比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

60 / 89
結婚騒動も終幕に近づいてきました。一体何が起こるのか……


それでは……


本編どうぞ!




59話 祝福は白かそれとも黒か

 「総領息子様、とてもお似合いでございます」

 

 「そ、そうか?」

 

 「ええ、とてもとてもお似合いでございます」

 

 

 皆さん、私こと比那名居天子です。今なにをしているのかと言うと結婚式に欠かせない花婿衣装を試着しているところです。それでお付きの方に色々と試されていたんですけど……その中で私に似合った服がどれかを選んでいるの。そして今しがた私が着ている服……タキシードって言うやつかな?それを着てみるとお付きの方に大絶賛されているところです。

 ……って言うかここまで本格的にする必要あったのかな?花婿姿を見たいのと私のために体験させてもらえるのはありがたいと思うのだけれど本格的過ぎるのよね。親族の方々が何かを読んだり、お祝いの言葉を送ったりすることなどあったはずだけど、結婚式自体どんなものかよくわからない……結婚なんてしたことないし転生前の私にとっては無縁のものだったからね……人生わからないことだらけね。

 なんにせよ、練習が本番さながらになっているってこと。もう気にしちゃ負けかなって思ってる。もう激流に身を任せ同化しよう……うん、そうしよう。

 

 

 「似合っているならば……いいか……それより父様と母様は?」

 

 「旦那様と奥方様ならば別の部屋で甘えております」

 

 

 くっそ!こんなところでバカップルぶりを発揮しないでほしい!って言うか誰も止めないの!?誰でもいいから止めてくれないの!?私の心からの訴えは虚空に消えるんですね……わかりますわかります……もう身を任せる以外の選択肢はやっぱりないんだわ……現実って非情だわ……

 

 

 天子が親バカの二人のことで嘆いていると部屋をノックする音が聞こえてきた。

 

 

 「総領息子様、茨木様がお見えになりました」

 

 

 おや?華扇さんが?準備が終わったのかな?

 

 

 「わかった。通してくれ」

 

 「かしこまりました」

 

 

 扉の向こうでガサゴソと音が鳴り……

 

 

 「し、しつれいしましゅ!」

 

 

 噛んだ……

 

 

 華扇さんの声だ。だけど入ってくる気配がない……どうしたのかしら?

 

 

 しばらく待っていると再びノックする音が聞こえてきて……

 

 

 「し、しつれいします!」

 

 

 今度はちゃんと言えたようだ。

 

 

 わざわざ言い直さなくてもいいのに……そういう真面目さは華扇さんだな。まぁ、ちょっとしたお茶目でかわいらしいところもあるけどね。

 

 

 そう思っていると扉が開かれた。開かれた扉の先を見た天子は釘付けになってしまった。

 

 

 …………………………………………

 

 

 ……………………

 

 

 …………

 

 

 ……えっ?

 

 

 天子はそれしか思えなかった。いや、頭の中が真っ白になったと言っていい……何故なら扉を開けた先には純白のウェディングドレスを身に纏った花嫁姿の華扇がそこに居たからだ。普段見ることのない姿に不意打ちをくらってしまった天子はその姿を見て目が離せなくなって言葉も出て来なかった。

 部屋に入って来た華扇はウェディングドレスを身に纏っているので少々動きづらそうにしていたが、なんとか天子の前にまでやってきた。

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 

 二人の間に沈黙が流れる。何を察知したのか周りのお付きの方々はそっと部屋から出て行った。控室には天子と華扇の二人きり。

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 「……ど、どうですか……?に、にあって……ます……?」

 

 

 自信なさげに言葉を発する華扇の頬は赤く染まりチラチラと天子の目を見ては逸らしてしまう恥じらいの姿。しっかりとした仙人である茨木華扇でも、鬼畜な修行を与える鬼教官の茨木華扇でもなかった。ウェディングドレスに身を包み、羞恥に恥じらう乙女一人がこの場にいた。

 

 

 「……」

 

 

 呆然とし続けている天子に我慢ができなくなったのか華扇の頬を膨らませ、オペラグローブをつけた指先で天子の頬をつまむ。

 

 

 「わ、わたしの姿を見ても感想は無しですか!」

 

 「いひゃいいひゃい(いたいいたい)!」

 

 「もう!……そ、それで……か、かんそう……は……?」

 

 

 ……綺麗だ……

 

 

 「……きれいひゃ(きれいだ)

