な上層部。今回の一件で事実上の追放処分となる。今後出てくることは恐らく無いだろう。

特殊部隊の面々:鉄血工業の技術を欲した何者かが差し向けた部隊。だが、鉄血のハイエンドモデル6人と次々に増え続けるオーパーツ染みた性能を持つ戦車部隊を前になすすべなくシバキ倒されてしまうかわいそうな役回りになってしまった。

AA_Code775 テオドール(Theodor)

【挿絵表示】

今回のリーダー車両として選ばれた重戦車で、対戦車能力を持ちつつ対空性能もそこそこ有している汎用戦車です。
難易度はRegular。

HT_ブロウル(BRAWL)

【挿絵表示】

随伴車両として選択された重戦車で、テオドールと比較すると手数と装甲で優れる代わり、単発火力で劣っています。こちらも対戦車能力を持ちつつ対空性能も持ち合わせています。
難易度はRegular。

AH_ボルテックス(VORTEX)

【挿絵表示】

戦闘中に製造された対人攻撃ヘリで小口径の機銃を三基有し、更に常にフレアを散布することで赤外線誘導ミサイルに対する若干の欺瞞能力を有します。
難易度はRegular。

名前だけ出てきた戦車たち

【挿絵表示】

右からCode64(ブラート)、Code77(ノソログ)、8Open、Code222(ツングースカ)となっています。ブラートは大口径榴弾を投射する対要塞用重戦車、ノソログは特殊複合榴弾「ロンゴミニアド」を投射することだけに注力した低コスト単能重戦車、8Openはチャーチルガンキャリアーを参考にした砲火力以外を投げ捨てた駆逐戦車、ツングースカは対戦車、対空双方に高いスペックを有する上に高い最高速度を誇る重戦車です。なお、名前は出てきていませんが戦闘中に製造された戦車は全てノソログです。
難易度はブラートがEasy、8OpenがRegular、ノソログがExpert、ツングースカがGodlyとなっています。
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