さてさて、今回はどういった事件に天子は絡んでいくのでしょうか?
それでは……
本編どうぞ!
78話 奇跡の旅路
「天子さん、異変起こしましょう!」
「……いきなり何を言っているんだ?」
いきなりわけがわからないよ。そして机を乗り出して私の目の前にいるのは早苗なんだが何か言っている。異変を起こす?なにそれおいしいの?
「天子さん!知っていますか!」
「何をだ?」
「私の出番が少ないんですよ!?酷くありません!?こんな美少女どこを探してもいないのに出番が少ないなんて……断固抗議します!!」
ナニヲイッテイルノカナ……メタ発言やめて。出番少ないのは主人公じゃないと言うことでしょう……
「あー!!天子さん今、私のこと主人公じゃないとか思いましたね!!」
何故わかったし!?もしや早苗の皮を被ったさとりさん!?っていう冗談は置いておいて……
時は少し遡り……
無事天界へと戻って来れた天子だ。正邪の件で色々あって衣玖に心配かけた。わだかまりもなくなりのんびりとお茶をしている時にそれはやってきた。
「突如としてお邪魔します!天子さん探しましたよ!!」
当然ながら東風谷早苗であった。
何で窓から入って来た……扉から入って来なさいよ!!
「早苗さん、お久しぶりですね」
衣玖なに冷静に対応しているのよ……『空気を読む程度の能力』なんて今必要ないから。窓から入って来るなんて非常識よ!……早苗に常識を語っても仕方ないわよね。衣玖と同じく流れに身を任せた方がいいわよねそうしましょそうしましょ。
天子を考えるのをやめた。そしてずかずかとそのままテーブルに着席して第一声が「天子さん、異変起こしましょう!」であり現在に至る。
「異変ですか?そう言えば天子様は異変を起こしていませんよね?」
「……ああ」
「まぁ、天子様ならば人様に迷惑をかけるような異変など起こすはずがありませんからおかしなことではありませんがね」
「そ、そうだな……」
天子は衣玖に目を合わせずらかった。何故なら気づいた時には既に自身の登場するはずだった出番が過ぎていたなんて言えなかったのだ。だが、改めて考えてみると『人の数だけ幻想郷』と言う言葉があるように、
正直なところ早苗の提案に天子は乗る気分ではないし、早苗に関わると面倒なことになると答えが出ているので速やかに帰ってほしいと思っていた。
「天子さんがこちらに姿を現してからは天子さんが目立っているじゃないですか!人里でも人気ですし、何かしらネタにされますし……羨ましいです!!私なんか最近目立った活躍がないですし、信仰集めもいまいちでこの前なんか人里で……」
「守矢の巫女、東風谷早苗です!どうぞ守矢神社を信仰してくださ~い!!」
「脇巫女キターーーーーー!!!」
「脇巫女は博麗様だろ!いい加減にしろ!!」
「胸いいぞ胸!!」
「早苗たんに会えるじょ!!」
「早苗は俺の嫁!!!」
「……ってなことがありまして……」
どこにでも変態っているもんね。地底も大概だけど里の方も私の知らないところがあるのね……知りたくなかったけど。しかし信仰は得られているんじゃないかしら?男限定だけど。
「目立っているのではありませんか?それにそのへんた……ゴホン。早苗さんを信仰する方々がいるなら少なくても信仰を集められているのでは?」
衣玖何か言いそうになったよね?聞き流すけどさ……衣玖も同じことを思っているようで安心した。話を戻すけど、どんな形であれ信仰は集まってはいる……けれど早苗は納得していなさそうだ。何故なのかしら?やっぱり変態はノーサンキュー?
