比那名居天子にスポットを当てた作品ですが、性別に注意です!
それでは……
本編どうぞ!
0話 私は比那名居天子 総領息子である
皆、いきなりだけど、【東方Project】というものをご存じでしょうか?知らない人にわかりやすく言うとシューティングゲームなの。女の子を操作して、数々の事件を解決するものなのだが……
その中の登場人物に【比那名居天子】という女の子がいるのです。この子は【東方緋想天】に登場したラスボスの女の子。緋想天はシューティングではなく、弾幕アクションゲーム即ち格ゲーだ。東方に出てくる女の子達がお互いに戦うゲーム。
ちなみに比那名居天子というキャラの設定を説明しておくと……
●天界という雲の上に住む天人で、比那名居一族の娘。
●比那名居一族は幻想郷の地震を担っていた神官である「名居」の一族に仕える一族であった。「名居」の一族がそれまでの功績を認められて
●功績によって天人となったため、天人としての格を備えるための修行を積んだわけではない。なので、他の天人から「不良天人」と呼ばれている。
●人間で地上で暮らしていた頃の名前は「地子」という名前であり、天人になった時に「天子」に改名した。
●天界での退屈な生活に不満を感じており、原作では異変(事件)を起こす
他にもあるのだが、今はこれぐらいでいい。そしてもう一つ言っておくことがある。【転生】についてだ。
死後、別の存在として生まれ変わるという宗教の考え方。似たような単語には復活というものがあるが、復活と比べると 記憶、肉体、人格などが同一では無く新たな存在として生まれ変わるという意味合いになる。
自分は死んだのだ。覚えている……単純な事故だった。車に引かれて死ぬあっけない最後だったのだ。
しかし、なぜこんなことを言うのかというと……
鏡に映る自分の姿を見る……
その比那名居天子にそっくりな人物になっていたのだ!
私は東方は好きだったし、天子ちゃんのことはとても気に入っていた。何故私が天子ちゃんになってしまったのだろうか?ラノベ小説やアニメをよく見ていたので、私は転生してしまったんだとすぐに理解できた。びっくりする程ラッキーだ。東方ファンである私はこれから楽しい幻想郷生活が始まることにワクワクしていた。しかし、世の中には予想外のこともある……
「総領
私はその……比那名居天子……天子ちゃんなのだが、男になっていたのだ……
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……………………
…………
……え”!?私は生前女の子やってましたけど、転生して男になっちゃったの!?しかも天子ちゃんが男!?女体化ならぬ男体化である!
なぜこうなったのか私にもわからん。転生ものの小説やアニメでは、よく転生の間みたいなだだっ広い空間に天使やら神様やらがいて「あなたは不運にも死んでしまいました」とか言ってなんやかんやで別世界に転生できたりする流れだが、私には一切なかった。目を開けると目の前には美人な女性がいた。
【永江衣玖】
龍の世界と人間の世界の間に棲む「竜宮の使い」と呼ばれる妖怪。天人・比那名居天子の一族に仕えているようであるが、元天子ちゃん(私の元の天人の方)に名前を憶えられていないという不憫な子であった。長い触角のついた帽子と羽衣、ロングスカートが特徴的で、羽衣は非常に長い作りになっている。そして、目の前にいる彼女こそ、その衣玖である。
「あの、総領息子様……?」
