比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

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最近また朝夜気温が下がって来たので体調管理に注意してください。作者は寒いの苦手なのでございます……早く暖かくなってほしい……


手洗いうがいは単純なことだけど大事大切!


世間話はこれぐらいにして……


本編どうぞ!




45話 修行の成果

 ここは【無名の丘】と呼ばれ、辺り一面には鈴蘭が咲いている場所である。そこに小さな影と大きな影があった。

 

 

 「あっ!幽香~♪」

 

 

 パタパタと向こう側からやってくる小さい影は大きな影の前で止まった。

 

 

 「メディ、元気にしてた?」

 

 「うん!幽香も元気してた?」

 

 「……ええ、私は元気よ」

 

 

 風見幽香は世間から恐れられている妖怪だ。だが、そんな彼女にも純粋に接してくれる存在がいた。それがメディスンであった。妖怪化してから間もないメディスンはひょんなことから幽香と出会う。何も知らないメディスンは幽香を恐れることなく近づいていった。初めは幽香の方は興味がない態度を取っていたが、妖怪化したばかりのメディスンには気にも留めなかった。それがいつの間にか接しているうちに、お互い何も気にせずに接する仲になっていた。

 

 

 「(私は幽香が見せてくれる笑顔が好き。私以外に見せることのない純粋な笑顔が好き……だけど……)」

 

 

 メディスンは幽香を見て不思議そうにしていた。不審に思った幽香がメディスンに聞いた。

 

 

 「どうしてメディは私の顔を不思議そうに見ているの?」

 

 「元気そうには見えなかったから、いつもの幽香じゃない気がする」

 

 「……そう……」

 

 「幽香?」

 

 

 空を見上げて雲を眺めていた。その瞳は背の低いメディスンからは見えなかったがどこか遠いものを見ていたような気がした。なんだかその様子を見ていると居ても立っても居られなくなった。幽香を元気づけようと頭に手を伸ばそうとするが、背の低いメディスンでは当然届かない。つま先立ちをしても到底届く距離ではなかった。一生懸命に腕を伸ばしても届かない手をそれでも届かせようとして思いっきり背伸びをする。人形であるはずのメディスンの顔に汗が流れている気がした。

 

 

 「ぐぬぬぬッ!」

 

 「……何やっているのよメディは?」

 

 「幽香を元気づけようとしているの!頭撫でてあげるんだから!」

 

 

 頑張って幽香の頭に手を伸ばそうとしているメディスンを見下ろしている幽香に笑みが浮かぶ。必死になっているメディスンの頭にそっと優しい感触が伝わる。

 

 

 「メディありがとう、あなたの気持ちは嬉しいわ」

 

 

 メディスンは幽香に撫でられるのが好きだ。自分を満たしてくれている、捨てられたメディスンにとって肌のぬくもりは必要とされていた頃のように温かさを感じさせてくれるからだ。しかしいつもの感触とは違う違和感が伝わってきた。

 

 

 「……幽香、やっぱり元気がな……」

 

 「――なんでもないのよメディ……なんでもないのよ……」

 

 

 メディスンが言おうとしたことを遮ってしまう幽香……その表情はどことなく寂しそうであった。

 

 

 「(やっぱり幽香は元気がない……一体何が幽香をそんなにさせたの……?)」

 

 

 なんでもないと言い張る幽香にそれ以上のことは聞くことはできなかった……

 

 

 ------------------

 

 

 「さぁ、今日から本格的な稽古に入って行くわ。準備はできているわよね?」

 

 「ああ、よろしくお願いします」

 

 「うむ、天子は受ける態度がわかっているわね。霊夢は適当な返事で『はいはい、わかりましたわかりました~よ』って言いながらまともに修行する気もないのにこっちが口出しすれば『うるさいわよ説教魔!』とか言って来るんですよ!酷いと思いませんか!!」

 

 「霊夢らしいな、相変わらずの修行嫌いだな」

 

 

 プンプンと手を上下に振って抗議する華扇さんの姿に笑みが出てしまうわ。だって今の華扇さん子供っぽくてかわいいもん♪大人ぶっているけど実は華扇さんは子供的なところがあるみたい……ギャップ萌え最高よね!()でたい気分になっちゃうわ♪

 

 

 「あの子には困ったものだわ……ああ、ごめんなさい。愚痴るつもりはなかったのだけれど……」

 

