比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

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早苗の奇跡によって天子は外の世界に!これから二人はどうして行けばいいのか……


それでは……


本編どうぞ!




79話 外の世界とエスパー少女

 いつもと変わらない日常とはなんだろうか?

 

 

 目が覚めて食事をし、何となくテレビを見ながら準備をして玄関のドアを開ける。それが太陽を照らす時刻の出来事かもしれないし、太陽が沈み月の明かりが地上を照らし出す時間帯の出来事かもしれない。しかし、誰もが毎日同じことの繰り返しをしていると思う……彼女もその一人。

 

 

 「……」

 

 

 朝早くから家を出てアスファルトでできた道をただボーっと歩いている一人の少女。

 

 

 「――それでさ、うちの主人がね……」

 

 「今こそ社会は変わらなければならない!そのためにも我が党に一票を入れていただきたく……!」

 

 「いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!今日はポイント2倍でございます……!」

 

 

 少女の耳に聞こえてくるは他愛もない会話の数々……少女はその会話には興味も意味もありはしない。ただ言葉が少女の耳に雑音として聞こえてくるばかりである。少女は足を止めることはない。

 何分歩いただろうか、少女と近い年齢の少年少女とすれ違ったり、集団が多くなってきた。目的地は少女と同じ場所……後ろから走ってくる少年に追い抜かされても気にも留めない。気に留めることすら必要ないからだ。そして少女はひたすら足を進めると大きな建物が見えてきた。

 

 

 学校……それが少女の目指す場所だった。

 

 

 「……はぁ……」

 

 

 少女は無意識にため息をついた。また同じ日常が待っているだけだと少女は諦めていた……

 

 

 いつものように同年代の学生に軽く挨拶し、いつものように席に座る。しばらくすると担任が入って来て授業の準備に入る。少女の席は窓際の最後列に位置している。眼鏡をかけていても黒板の文字は見える……しかしその文字も今の少女には意味など見いだせていなかった。

 

 

 つまらない……

 

 

 たいくつ……

 

 

 面白くない……

 

 

 少女は日常に意味を感じずに生きている……

 

 

 今日もそれが続くのかと外の景色をボーっと眺めていた。そうしている内に授業の終わりを告げるチャイムがなる。教師が出て行ったあとはそれぞれ親しい友人の元に集まり会話を楽しんだりちょっかいをかけにいく。短い休み時間の間でも人と言うのは誰かに関わっていないと心細いと思ってしまう。寂しい思いをしたくないが故に行動する……しかし少女は違った。窓際に座ってただ時間が過ぎるのを待つばかり……話し相手はいる。しかしそれは少女にとってはただの話し相手にしかままならなかった。少女は一人だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後のチャイムがなり、それぞれ友人と一緒に帰えろうと誘ったり待ち合わせをして集団で下校する。少女は帰りも一人……

 

 

 「ねぇ、またあの子一人よ。声をかけてあげた方がいいんじゃない?」

 

 「一度声をかけても断られたのよ。拒んでいる感じだし……クラスのみんなも()()()さんには関わっていないのよ」

 

 「一匹狼ってやつなのかな?」

 

 

 少女は影でひそひそ話されることなど慣れている。いつものことだからだ。周りは少女に関わらない……否、少女の方から関わってほしくないと拒んでいるのだ。それは何故か……少女は()()ではなかったから。

 

 

 「(さっさと帰ろ……)」

 

 

 作業のように毎日を過ごす少女……つまらない人生を何となく生きている。少女は何も考えず、何も求めずただ足を進めていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「早苗危ない!!」

 

 「ふぇ!?」

 

 「(――はっ?)」

 

 

 少女は何も見ていなかった。声が聞こえ、意識を取り戻した時には既に遅く誰かとぶつかり少女は尻もちをついてしまった。

 

 

 「すまない早苗が迷惑をかけて……大丈夫……あっ!!」

 

 「いたた……どこ見ているのよ!!」

 

 

 尻もちをついた少女は怒りを孕みながらぶつかってきた相手を睨みつけた。この時、少女はこれから自身の人生を大きく変える出来事が起こるなど知らずにいた。ただ少女には目の前の二人が変な格好(コスプレ?)をした二人としか見えていなかった。この二人が少女の人生を大きく変えてしまうのだが……その二人とは一体……