 

 

 思ったことがそのまま口に出た。それ以外に出て来なかった……今の華扇の姿は綺麗という言葉が似合っていた。余計な言葉など要らない乙女……それが今の彼女だ。それを聞いた華扇は満足したのかつまんでいた頬を離した。つままれていた天子の頬は赤く腫れていたのだが、それよりも赤くなっていたのは華扇の方であった。体温の上昇も見て取れ目も落ち着きがなくソワソワしているようだった。

 

 

 「……綺麗……ですか……私の姿が……?」

 

 「……ああ」

 

 「……ホントに……?」

 

 「……ああ……ホントだ」

 

 「……ホントに……本当ですか……?」

 

 「……ああ……ホントに……本当だ」

 

 「……そ、そうですか……」

 

 

 そう言うと天子の視界から逃れるように背を向けてしまう。背を向けても首や肩の直接肌が見える箇所は赤く火照り、少し呼吸が荒くなっている印象を受ける。一言で言えば……その姿がとても色っぽく感じてしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ヤバいわ……鼻血が出そうだわ……!

 

 

 だってこんなの卑怯じゃない?いきなり華扇さんがウェディングドレス姿で現れて頬を赤く染めて『「……ど、どうですか……?に、にあって……ます……?」』なんて言われちゃったら、女の子であろうとも私のMy Heartをキューピットがズッキューンしちゃうわよ!!完全に不意打ちでしたよ……写真とかでウェディングドレスを身に纏うモデルさんなんか見たことあったけどまさか現実にこの目で見ることに!しかも華扇さんのウェディングドレス姿を拝めることができるなんて……結婚式だから当然と言えば当然なことなんだろうけど眼福よ!ああ……ありがたやありがたや~!これで私の人生……我が生涯に一片の悔いなし!!

 いや、いっぱい悔いが残っているわ!また美味しいお饅頭も食べたいし、東方全キャラと遭遇&好感度アップイベントをこなしていないままではハッピーエンドになんてたどり着けないし、ハッピーエンド&トゥルーエンドじゃないと絶対に嫌!だから私はまだ天に召される時ではない!って言うかここは天界か……もう天に召されていたわね。

 

 

 まぁ何がともあれ……華扇さん綺麗だ。同じ女性であるのに圧倒的な差を感じる。私の肉体が男性だってこともあるけど、着飾ったウエディングドレスは光を反射して宝石のように輝き、宝石を身に纏ったように綺麗……そしてそれに負けない華扇さんの肌の艶、修行してついた適度な筋肉、プルンとした唇に忘れもしない優しい瞳がいつも以上にインパクトを与える。

 女性ってウェディングドレスを着るとここまで変わるのかとそう思った。仙人からお姫様に変わっていた。初めて見た時は言葉を失ったぐらいに見惚れてしまった。本当に美しいと感じると同じ女性であっても見惚れちゃうのよね……ちなみにちゃんとシニヨンキャップはつけているわよ。おそらくだけど華扇さんあれは外したくないと言ったに違いないわ。何故って?それはまだ後のお愉しみよ。今はまだ知るべき時ではない……

 

 

 その話題はまず置いておこう。知る時まで待っておこう……

 

 

 それにしても不思議な感じね、本当ならば私もウェディングドレスを身に纏う方なんだけど、タキシードを身に纏っているの。体は男性になっても心は転生前の私そのもの。どうせだったら心も男に変えてほしかったかもしれない……待てよ、心まで男になってしまっていたらもしかしたら今の今までで取り返しのつかないことが起こっていたかもしれない。特に萃香がヤンデレた時は……そう思うと今のままが一番いいとさえ思える……うん、今のままが一番よね。ムラムラして襲い掛かってリアル人生お終いなんて言う事にならなくて済むのだから。もし私の中身が男だったら今の華扇さん……獣になって襲ってしまいそう……

 

 

 『「下半身の緋想の剣を突き刺してヒィヒィ言わせようぜぇい!!!」』

 

 私の脳内で野生(ビースト)天子がアップし始めていたように感じたが……無視しようと決めた。あいつだけは表に出してはならないと心に決めたから。

 

 

 色々と華扇に思いを募らせていると扉をノックする音がまた聞こえてきた。

 

 

 「天子、入るぞ」

 

 「天子、ママも入るわよ~♪」

 

 

 扉を開けて入って来たのは天子の両親だった。そして二人を見るないなやテンションが上がり……!

