比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

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お気に入り50人も期待してくれていたので、頑張って投稿しました。自分も小説とかで気になっているものは早くと願う人なので、早めに投稿できてよかったです。


それでは……


本編どうぞ!




3話 天人と鬼の喧嘩

 「ぐはぁ!?」

 

 

 よし!先手必勝!開幕ダッシュ攻撃は基本ね!私の突き出した右拳が萃香の腹に命中した。いきなり女の子を殴るのは男なら気が引けると思うけど、残念ながら私は中身は女なので遠慮しないし、酔っ払いだから子供なんぞにカウントしない。お酒は二十歳になってから!それに元天子ちゃんのためにも弱いところなんて見せれないからね!

 

 

 天子は左拳で追撃しようとするが、鬼の萃香がそれを許すわけはない。腹に一撃を受けたに関わらず萃香の表情は曇っていない、寧ろ先ほどよりも生き生きしていた。萃香の腕が天子の拳を掴む。

 

 

 「いいねぇ……今の一撃効いたよ!私の酔いを醒ましてくれるなんぶぇへ!?」

 

 

 そう言いかけた時に萃香の顎が蹴り上げられた。天子の膝が萃香を空へ吹き飛ばす。吹き飛ばされた萃香は体勢を立て直して天子から距離があいた地に着地する。

 

 

 「油断禁物だぜ」

 

 「てめぇ……!」

 

 

 蹴られた萃香が天子を睨む。並みの妖怪じゃ目が合っただけでも失神してしまいそうな鋭い眼光を向けていた。見た目は幼いがその顔は獲物を見つけた獣そのものだった。獲物を殴り、引き裂き、食らう……酒をあびる酔っ払いの鬼はこの場にいない。

 

 

 周りは静まり返っていた。この場に居る者達は驚きを隠せなかった。だが、萃香は気にしなかった。気にしていられなかった。目の前にいる天人は自分に二度も攻撃を当てた。それだけではなく、余裕の笑みを見せている。萃香の中で長年忘れていたものが湧き上がってくるようだった。今は目の前のあいつに集中したい。周りのことなど気にしていられない。一分一秒でもこの感覚を感じていたい。

 

 

 「やりやがったなお前……確かに油断していたけど、私に二度も強烈なもんくれたのは久しぶりだよ。これは本当に久々に楽しめそうだね!」

 

 

 萃香は笑った。酔いも吹っ飛びこの場にいることを嬉しく思う。だが、喧嘩は始まったばかりだ。萃香は楽しみで仕方なかった。これからもっと楽しくなるだろうと……もっと味わいたい、この久しぶりの感情を……!

 

 

 「比那名居天子だったけ?その名……覚えたよ」

 

 「伊吹萃香……こっちも覚えた」

 

 「へへ……さぁ!思う存分殴り合おう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う、うそ!?伊吹様に二撃も加えるなんて……!」

 

 

 先ほどまで酒に飲まれていたにとりが目を見開いていた。酔いなどすっかり醒めてしまい元上司と地上に下りてきた天人を見比べる。

 

 

 「にとり落ち着きなさいよ。まだ始まったばかりだし、萃香が油断してたってこともあるじゃない?」

 

 「そ、そうだよね。まだ始まったばかりだし伊吹様が負けるわけないよね?」

 

 「私に聞かないでよ……酔っ払いのこと私ほとんど知らないのだから……」

 

 「アリスはそうだったね。伊吹様は山の四天王と呼ばれている一人で、昔妖怪の山を支配して……」

 

 

 アリスに萃香の話をしているにとりを尻目にパチュリーは文に話しかけた。

 

 

 「あの萃香って鬼と対峙している天人、あなたにはどう見えるの?」

 

 「そうですね……『絶世の美男子天人現る!』として特ダネがそこにいるような感じですかね?」

 

 「そうね……本当はどう思うの?」

 

 

 文は少し考えて答えを出した。

 

 

 「彼……天子さんでしたね。強いです、相当な実力を身に付けていると私は思います。伊吹様は平然としていますが、先ほどの二撃は並みの妖怪ならとっくに沈んでいたでしょう」

 

 

 やっぱりねっとパチュリーは納得したようだった。彼女と萃香は初めて会ったが、肌で感じ取れるほど萃香の実力を感じ取れていた。その点はアリスもわかっていたようだった。その鬼と対等に戦える天人がいるとするならば、彼女の友人である吸血鬼は興味を持つだろう。話のタネほどになればいいと思っていたが、予想外の大事になりそうな予感だと思っていた。