 「気にしてないよ。誰だって愚痴りたい時はあるんだからな」

 

 

 私だってさとりさんと話した時に愚痴を言い合ったから気持ちはよくわかるわ。さとりさんの愚痴を聞いているとね、とてもさとりさんが不憫で仕方なかった……地底の苦労人は伊達じゃない。

 

 

 「そう言ってくれるとありがたいわ。それじゃそろそろ始めましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華扇さんの修行は厳しいものでは言い表せないような過酷さだった。

 

 

 まず基礎体力作りである腕立て伏せ&腹筋をさせられた。しかも回数が10000回と言う鬼畜だ。勿論それぞれ10000回ずつである。転生してトレーニングに励んだけれど、私だって一度にこれ程やったことないわよ。でも私は元々体力はあるし問題はなかった。それからランニングでペースを落とさずに東京ドーム10週分程の距離を走れなど、水中での呼吸を我慢しろなど、熱々の土砂に手刀突きを10000回しろなど……これは映画ですかね?っと言いたくなるような困難な修行であった。私だって今まで自主的に修行して来たけどここまでハードな修行はしたことがなかった。

 

 

 ……なにこれ……?修行と言う名のパワハラですかねこんちくしょう……

 

 

 初日は肩で息をしながら何とか終わらせた。なんやかんやでキッチリと修行内容をこなした私を褒めてほしいわよ……マジで。それで教えている時の華扇さんは鬼教官であった。まぁ、彼女にはピッタリですね。何故ピッタリかとは知っている人はわかるでしょ?

 まぁ、それは今は置いておいて……修行中は『何をたるんでいるの!』とか『その程度なのか!己の限界を超えてみせなさい!』や『貧弱すぎるわ!!』など言葉の棘を投げかけられた。普通の人ならここで諦めるけど私は諦めない……諦められないから最後までやり遂げた。私には為したい目的があったから……

 

 

 【風見幽香と親友(とも)になること】

 

 

 これが今の私の目的だ。

 

 

 萃香のように戦って示さないといけない……それが幽香さんに認めてもらえるための最低条件だ。ギャルゲーで言うと最高に落とすのが難しいヒロイン系なんですよ幽香さんは……でもそれが良いんですけどね♪攻略し甲斐があるわ。理想(ゲーム)でギャルゲーをする時代は終わったのよ、今度からは現実(リアル)でギャルゲーをする時代に変わったのよ!絶対に幽香さんを攻略(親友(とも)になってみせる)してみせる!

 そのためにもこの修行で私自身に鞭打つ必要がある。こんなところで止まる訳にはいかないのよ!

 

 

 初日はボロボロのヘトヘトになりながらも何とか終わらせ食事と入浴をした後は布団に倒れ込み夢の中へと旅立った。もう何も余計なことなど考えが起こらずただ眠った。

 次の日もハードな内容だった。米一粒に華扇さんが文字を書き、それを森の中へと投げ飛ばした。そしてそれを見つけてなんと文字を書いたか教えろと言うものだった。

 

 

 鬼畜!まさに鬼畜であった!けど私は見つけた!日が沈み、すぐに太陽がまた上がって今頃は皆が『おはよう』と言っている頃に小さなとても小さな米粒を発見した。結果、徹夜した私はフラフラになりながらも屋敷に帰ることができた。ちなみに米粒に書かれていた文字は【米】であった……何も言えないわ……

 流石に徹夜したんだし寝ることを許された。勘違いしないでほしいのは華扇さんは修行中以外は基本的に優しいのだ。修行が終わった後は心のケアをしてくれるし褒めてくれる。特にマッサージとか最高に気持ちいいのだ。

 華扇さんの手はやはり少し硬い感触だったけど、触ってみると温かく優しい手だった。私が手をじっくり観察しているときの華扇さんが顔真っ赤でかわいらしかった♪これも私にとっての癒しの時間となっていたわね。

 

 

 そんな修行を続けてきた。天界の方はどうしているだろうかと気にもなったが、華扇さんのペットである鷲の竿打が見に行ってみると相変わらずのんびりと平和であるらしい(動物の言葉はわからないので華扇さんが竿打の仕草から読み取ってくれていた)

 事情を話しているから皆大人しいのね。無断で出てきたらどうなっていた事やら……想像したくないわね。

 

 

 そして今日も厳しい修行を行おうとしたそんな時だ。

 

 

 「天子、今日は修行の内容を変更します」

 