 

 

 「おお!見ろママ!!天子の花婿姿だぞ!!!」

 

 「感激だわ~♪華扇ちゃんもウェディングドレス姿が似合っているわよ~♪」

 

 「あ、ありがとうございます」

 

 

 華扇は褒められてにやけてしまいそうになるが我慢する。はしたない姿は見せまいと彼女なりに頑張っているのだ。

 

 

 「やっぱりパパの子だな、カッコいいぞ天子!」

 

 「うふふ♪ママ的には天子はかわいいわよ~♪」

 

 「は、はずかしいです……!」

 

 

 うぅう!父様母様それはいかんですよ~!褒めてもなにも出ないのに……でも悪い気はしないのよね♪バカップルでも私のことを見てくれるし、いつも私のために行動してくれる父様と母様……私は転生者ですがあなた二人の子供になれてよかったと思ってます。父様と母様が喜んでくれたなら私は満足よ。

 

 

 「旦那様、奥方様そろそろお時間でございます」

 

 

 お付きの方がやってきてそろそろ始める頃だと伝えに来た。

 

 

 「うむ、わかった。それでは晴れ舞台の練習といこうじゃないか!天子、華扇殿、待っているぞ!」

 

 「二人共後でね~♪」

 

 

 二人は部屋から出ていき準備に取り掛かるようだ。

 

 

 「私達もそろそろ準備しないといけないな」

 

 「そうですね天子」

 

 

 そう言って華扇が部屋の扉へ向かった時だった。華扇が立ち止まった。前にいる華扇が立ち止まってしまったのでどうしたのかと聞こうとしたのだが、急に方向転換して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギュッ!

 

 

 天子の胸に抱き着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ふぁ!?な、なにごと!!?

 

 

 いきなりのことだったので訳がわからなくなっていた天子は抱きしめられるままであった。

 

 

 「……好きよ……天子……

 

 

 耳元で囁かれた言葉……何を意味するのだろうか?

 

 

 「華扇……さん……?」

 

 

 抱き着いていた華扇はその抱擁を解いて天子に振り返らないまま無言で部屋を出て行った。

 

 

 …………………………………………

 

 

 ……………………

 

 

 …………

 

 

 ……華扇さん……どうしたの……?

 

 

 天子は金縛りにあったようにその場から動けなかった。

 

 

 ------------------

 

 

 私は何故あんなことを言ってしまったのでしょう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「大変よく似合っております」

 

 

 そう言われて一度でいいから着てみたかったウェディングドレス……しかし自分の姿を鏡で見ると不安を覚える。いつもの恰好とはかけ離れた派手で純白の姿、頭のシニヨンキャップだけは取り外すことを断ったけど……これが私自身かと自分自身疑ってしまう。お付きの方は似合うと言ってくれたが果たして本当だろうか……天子のおかげで天界の雰囲気は変わったものの天人自身には傲慢さが残っている連中もいると聞く。地上の連中とは関わりたくない天人もいるだろう。ここにいる天人は皆、天子のご両親が信頼できる相手を用意してくれたらしいが、お客である私に対して配慮して似合っているとお世辞を言っているのではないかと不謹慎だが疑ってしまう。失礼なのはわかっているが、どうしても今の私は落ち着けない。それもそのはずよ、こんな格好で恥ずかしいもの……

 そして私はその時、何を思ってしまったのかお付きの方にこう言ったそうだ。

 

 

 『「……天子に見てもらいたい……」』

 

 自分でもどうして言ってしまったのかわからなかった。緊張していたせいかうろ覚えの記憶を辿ってもその時の思考を思い出せない。寧ろ考えてもなかったのかもしれなかった。

 真に受けたお付きの方に連れられて私は一つの部屋へと案内された。私も何も考えずに素直について行ってしまった……そしてお付きの方が扉をノックすると声が聞こえた。その声は聞き憶えがある声だった。

 天子の声……この扉の向こうに天子がいるとわかると自然と心臓の鼓動が高鳴るのがわかった。そしてその鼓動と共に不安が大きくなる。今からこの姿を見せることになる……不安だ、とてつもなく不安で仕方がない。似合っていない、笑われたらどうしようという不安が心を押しつぶそうとしていた。

 

 

 だが、ここで逃げることなどできない。意を決して華扇は部屋に入る覚悟を決めた。

 

 

 「し、しつれいしましゅ!」

 

