比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

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花映塚編でございます。


頂いたリクエストの前にやっておきたかったので……花と言えばあの方です。


それでは……


本編どうぞ!




東方花映塚 花の異変編
40話 花に誘われて


 「へぇ、盟友って伊吹様にモテモテなんだね」

 

 「そのおかげで監禁生活だったけどな」

 

 「ふぇっ?」

 

 

 私、比那名居天子は現在妖怪の山でにとりと将棋で対決中だ。にとりが私の言葉に()頓狂(とんきょう)な声を出したが気にしない。

 

 

 萃香が暴走して何日も経った。地底で住み込みで働く衣玖達はまだ帰って来ない。時々こいしちゃんが地底から抜け出してきて状況を密かに教えてくれる。地上の妖怪は地底に入ることは条約で禁止されているために紫さんかさとりさんの許可がないと出入りできないのだけど、こいしちゃんは能力があるから関係ないね。無意識って便利だなぁ……まぁ、こいしちゃんは無意識だから仕方ないし、私としても地底の様子を知ることができるのは特なので何も見ていないフリをしている。

 衣玖達は頑張っている様子だった。早く立て直して地上へと戻りたいらしいけど……どれぐらいかかるかな?私も地底に行きたいのだけど、橙が私の元へとやってきて、紫さんから預かった手紙を渡された。「あなたが行ったらまた余計なことが起こるから行ってはダメ」だって……紫さんからの初めての手紙がこれって……仕方ないな、ここは我慢しよう。その間は私が皆の代わりに頑張るしかないようだ。

 

 

 衣玖がいない間、私が衣玖の分の仕事もしている。改めて感じた……衣玖って私の秘書みたいに仕事をこなしていたけど私よりも仕事量多くない?軽く流して見てみたら私の通常よりも3倍ほどの仕事量でした……衣玖ってこんなに仕事抱えていたの?天界だからのんびり過ごしてもいいのに、真面目に仕事をこなしている姿を思うと申し訳ない気分になりました。本当にすいません……今度特別ボーナスでも出そう。

 妖夢の居ない白玉楼には藍さんと橙が妖夢の代わりとして働いていた。この前、遊びに行ってきたのだけど相変わらず幽々子さんの食事量が凄い。10人前なんてペロリとなくなってしまう……藍さんもそれに対応していて流石紫さんの式だと感心した。橙は橙なりに精一杯に藍さんのお手伝いをしていて心がポカポカした。でも、妖夢はずっと今までやってきたんだね……絶対いいお嫁さんになれるわよ。

 神子のいない神霊廟は意外と落ち着いていた。青娥さんは神子が地底で働いていることを知れば騒ぎ出す布都以外には真実を告げ、布都には神子が修行をしていると嘘をついた。布都は何の疑いもなく「我も太子様に追いつかなければ!」そう言って布都も毎日修行に明け暮れている。流石は青娥さんだと私は感服した。

 そして、萃香がいない博麗神社だが……いつも通りだった。賽銭が入っていない賽銭箱を覗き込む巫女の後姿を私は悲しげに見つめていた。魔理沙も居たのだが、地底でのお礼もしに来ていたので、賽銭箱にお金を入れると歓迎してくれた。しかも多めに入れたので中々質の良いお茶を出された……賽銭を入れていない魔理沙はただの水だけだった……それでいいのか霊夢?いや、それだからこそ霊夢かもしれないけど……そんなことを言えば私の頭が易者のように割られてしまうかもしれないので心の中に留めておこう。

 

 

 その他にも紅魔館では相変わらず仲良し姉妹のレミリアとフラン、チルノと大妖精で遊んでいた。今頃になると紅魔館は異変の時の忙しなさが静まり、フランも書斎で書類等を整理する毎日を送る日々は過ぎ去っていた。私が行方不明になって心配してくれていて心が温かくなった。そして私と丁度その時にこいしちゃんも居たので、皆でかくれんぼをした。それから追いかけっこなどもしてこいしちゃんも子供グループ(見た目)の仲間入りを果たした。その光景を見ていた咲夜達からも笑顔がこぼれていた。