 「今日はどんなことをすればいいのだ?」

 

 「……私と手合わせしなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 屋敷の庭で執り行われることとなった修行、華扇さん自ら相手にしてくれるようだ。私もやっぱり修行相手がいないのは物足りないと感じていた。だからと言って今までの修行が決して無駄になることはなさそうだ。基本はどこでも役に立つし、日常生活の一つ一つの事に意識を向けて生活しているだけでも精神と注意力を鍛えられる。そして厳しい修行の日々で授かった経験を得て、私は以前よりもレベルアップしているに違いない。華扇さんは私が初めよりもどれほど強くなったか見極める気でいるのだろうか?とにかく、手を抜く気はないし、思う存分自分がどれほどレベルアップしたか確かめるいい機会だ。

 

 

 「修行の一環だからって手加減は無しよ」

 

 「ああ、わかっている」

 

 

 向かい合う二人……お互いに礼をして構え合う。それを見守る華扇のペットたちの虎の彭祖、鷲の竿打と久米。

 お互いに武器は無し、肉体と体力がものを言う試合になるだろう。

 

 

 肉体の強度なら問題ないはずだけど、華扇さんも正体は()()だからね……まぁ、何とかするしかないか。

 

 

 二人の間に一陣の風が通り過ぎた。

 

 

 「でぇやああああああ!!!」

 

 

 それが合図となり先に仕掛けたのは華扇の方であった。大地を蹴り、天子との距離をつめる。

 

 

 態勢を低くして懐に飛び込んで天子に一撃を加えんと拳を振るうが、そう簡単に打ちのめされるような天子ではない。バックステップで後退して間合いを保ち相手のペースに飲まれないようにする。それでも華扇は手を休めることもなく追撃に入る。

 

 

 「ふん!せえぃ!」

 

 

 再び接近して拳を振る。今度は後退できずに咄嗟にガードする。触れた瞬間に重い一撃が肌を通して天子の脳内に伝わる。

 

 

 流石華扇さん、これほどとは!?まともに受けたらこっちが持たないわね……持久戦には慣れているけどジリ貧になってしまいそうだ。ならば取る行動は攻めて、攻めて、攻めまくるのがいい!!

 

 

 天子は行動に出た。華扇の一撃を受け流し、攻めに転じた。

 

 

 「――はっ!」

 

 「まだまだ!」

 

 

 天子の拳は華扇によって受け流された。しかし直後に華扇は身体に痛みを感じる。

 みぞおちに天子の回し蹴りが入り華扇は飛ばされた。

 

 

 「――ぐっ!?」

 

 

 痛みを感じたが一瞬の出来事だ。すぐに体勢を立て直して天子を見据える。

 

 

 「今のはいい一撃でした。流石ね」

 

 「そういう割には平然としているように見えるが?」

 

 「私はこう見えても我慢強いのですよ」

 

 

 我慢強い……ね……当然と言えば当然なんだろうけど、萃香と同じでタフさは想定内だ。倒せるか……?いや、倒すかどうかなんて今考えている時ではない。今は何としても己を鍛えて強さを身に付けなければならない。負けたとしてもそれは教訓になる。この修行で己の修正点を見つけ出さないと!

 

 

 「ふむ、更にいい目になりましたね。成し遂げたい目標があるのはとてもいい事ですよ。それに向かって突き進むことが強さに繋がるのですからね」

 

 「ああ、華扇さんとの修行で私は更に高みをかけてやるつもりだからな」

 

 「ふふ、本当にいい目ですよ天子」

 

 

 華扇は知らず知らずのうちに笑っていた……

 

 

 ------------------

 

 

 「「はぁ……はぁ……」

 

 

 お互いに息が切れていた。あれから何時間も拳を交えながら攻防戦を繰り返していた。もう何発殴り何発殴られたかも分からない。お互い全身ズタボロで披露しきっていた。だが、お互いに心から込み上げてくるものがあった。

 

 

 「「(楽しいな……!)」」

 

 

 お互いに笑っていた。楽しくて仕方なかった。体中がズタボロであっても関係なかった。否、寧ろズタボロだからこそ楽しくて仕方なかったのかもしれない。

 

 

 「や、やりますね……はぁ……はぁ……この私がここまで息が乱れたのは久しぶりですよ」

 

 「こっちももうそろそろ限界だ……はぁ……はぁ……次で終わりにしよう」

 