 

 

 「彼は勝てるの?」

 

 「さぁ……伊吹様も本気はまだ出していませんし……これからですね。これは特ダネ……いや!超特ダネかもしれませんよ♪」

 

 

 文は手元にカメラを握りしめ、他の者達はこの喧嘩の生末を見守っていた。

 

 

 ------------------

 

 

 静止していた戦場に再びぶつかり合う音が聞こえてきた。

 萃香が拳を振るうと天子がそれを紙一重に避ける。天子が拳を振るうと萃香はそれをあえて受ける。攻撃に対して、意識を集中させることで、鬼の肉体は硬度を増し、鉄壁の壁となる。守りを捨てた萃香は再び拳を振るう……ただ単に頭を狙い、全力で振り抜く。当たれば、ほとんどの妖怪は顔面を失うか首の骨をへし折ることができるだろう。萃香の小柄な体格と細い腕に鬼としての怪力と残忍性を持った威力がそこに備わっている。天人であってもきっとそうに違いない。萃香はそう思っていた。だから、単純に拳を振るう。

 しかし、これも紙一重に避けられる。そしてまた殴られた。今度は先ほどよりも重い一撃だ。天子の拳は萃香の頬に直撃した。

 

 

 「ぐふっ!?」

 

 

 反動で吹っ飛ばされそうになる。鬼としてのプライドがそれを許すまい。足に力を込め耐える。萃香には耐えられた。重い一撃だが、鬼としての強固な肉体が痛みを吸収し、萃香の活力としていた。

 

 

 「(こいつさっきよりも力が強い!?)」

 

 

 だが、萃香は驚愕していた。いきなり現れた実戦経験がないという天人は鬼である自分にこれほどの重い一撃を入れてくる。しかも、それは徐々に力が増していき萃香の攻撃は全て避けられ、天子の攻撃は全て萃香に命中している。

 天子の拳を掴もうとするもすぐに手を引っ込め、新たな一撃を繰り出す。そしてまた同じように萃香の体に衝撃を与えていく。

 

 

 「(またしても捉えられないだと!?)」

 

 

 萃香が遅いわけではない。天子は萃香が自分の手を捉えようとするタイミングを見計らいすぐに拳を引っ込めて相手にペースを掴ませないようにしていた。現在は天子の方が圧倒的に有利だ。しかし、萃香は笑わずにはいられなかった。

 

 

 「(こいつ最高だよ!暇つぶし程度でなんかじゃない。久しぶりの感覚が刺激する……これは喧嘩じゃ終わらせない!)」

 

 

 鬼として、伊吹萃香として今という時間は大切なものだった。今まで自分と戦ってきたのは()()()()()といったお遊びだ。異変を起こした時でも【スペルカードルール】に基づいての決闘だった。

 

 

 幻想郷内での揉め事や紛争を解決するための手段。『殺し合い』を『遊び』に変えるルールである。「弾幕ごっこ」と呼ばれることもあるが、攻撃が弾に限定されることもなく、スペルカードの技が弾幕である必要もない。妖怪の方が人間よりも圧倒的に勝っている部分がある。命の奪い合いで、お互いに傷つくことを避け、人間と妖怪のバランスを保とうとするのが目的である。

 萃香も博麗の巫女と戦った時はルールに基づいての決闘だった。確かに面白かったし宴会で酒も思う存分飲めた。しかし、心のどこかで物足りなさを感じていた。鬼という生き物は喧嘩が好きだ。戦うことで自分を生きているものだと実感できる。本気で戦い、勝ち、負けて消滅してもそれでいいとさえ思える戦いを欲していた。そして、今目の前にいる天人は容赦なく萃香に攻撃してきている。萃香は手加減などせずに、手が出せていないその事実に堪らないほどの喜びを味わっていた。

 

 

 天人はつまらない生き物だと思っていた。天界で暮らし、平凡でのんびりと長々と生きていく。酒もうまい飯もあるだろうが、喧嘩もない暇な世界に住む住人だと萃香は思っていた。天子が現れるまでは……

 萃香は天子から距離をとり、拳を鳴らした。体が喜びに打ちひしがれているように、体がいつもよりも軽く感じるほどだ。

 

 

 「いい男だね……誘っちまいたいぐらいだよ」

 

 

 萃香の口からこぼれ出る言葉。鬼である萃香に嘘はない。天子を見つめる瞳に輝きが灯っている。

 

