これからもちょいちょいと更新していきます。
それでは……
本編どうぞ!
「ねぇ~女苑」
「……」
「ねぇ~女苑ってば~」
「……」
「……お腹ぷにぷに~♪」
「きゃ!?」
背後から悪戯に女苑のお腹を摘まむと可愛らしい悲鳴をあげてしまった。うっかり出してしまった声に恥ずかしさを感じて悪戯を仕掛けた紫苑をこれでもかと言うぐらいに睨みつけた。
「何すんのよ姉さん!」
「だって女苑が無視するんだもん、お姉ちゃん悲しいなぁ」
「勝手に悲しんでなさいよ」
「ああ~!そんなこと言っていいのかなぁ?天子に言って美味しい美味しい手料理を女苑だけには出さないでって頼んじゃおうかなぁ~?」
「んなぁ!?」
にへらぁ♪と悪戯な笑みを浮かべる姉の姿に苛立つ。女苑と紫苑は天界にお世話になって早数日の時が経っていた。今では紫苑は天子と呼び合う仲にまでなっており、女苑の方は初めはグチグチと文句を言っていたが、姉の紫苑と一緒に居られるのが嬉しかった。本人は隠しているが周りにはバレバレで、妹だけは天子に対しては子犬のように威嚇を繰り返す日々を送るのかと思われたが、あることが姉妹を虜にしてしまった。それはは天子の手料理であったのだ。見た目の美しさと味の旨さから手放すには惜しいぐらいに朝昼晩と食事時が楽しみで、紫苑は食事の時間が毎日楽しみで仕方がない。そして密かに楽しみにしているのは女苑も一緒だった。口では「まぁまぁね」「悪くないわ」とか言ってはいるものの、手料理を目の前にして見つめている様子は子犬が餌を今かと待ち望んで尻尾を振っているようであった。
そのことを知っている紫苑は告げ口して美味しい手料理を食べれなくして困らせてやろうかと自分を構ってくれない妹ちゃんに悪戯している。
「な、なんですって!?ふ、ふん!べ、べつに一度ぐらい食べられなかったからって……そんな……そんな……そんなことで悲しくなるわけないでしょ!?私があの変態野郎の手料理が食べれなくなって残念がるわけ……ないのよ!!!」
「ふ~ん……う~んとそれじゃね、天子には女苑はもう手料理いらないって伝えておくね」
「はぁっ!?ちょ、ちょっと待ってよ姉さん!!!」
フワ~と飛んでいこうとした姉を必死に掴んだ。体は正直であり、手料理を食べれなくなることを拒んでいた。必死になる彼女の姿をニタニタと笑う姉はいつも妹に縋り付いていた立場だが、今では逆の立場に立っていることに優越感を感じていた……こんな気分になれるならますます悪戯したくなってくる。
「んん~どうしよっかな~?私のこと無視しようとする女苑が謝ってくれたら考えてあげてもいいんだけどなぁ~でも私みたいな姉なんかに頭を下げるなんてこと女苑がしてくれるわけないもんねぇ……どうしよっかな~(チラッ)」
「(ぐっ!)」
チラチラと視線を向けて煽る姉を見ると拳に力が入る。優越感に浸っている姉の顔がとても腹が立って来る。
「(姉さんのくせに!でもあの料理を食べれなくなるのは嫌だし……憶えていなさいよ姉さん!)」
いつも上の立場にいた妹は敗北感を味わった。
「……姉さん……もう無視しないから……ごめんなさい……」
「んもぅ~女苑ったら仕方のない子♪そこまで言うなら許してあげる♪お姉ちゃんを大事にしなさいよ♪」
「(イラッ!!!)」
いつか絶対にぶん殴ってやると内なる心に決めた妹だった……
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「いただきまーす!」
「……いただきます……」
「?どうしましたか女苑さん?」
「なにか紫苑とあったのか?」
「なんでもないよね~女苑♪」
「……そうね……」
「「???」」
衣玖と私は女苑の様子が変だと気づいた。自分の姉をこれでもかと恨めしそうな眼力で睨む女苑……紫苑との間に一体何があったの?
「(天子様、私的にこのまま放っておいても問題はなさそうだと思います……深刻な問題ではないかと)」
「(そうだな、意地悪されてイラっとするぜ!って感じだな……ここは触れない方がいいな)」
様子から衣玖は何かを察したようだ。私もそこまで険悪なムードではないと判断してこのことには触れないことにする。紫苑と女苑が天界に暮らすようになってから毎日が騒がしく手のかかる家族が増えたみたいに思える。けれどこの騒がしい毎日が楽しくて心が落ち着く。
ジッと料理を口に運ぶ依神姉妹を見つめていたら、天子の隣に座っている衣玖が笑みを浮かべた。
「天子様、今……家族が増えたと感じましたね?」
えっ?なんで私の考えが衣玖はわかったの?口には出していなかったはずだけれども……もしかして衣玖の姿をしたさとりさん?