 命蓮寺では精神統一の修行をさせてもらい、自分自身の心を鍛えてきた。聖さんはとても感心していたみたい。自分から修行をしたいと申し出る人物は少ないんだとか……無理もない。結構きつかった……正直足が痺れて平静を装うのが大変だった。マミゾウさんとも話をして外の世界で何をしていたのかも聞いてためになる話だった。人里で人形劇をするアリスを見つけてお茶に誘うと上海人形を触らせてくれた。「シャンハーイ!」と喋る姿がとても愛らしくてお持ち帰りしたいと内心うずうずしていたこともあった。

 他にも色々とあったが、大きな異変というものは起こっておらず、比較的に平穏な日々だった。しかし、原作が崩壊しているため次にどんな異変が起きるのか私の知識は役に立たない。

 

 

 比那名居天子、私と言うイレギュラーな存在がこの幻想郷の歯車を狂わせた。東方ファンだが、原作を潰してしまうという大罪を犯した……それでも私はこの世界で生きることを選んだ。私はこの世界が好きだ。原作とか関係なしに今、この場に居て、この世界の空気を吸い、仲間たちを一緒にいることが私の『東方』なの。私は今を生きていることが幸せなの。これからどんな異変や苦難があって、挫折や喪失感に襲われようとも必ず乗り越えてみせる。それが今の私……比那名居天子だから。

 

 

 「ねぇ天子、ボケっとしてどうしたのよ?」

 

 「ん?ああ、はたて……ちょっともの思いに(ふけ)っていてな」

 

 

 将棋の対戦相手はにとり、観客がはたてと椛だ。今は皆、休み時間なので自由にしている。はたては私が地底で何をしていたのか気になり色々と質問してきた。それで地底での騒動を語った。メモを取っていたし、ネタにでもするつもりなんだろうかね?

 ところで私がここにいるのは天界で仕事をしていたけど、気分転換にブラブラと散歩をしようとしたらはたて達を見つけて久々に会おうと思って妖怪の山にやってきた。実は私、妖怪の山に顔パスで入ることができるようになった。だって、萃香と勇儀に気に入られて天狗達はそのことを知っている。多分、文がどこからか情報を仕入れてばら撒いたのであろうね。天狗達も私のことを知っている者が多くなった……新聞の力って凄いわ。

 

 

 そう天子が感心しているとパチンと駒をつく音が聞こえた。

 

 

 「はい、王手だよ」

 

 「あっ」

 

 

 いろいろと思い返していて集中力が切れてしまっていた。積みになってしまい、勝敗はにとりに上がった。

 

 

 「天子さん残念でしたね。でも良い所まで行ったんですが……惜しかったですね」

 

 

 椛がそっと手を肩に置いて励まそうとしてくれていた。私落ち込んでないよ?でも、気を使ってくれる椛の優しさに涙が出ちゃう!

 

 

 「もう少しで盟友の勝ちだったのに気を散るから負けちゃうんだよ。戦いは力だけじゃなく、頭脳だけでもダメだ。両方備わっていても、最後は心で戦わないと」

 

 「そうだなにとり。にとりの言う通り心が乱れた私の完敗だ」

 

 

 あ~あ、負けちゃった。でも、有意義な時間を過ごしたわ。こうやって暮らすのも悪くないわね。おっと!流石に長居し過ぎたかな?そろそろ仕事の続きをしないといけないから帰らないと……

 

 

 「そろそろ私は帰らせてもらうとするよ」

 

 「中々いいネタをありがとう天子。今度私の新聞持ってきてあげるからね」

 

 「天子さん、また来てくださいね」

 

 「またな盟友~!」

 

 

 この3人とは気軽に話せる仲になっていた。自然と溶け込んで皆、私に慣れてくれて気持ちが楽だ。

 

 

 「ああ、楽しみにしているよはたて。にとりと椛もまたな」

 

 

 天子は妖怪の山から要石に乗り天界へと帰って行った。後にはたてが書いた新聞【花果子念報】がばら撒かれた。彼女のライバルポジションの文はこの時いなかったので、いいネタを先に取られて悔しがっていたらしい……そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふ~ん、噂の天人さんがまた新聞に載っているわねぇ……そろそろ実際に会いたくなってきたわ♪」

