比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

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それぞれ行動し始める幻想郷の住人達、今度の異変は一体どんなものなのか!?


それでは……


本編どうぞ!




64話 今こそ下克上の時

 「がおぉおおおおおおお!!!」

 

 「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」

 

 「暴れたりねぇぞぉおおおおおお!!!」

 

 「お前ムカつく顔だなぁ!!!」

 

 「なんだとてめえ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『マスタースパーク』!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「ぎゃぁあああああ!!?」」」」」

 

 「へっ!大したことのない連中だぜ。しかし妖怪達がそこら中で喧嘩したりしているな……」

 

 

 幻想郷中で妖怪達が暴れて騒ぎだす事件があちこちで起こっていた。魔理沙はここへ来るまでに何匹もの妖怪を撃退して来た。しかしその中には普段大人しくしている妖怪も混じっていていつもとは様子が違っていた。

 

 

 「これは……異変に違いないな!よし!この霧雨魔理沙様がちょちょいっと解決してやるか……霊夢も今頃動いてるだろうし、こういちゃいられないぜ!」

 

 

 魔理沙は異変を解決するためにまだ見ぬ首謀者を探して空に舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お嬢様、これより十六夜咲夜は異変解決のためお時間を頂きます」

 

 「ええ、気をつけてね咲夜」

 

 「はい、それでは行ってまいります」

 

 

 紅魔館を妖怪達が襲った。だが、レミリア達にとっては弱小な妖怪の集まりだった。赤子の手をひねるようなものだったが、打ち倒した妖怪に何故紅魔館を襲ったのかと問いただしたところ急に暴れたくなったなどと語った。そして襲われている所はここだけではないとの話だ。異変と断定したレミリアは咲夜に命を出し、命を受けた咲夜は異変の首謀者を探して紅魔館を出て行った。

 

 

 「レミィ、妖怪達の怪我は魔法で治療したわ」

 

 「ありがとうパチェ」

 

 「しかし良かったのかしら?仮にも冷静さを失っていたとはいえ、紅魔館を襲った連中の面倒をみるなんて」

 

 「いいのよ、彼らは気分が高揚していただけよ。責任は今回の首謀者よ……他人を使ってまで幻想郷中に混乱を招くなんて一体何を考えているのかしらね……不愉快な輩だわ」

 

 

 真紅の瞳が見えぬ異変の首謀者を睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ……これで何匹目よ……」

 

 

 博麗神社の前には無数の山盛りとなった妖怪達……死んでいなさそうだが、ボロボロの紙屑のように捨てられていた。勿論これをやっつけたのは霊夢一人だ。

 

 

 「おおー!霊夢にかかれば大したこと無いな。いや、こいつら元々弱っちいから私なんか小指一本で戦っても話にならないぞ」

 

 

 この光景を縁側で片手に伊吹瓢を持ち酒を口に運んでいる鬼の萃香。

 

 

 「萃香、あんたも手伝いなさいよ!」

 

 「ええ~やだ~!」

 

 「タダ飯食ってゴロゴロしているのに恩の一つも返しなさいよ!」

 

 「霊夢一人で十分だろ?」

 

 「私はこれからこんな面倒な異変を起こした奴をとっちめに行くのよ!その間、あんたはここを守ってなさい」

 

 「めんどうだなぁ~」

 

 「……天子に言い付けて恩も返さない鬼と縁を切った方がいいって説得しようかしらね……」

 

 「天子の話を出すなよ卑怯だぞ!!」

 

 「うっさいわね!ほら……こうしている間にまたバカな連中がやってきたじゃないの!もう私は行くから死なないように痛めつけなさい。博麗神社に傷が一つでもついたら萃香、容赦しないわよ!」

 

 「ああんもう!わかったよ!こうなったらお前らにこの怒りぶつけてやるぅうう!!!」

 

 

 鬼の鉄拳が哀れな妖怪達に命中して吹っ飛んでいった。霊夢は博麗神社を萃香に任せて面倒な異変を起こした首謀者を探しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして幻想郷中に突如起きた出来事……暴れる妖怪達、勝手に道具が動き出していることも確認された。一体何が起こっているのだろうか……