 

 

 ------------------

 

 

 「ねぇねぇあれ見てよあの人!超かっこよくない!?」

 

 「マジパネェー!イケイケよねー!!」

 

 「隣の彼女おっぱいデカ!?顔も可愛すぎないか!!?」

 

 「やっぱり彼女さんなのかな……俺もあんな子と付き合いたい!」

 

 「リア充爆発しろ!!」

 

 「壁殴り代行はよ!!」

 

 

 すれ違う人々が口々に思い思いの事は口走る。無数の視線が一組の男女に集中していた。その男女は見慣れぬ服装をしており、明らかに周りと浮いていた。

 髪は腰まで届く青髪のロングヘアに真紅の瞳を持つ男は周りの人々とはミスマッチしている。唯一の救いは隣にいる女の髪の色も緑のロングヘアーで、髪の左側を髪留めでまとめている存在がつり合っていたことだけだ。

 

 

 「あれってコスプレよね?」

 

 「でもあんなキャラクター見たことないわよ?」

 

 「っていうか、なんでここでコスプレなんてするのかしら?」

 

 

 興味と困惑の色を孕んだ視線が二人に突き刺さる。若い男女の話声だけでなく年老いた老人も子供ですらすれ違い様に場違いな格好に視線が釘付けになってしまう。そんな視線を浴びながら早々にこの場を立ち去った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場違いな格好をした二人は公園のベンチで座っていた。その場違いな格好をした二人とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「天子さん!先ほどの会話聞きました!?私のことを可愛いって話してましたよ!!まぁ、私が可愛いってのは当然のことですけどね♪」

 

 「……そうだな……」

 

 

 比那名居天子と東風谷早苗はあろうことか外の世界に放り出されてしまったのだった!

 

 

 あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!

 私は今早苗の奇跡をほんのちょっぴりだが体験した。い……いや……体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……『私は早苗の奇跡で光に包まれたと思ったらいつのまにか外の世界にいた』な……なにを言ってるのかわからねーと思うが私も何が起きたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだったわ……

 催眠術だとか幻覚だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてないわ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

 

 

 まさにポル〇レフ状態だったわ。

 

 

 何でこんなことになったのよ……奇跡が起きたら外の世界へワープってどういうことなのよ!?なんでも奇跡のせいにすれば済まされるもんじゃないのよ世の中は!!

 

 

 「もうどうしたんですか天子さん?カッコイイと言われていたのに元気ないですね?イケメンと美少女のカップルだと思われていましたよ?嬉しくないですか天子さん嬉しいですよね!!超絶可愛い早苗ちゃんと恋人気分になれた感想はどうですか?」

 

 「あはは……まぁ……嬉しいよ」

 

 「そうですよね!でも天子さんには妖夢さんやその他諸々いますし、天子さんがどうしてもって言うなら付き合ってあげなくもないですけどね~ふふん♪」

 

 

 早苗は……ぶれないわね。この状況に動じない精神は凄いわよ。オリハルコンメンタルなの?

 

 

 胸を張って自惚れる早苗をジト目で見ながらも感心してしまっていた。

 

 

 「早苗はこの状況に不安はないのか?奇跡のせい(=早苗のせい)でこうなったんだぞ?」

 

 「私だって不安はあります……久々の外の世界なのでどこに行こうか迷っています!それと食べたい物もいっぱいありますし、買いたい漫画もゲームもあります!それとガンプラも見に行かないといけないので全て回れるか不安だらけなんです!!」

 

 

 ……早苗は早苗だったわ。この子の適応力に感心するしかない私……そんな早苗とは裏腹に私は冷静に判断しなければならない……

 

 

 天子はテンションアゲアゲの早苗とは対照的に落ち着こうと必死だった。それもそのはず……天子は現時点で抱えている問題をいくつも発見してしまったのだから。

 

 

 その1、外の世界にいる私達を誰が見つけてくれるか……霖之助さんと朱鷺子ちゃんが私達が香霖堂から消えたことを誰かに伝えてくれるはずよ。しかし、外の世界にまさかいるとはすぐには気づくまい。気づいたとしてもどれぐらい時間がかかるかわからない……その間、私達はこっちの世界で生きていかなければならない。これは時間の問題ね……

 

 