 

 

 花畑に囲まれて新聞を読んでいる女の口元が笑っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――それでこの花がどうかしたのか?」

 

 「いつの間にか寺子屋の前に置いてあったのだ。それも天子、お前宛ての手紙が添えてあったぞ」

 

 

 今日は人里に買い物に来ていた。大した買い物ではないのでのんびりと出会う人と会話を楽しんでいた。そうしたら慧音が私の元へ走ってきて寺子屋へ来て欲しいと頼まれて現在寺子屋にいる。そして、一つの植木鉢に入った花……真夏でもない季節の向日葵が咲き誇っていた。

 植木鉢から元気いっぱいに花を咲かせている向日葵と一緒に手紙があったと慧音は言った。何の変哲もない手紙のようだが、比那名居天子宛て、つまり私への手紙だ。それが何故寺子屋にあったのかはわからないが、見つけてもらいたかったのであろうと推測する。寺子屋には慧音が頻繁に出入りするのですぐにこの向日葵は見つかったのであろう……何となくだけど、送り主が誰だか分かった気がした。

 

 

 天子は手紙の封を切り読んでみる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『天界の変わった天人さんへ

 

  これを読んでいるならば太陽の畑に来なさい

 

  来ないと……わかるわよね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手紙に書いてあったのはこれだけだった。でも一度見たら忘れられない……もう誰が送ってきたのかなんて文章でわかっちゃった私ってヤバくない?ってか、あの方か……遂に来てしまったか……ああ、私は手紙を読んでしまった。無視することはできなくなってしまった。だって『来ないと……わかるわよね?』なんて書かれているんだから、もし行かなかった暁には最悪な展開が私の頭に思い浮かびました……いつかは会う定めだと思ってましたけど、今日ですか……買い物は諦めるべきだね。

 

 

 天子は見るからに元気いっぱいに咲いている向日葵とは対照的に元気がなかった。それもそのはずである、この向日葵の送り主を思うとこの後の展開が読み取れてしまったから……

 

 

 「天子、手紙には何て書いてあったんだ?」

 

 「手紙を読んだら太陽の畑に来いと書かれていた」

 

 「なっ!?」

 

 

 慧音は大層驚いていた。それもそのはずである、太陽の畑には幻想郷でも様々な花たちが咲き誇る美しい場所である。しかし、慧音は知っている……いや、幻想郷に住まう者達ならば誰もが知っている。その太陽の畑には凶暴な妖怪が住んでいることを……

 

 

 「天子、悪い事は言わない手紙の内容など無視すればいい。既に読んでしまったとしても読んでいないフリをすればいいんだ。手紙はどうしたのかと聞かれたら手紙は無くしたとかで誤魔化せばいいんだ。相手にわかるわけはないさ。()()()のところにはいかない方が身のためだぞ」

 

 

 ()()()とはあの方のことだろう。慧音ですら私を引き止める……相当この世界ではドSのようだ。慧音の言った通りに知らんフリをすることは可能だ。さとりさんのように心を読む能力はあの方には備わっていない。けれど、洞察力は鋭いと思いますよ。それにこの向日葵……あの方なら手紙を読んだか読んでないかを確認するために監視役を付けてもおかしくない……つまりこの向日葵は……

 

 

 「いや慧音、それは無駄だろう」

 

 「ん?どうしてだ?天子なら例えあの女でも白を切ることはできるのじゃないか?」

 

 「そう言うことではないんだ。きっと私達は今の会話を全部聞かれていると思うぞ」

 

 「な、なんだと!?」

 

 

 慧音は辺りを慌ただしく見渡している。もしかしたら近くに既に潜伏して会話を聞いているのではないかとそう思ったらしい。だが、私が言いたいのはそうではない……

 

 

 「慧音は彼女の能力を知っているよな?」

 

 「あ、ああ……『花を操る程度の能力』だったな」

 

 「そうだ、彼女なら花と会話することもできるだろうし、花を通じて他者の会話を聞くこともできるのではないかと思っているのだ」

 