こちらを様子を窺う彼女はまさしく、私がこの世界【幻想郷】に幻想入りして初めて出会った東方キャラだ。幻想郷とは東方Projectの舞台となる世界の名だ。人に妖怪、妖精、神、吸血鬼に鬼といった様々な人妖達が住まう忘れ去られた者達の楽園である。この天界もその内の一つでもある。天界で初のエンカウントが天子ちゃんの相方的存在になっている衣玖だったのだ。
初めて会った時は私はおもわず「美しい」と口に出てしまっていた程だった。当時は私(元天子ちゃん)はまだ幼く12~13歳程の時だったであろう。天界に居たので、もう既に地上から天界に移り住んだ時に意識が覚醒したのだと思われる。元々の性別を私の父様と母様に聞いたら男の子として生まれてきていたようだった。原作とは違う性別に生まれてこれからどう生きるか?でも、現にそうなってしまったものは仕方ないし、諦めるしかない。
しかし、何故か本来女の子であるはずの天子ちゃんが男、しかも絶世の美男子になっていたことだ。私自身も元女の子……改めて自身の姿を見てみると、髪は腰まで届く青髪のロングヘアに真紅の瞳は本来と一緒だ。美しさと凛々しさを合わせ持ったイケメンだ。生きている間にこんなイケメンと付き合いたかった……でも、無理。万年引きこもっていた私には叶わぬ夢だったけれど、私自身がイケメンになれるなんて超ラッキー♪
多少の筋肉もついており、細マッチョと言える身体を作っている。そして何より転生して一番に男になったってわかるものがついている。総領息子の息子(♂)がついていた時、悲鳴をあげそうになった。こ、これはじっくり観察しないといけないわね……
私が元々引きこもり女の子だってことは憶えている。それに東方のことはバッチリと憶えていた。記憶まで持ち越せるとはやはり転生は凄かった。性転換転生者だったが……とにかく、なぜ転生した原因もわからないのにぐちぐち言っている場合ではないことがわかった。これから先、自分に振りかかる異変&異変を起こす側なので必然的に
彼女達とは原作に登場する主人公達と東方のキャラ達だ。幻想郷は設定的には厳しい環境の世界に入るだろう。原作の元天子ちゃんはラスボスを務める程の実力の持ち主だ。しかし、私は何も知らなかった。それ故、私は恐れた……ゲームだと楽しんでいた自分が今度はその世界の住人となって戦うことなど誰が予想できる?できないそんなもの……しかし、私には東方知識があったため、早めに行動を起こした。
まずは原作の天子ちゃんの周りの評判の悪さだ。周りからは不良天人と呼ばれていた。実際そうだった。転生直後よく陰で悪口を言われたものだ。よく耐えしのいだと私は思う。いや、元天子ちゃんは本当は悲しかったのかもしれない。私も初めは辛かった。地上から成り上がりで天人になったため修行など一切していない。周りからの批判が心に突き刺さって部屋に閉じこもって泣いたこともあった。しかし、私は彼女ため、元天子ちゃんの人生を横取りしてしまった私がその名誉を守らないといけないし、私がいることで存在しなくなった彼女の存在を汚さないためにも償いをしないといけないと思ったのだ。
転生して二度目のチャンスを捨ててしまわないように、私は引きこもりを卒業すると決めた……
天界に来たばかりの私は衣玖に様々なことを聞き考えた。そしてすぐに行動を起こした。比那名居家を悪く言わせないために、単純だが人の困りごとを解決したり、娯楽施設を作って少しでも暇な天人達に恩を売ることにした。何かなくし物をしたら皆が寝静まった後でも探し出したり、桃ばかりでは味に飽きが来てしまうので、味付けを自ら開発し、豪華な料理だけでなく、庶民的でも味わい深い料理を披露してみたりした。その他にも小さな要望にも応えるようにして数々のことをこなしてきた。