 

 「それはありがたいが、まだ喧嘩の途中だろ?いいのか?やめても?」

 

 「ダメだ!途中でやめるなんて絶対ダメだからな。それと時間が勿体ないから、今話している時間すら勿体ない。よし!こっちだってやられてばかりじゃ気にくわない。お前を粉々に砕いてやるよ!」

 

 「ふふ……来い!」

 

 

 萃香はこう思った……

 

 

 

 

 

 

 「(出し惜しみなんてしていられるかよ……!)」

 

 

 

 

 ------------------

 

 

 

 

 「油断禁物だぜ」

 

 「てめぇ……!」

 

 

 油断禁物だぜ(キリ★)一度でいいからやってみたかった。そして、できちゃった。しかも、幻想郷トップクラスの鬼の萃香にカッコいい男のセリフベスト10ぐらいに入るだろう相手を挑発するセリフを言っちゃった。しかし私も油断してられない。鬼である萃香の体の丈夫さときたら困ったものだわ。それになんか火を付けちゃったみたいだし……

 

 

 「やりやがったなお前……確かに油断していたけど、私に二度も強烈なもんくれたのは久しぶりだよ。これは本当に久々に楽しめそうだね!」

 

 

 これは本格的に腰を入れないと私萃香にヌッコロされてしまいます……イケメン転生した私の人生をこんなところで終わらせるには勿体ない。修行して身に付けた力を存分に披露する時が来たようね!

 

 

 「比那名居天子だったけ?その名……覚えたよ」

 

 「伊吹萃香……こっちも覚えた」

 

 「へへ……さぁ!思う存分殴り合おう!!」

 

 

 萃香のストレート、ただ単純なパンチだけどあれに当たったら痛いで済むかな?あえて当たってみるか?もし体がぐちゃぁって音したら嫌だし、鬼の拳なんだから痛いに決まっている。避けることに専念し、隙を見て責め立てる。戦いとはそういうものだ。打ち出された拳こそ隙があるもの……萃香には悪いけど私の攻撃受けてもらいましょう!

 

 

 「ぐふっ!?」

 

 

 天子の拳が萃香の頬を打つ。だが、萃香は負けじと天子の拳を掴もうとするがそれは空を切る。

 

 

 萃香は私を捉えようとしているが無駄。私には萃香の動きが手に取るように読める。私は避けてもう一撃を萃香に食らわせる。

 

 

 萃香は打たれても笑っていた。ドMだと勘違いしないでほしいが、萃香は喜んでいるようだった。おそらく私は萃香の期待に応えられるほどの実力はありそうだ。修行してて鬼の萃香と戦えるなんて東方ファンとして感謝感激です!

 

 

 萃香は私から一旦距離をとると口にした。

 

 

 「いい男だね……誘っちまいたいぐらいだよ」

 

 

 萃香の口からこぼれ出る言葉に私もそう思う。私っていい男すぎない?元女の子の天子ちゃんですけど、イケメンである私がいい男じゃないとおかしすぎる。萃香が私を誘ってくれるのは嬉しいけれど、今はもっと戦いたい。私は意外と戦闘狂なのかもしれない……

 

 

 「それはありがたいが、まだ喧嘩の途中だろ?いいのか?やめても?」

 

 「ダメだ!途中でやめるなんて絶対ダメだからな。それと時間が勿体ないから、今話している時間すら勿体ない。よし!こっちだってやられてばかりじゃ気にくわない。お前を粉々に砕いてやるよ!」

 

 「ふふ……来い!」

 

 

 こうやっている私自身悪くはないと思った。

 生前とは全く違う生き方をしている。誰かの上に立つことも、人前に出ることも、喧嘩することなんて私には考えられなかった。しかし、今は上に立ち、人前に姿を現し、喧嘩している。真逆の人生を送っている。そして楽しんでいる自分がいる。喧嘩もまた一つの人生の醍醐味だと教えている気がしていた……

 

 

 「どりゃぁあああ!」

 

 「ふん!」

 

 

 萃香の攻撃を避けて天子は再び攻撃する。その攻防が繰り返されていた。

 

 

 「しゃあっ!!」

 

 

 萃香は再びストレートで攻めてきた。天子は同じ動作で拳を避けようとする。

 

 

 「(かかった!)」

 

 「な!?」

 

 

 私は後悔した。戦いに気をとられていて萃香の()()を忘れていたことに……

 

 