 その2、こっちの世界で生きていくにわたって寝床をどこにするか……私は外見が男であるから良いとしても問題は早苗だ。女の子である早苗を歩道橋とかの下でダンボールに身を包ませるわけにはいかない。ホテルとかに泊まれたら良かったのだが……

 

 

 その3、そこで一番の問題……お金よ。私は早苗に強制的連れられてしまったせいで無一文の状態よ。早苗が持っているならば話は別だが……

 

 

 「早苗、少し聞きたいことがある」

 

 「およ?はい、なんでしょうか?」

 

 「お金は持っているか?」

 

 「あれ?ここは男性である天子さんが奢ってくれるんじゃないのですか?」

 

 「……」

 

 

 結論、どちらも金欠……状況は絶望的よ。一体どうすればいいのよ……

 

 

 一寸先は闇……今の状況はまさにそれだった。事の重大さに気づいていない早苗は唸っている天子を不思議そうに見つめていた。その時、ふっと思い出したように駆け出してしまった。

 

 

 「早苗どうしたんだ!?」

 

 「天子さん!気づいてしまいました!」

 

 

 なにを気づいたと言うの早苗!?もしや帰る方法でも見つけたの!!?

 

 

 天子は早苗に希望を見た。今にも公園から飛び出そうとする早苗はこう言った。

 

 

 「もうすぐ日が暮れてしまいますのでホテルに泊まりに行きましょう!早く行かないと!!外で野宿なんて肌が晒されて美容の天敵なんですから!!」

 

 

 ズッコケそうになるのを踏ん張る。失望を通り越して泣き無くなって来た……天子の心は涙を流していたが。

 

 

 サ″ナ″エ"ェェ!!ボケないで!!私の精神的なモノも考えてよぉおお!!!

 

 

 挫けそうになっていた天子は見た。前を見ずに走って行く早苗の進行ルートに一人の少女の姿があったことを。

 

 

 「早苗危ない!!」

 

 「ふぇ!?」

 

 

 注意した時には既に遅かった。早苗が振り返った直前にぶつかって少女の方は尻もちをついてしまっていた。慌てて駆け寄った天子は少女を気にかける。

 

 

 「すまない早苗が迷惑をかけて……大丈夫……あっ!!」

 

 「いたた……どこ見ているのよ!!」

 

 

 少女は怒っている様子であったが、天子はその姿を見た瞬間にこの少女が誰であるかわかってしまった。

 

 

 この子は宇佐見菫子ちゃんじゃない!?

 

 

 【宇佐見菫子

 やや癖のついた茶色い髪と瞳、赤のアンダーリムの眼鏡をかけている。今は女子高生の学生服を着ている。彼女は普通の人間とは違って超能力が使え、おまけにあらゆる情報をネットで得られる時代による全能感もあって、他の人間を見下している。さらに友達作りは群れたがる奴らがすることだと考えているために仲間もいない。つまりボッチである。

 

 

 まさか菫子ちゃんと出会うだなんて思ってもいなかったわ。ラッキーなんだろうけど悪い事しちゃったな。

 

 

 「もう!痛いじゃないですか!あなたどこ高ですか!!」

 

 

 早苗『どこ中や!』みたいな言い方やめなさいよ。悪いのはぶつかった早苗の方なんだから。

 

 

 「早苗やめないか、すまない……立てるか?」

 

 

 天子はそっと手を出すが菫子はその手を無視して自力で立ち上がり埃を払う。

 

 

 「近づかないでください……私はもう帰りますので」

 

 「あっ」

 

 

 スルーされ呆気に囚われる天子だった。素っ気ない態度を見せる菫子の姿に早苗はムッとした表情になる。そんな天子と早苗を無視して踵を返して、そのまま歩き出そうとする菫子……しかしその前に飛び出したのは早苗だった。

 

 

 「な、なんですか……?」

 

 

 早苗……どうしちゃったのよ?菫子ちゃんは不機嫌みたいだからそっとしておいてあげたろうがいいと思うのだけれど……

 

 

 通せんぼする早苗と警戒する菫子の光景を見て不安を覚える。

 

 

 「待ってください!ぶつかったのは私です。悪いのは私ですけれど、天子さんは関係ありません。さっきの態度はよくありません!」

 

 「は、はぁ?」

 