 「そうですね……はぁ……はぁ……では……いきますよ!」

 

 「――っ!ああ!!」

 

 

 長く続く闘いもやがて終結の時が訪れる。もう残されている体力は残り僅か……一撃分しか繰り出すことができる体力しかない。

 表情を引き締め、互いにその右拳に残りの力全てを込める。

 

 

 「はぁあああああああ!!!」

 

 「でぇやああああああ!!!」

 

 

 ありったけの力を込めた一撃が繰り出された。お互いに避けることもできずに、お互いの拳は顔面で受け止め、二人は直立不動のまま動かない。

 

 

 風も止み、周りには音一つとして聞こえてくることはない静寂が支配した。試合を観戦していた彭祖らの動物たちもこの光景に釘付けになっていた。

 

 

 「あがぁ……」

 

 

 先に体が傾いたのは天子の方だった。そのまま体勢を崩し、膝を付く。

 

 

 「うぐぅ……」

 

 

 数秒の後、華扇の体がぐらりと揺れて体勢が崩れる。

 

 

 そしてそのまま華扇は地面に倒れ伏した。

 

 

 「み、みごと……でした………天子……あ、あなたの……勝ち……です……」

 

 「華扇さんも……とてもいい拳……だった……」

 

 「ふふ……悪くない……試合でした……よ……」

 

 

 華扇はそのまま意識を失った。

 

 

 ------------------

 

 

 暗い世界……辺りには何も見えない暗黒の空間で一人ポツンと立っている者がいた。

 

 

 ここは……真っ暗な空間ですね……

 

 

 華扇は辺りを見回した。何もない、あるのは暗闇だけの空間……

 

 

 私は夢か幻を見ているのでしょうか……?それに私はさっきまで天子と一緒に居たはず……?

 

 

 先ほどまで華扇は天子と試合をしていたはずなのにいつの間にかここにいた。すると自然に考えられることはこれは夢か幻を見ていると言う結論に至った。しかし、何故と思う所があった。

 そんな時に華扇の耳に何かが聞こえてきた……

 

 

 『「人間め!卑怯な真似をしやがって!!」』

 

 

 聞いたことのある声……かつての自分と関りが深かった人物の声だった。

 

 

 『「あれだけ一緒に語り合ったのに!騙したのか!お前の言ったことは全部嘘だったのかよ!?」』

 

 

 悲痛な叫びだった。その声はかつて同士であり、友でもあった者の声だった。そんな者の悲痛な声に自然と胸に置いた手に力がこもる。

 

 

 憶えている……私は物陰でそのことを見ていたし聞いた……人間と楽しく酒を飲んでいた()()()の笑顔が消える瞬間を見た……

 ()()()……怒っていた……それ以上に……

 

 

 

 

 

 心が泣いていた……だから()()()は地底に行った……

 

 

 華扇は暗闇を見つめている……彼女にはそこに何かの光景が見えているようだった。

 

 

 『「人間は卑怯だよ……せこい手で勝って喜ぶ……私達の気も知らないで!」』

 

 

 今度は先ほどと違う声……こちらも怒りを孕んだ声だった。

 

 

 私達は自分勝手だった。相手は人間……私達は我が儘だった。自分達の価値観が当然とばかりに相手に押し付けて気に入れば酒を……気に入らなければ死を与えていた。褒美に金銀財宝を用意していたこともあったがありつけるのはごくわずかの人間だけ。ほとんどは己の命が大事で私達を()だとは見てくれなかった……

 戦いが楽しい、命をかけることに喜びを感じる……そんなことのために人間達が付き合うわけはもなく、いつしか人間は私達から離れて行った。そして人間達は生き残るために策を練った。私達はそれを【卑怯】と言った。何が【卑怯】だったのかと今では思うところがある。

 力の弱い人間からしたら生き残るための手段でしかなかったのに私達はそれを罵った……私達は傲慢で我が儘だったのだ。私達の元から人間が離れていったのは当然の結果だったのかもしれない……

 

 

 あの頃を思い出していた……でも今になって思い出すなんて……私は一体どうしたのかしらね?