 

 慧音は向日葵に顔を向けた。向日葵はまるでこちらのことを伺っているようにゆらゆらと風もないのに揺れていた。実際には動揺してそう見えていただけなのだが、慧音の心臓はバクバクと音を立てていた。もし天子の話が本当ならば先ほどの会話が筒抜けであったと言うことだ。話の内容が聞かれてしまい、自分が言ってしまった言葉を後悔していた。

 

 

 「て、てんしの言うことが本当ならば私は……!」

 

 

 血の気が引く。太陽の畑に住む妖怪の様々な噂を耳にする。どれもいい噂ではない、人間に対しても同じ妖怪に対してもいい印象を持たれていない。慧音は噂でその人物を判断するようなことはしないのだが、昔その妖怪が他の妖怪をいたぶっている場面に遭遇したことがあり、あの時の恐怖は忘れていない。実のところ、その妖怪のことは苦手意識が強い。人里では妖怪が堂々と歩く姿はほとんどない。少なくても人間に化けていることが多いが、あろうことかその妖怪は人里に堂々と入ってくる。こちらから手を出さなければ何もしないのだが、里の者達は彼女が現れるとみんな怯えてしまう。別に人間を食べに来たとかそう言うものではないのだが、誰からも近寄りがたい存在なのである。そんな妖怪の気分を悪くすれば自分はどういった目に遭うのか……自分だけならそれでいいが、周りの者に被害が出てしまったら……そんな恐怖を想像して顔が真っ青になっていると誰かに頬っぺたをつねられた。

 

 

 「いぎぎぎ!ふぇ()ふぇんし(てんし)!?」

 

 

 つねったのは天子だった。いきなりのことでどうしたのかと疑った。天子は慧音の頬っぺたから手を離して赤く膨らんだ頬っぺたを擦る。

 

 

 「悪かった慧音、怖がることはないさ。不安な顔の慧音を子供たちが見たら心配するだろ?無論、私も心配したからな。それに慧音は笑顔の方が素敵だ」

 

 「て、てんし……」

 

 

 天子はごめんと言って頬から手を離す。そうすると先ほどよりも頬が赤かった。体温も上昇しており、慧音はモジモジしている。

 

 

 「どうした慧音?」

 

 「お、おまえはそ、それだから誘拐なんてされたんだぞ!そ、そういう勘違いをさせることはや、やるんじゃないぞ!」

 

 

 慧音は顔を赤くして怒った。どちらかと言えば照れ隠しであったが……

 

 

 慧音はかわいい!異論は認めない!少し慧音で遊んでしまった……怒られてしまったがかわいい慧音を見れて満足だ。それに笑顔に戻ってくれたしこれでいい。さてと、おそらくだけど私が立てた仮説は当たっていると思う。この向日葵から妖気を感じる。微量ながらだけど妖気を混じらせている向日葵なんて知らない……意図的にそうしたと思う。手の込んだことをして、どうやら私に今すぐにでも会いたいようだね。会話を聞かれていたら行かざる負えないけど……

 

 

 「慧音、少し私は出てくるぞ」

 

 「……本当に太陽の畑に行くつもりなのか?」

 

 「ああ、折角のお誘いを断るなんて比那名居天子として許されないからな」

 

 

 天子は自分の意思を伝えると慧音はヤレヤレと諦めた。天子を止めることができないと理解したようだ。

 

 

 「全くお前は……でも一人は危険だぞ、誰か一緒に行ってくれる実力者じゃないと……」

 

 

 慧音は天子を一人で行かせるのは危険だと判断していた。しかし、太陽の畑に行きたいと願い出る者など誰もいない。せめて誰かもう一人戦えるだけの力を持った人物がいれば……そう思っている時だった。

 

 

 「おーい慧音、タケノコ持って来たぞ……お?天子か、新聞読んだよ。大変だったらしいな」

 

 

 そこに現れたのは妹紅だった。

 

 

 「おお妹紅!グッドタイミングだ!」

 

 「……はっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……すまない妹紅、慧音が私一人では危険だとか言うものだから……」