すると、初めは悪く言っていた連中も徐々に比那名居家を悪く言うのをやめてくれた。そして今では「天子様」や「総領息子様」とまで言われるようになった。良き事だが、それだけでは償いきれない。
次にやることは私自身が強くなることだった。ラスボスを務めたのに、「なにこれ弱すぎない!?雑魚だぜ!!」「ラスボス前の方が強くね?」など言われないようにするために修行することにした。天界の端から端まで全力疾走で駆け抜けたり、自ら建設したトレーニングルームで体を鍛えたりした。この体は筋肉が付きにくい性質のようだ。だから、筋肉隆々ではなく細マッチョになった。筋肉モリモリマッチョマンの天子ちゃんなんて見たくないから寧ろよかったのかもしれないけど……
昔小さかった私も今では衣玖よりも高くなり、幻想郷内では私はだいぶ高い部類に入るだろう。私自身でもよくここまで成長したと感じられる。男になった分やっぱり身長は高くないと折角のイケメンが台無しになってしまうからね。
修行当初、衣玖にも手伝ってもらって本気の弾幕や雷をぶつけるように頼んで天人特有の丈夫な肉体を作ることに専念した。初め衣玖は私に攻撃することをためらったが、私の覚悟を受けて熱心に私の修行に付き合ってくれた。あの時のことは今でも感謝しています。
それから、元天子ちゃんの武器になる【要石】と【緋想の剣】を極めることだ。要石は注連縄つきの岩のことで、手に触れずとも操作できるものであり、鈍器、盾、空中での足場など様々に使える優れものだ。緋想の剣とは気質を見極める程度の能力を持ち合わせており、周囲の気質を集めて吸収し力に変換する事が出来る。また気質そのものを切り裂く事も出来る。相手の気質を放出させ相手の気質の種類を見極めると共に、吸収した気質をコントロールして相手の弱点の気質に変化させ弱点を突く事が可能。言わば、弱点絶対責める剣です。まぁ、これにもいろいろと弱点はあるのだが、どんなものにも弱点はあるので気にしないでおこう。元々緋想の剣は元天子ちゃんが勝手に持ち出して私物化していたものだったが、今では私自身の所有物としていただいたものだ。天界のみんなから「天子様なら、否!天子様にこそその剣はふさわしい!」と言われて貰っちゃったのだ。貰ったんだから有効活用しないといけないしね。何度も何度もボロボロになるまで私は修行した。
おそらくこの先私が戦うのは巫女に魔法使い、人形師、メイドや鬼やら吸血鬼、半霊に天狗といった東方を代表する者達と戦うことになるだろう。本当は戦いたくないのだが、私が強くなることで
そして、最後に私自身の能力を身に着けることだ。【程度の能力】という東方のキャラには個人を代表する個性のようなものがある。私の場合は【大地を操る程度の能力】といったものである。
地震、地盤沈下、土砂崩れなど、有効範囲は狭いが幻想郷内なら遠隔地でも自在に操ることができる。改めて説明すると人工的に地震発生させれるぞ!っということだ。何度も練習した。どこからどこまでなら影響を受けるのか、発動時間、精度などみっちり頭に叩き込んだ。そして、私は肝心なことに気が付いた。
実は私は空を飛べなかったのだ。空なんて飛べないの普通じゃない?と思うだろうがそうではない。東方に登場するキャラは皆飛べる(一部を除いて)人間だって飛べるのに、天人である私は何故か飛べない。何度も飛ぼうと練習したがそれだけは習得できなかった。天界に住んでいるのに飛べないとか天人(笑)とか言われてしまう……しかし、どうしようもない。飛べないなら飛べないで要石に乗ればいいだけの話だ。困ることではない。ないものは他で補えばいい。私ってば天才ね!