 

 見事に噛んでしまった。恥ずかしかった……後ろにいるお付きの方の表情は見えなかったが、どんな目で私を見ているのか、どんなことを思っているのか、それも不安として私の心に重圧をかけた。初めてのウェディングドレスにアタフタしながらも気持ちを落ち着かせてもう一度……今度はしっかりと答える。

 

 

 「し、しつれいします!」

 

 

 今度はしっかりと言えた。私はよくやった……でも扉に手をかけたが震えてしまう。不安……天子が私をどう思ってくれるのか……しかしここまで来てしまったからには後には引くことはできない。私は意を決して扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………………………………………

 

 

 ……………………

 

 

 …………

 

 

 ……私はその姿に釘付けになった。

 

 

 タキシードと呼ばれる首元にリボンを巻き、白のシャツに黒色の衣装を纏った礼服。これを身に纏っている天子の姿はいつもとは違う凛々しさと色気があって華扇の理性に攻撃して来た。危うく華扇は自分を抑えられずに手に入れてしまいたいと言う衝動に駆られてしまったが、理性を奮い立たせて思いとどまった。

 そんな華扇の視線が天子から目を離そうとしない。いや、目を離したくないと本能が叫んでいた。体もいつの間にか天子の目の前にまで移動していた。無意識に移動していたらしい……天子の魅力は華扇を誘惑する気満々であった……

 

 

 華扇は天子と一言も言葉を交わさずにお互いに向き合っている。視線もお互いを意識して逸らすことすらできない。その間にお付きの方々は気を利かして部屋を後にした。残された二人……

 

 

 「……ど、どうですか……?に、にあって……ます……?」

 

 

 何とかそれだけ言えた。喋ると鼓動の高鳴りが増してしまう……華扇の頬は赤く染まり、先ほどまで見つめ合っていた天子の目を見ていられなくなってしまっていて、視線を逸らしてしまい、チラチラと顔色を窺うように盗み見ている形となった。華扇は恥じらいながらも沈黙を破るために精一杯の言葉をかけた。しかし言葉をかけても天子は何も答えず呆然とするばかりだ。

 

 

 ……何か言ってくださいよ、喋る私の方が違和感があるってどういうことですか……!

 

 

 視線で訴えるが天子からの返答は何もなかった。

 

 

 な、なにも言わないだなんて……もうこうなったらちょっと悪戯してあげますよ!!

 

 

 華扇がこの沈黙が我慢できず、頬を膨らませてオペラグローブをつけた指先で天子の頬をつまみ引っ張った。

 

 

 「わ、わたしの姿を見ても感想は無しですか!」

 

 

 なんとか言いなさいこのこの!お世辞ぐらい言ってみなさいよ!!

 

 

 「いひゃいいひゃい(いたいいたい)!」

 

 

 痛がれ痛がれ!それで何も感想はないのですか!?

 

 

 「……そ、それで……か、かんそう……は……?」

 

 

 ……私の姿は……天子にはどう見えるのですか……?

 

 

 「……きれいひゃ(きれいだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……綺麗……?

 

 

 「……綺麗……ですか……私の姿が……?」

 

 「……ああ」

 

 

 ……それはホントですか……お世辞じゃなくて……?

 

 

 「……ホントに……?」

 

 「……ああ……ホントだ」

 

 

 ……嘘……ではないんですね……?

 

 

 「……ホントに……本当ですか……?」

 

 「……ああ……ホントに……本当だ」

 

 

 ……私は気づいた……天子は本気だった……!

 

 

 「……そ、そうですか……」

 

 

 それを聞いた華扇は天子に背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……私を綺麗と……言ってくれるんですね……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体中が熱く、体温の上昇を華扇は感じたがそんな些細なことなど気にも留めてない。それ以前に落ち着きがなくなりソワソワし始める。何よりも心臓の鼓動の高鳴りが止まらない……!その高鳴りを抑えることができずに胸の奥が苦しくなる。しかし苦しいはずの華扇はソワソワするだけでそれを苦しいとは思わなかった……寧ろその高鳴りを噛みしめているようだった。

 そんな時に天子の両親が部屋に入って来て二人の姿を見たら大絶賛の評価だった。途中で褒められて華扇が感謝の言葉を挙げるが、その時の彼女の表情はにやけてしまいそうだった。天子の方も褒められて恥ずかしがっていたが、そろそろ時間なので二人は部屋から出て行った。残された華扇と天子も準備しないといけない。

 

 

 「私達もそろそろ準備しないといけないな」

 

 「そうですね天子」

 

 

 そう言って華扇が部屋の扉へ向かった時だった。

 

 

 ――天子!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギュッ!