早苗は何故か納得していない様子だった。不満を表すかのように頬をめいいっぱい膨らませていた。
「……私目当てで来る入信者ばかりなんです。当然と言えば当然なことなんですけど、守矢神社を入信して入ってくる人物は一部だけでして……」
そう言う事か……それは不満ね。早苗はかわいいのは間違いない。けれど下心だけで神奈子さんと諏訪子さんを信仰対象にするのはちょっといただけないわね。同じ女性としてそんな男どもに天誅を下してやりたい気分だわ。それにしても早苗は早苗なりに考えていて私は感激したわ!これは早苗に協力してあげるべきだと私の中の
「えっ!?」と言う声が頭の中で響いた気がしたが天子は華麗にスルーした。
「なるほどな。早苗、異変は起こすことはできないが、信仰集めに協力ならしよう」
その言葉を聞くと早苗は待ってましたと言わんばかりに頭のアホ毛がブンブンと左右に揺れていた。どうなっているんだそれは?
「流石天子さんです!ささ、男であるならば有言実行ですよ!あ!衣玖さん、天子さんをお借りしていきますねー!!」
「天子様、ほどほどに帰って来てくださいね」
えっ!?ちょ、ちょっと衣玖ー!?引き止めてよー!!早苗もいきなり強引過ぎるわよー!!!
天子を引っ張って強引に飛び出して行く早苗に抗えずされるがままに連れていかれる天子だった……
「それで……信仰集めに来たはずなのに何故ここにいるんだ?」
強引に連れられてやってきたのは魔法の森の入口辺り、瓦屋根の目立つ和風の一軒家が建っていた。
この建物は【香霖堂】と呼ばれ、幻想郷で唯一外の世界の道具、冥界の道具、妖怪の道具、魔法の道具全てを扱う道具屋。販売だけでなく買い取りも行っている。人妖ともに拒まれず、誰でも利用できる場所なのである。
そんな場所へと早苗は何しにやってきたのか……天子は疑問だった。
「信仰集めは今まで様々な方法を用いてしてきましたが、どれも効果が薄かったのです。そして私は考えました。この香霖堂には外の世界の道具やら見慣れない変わった物が置いてあると聞きます。珍しいものに惹かれて今まで以上の信仰が集まるかもしれません。すぐに信仰してもらう必要はないのです。初めはじっくりと興味を惹かせてどんどんと守矢神社の魅力を伝えていけばいいのです!」
早苗にしては考えていた。早苗も頑張っているのね……守矢神社信仰してもいいかもしれないわね。
「本当なら天子さんに異変を起こしてもらってそれを私が見事に解決するマッチポンプ方式で信仰を集めたかったのですが……」
前言撤回します。私を犠牲にしようとしただと!?この子天然で怖いわぁ……!
「まぁ、ここに来るのは初めてなものでして……心細かったこともあります。なので天子さんについてきてもらった方が良かったのです」
「霊夢や魔理沙ではダメなのか?」
「なんだか天子さん暇そうなので」
正直者ね早苗は……私は暇人に見られているわけか……泣けるわ。けど、丁度いい機会だわ。私もまだ香霖堂を訪れていないし、何よりも外の道具を扱っているならば私の知っている漫画やゲームがあるかもしれないしね。それにまだ会っていないキャラとご対面するチャンス!
天子と早苗は扉を開けた。中は薄暗くて埃っぽい。外の世界の道具やらなにやら色々な物が所狭しと並べられていてごちゃごちゃだ。そしてそんな中で読書をしている青年と一人の妖怪の少女がこちらに気がついた。
【森近霖之助】
銀髪ないし白髪のショートボブに一本だけ跳ねあがったくせ毛がある。瞳の色は金色で眼鏡をかけており、黒と青の左右非対称のツートンカラーをした服装。
生まれたときからの先天的な妖怪と人間のハーフである。幻想郷でも珍しく人間向け、妖怪向け両方の品を扱っている人物。
魔理沙が生まれるより前に霧雨魔理沙の実家で人里にある大手道具屋「霧雨店」で修行をしていたが、ここでは自分の能力を活かせないと考えて独立した。外から来た品や忘れ去られた古の品などを扱う古道具屋「香霖堂」を開いた。
【朱鷺子】
公式における彼女に名称がなく、二次設定として羽の色が朱鷺色に近いことから「朱鷺子」と呼ばれるようになる。「名無しの本読み妖怪」とも呼ばれており、本が好きなようだ。
あら珍しい、霖之助さんがいるのはわかっていたけどこの子もいるとは……やっぱり本を読むのが好きなのね。けどここは薄暗いし明るいところで読まないと目を悪くしちゃうぞ?