 

 

 次第に華扇の意識は薄れていき、気がついた時には布団の中に居た。

 

 

 「……夢でしたか……」

 

 

 布団から起き上がる。ズキリと体に痛みが生じる。

 

 

 「――!やれやれ、やってくれましたね……」

 

 

 痛みを感じた体を見れば丁寧に包帯が巻かれていた。この屋敷には華扇以外に居るのは動物と天子だけだ。天子が華扇の体に包帯を巻いて手当をしたのであろう。

 

 

 「ふふ、いい戦いでしたよ……」

 

 

 笑みが浮かび体が喜びで震えていた。

 

 

 夢で思い出した。あの頃は今日みたいな感覚でいっぱいだった。挑み挑まれ、戦い勝ち、酒を片手に語り合ったあの頃に感じていた気持ちが思い出されていた。

 天子との戦いの中で感じたのは……楽しみだった。

 

 

 「喧嘩なんてしたのはいつ以来だったっけね……憶えていないわね。それにしても私はまだまだね、立派な仙人になるために修行をしているのに私情に走ってしまい楽しんじゃうなんて……」

 

 

 だが、悪くない……そう不思議に思えた。痛みを感じるたびに湧き上がってくる楽しみを噛みしめて殴り合った。その時の姿は仙人とはかけ離れた姿であったと今ではそう思う。天子と殴り合っている時の私は()()()()()()()()()()……

 

 

 華扇は頭のシニヨンキャップに触れてしみじみと思っていた。

 

 

 「あっ!そういえば天子はどこに……?」

 

 

 屋敷には誰もいる気配はなかった。動物たちもどこかに行っているようであった。

 

 

 「みんなどこに行ったのかしら?屋敷にはいない様子ですし……仕方ないわ。先にお風呂に入らせてもらいましょうか」

 

 

 華扇は服と包帯を脱ぎ始めて脱衣所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「皆すまなかった。手伝ってくれて」

 

 

 天子は森の中から帰って来た。彭祖らも一緒だった。天子は華扇を屋敷へ運んだ後、風呂炊きに必要な薪が残りわずかになっていたのに気がつき薪を手に入れるために森に向かおうとしたのだが、彭祖らが心配で護衛についてきてくれていた。天子は華扇との戦いで疲労しきっていたのでありがたかった。それに荷物持ちも欲しいと思っていたところなので共に森へと向かったのであった。

 

 

 大量の薪を担いで帰って来た天子達。帰って来るとお風呂場から湯気が上がっていた。

 

 

 「華扇さん、お風呂に入っているようだね。薪を取って来て正解だった。今の内に晩飯の準備に取り掛かるとするから皆、すまないけどもうひと頑張りしてくれるかな?」

 

 

 天子と彭祖らは既に仲良く打ち解けていた。天子の言うことに素直に従ってくれるために大助かりだ。

 

 

 「(今日は楽しかった……色々と自分の悪い所を知ることができたしいい一日だ。華扇さんに感謝だね。さてと今日は疲れたし精のつく料理でも作るかな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わ、わたし……体に包帯が巻かれていたということは……て、てんしに……は、はだかを……みられた……!?」

 

 

 お風呂場でジタバタと羞恥に悶える全裸仙人がいたという……

 

 

 お風呂から上がって来た華扇は天子に詰め寄り説教されていた。

 

 

 「(良かれと思ってやったことが裏目に出た……説教長すぎです……華扇さんに『でも安心してください。私中身女の子ですよ!』って言ってみたらどうなるかなぁ……許してくれるかな?)」

 

 「天子!説教されているのによそ見とはいい度胸ですね!女子のは、はだか……を見るなんていやらしいことです!反省しているのですか!?」

 

 「華扇さん……実は私(中身が)女の子なのですよ」

 

 「……はぁ?いきなり何を言いだすのですか?天子嘘をつくならマシな嘘をつきなさい!って言うか嘘をつくとはどういうことですか!私に勝ったからと言って調子に乗り始めていますね!これはみっちりこってり叱らないといけないようですね!!」

 

 「(正直に言ったのに……現実は非情である……神は無慈悲だ……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぶわっくしょん!」

 

 「へっくち!」

 

 「うわぁ……神奈子様、諏訪子様クシャミとか汚いからやめてください。どうしたんですか風邪ですか?」

 

 「いや、なんだか神は無慈悲とか聞こえたような気がしたんだがな……」

 

 「私も神奈子と同じく……」

 

 「はぁ?神奈子様も諏訪子様も大丈夫ですか?誰もそんなこと言ってないのに聞こえるとか非常識過ぎますよ?」

 

 

 「「早苗が言うな」」

 

 

 天子は朝方まで正座させられ説教を受けていたとか……

 

 

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