 

 

 華扇は天子の胸に抱き着いていた。

 

 

 ――天子!天子!!天子!!!

 

 

 その時の私は一体どうしてしまったのだろうか……私は何故あんな行動を取ったのだろうか……そして……

 

 

 「……好きよ……天子……

 

 

 私は何故あんなことを言ってしまったのでしょう……

 

 

 そして私は天子から逃げるように部屋から出て行った。ふっと我に返ったのだ。天子に抱き着いて『好きだ』と言ってしまった……訳が分からなかった。その時の天子の表情など見ることもせずに……ただこの部屋から出ていきたかった……天子から逃れたかった……

 

 

 天子のことが嫌いになった?違う……断じてそんなことはなかった。私は彼の答えを聞くのが怖かったのだろう……本心を聞くことを本能的に回避したのだと思う。

 

 

 コレは練習であること……

 

 

 私は()()ではない……()()()なのだ。

 

 

 私は天子に()()()()()()わけではない……()()()()()()()()なのだ。

 

 

 私は……天子にどう思われている……?

 

 

 答えを聞けば全てが無くなってしまうそんな気がした。答えを聞けばもう後戻りできなくなってしまう気がしたのだ。

 

 

 だってコレは練習なのだから……それでも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……あなたのこと……好き……だから……

 

 

 私の言葉に嘘はない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「カァぺ!!(たん)が出るわ!!」

 

 

 っとシルエットその1が憎悪の炎を燃やしていた。

 

 

 「メス豚のくせに!メス豚のくせに天子様にぃいいいいいいいい!!!」

 

 

 っとシルエットその2は帽子を噛みちぎる勢いだ。

 

 

 「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス……!!」

 

 

 っとシルエットその3は呪詛を繰り返し唱えていた。

 

 

 「首を……首を斬って蘇れないようバラバラにして差し上げましょう……あはは♪」

 

 

 っとシルエットその4は刀を愛おしそうに眺めている。

 

 

 「私の天子殿を!!?キョンシーにする前に私も彼女で遊ぶとしましょうか……!!!」

 

 

 っとシルエットその5は様々な()()を考えていた。

 

 

 「ここまで私を……不快にさせるなんてね……あなたも罪ね天子♪」

 

 

 っとシルエットその6は壁を握り潰していた。

 

 

 天窓から中を除く謎の6つの影はその光景を恨めしそうに眺めていた。

 

 

 「天子様ぁああああああああああ!!!皆さんお力をお貸しください!!!このままでは天子様がメス豚にいいようにされてお美しく凛々しい肉体が穢されてしまいます!!!そして天子様の心すら奪われてしまいます!!!お願いいたします助けてください!!!ううう……うぅうううわぁああああああああああんん!!!」

 

 

 子供のように泣き喚くシルエットその2、その肩に手を置くシルエットその5。

 

 

 「勿論ですよ、天子殿をあの淫乱ピンクから取り戻しましょう!」

 

 

 グッと親指を立てるシルエットその5。

 

 

 「そうですよ、私があの仙人の首を斬り落とすので安心してください!」

 

 

 意気込むシルエットその4の手には刀が握りしめられている。

 

 

 「華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス華扇コロス!!!」

 

 

 呪詛を唱えながら拳を握りしめ()ル気を見せるシルエットその3。

 

 

 「死体の後始末なら任せろ、燃やすことなら輝夜の奴で慣れているからな!」

 

 

 手元に憎悪の炎を灯すシルエットその1。

 

 

 「私も手を貸すわ、今とても不機嫌だから♪」

 

 

 満面の笑みを浮かべるシルエットその6……謎の影達の心強い言葉で泣いていたシルエットその2は元気を取り戻す。

 

 

 「皆さん……ありがとうございます!私は素晴らしい仲間を持って幸せです!!」

 

 

 シルエットその2は喜びに打ちひしがれていた。

 

 

 「ふふ、それじゃ……突入する準備はいいかしら?」

 

 

 コクリッと首を縦に振る……

 

 

 天界に潜む謎の影の正体とは!?天子と華扇の身に一体何が!?次回へ続く……!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。