そして何よりも
「いらっしゃ……おや?君は確か守矢神社の……」
「東風谷早苗です。あなたが魔理沙さんが言っていた霖之助さんと言う方ですよね?」
「そうだよ。僕が森近霖之助だ。こっちが朱鷺子くんだ」
「……」
コクリと首を縦に振るだけで本で顔を隠してしまった。意外と人見知りのようだ。
「初めまして、それとこちらの方は……」
「比那名居天子だ。お初にお目にかかります」
「新聞で大々的に載っていたから一目でわかったよ。紅霧異変が再び起きた時、魔理沙を救ってくれたのを聞いたよ。今更ながらだけどありがとう」
頭を下げ感謝の気持ちを表す。流石は幻想郷の常識人といったところか。
「それで僕の店に何か用かい?」
「そうです!実はですね……」
「なるほど、なら君たちはお客様だ。好きにここら辺にある物を見て行ってくれ。外の品物も沢山あるから隅々まで探しだしてくれたって構わないよ」
「ありがとうございます。それじゃ、お言葉に甘えて……天子さん!隅から隅まで赤裸々に探索しましょう!」
「……壊さないでくれよ?」
霖之助は若干不安気味に早苗を見ていた。
外の世界の代物か……どんなものがあるのかちょっと期待している私。早苗も目を輝かせているわね。これは楽しめそうね♪
天子と早苗は山積みになっている様々な道具を片っ端から探し始めた。
「つ、つかれた……」
「ご苦労だったね」
「……すまない」
霖之助からお茶を手渡され天子は椅子に腰かけて休息していた。横では朱鷺子が相変わらず本を読んでいた。
「ふぅ……生き返る……」
「彼女に振り回されているみたいだね」
「まったくだ」
彼女とは勿論、早苗のことである。早苗は今も夢中になって物色していた。そんな早苗に付き合わされて初めはノリノリで探していたが、常識に囚われない彼女の引き起こす暴走行為を止めるのに必死になった結果だった。
早苗は今も捜索中でこちらのことなど見向きもしない。その間に天子は暇つぶしに霖之助とお喋りをして早苗の興味が薄れるのを待つことにした。
「おお!なるほどなるほど……これはこう使えばいいんだね。参考になったよ」
香霖堂には外の世界の道具が置かれている。それもこれも霖之助の能力が関係しているからである。
【道具の名前と用途が判る程度の能力】が彼の能力であり、その名の通り、道具の名前とその用途が判る能力である。ただし「名前」と「用途」しか分からず、使用方法についてはさっぱりわからないのであった。本人は何とかなるものと言っているが、何とかなったものなど限られていた。そんな時に、外の世界の代物のことを知っている天子と早苗がやってきた。二人のやり取りを見ていた霖之助は天子に色々と道具について質問していけば使い道がわかってきた。霖之助にとって嬉しい事ばかりであり興奮を抑えきれない。
「もしよろしければこっちもわからないだろうか?」
「これか?これはな……」
そしてそんなやり取りを続けて時間が過ぎていった時だ。
「ありました!ありましたよ天子さん!!」
大声を上げたのは先ほどまで物色していた早苗だった。これには天子一同何事かと早苗に視線を移す。
「……うるさい」
「あっ、すみません……」
読書の邪魔になると朱鷺子は早苗を睨む。つい謝ってしまったが、今はそれどころではない様子の早苗だ。我に返った早苗が天子の前まで駆けてくる……一体何があったと言うのだろうか?