 次第に不安の雲が空を覆い始め、強い風に軋む巨大建造物の音までも聞こえてくる。霊夢達にも、暴れている妖怪達にも何が起こっているのか判らない……

 

 

 ただ一つ言えることは、新たな異変が始まったということである。

 

 

 ------------------

 

 

 「二人ともお待ちどう」

 

 

 人里の団子屋前で三色団子が乗った皿が置かれた。

 

 

 「ありがとうおばちゃん」

 

 「良いのよ小傘ちゃん、お友達の子もありがとうね。おばちゃん助かっちゃった」

 

 「ううん……大したことしていない」

 

 

 団子屋のおばちゃんとお話しているのは小傘とこころだった。

 天子達と以前人里へ立ち寄った時に小傘と出会い、付喪神同士仲良くなってぶらぶらしていたところ、重い荷物を辛そうに持ち運んでいる団子屋のおばちゃんを見つけて手伝ってあげたことで今に至る。

 

 

 「謙虚ねぇ、遠慮せずに食べていってね。これはお礼だから」

 

 

 三色団子以外にもお茶まで付けてもらえた。おばちゃんは仕事があるからと言って店内に戻って行った。

 

 

 「やったねこころ!こんなにお団子食べれるよ!」

 

 「私はこれで満足できるぞ!」

 

 

 こころは喜び団子を一つ手に取り、口に運ぶ。

 

 

 「むぐむぐ……っ!?うまい♪」

 

 

 ピースサインで喜びを表す。周りに浮かぶ能面も踊りを踊っているかのように舞っていた。

 

 

 「それじゃ私も……」

 

 

 小傘も団子を手に取ろうとした時……

 

 

 ヒョイッ!

 

 

 団子が独りでに小傘の手から逃れた。

 

 

 「うぇ?」

 

 

 唖然とする小傘の前で宙に浮いた皿から一つ……また一つと串に刺さった団子が消えていく。その光景に小傘の表情に血の気が引いていく。

 

 

 「ひぃ!お、おばけだ!!?」

 

 

 飛び跳ねて地面に転がってしまう。尻もちを着くがそれどころではない。小傘は目に見えぬお化けを怖がっていたが、こんな真昼間から人通りの多い人里でお化けなど出るだろうか?白玉楼の幽霊は知らぬが……

 しかし打って変わってそれに対し、こころは無表情のまま団子を見つめていた。

 

 

 「こ、こころ……そ、そこに居たらお化けにた、たべられる……!」

 

 「ううん……これはお化けじゃない」

 

 「うぇ?で、でも勝手に団子が……」

 

 「居るのはわかっているぞ……宿敵」

 

 「……えっ?」

 

 

 こころがそう言うと小傘の視界に変化が生じた。段々と色が浮き上がって行く……浮き上がり少女の姿がそこに現れた。

 

 

 「出たお化け!!?」

 

 

 その少女を指さしてワーワーと騒ぐ。しかしその少女は不服と言うばかり頬を膨らませた……違う、団子が口の中で膨らんでいた。

 

 

 「むぐうぐむぶむぐうぅ!!」

 

 「宿敵、食べてから喋らないとわからん」

 

 「むぐむぐ……ゴクンッ!う~美味しかった♪」

 

 「へっ?えっ……おばけじゃないの?」

 

 「お化けなんかじゃないよ!私は古明地こいしだよ!」

 

 

 小傘がお化けだと思っていた正体はこいしだった。地底からまた抜け出して地上へと遊びに来ていたのだ。

 

 

 「宿敵、今日こそお前を倒してやる」

 

 

 こころは薙刀を構えてこいしに詰め寄る。

 

 

 「待って待って!今日は戦いに来たんじゃないよ!」

 

 「……じゃ何しに来た?それよりも団子返せ」

 

 「団子食べちゃった。無意識だから仕方ないでしょ?」

 

 「あっ、わちきの団子……」

 

 

 こいしの手元にあった皿には串しか置かれていなかった。団子を食べられてこころは怒りに燃えているようで面が般若(はんにゃ)(怒りの面)になっていた。

 