 「だから……天子さんに謝ってください。そして怒るのなら私にしてください!」

 

 

 早苗……私のために怒ってくれたのか……なんか感動しちゃった。けれど菫子ちゃんにも不機嫌な時ぐらいあるから大目に見てあげて。それに私には菫子ちゃんが寂しそうに見えている……そんな気がするのよね。高校生だったかしら、学校で嫌なことでもあったのかな?そう言えばまだ【深秘録】の異変は起きていない……すると今の菫子ちゃんは他の人間を見下して、友達作りは群れたがる奴らがすることだと考えているために仲間もいないボッチ状態だったわね。ボッチか……転生前の私みたいで共感できちゃうかも。

 

 

 天子は早苗の元まで行き、そっと肩に手を置いて首を振る。「私のことは気にしなくていい」という意思を表していた。早苗も天子の意思を感じ道を開ける。

 

 

 「すみませんでした。いきなり言いがかりのようなことを言ってしまったり、通せんぼしたりと迷惑をかけました」

 

 

 早苗は頭を下げた。菫子はジッと早苗を見ていたが目を逸らして一言……

 

 

 「……私も嫌な態度とって悪かったわ……ごめんなさい」

 

 

 頭を下げることはしなかったが、菫子は天子に対して謝った。

 

 

 ……根は良い子みたいね。自分だけが超能力を使えれば、自分が特別な存在なんだと思ってしまうのも無理はないわよね。それに菫子ちゃんはまだ高校生で思春期の真っ最中、色々と思うことがあるわよ。これも青春ってやつなのかしら……転生前の私の高校生時代だったら既に枯れて干乾びていたけどね……あれなんだか涙が……

 

 

 菫子に感心し、自身の青春時代を思い出し悲壮感に浸っていると突如として音がなった。

 

 

 ぐぅ~!とマヌケな音……早苗のお腹からだった。早苗は天子に朝から会いに行き朝食も昼食も取っておらずに外の世界へと飛ばされてしまった。そして手元は無一文……食事にすらあり着けない状態である。

 

 

 「天子さん……コンビニ寄りませんか?」

 

 「金は……ない」

 

 「……この世に神様なんていないんですね」

 

 

 早苗がそれを言うんじゃない。神奈子さんと諏訪子さんが驚いているよ……

 

 

 天子はこれからどうしようかと悩んでいたその時だった。

 

 

 「……家に来ます?」

 

 「……いいのか?見ず知らずの相手を家に招くなんて?」

 

 「別にいいですよ。親は能天気だし、友人って言えば喜んでくれるから」

 

 

 ツンとした態度だが、天子達の身を案じての提案だった。正直天子はこの提案に乗るか悩んだ。見ず知らずの相手を家まで招いてその人物がこの世界ではコスプレと呼ばれる衣装で上がるのだから親からしたらどう反応すればいいかわからないものだろうからだ。だが、菫子によれば大丈夫らしい……お言葉に甘えて乗るべきか決めかねていた。

 

 

 「ご飯食べれるんですか!?行きましょう!早く!GO・HOME!ささ、どっちですかあっちですかこっちの家ですか!!?」

 

 「ちょ、ちょっと押さないで!」

 

 「……」

 

 

 天子は考えるのを……やめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 温かく湯気が立ち上る炊き立てご飯、熱々の唐揚げ、味噌汁にサラダの盛り合わせ、そして可愛らしいうさぎの形をしたリンゴが食卓に立ち並んでいた。いつもならばこれの半分も満たない量しか用意しないのだが、今日は特別だった。天子と早苗は菫子に連れられて自宅へとやってきた。出迎えたのは菫子の母親で父親は単身赴任中らしい。コスプレ衣装(外の世界では)姿の二人に一瞬キョトンとした母親であったが、菫子に友達ができたのだと知ると喜んでいた。そしてお腹を空かす早苗と天子のために腕によりをかけて沢山のご馳走を用意したのであった。

 

 

 「じゃんじゃん食べていってね」

 

 「はい!おかわりお願いします!」

 

 

 早苗少しは遠慮しなさいよ……ご飯3杯目じゃない。っと言っても美味しいわねこの手料理は!驚いたわよ、愛情がこもっていることが食べたらわかる。菫子ちゃんは愛されているみたいね。

 

 