さて、長々と説明したが私は転生してから今まで様々なことをやってきた。今説明した以外のことも勿論やっているが、ただの自慢話になってしまいかねない。そろそろ私も次にやるべきことが待っているのだ。
「……りょ……す……ま……」
しかし、今思えば沢山なことをしてきた。男になった分無茶なこともした。この体が何度ボロボロになったか記憶できていないぐらい修行した。下半身についている男の象徴にまだ慣れないところもあるけどそれは気にしない。寧ろただでイケメンの体を堪能できている私は幸せ者です♪
そして今更ながら、原作の天子ちゃんとだいぶかけ離れた存在になってしまったがよかったのだろうか?男になった時点で原作崩壊なのだが、わがまま娘からなんでもできるお坊ちゃまになってどう関わっていけばよいのだろうか……
「……総領……様……」
もし彼女が私を見たら何というか……「なんてことしてくれたのよ!私はこんなんじゃないわよ!!」って元天子ちゃんなら言って怒りそうな感じだよね……
「天子様!!」
「はっ!?」
いつの間にか顔を横に向けられていた。そこには衣玖が心配そうにこちらを見つめている姿だった。
「天子様どうなさったんですか?初めは空気を読んで黙っていましたが、いくらたっても反応がないので、私が何度声をおかけになったと思っているんですか!」
どうやら私は衣玖を放ったらかしにしていたみたいだ。怒られてしまった……情けない。比那名居家の名を汚してしまう所だった。謝らないと……
「すまない衣玖、無視していたわけじゃないんだ。ちょっと昔を思い出してね」
「昔……ですか?」
「衣玖と出会って天界で過ごし、修行に付き合ってくれたり、文句も言わずに私のやることなすこと付き添ってくれたことを思い出していた。ありがとう衣玖。本当に感謝している」
衣玖に頭を下げる天子(♂)の姿に慌てふためく。
「か、顔をあげてください!天子様に褒められることなんて私は何も……」
「私が感謝しているのだ。それに衣玖は何もしていないことなどない。私のわがままを聞いてくれたのだ。衣玖のような初めから今まで尽くしてくれた方はあなたしかいないよ」
「そ、そんなことは……」
イケメンになったんで、イケメンならではの接し方をしていると口調もこんな感じになってしまった。同じ女の子達からの視線が熱い気がする……男の方が私はいいんですけど、それをしたらBL本にお世話になってしまうのでNGです。話が脱線してしまった。そんで、イケメンロールをして衣玖を揶揄ってあげたら衣玖の顔が赤くなった。照れているなこいつ♪私よりお姉さんだが、やっぱり褒められると照れてしまうものなのだな。かわいい衣玖♪
「ふふ、とてもかわいいぞ衣玖」
「か、くぁわ!?」
りんごのように真っ赤に顔を染める衣玖が手で顔を隠した。
「か、からかわないでくだしゃい!!」
あ、噛んだ。衣玖のこういう所とてもかわいく思ってしまうなぁ……私天子君はジゴロだ!
「揶揄ってないさ。事実を言ったまでだ。だが、少々意地悪すぎたかな。すまなかった」
再び頭を下げる天子(♂)にまたまた慌てふためく。
「ふふ、これでは振り出しに戻ってしまうな。衣玖、それぐらいにしてそろそろ敬語改めてくれないか?私には敬語など使う必要などないと言っているだろう?天子様ではなく、天子でいいと。仕事で総領息子様と言うのは仕方ないとしても、私と衣玖の仲なのだ。様付けはよいのでは?」
「そ、そうですが……」
衣玖は【空気を読む程度の能力】が備わっていたはずなんだけれど……この能力はその場の特性をすぐに把握し、すぐに馴染む事ができる。余程の事がない限り場を乱す行動は取らない。
これが能力の説明なんだが、私に対しては空気を読んでくれない。敬語は必要ないと言っているのにやめてくれないし、私の前では昔はそうではなかったのに、今ではガチガチに緊張している時だってある。どうしてかと理由を聞いてもはぐらかされてしまう。私が女から男になったように、衣玖も何かしらの言えない事情と言うものが生まれたのかもしれない。だから、私は追及することはせず、話してくれるまで待とうではないか……私はできるイケメンだからね♪
「いや、すまない。今のはなかったことにしてくれ。衣玖のタイミングでいい、私が強要するわけにはいかないからな」