 

 「絶対に許さん!食べ物の恨み!覚悟……!」

 

 「うわわぁ!?」

 

 

 こころの薙刀がこいしを襲う……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 ――っかに思えたその時、遠くの方で悲鳴があがった。こころ達も何事かと動きが止まり、悲鳴が上がったその声に周りの人々も何事かと狼狽え始めた。

 

 

 「い、いったいどうしたの……?」

 

 「遅かったか……」

 

 「宿敵、どういうことだ?」

 

 

 構えを解くこころ、何が何だかわからない様子の小傘……そんな二人に対してこいしは何故ここに居るのか語り始めた。

 

 

 「聞いて、私がここに来たのは外で起こっている異変を伝えようと思ってやってきたの」

 

 「異変?」

 

 「異変が起こっているのか宿敵?」

 

 「うん、至る所で妖怪が暴れているよ。それと……」

 

 

 こいし達が話していると路地裏から逃げて来た一人の男が言い放った。

 

 

 「た、たいへんだ!!道具が勝手に動き出して襲ってきやがった!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……あの人の言った通りのことが起きているの」

 

 

 妖怪が暴れ、動かないはずの道具が動いて所構わずに襲っている……これは明らかな異変だった。

 

 

 「もしかしてわきち達のような付喪神が暴れているの!?」

 

 「そうみたいだな」

 

 

 子供の手を引っ張って駆けだす母親、店を閉め始める亭主、自警団の若者など人里の人々は混乱し始めていた。被害はほとんどないようだが、放って置くのは得策ではないだろう。

 

 

 「ふむ、私の出番のようだ」

 

 「こ、こころ……どうするつもり?」

 

 「私がこの異変を解決してやるんだ」

 

 「えっ!?こ、こころが……!!?」

 

 「そうだ、天子だって異変を解決したことがあるって言っていたんだ。私も天子のように異変解決して褒めてもらうんだ。それに同じ付喪神ならば私達の話を聞いてくれるかもしれないしな」

 

 

 やる気に満ち溢れた無表情がふんすっと鼻息を鳴らす。不安に駆られていた小傘はこころの物動じぬ態度に僅かながら安心感を与えた。

 人里が混乱する中、先ほどの団子屋のおばちゃんが店先に駆け出して来た。

 

 

 「二人共まだ居たのかい!?ここは危ないから店にお入り!」

 

 「いえ、大丈夫」

 

 おばちゃんが店の中に入るよう促すが、こころは断った。

 

 

 「私達なら大丈夫。それに二人じゃないから……いくぞ小傘、宿敵もついてこい」

 

 「うん♪あっ、そうだ……団子美味しかったよ!」

 

 「わ、わちきも行くの!?そ、それじゃおばちゃん団子ありがとう!(食べられなかったけど)」

 

 「あっ……ちょっと!」

 

 

 奇妙な3人組が霊夢達の知らないところで異変解決へと乗り出した。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「天子様、ここにもサインをお願いします」

 

 「うむ、わかった」

 

 

 天子は仕事で忙しかった。結婚式を挙げてみたいと言う天人が続出したのだ。なんでももう一度味わってみたいなど若かりし頃の思い出に浸りたいという要望が出たのだ。他にも結婚式自体に興味がある、天子様と結婚練習してみたいなどの要望もあった(後者は天子に届く前に衣玖が()()に処理した)

 そして今はその要望の受諾の許可書にサインしているところである。

 

 

 「ふぅ……まさか皆が結婚式に興味を持つなんて思わなかったぞ」

 

 「そうですね。既に結婚している方ももう一度挙げてみたいと申し出がこんなに……」

 

 「ある意味異変だな」

 

 

 そうしみじみ感じていると時計が昼時を示していた。

 

 

 「こんな時間か、どうだ衣玖、一緒に食事でも行かないか?」

 

 「是非!」

 

 「(あっ、そういえば団子屋であったあの子……)」

 

 

 ふっと天子は思い出した。衣玖とこころと共に人里へ出向いて小傘に奢ってあげた時のこと……頭巾を被った人物を目撃した時の記憶が呼び覚まされた。

 