早苗どうしたのかしら?後ろに何かを隠し持っているようだけど……笑みを浮かべている。何を持っていると言うの?
「早苗、何を持っているのだ?」
「ふっふっふ、なんだと思います?」
わからないから聞いているのだけど?ううん……なんだろう?悪戯するためにビックリ箱とかかな?ううむ、わからないわ。
「降参だ。私にはさっぱりわからないよ。それで早苗は何を持っていると言うのだ?」
「ふっふっふ、それじゃ答えを発表しましょう!ジャジャジャジャーン!これです!!」
早苗の手には丸い球体状で、大きさは野球ボール大サイズ。
ドラゴ〇ボールじゃん!!?
心の中で盛大にツッコンだ。
アイエエエ!ドラゴン!?ボールナンデ!?ちょ、早苗何故それを見つけてきたし……ていうか見つけたらダメなものだから!!
「天子さん、これを知っていますか?これはですね、七つ集めると龍が現れてどんな願いでも叶えてくれる玉なんですよ?」
知ってるよ!原作もアニメも見たからね私!けど、これがここにあるのはまずいのよ!早くそれを元の場所に返してきて早苗ー!!!
心の中で叫ぶ天子の声は届くのだろうか……!?しかしそんな時に霖之助が声をかけた。
「それがかい?その名前は確かにその通りだけど、それは
おお!よかったわ!要するにグッズだったのね。安心したわ……本物なんて出てきたら世界観が滅茶苦茶になっちゃうところだった。
本物ではないとわかって天子はホッと息を吐いた。
「知ってます。これがグッズだと言う事は私も百も承知なんです。しかし、私はこう考えてみたんです……私の【奇跡を起こす程度の能力】を使えばただのグッズも本物に成り代わるのではないだろうかと!!」
ないない。早苗、それはないわよ……早苗の能力でもこればかりは……
天子は早苗のハチャメチャな行動に呆れてしまっていた。
早苗の持つ【奇跡を起こす程度の能力】は海を割ったり、星を光らせたり、すっぱいものを甘くしたり、妖怪から妖力を吸い取ったりすることができる。まさに奇跡を起こすことができる能力なのである。奇跡を起こし決して人では不可能なことを起こすことができるのだが、使い手がこうでは一体何が起こるのか不明である。しかし本人は至って真面目であり、漫画と同じようなことを起こすと張り切っている姿に天子は不安しか覚えないのだ。霖之助と朱鷺子も心配そうに見守る……
「早苗、そんなことをしても無駄だ。だからやめた方が……」
「美少女早苗、奇跡起こします!!」
「ちょ、早苗……!」
「奇跡よ!私に力を見せたまえー!!!」
早苗が願うと玉が輝き始め、玉は宙に浮かび上がり光を傍に居た天子と早苗にまき散らす。
「本当に奇跡が起きたのか……!」
霖之助は本当に奇跡が起こるとは思ってもいなかった。霖之助は驚いた……そして視界にはいつもの静かな
「……二人が……消えた……!?」
霖之助は唖然と二人が消えた空間を眺めていた……そんな状態の霖之助の袖を引っ張るのは朱鷺子だ。
「探さなくていいの霖之助?」
「そ、そうだ!あの二人は一体どこに消えてしまったんだ!?」
急に消えてしまった天子と早苗の安否を心配する霖之助は朱鷺子を店に残してとある場所へと走り去ってしまった。
天子と早苗は一体どこに消えてしまったのだろうか……?
ガヤガヤと話声が聞こえてくる。
うるさく物音が後を絶たない。
見渡せば高い建物が立ち並んでいた。
行き交う人々の姿。
天子と早苗は忘れるわけもない光景が目の前に広がっていた……
ここって……
外の世界じゃん!!?
奇跡が二人を導いたのであった……!