「も、申し訳ありません……」
「……それじゃ、今日も見回りと行こうか」
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「美しい……」
天子様と初めて出会ったのは比那名居家の方々が天界に越してきた時のことでした。私は比那名居家に仕えることが決まり、比那名居夫妻と出会い彼らの一人息子の比那名居天子様の面倒を見ることになったのです。そして、私は天子様と出会いました。出会った私に天子様はこう言いました。私もあまりの出来事に固まってしまいましたが、すぐに気を取り戻しました。天子様は元地上の人間、そしてまだ子供でありました。天子様がそうおっしゃったのは一時の感情だったのだと思いました。逆に私は天子様のお美しく凛々しいお姿に驚いてしまいました。きっと大人に育ったら凛々しくカッコよい方になると……
私は天子様の才能に驚きました。学問も運動も短期間で習得し、応用してみせました。「すごい」私は口からそう漏れていたと思います。しかし、周りはそう思わない方達が大勢でした。天子様は元地上の人間で、功績を認められて天界に住む事を許され天人になったため、天人としての格を備えるための修行を積んだわけではなかった。それ故に非難する声も陰で多かったのです。中にはわざと聞こえるように言った方もいました。天子様は辛かったのだろうと私は思いましたが、私の予想を遥かに上回ることをなさったのです。
天子様は自ら他の天人様達のために働き始めたのです。それも小さなことから大きなことまでこなしました。探し物をしている天人様には天子様が何日も探して見つけ出し、新しい娯楽が欲しいと無茶なことを言う天人様には娯楽施設を建設し、自ら料理を披露して天人様達の胃袋を掴んでしまうほどでした。徐々に周りの方達の反応も変わっていき、天子様を悪く言っていた方々も天子様に謝罪しました。それも天子様は笑って許してくださいましたし、困っていることがあればいつでも協力することを取り付けるほどのお優しい対応でした。天人様達は天子様のことを慕うようになっていました。歩けば「天子様」と呼ばれ、男性から尊敬の眼差しを、女性達は天子様に熱い視線を送る方も多くいるようです……気に入りません……
ある日私に頼みごとをしてきたのです。それは天子様に本気で攻撃しろという危険なことでした。私は当然反対しました。総領息子様である天子様を傷つけることなんてできませんし、何より私自身天子様に手をあげたくはないのです……しかし、天子様の目は本気でした。あの時の天子様の目は何か先を見ていました。私は天子様の思いに応えたい。私は修行に付き合いました。何度も何度も天子様が倒れるお姿を見るのはとても辛かったです……ですが、天子様は強くなられました。要石を生き物のように自在に操り、緋想の剣の所有者としてふさわしいと言われたのです。私もそう思います。天子様しかあれを扱うことはできないですし、何より天子様にお似合いです。
その頃には天子様のお身体はお美しくも凛々しい体つきに顔立ち、身長も昔は小さかったのにいつの間にか私を追い越してしまいました。そしてお心の方も私なんかよりも
そんな時、天子様は私にこう言いました。「ありがとう衣玖」っと……そう言われた瞬間何かが私に起きました。熱い……体の底から何かが燃え上がるように熱かったのです。天子様を思うとそれだけで爆発しそうなほど熱く胸が焼けそうになるほどでした。今まで天子様に会うのに躊躇しなかったのに、私は天子様のお部屋の前で半日もうろうろしていたこともありました。何が私をここまでさせたのか、ある時に家で見つけたのです。一冊の本を……
【恋愛】と書かれた本でした。その本に書かれた症状と私が天子様に抱くものが一緒であることに気づきました。私は天子様のことが……
今日も天子様が日課にしている散歩に付き添うため天子様のお部屋の前までやってきました。え?一人で散歩しないのかですか?天子様のお世話をするのが私の役目でありますし、なにより……天子様と少しでも一緒にいたいですし……わ、わたしはなにを言っているんでしょう!?と、とにかく!わたしは天子様の身の回りをお世話する者としていつもお傍にいないといけないのです!そ、それはともかく……大丈夫よ、服装OK、髪も帽子で隠れるし、変なところはないですね。それでは……天子様失礼します。