心を読む覚り妖怪のように的確に当ててしまった衣玖に内心驚いていた。和らげな笑みを浮かべながら衣玖は語る……
「紫苑さんと女苑さんを見つめる天子様の表情は我が子を見守る父親のようでしたよ?」
「……父親……」
知らずに顔に出ていたらしい……けれど父親って……外見は確かに男だけども中身は女の子なのに……複雑な気分ね。私も見た目若いけど天人だからだいぶ歳がいっている……だけど人間やめたからこれはノーカンよ!天人になったから人間的にはまだピチピチの女の子なのよ!永遠の○○歳なのよ私は!!だからBBAではない!いや、GGEではないわよ!!!
比那名居天子も中身は女の子……年齢関係の話題では意地でも主張したいことがあるのだ。
「私が父親か……そんな歳じゃないのだが……」
先ほどよりも声のトーンが低い……明らかにテンションが低くなっているのは明らか。
「そうですね、天子様はまだまだお若い……はっ!?」
そんな天子の様子を見かねてフォローに回ろうとした衣玖は気づいてしまう。天子が父親ならば必然的に自分は母親ではないかと……
「(天界でも有名な仲睦まじい夫婦……個性ある娘達に囲まれてゆったりとした日常を暮らしていく……朝になったら愛する夫を起こしに行って優しく『おはようございます』と私が言うと夫が『おはよう、いつもありがとう衣玖』と返してくれて毎朝の口づけをして、頬を赤く染めながら娘達を起こして朝食の準備……その日は夫も仕事がなく、娘達は外へと遊びに行って家には二人っきり……静かな空間にふっと夫の声が響く。『衣玖、娘達も大きくなってきたな』夫の何気ない一言に私はまだ気づかない……その言葉に込められた意味を。私はただ返事をするだけ……そんな私に近づいて背後から優しく抱きしめてくる夫。いきなりのことでわけがわからない私は動揺してしまう。そして私の耳元でこう呟く『そろそろ三人目……欲しくないか?』っと。ハッとする私に背中に感じる体温が上がって夫も恥ずかしがっているのがわかる。私はただ首をちょこんと縦に振ると手を引かれて朝早くから寝室へと二人で入ってそれからあんな事やこんな事が……!!!ふ、ふふふ……悪くないですね!!!)」
急に妄想の中へとトリップしてしまった衣玖は顔を真っ赤に染めてあれよこれよと捗らせていた。意識は只今有頂天気分である。
衣玖一体どうしたの……?急に黙り込んだと思ったら顔真っ赤だし、そのアヘ顔は女性がしたらダメだと思うのだけれど……ほら紫苑と女苑も気がついたみたいでポカーンってしているわよ?二人は私に視線を向けて「何があったの?」って顔をするけど私にもわかんない……衣玖お願いだから戻ってきて~!
衣玖が元に戻るのはしばらくしてからのことだった……
「さてと、衣玖も元に戻ったし……今日はみんなでお出かけでもするか」
「やった~!」
「ふん、どうせ地上でしょ?まぁ……べ、べつに暇つぶし程度には付き合ってあげるわよ」
「天子様の行くところならばどこへでもお供致します」
ずっと天界で籠っていると体が鈍ってしまうのでお出かけしようと提案したら賛成してくれた。女苑ったらその反応はさてはツンデレだな?ごちそうさまです!紫苑は素直に喜んでくれてその笑顔が素敵よ♪衣玖はいつも私の味方でいてくれて頼もしいわ。とりあえず地上へ行きましょう!
「……っと到着したが、どこへ行こうか?」
「う~ん……天子の行くところならばどこへでもいいよ?」
「金を貢いでくれそうな輩のところ」
「天子様の傍に居られるならどこへでも構いませんよ」
紫苑と衣玖は私に任せる派で女苑に至っては憑りつくつもりなの?流石に女苑のは却下ね。さて……あっ!そうだわ!