 萃香がいきなり霧状に変化して天子の後ろ側に回り込んでいた。【密と疎を操る程度の能力】これはあらゆるものの密度を自在に操ることができ、物質の密度を下げれば霧状になる性質がある。この特性を使い萃香は霧になることが出来た。それで、体を霧状に変えて天子の後ろに回り込んだというわけだ。

 そのことを忘れていた天子は判断が遅れてしまう。萃香は拳に力を込めた。

 

 

 「受けて生きていられるかな?」

 

 

 萃香の拳が振り向いた天子の腹に直撃した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰もが終わったと思った。鬼の拳をまともに受けて天子は吹っ飛んで大きな岩に激突し、砂埃を巻き上げていた。

 

 

 「伊吹様やりすぎだよ!?さっきの天人死んじゃったんじゃ……!?」

 

 「今のはまともに食らったわね……生きている方が異常だわ」

 

 

 にとりとアリスが哀れな天人を思う。鬼に挑まなければこういう結末を迎えることはなかっただろうと……

 

 

 「あやや!?いくらなんでもこれは記事にできませんよ。『鬼の四天王の一人伊吹萃香!喧嘩で天人を殺めてしまう!』ってのは見栄えが悪すぎますしね」

 

 「本気で思っているの?」

 

 「いくら天子さんが強くてもさっきの一撃は当たれば耐えられません。大天狗様でも耐えられないのに一人の天人()()()が耐えられるわけありませんって……」

 

 「そう……」

 

 

 文とパチュリーも心の中で合掌する。文の説明を受けたら納得するしかない。天狗である文は鬼のことをよく知っている。上司であり、いい意味でも悪い意味でもよく接してきたのだ。だから納得できたのだ。比那名居天子は萃香の拳には勝てなかったと……天人()()()が鬼に敵う筈もない。

 

 

 そう……比那名居天子がただの天人()()()であったのならば……

 

 

 「まさか……」

 

 

 パチュリーの隣にいる紫から声が漏れていた。パチュリーは発した意味の訳を理解できていなかった。

 

 

 がれきが動く時までは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼はジッと見つめる。今だに砂埃が舞う場所をただ単に見つめているだけだった。

 

 

 萃香は命が削られる程の威力を拳に込めた。そして、天子の腹にそれが直撃した。

 即死。鬼の拳を受けて立てる者などこの世にほとんどいない。ある者は内臓をぶちまけて散り、ある者は塵すら残さなかった。ごっこ遊びではない本気の拳が直撃したのだ。

 

 

 しかし、萃香は黙っていられなかった。

 

 

 「へ、へへ、へへへ……!」

 

 

 しばらくは黙っていたが、口が勝手に動いていた。萃香の口元が引き裂かれるように持ち上がる。

 

 

 「お前……本当に最高かよ!」

 

 

 笑いが止まらなかった。笑いたくて仕方なかった。興奮を抑えきれなかった。萃香は酔っていた。酒ではなく、戦いの興に……そして自分と対等以上に戦っている天人に……!

 

 

 砂埃が消え、がれきが動いた。そしてそいつはいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……流石に鬼の拳は痛いなぁ」

 

 

 ------------------

 

 

 私は萃香の拳を受けて盛大に吹き飛ばされてがれきの中にいる。まさか本当に自分でも耐えられるとは思っていなかったし、一瞬死んだかと思ったけれどそんなことはなかった。私は生きているぞー!!元天子ちゃんの体を更に強化したこの肉体には鉄壁という言葉が似合うようだ。決して絶壁ではない。

 

 

 元々天人の肉体は地上の人間とそう変わらない。元天子ちゃんが特別なのである。ゲームでも元天子ちゃんの元々の防御力は他のキャラと変わらないけど、防御力を上げることができる。この性質のため「硬い」と解釈されてしまい、貧乳化の原因にもなっているの。もう男だから関係ないけど元天子ちゃんの気持ちわかったかも……揺れない震源地とも言われたりするし……私かわいそう……

 しかし、私はそれを利用して肉体を徹底的に鍛えた。そうすることによって防御力を極限まで上げることに成功した。おかげで萃香の拳を受けても大丈夫だった。備えって大事ですね。だが、気を引き締めないとやばいと実感できた。萃香の拳がこれで終わりなわけはない。これ以上の力を発揮されると私だってオワタ状態になるかもしれないんだ。それに、これ以上元天子ちゃんのためにも醜態は見せられない。

 

 