「総領息子様?いかがいたしましたか?」
仕事モードの時は天子様を総領息子様とお呼びするのは昔からの癖ですのでお気になさらずに……
それにしても天子様先ほどからだんまりです……ちょっと悲しいです……天子様が私を無視するなんて考えたくもありませんが、ここは私の方がお姉さんなんですから我慢強く待たないといけないですね。
そう思っていましたけど、待てども天子様は返事をしてくれない。鏡の前で一言もしゃべらずにだんまりのまま……
「あの、総領息子様……?」
つい我慢できずに話しかけてしまいました。私は何をやっているんでしょうか!?天子様に失礼なことをして!もし天子様に嫌われたら私は……
衣玖は想像してしまう。天子に無視され続ける哀れな自分の姿を……
絶対嫌です!天子様に嫌われるなんて嫌です!あなたが居てくれたから天界は変わったんです。私も変われました。あなたが居たからこの家が好きになった、あなたに会うことが楽しみで仕方なかった、あなたに褒められるのが嬉しかったんです!私はあなた無しではもう……
衣玖は何度も天子の名を呼ぶが反応してくれなかった。衣玖は我慢しきれずに天子の顔を手で自分の方に向けた。
「天子様!!」
「はっ!?」
天子は衣玖に気づいたようだった。その様子を見て衣玖は心配で仕方なかった。
「天子様どうなさったんですか?初めは空気を読んでで黙っていましたが、いくらたっても反応がないので、私が何度声をおかけになったと思っているんですか!」
心配したんですから……天子様がいない天界なんて私は耐えられないのですから……
「すまない衣玖、無視していたわけじゃないんだ。ちょっと昔を思い出してね」
「昔……ですか?」
「衣玖と出会って天界で過ごし、修行に付き合ってくれたり、文句も言わずに私のやることなすこと付き添ってくれたことを思い出していた。ありがとう衣玖。本当に感謝している」
昔のことを思い出してくれていたのですか……衣玖は嬉しいです。私のことを忘れていないでいるあなたが……天子様が私に頭を下げるなんて!?そんなことするなんてやめてください!天子様が私ごときに頭を下げては天子様の威厳を損なうことになってしまいます!
「か、顔をあげてください!天子様に褒められることなんて私は何も……」
「私が感謝しているのだ。それに衣玖は何もしていないことなどない。私のわがままを聞いてくれたのだ。衣玖のような初めから今まで尽くしてくれた方はあなたしかいないよ」
「そ、そんなことは……」
やばいです、天子様にそんなに言われたら私は耐えられませんよ♪ああ、天子様それほどまでに私のことを思っていてくれるなんて……私は幸せです♪
「ふふ、とてもかわいいぞ衣玖」
「か、くぁわ!?」
やめて!これ以上天子様私をいじめないでください!けど……幸せです♪
「か、からかわないでくだしゃい!!」
「揶揄ってないさ。事実を言ったまでだ。だが、少々意地悪すぎたかな。すまなかった」
事実だなんてそんな……ああ、また頭なんか下げないでください!お願いですから私ごときにそのような態度をとるだなんて……!
「ふふ、これでは振り出しに戻ってしまうな。衣玖、それぐらいにしてそろそろ敬語改めてくれないか?私には敬語など使う必要などないと言っているだろう?天子様ではなく、天子でいいと。仕事で総領息子様と言うのは仕方ないとしても、私と衣玖の仲なのだ。様付けはよいのでは?」
「そ、そうですが……」
正直呼び捨てにしたい。でも、仕事もありますし、何より恐れ多いです。数々の偉業を達成した天子様を天子なんて言えば他の天人様達からどんな目で見られるか……
「いや、すまない。今のはなかったことにしてくれ。衣玖のタイミングでいい、私が強要するわけにはいかないからな」
「も、申し訳ありません……」
「……それじゃ、今日も散歩と行こうか」
申し訳ありません天子様、私にはまだその覚悟はありません……ですが、その思いをいつか叶えてみせます。天子様、私の……
愛しのお方……♪
片方の作品がネタが思いつかず気分的投稿しているので、投稿は遅いかもしれません。
それでも楽しんでいただけたら幸いです。