 

 「別にいいよ。慧音にタケノコのおすそ分けをしに来た後は予定は空いていたからな」

 

 

 慧音のお願いでもこたん……妹紅が私と共についてきてくれることになった。しかしそれだけではない……

 

 

 「いやー!天子さんって色々な方に人気があるのですね!羨ましいです♪」

 

 

 そしてもう一人……早苗がいつの間にか付いてきていた。

 

 

 「お前なんでいるんだよ?」

 

 「妹紅さん、そんな些細なこと気にしていたらシワが増えますよ?今だって白髪(しらが)だらけなのに」

 

 「うっさいわ!白髪(しらが)って言うな!白髪(はくはつ)と言え!ってかこのまま付いてくる気か?私達が向かっているのは太陽の畑でそこにいる奴に会いに行くんだぞ?」

 

 

 妹紅は早苗に警告していた。この先の太陽の畑に待っているのはただの妖怪じゃない。萃香のように幻想郷のパワーバランスを担う一人の妖怪がいる。しかも、友好的ではない……危険だと警告するが早苗はいつも通りに……

 

 

 「心配ご無用です。私こう見えても修行しているんですから!お風呂の中で息を止めたり、トランプでタワーを作ったり、玉ねぎをみじん切りにして涙が出ないように我慢するなど色々とやっているのですから!」

 

 

 天子と妹紅は微妙な顔になった。

 

 

 息を止めるのは良しとして、トランプでタワーってそれ遊んでいるだけじゃない!?玉ねぎをみじん切りって……それって修行って言えるの?まぁ、早苗だから何も言わないわよ……うん。妹紅だって突っ込まないでおこうって顔に書いてあるもん。

 

 

 「さぁ!天子さん、妹紅さん、私についてきてください!相手がどんな怪獣でもこの東風谷早苗が華麗に倒してみせますから!」

 

 

 そんなことなど知らずに何も気にせず先頭を胸を張って歩いていく。

 

 

 「守矢の巫女はどうしてあんなのなんだ?」

 

 「早苗には常識なんて通用しないさ。ハチャメチャだが、そこが彼女の良い所なんだけどな」

 

 「へぇ、結構見ているような言い方だな?」

 

 「早苗とは長い付き合いではないが、彼女の目を見ればわかる。常識には囚われない考え方が早苗の強みでもあり魅力だな。ああいう子は結構好きだ。妹紅は早苗のこと苦手か?」

 

 「そんなことはないんだけど……テンションについていけないよな」

 

 「宴会で酔っ払って慧音のモノマネを披露しようとしていたのにテンションがついていけないと?」

 

 「なっ!?お、おまえそのこと覚えていたのかよ!?あ、あれはなかったことにしてくれ……」

 

 

 照れる妹紅と他愛もない話をしながら目的地に向かっていた。そうしてしばらく歩いていると森から抜け出た私は驚いた。目の前には一面花だらけでどれもが美しく風に吹かれながら踊っているように見える光景が映っていた。

 

 

 「これは……なんて美しい景色なんだ……!」

 

 

 凄い……もう凄いとしか言葉が出てこない。一面花、花、花、花だ。色は様々だが、赤色に青色に黄色、それに合わさって白色も混じりあい綺麗だった。私も女の子なので花には興味がある。花を嗅いでみると甘そうな匂いで心が安らぐ……この花たちは本当に丁寧に育てられていることが見て取れる。

 

 

 「凄いですね天子さん!あっ!妹紅さんも見てください!虫が舞っていますよ!」

 

 「ああ、私もここに来るのは初めてだが……これは凄いな」

 

 

 天子達は花畑に感激してしばらくその光景を堪能していた。だが、誰かの足音がした。すると辺りの空気は一変し、重くのしかかるようなプレッシャーを体に感じた。

 

 

 ああ……来てしまったようだ……

 

 

 天子は振り返り、プレッシャーを放つ人物と目が合った。

 

 

 「いらっしゃい、待っていたわよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「変わり者の天人さん……♪」

 

 

 四季のフラワーマスターと呼ばれる女性がそこに立っていた……

 

 


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