 天子はゆっくりとがれきを持ち上げて退かす。辺りの砂埃が消えていき天子の姿がさらけ出した。

 

 

 「……流石に鬼の拳は痛いなぁ」

 

 

 痛いことは痛かった。今でも殴られた箇所がジンジンと痛む。そのおかげで闘志が湧き上がる気がしてくる。やっぱり私は戦闘狂になってしまったようだ。

 

 

 天子はがれきから降りて萃香の元へ堂々と歩いて来た。

 

 

 「へへ……私の拳を耐えるなんて……本当にいい男だね!」

 

 「鍛えているからおかげで生き延びることができた。それに、私は比那名居の名を持つもの。小鬼さんに負けてしまっては情けないからな」

 

 「小鬼だけど伊吹萃香って名前があるんだ。ちゃんと名前で呼んでほしいね。私もお前のこと天子って呼ぶからさ」

 

 「わかった萃香」

 

 

 萃香から名前で呼んでって言われちゃった!東方ファンの私にとってこれは嬉しいことだ。苦難に乗り越えてきた私へのご褒美というわけですね!わかりますわかります!これは萃香と男の友情が芽生えたのではないでしょうか!?……萃香は女の子だったわね。私も中身女の子だし……でも、萃香からの好感度はぐぐーん!っと上がったはず……私もしかしたら萃香とかと一緒に宴会に参加出来ちゃったり!生前はあまりお酒飲めなかったけど、この体なら問題ナッシングだし東方キャラ達と一緒に宴会したいなぁ♪

 

 

 「天子、ここから正真正銘の本気でいかせてもらうよ。思う存分楽しみたいしね!」

 

 

 萃香は本気の戦いをご所望ってわけね。OK!私だって引くわけにはいかないし、何より体術だけよりも()()()の方が私は得意だ。

 

 

 天子は何かを取り出した。それは柄と握り部分しかない剣だった。

 

 

 「それはなんだい?」

 

 「これは天人しか扱えない代物だ。緋想の剣というもので、私はこちらの方が得意分野なのだよ」

 

 「そうなのか?それでもいいよ。私は天子と本気の喧嘩を出来ればそれで!」

 

 

 武器を取り出して「卑怯者!」って言わないのがいいよね。私はやはり緋想の剣をベースに戦う剣術と体術を組み合わせたものの方が得意だった。だから私も出し惜しみしないし、萃香と戦って勝ちたい。私は比那名居天子として勝ってみせるわよ!

 

 

 【緋想の剣】に刃が現れた。

 

 

 天人と鬼の種族が違う二人の本気の戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「全くあの鳥頭め!手加減を知らないのかよ!」

 

 「うにゅ?手加減ってなに?」

 

 白と黒の衣装に身を包んだ箒に乗った少女は大きな羽を生やした娘には意味が理解できていないらしい。

 

 

 「本当に鳥頭だな……霊夢!観戦してないで手伝えよ!」

 

 「嫌よ、魔理沙がやるって言ったんだから早く終わらせてよね」

 

 

 霊夢と呼ばれた紅白巫女装束に身を包んだ少女は宙に浮かびながらこの勝負を観客のように見ていた。

 

 

 【博麗霊夢

 黒髪にやや高めの身長、袖が無く、肩・腋の露出した赤い巫女装束に身を包んだ少女。人間と妖怪のバランスを保ち、時には妖怪を退治する者のことを【博麗の巫女】と呼ぶ。その巫女が霊夢であり、幻想郷の守護者とは彼女の事である。

 

 

 【霧雨魔理沙

 片側だけおさげにし、髪は金髪、リボンのついた魔法使いが被るような帽子に、白のエプロンに黒の服、更には箒を所持している。霊夢と共に異変を解決してきた魔法使いだ。

 

 

 地底で起きた異変を解決するために二人はやってきていた。道中様々な妖怪と戦い最終地にやってきていた。

 

 

 「うにゅ!私は力を手に入れたんだ!だからいっぱい相手してあげるよー!」

 

 「ああもう!やってやるよ!この霧雨魔理沙様にかかればこんな奴すぐに倒してやるぜ!」

 

 「もう何分経っていると思っているのよ……」

 

 

 ため息をつく霊夢を尻目に戦いは再開された。地底ではもうすぐ決着がつくだろう……

 

 

 「……帰ったら温泉でゆっくりするのも悪くないかも」

 

 

 博麗の巫女と魔法使いの二人は地上で起きている出来事など知る由はなかった。

 

 


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