 天子はご飯を箸で摘み口に入れると広がる温度とは別の温かさを感じながらしみじみと思っていた。そして正面に座っている菫子を見据えると箸はあまり進んでおらず食べているのは少しだけ。ご飯もお茶椀の半分しか減っておらずおかずもあまり手をつけていなかった。それを観察していると菫子は箸を置いて椅子から立ち上がった。

 

 

 「菫子はもういらないの……?」

 

 「うん……ごちそうさま」

 

 

 それだけ言うと階段を上って行ってしまった。母親の表情を盗み見ると不安な表情をしていた。自分の娘のことが気になるのだろう。早苗はそんな中でも手を止めずに口に次から次へと料理を放り込んでいっていた。そんな早苗に天子は早苗の横腹を小突く。「ひゃう!」という声がしたが天子はスルーして母親に声をかける。

 

 

 「菫子ちゃんはいつもあんな感じですか?」

 

 「ええ……特に最近はいつもあんな感じで、夫も単身赴任中で私一人で菫子の面倒を見ているけど、大体いつも部屋に閉じこもっているわ。昔はそんなことなかったのに」

 

 「……そうですか……」

 

 

 親からしたら心配で仕方ないわよね。さて、どうしようかしらね……無一文の私達はこれからどう生活していけばいいのかわからない。バイト?履歴書を偽造してまで働く?それは何かとまずい気がする……けれど何かしないとこのままでは餓死するのは時間の問題よね……

 

 

 天子の不安は消えることはない。そんな時に横から早苗が話に割り込んで来た。

 

 

 「じゃ、私達がそれを解決すればいいんじゃないですか?」

 

 「解決ってどうすればいいんだ早苗?」

 

 「それは……何かすればいいんです!」

 

 

 そして早苗は天子に耳打ちする。

 

 

 「(それに私達はお金を持っていないのですからここで菫子さんのお母さんに取り入ってこの家に住み込みさせてもらいましょう。そうすれば菫子さんの悩みを解決でき、私達はお金がなくても生活していける。お互いにWINWINの関係になれるというものですよ!)」

 

 

 ちょいちょい早苗、具体的なことは何も考えていないと思ったけど……そこまで考えていたなんて!って言うか普通住み込みなんてさせてもらえる?幻想郷ならば可能かもしれないけれどここは現代社会の日本、人との繋がりが薄れて隣人との距離も遠い疎遠な関係なのにそんなこと了承してくれるかしら……?

 

 

 天子は不安を抱く。確かに早苗の言う事は一理あるが、相手に迷惑になることは出来れば避けたかった。天子は考える素振りを見せるが、お構いなしに早苗は菫子の母親に言い放つ。

 

 

 「菫子さんのお母さん、理由は聞かずに私達を家に住み込みさせてもらえないでしょうか!その代わりに私達が菫子さんの悩みを解決して差し上げますので!」

 

 「早苗!?」

 

 

 天子は早苗の破天荒な行動に目が飛び出そうになる。包み隠さずに直接交渉するとは……早苗は思いがけない行動を平然とやってのけるのであった。しかしそんな早苗の破天荒な行動が功を奏したのか菫子の母親はぱあッと笑顔になる。

 

 

 「本当!それじゃ明日からは4人分のご飯を用意しなくちゃね♪」

 

 

 おいぃいいいいいいいいい!!?いいの!?それでいいんですか!?私達見ず知らずの人間(天人)を受け入れるとかどんなに器が大きいんですか!!?菫子ちゃんが能天気って言っていたけれど、予想外過ぎるわよ!それに理由も話さずに了承させてしまう早苗……なんて恐ろしい子!!!

 

 

 「菫子さんのお母さんの料理美味しいですから楽しみです!」

 

 「嬉しいこと言ってくれるのね♪お母さん嬉しいわ♪」

 

 「……」

 

 

 早苗と菫子の母親は大いに話題に花を咲かせ、傍で呆然とするしかない天子であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――っと言う訳で私達、この家に住むことになりました。改めて自己紹介します東風谷早苗です。これからよろしくお願いします菫子さん♪」

 

 「……比那名居天子だ。すまない菫子ちゃん……明日からよろしくお願いする……」

 

 「はっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」

 

 

 こうして天子と早苗は菫子家にしばらく厄介になるのであった。

 

 

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