 

 「(そろそろ異変を起こす頃かなぁ……原作通りかそれとも……)」

 

 「どうかなさいましたか天子様?」

 

 「いや、なんでもないぞ(時間がある時に地上へ足を運んでみるか)」

 

 

 ------------------

 

 

 「姫、この調子ですよ」

 

 

 針妙丸の打ち出の小槌が光を発する。小槌は針妙丸の願いを受けて、針妙丸を大きく強く変化させた。体のサイズが大きくなっており、今の針妙丸の姿は小人とは言えない程であった。そしてただの道具を付喪神に変え、力を与えていた。しかし一方意図せず洩れ出した魔力が無関係の妖怪達を凶暴化させていたことなど彼女はこの時知る由もしなかった……

 

 

 「うん!このまま行けば幻想郷を悪しき強者から解放されるのよね?」

 

 「ええ、その通りです!そして悪しき強者から鎖に繋がれた弱者達を救い出し、弱者のための幻想郷を作り上げるのです姫!!」

 

 「う、うん……そうなんだけど……」

 

 

 歯切れが悪い針妙丸の様子に首を傾げる正邪。

 

 

 なんだ?もしやこいつ……私の嘘がバレたか?いや、まだ大丈夫なはずだ。もしバレたならば……

 

 

 後ろに隠した右手の爪に鋭さが増す。正邪の瞳が冷たく針妙丸を映し出す……

 

 

 「どうしました姫?何か困りごとでも……」

 

 「うん……ねぇ、正邪……」

 

 「……なんでしょうか姫……」

 

 

 針妙丸に顔を近づける。気づかれないようにそっと右手で狙いを定めて……!

 

 

 「その姫って言うの……止めてほしいな思って」

 

 「……はっ?」

 

 

 意外な答えに正邪は固まってしまった。

 

 

 「私ってただの小人族の末裔ってなだけで……姫なんて大それた存在じゃないし、正邪が居ないと私は何もできない……打ち出の小槌のことも正邪から聞かされて初めて使い方を知ったし、自分が生きていた幻想郷が弱者が虐げられていたなんて知らなかったもん」

 

 

 弱者が虐げられている幻想郷を救うべく針妙丸は立ち上がった。しかしそれは正邪が針妙丸を利用するための偽りであったが、それを当の本人は知らずにいる。騙されていると知らない針妙丸……彼女は正邪に感謝していた。命を助けてもらったことだけでなく、打ち出の小槌と言う代物の使い方も正邪から教わったもの。正邪が針妙丸の前に現れなければ彼女は何も知らぬままこの幻想郷のどこかで散って行っていただろう。しかしそうはならなかった。正邪が現れたことで針妙丸は強者に立ち向かう勇気をもらい、こうして弱者のために異変を起こしたのだ。

 

 

 「そんな私が姫呼ばわりされるなんて……合わないなって思っちゃって」

 

 

 なんだこいつ……そんなどうでもいいこと考えていたのかよ……

 

 

 正邪は警戒して損した気分だった。

 

 

 ケッ!反吐が出るぜ!!

 

 

 内心唾を吐いていた。それは目の前にいる元々は小さな豆粒程度の存在に気を張るなどどうかしていたと思った自分に対してとちっぽけなどうでもいいことを気にする針妙丸に対して向けられていた。

 

 

 「そんなことないですよ。私は姫がその器に相応しいと思っているのですから」

 

 「でも正邪……私は……」

 

 「今はその気じゃなくてもこの異変が終わったらあなたは本物の姫になるのです。幻想郷を救った英雄としてね……」

 

 「英雄……私が……」

 

 「ええ、そうですよ」

 

 「……うん!正邪、変なこと言ってごめん。私、正邪の言う姫に相応しい存在になるように頑張るから!」

 

 「ええ、その意気ですよ!」

 

 

 ククク……せいぜい私のために頑張ってくれよ……お・ひ・め・さ・ま♪

 

 

 影に隠れた笑みは誰の目にも映ることもなく、天邪鬼の企みはまだ影に潜んでいる……

 

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