天子は閃いた。
「私の
共に異変を解決し、酒を乾杯しあい、心を通わせた仲間を自慢したくなった。
「ここが博麗神社だ。知っていると思うが博麗の巫女である霊夢が住んでいる」
「……いきなりここへ連れて来るとかいじめ?」
「そういうつもりじゃないからな女苑」
私の
鳥居を潜って賽銭箱の前へとやってきた。ガサゴソと懐から小銭を出した天子はその小銭を賽銭箱へと投げ入れた。チャリンと音を立てるとドドドドドドドドドッ!と博麗神社内からこちらに迫って来る音が聞こえてきた。
「お賽銭!!!」
瞳を¥マークに変えた霊夢が勢いよく現れた。最近博麗神社を訪れていなかったために賽銭箱の中身は虚空と化していたのだった。
「霊夢来たぞ」
「天子遅いわよ!あんたが神社に訪れないせいで私はもう少しで餓死するところだったじゃないのよ!!!」
「そこまで貧困ではないだろう?」
「そうだけど貰えるものは貰っておくのが礼儀ってものよ!」
「それは違うような気が……」
「黙らっしゃい!それになに?衣玖だけじゃなく新しく女を口説き落としたから自慢しに来たの……ってよく見れば貧乏神と疫病神じゃないのよ!?私から全財産を奪い取ろって言うの!?そっちがそのつもりならば相手になってやるわよあ"あ"ん"!!?」
「落ち着け霊夢!!」
ギャーギャーと喚く霊夢を宥めていると騒ぎを聞きつけたのかぞろぞろと見知った顔が現れた。
「おいおい霊夢なにやって……って天子かよ。外から帰って来た以来か?」
「魔理沙お邪魔しているぞ」
「私もお邪魔しています」
「おっす衣玖と……うわぁ、お前らかよ……」
依神姉妹を視界に入れて嫌そうな顔をする魔理沙。貧乏神と疫病神の姉妹とは異変の時に殴り合った仲だったが、接近戦が苦手な魔理沙はボコボコにされた記憶があり露骨に不機嫌になった。そして不機嫌になった魔理沙の帽子がずれて中から小人も登場……針妙丸だ。そして初対面だが忘れられない顔の幼女がいる。
「鬼畜ピエロ!!!」
「はぁ!?」
魔理沙、針妙丸と視線が動いてその幼女を認識してしまった天子はあの時の光景が浮かび上がった。何度やっても超えられない鬼畜仕様の弾幕とスペカに苦しめられて何度も泣かされたあのトラウマを生み出した製造機……ぶっ飛ばしてやりたいという衝動に駆られたが、何とかグッと自分自身を堪えたのだった。
【クラウンピース】
金髪ロングヘアー。目の色は赤がかった紫色。玉が3つ付いた紫色に水玉模様の帽子を被り、首元にひだ襟の付いた、青地に白い星マークと赤白のストライプの服を着ている。右側がストライプ、左側が星だが、カラータイツは逆に右側が星、左側がストライプ。つまりアメ〇カンピエロ。
地獄の妖精であり、とある神様の部下。手に持った松明の光を浴びせる事で相手の精神に入り込み惑わせることができ、妖精でありながらも実力主義の地獄で上位に組み込むほどの強さで、その実力はとある神様にも一目を置かれている。
ゲームで受けた屈辱のせいでクラピーのこと罵倒しちゃった。でもあれはせこい、耐久スペカ2枚とか弾幕の異常さに鬼畜仕様言われても仕方ないわよ。私も被害者なんだから……でも私よクールになれ、クラピーとは初対面で印象を悪くするようなことはしちゃダメよ。クラピーが博麗神社にいるのは予想外だけど仲良くなるチャンスなのよ。頑張れ私。
「――ゴホン……いきなりすまなかった。私は比那名居天子、非想非非想天の息子であり、天人くずれだ」
「う、うん」
クラピー困惑中……ごめん、本当に鬼畜ピエロとか言ってごめんなさい。お詫びに今度クッキーでもあげるから許してね……受けた所業の数々は忘れないけどね!絶対に許早苗!!
心中謝罪をしつつ、前世で受けた屈辱を忘れてはいなかった……が、そんな心中のことなど知らない周りは故にお互いに自己紹介を済ませた後だ。気配を感じて天子と霊夢は真っ先に気づくだろう。辺りに濃厚な霧が立ち込める……先ほどまで快晴だったのに急に霧が濃くなったことで二人以外にも気づく者がチラホラ現れた。
「この霧は……」
「まったく……」
天子と霊夢はただの霧ではないとわかる。それも誰が発生させているのかも……霊夢に至ってはため息が吐き出された。
「さっさと出て来なさいよ……萃香」
うっとおしそうに言葉が吐き出された。すると霧は次第に形を作り一人の鬼っ子が姿を現す。
「すぐにネタバレとか面白くないぞ霊夢?よぉ!天子来てくれたんだな、私ずっと寂しかったんだぞ?」
霧の正体は伊吹萃香であった。たまたま博麗神社へ寄る途中で天子達を発見した萃香は霧となり後を追う……衣玖はともかく見慣れない女が傍にいたのだ。また知らない女を引き連れている……嫉妬の感情が見え隠れし、取って食ってやろう(物理的に)かとも思ったほどだった。天子に近づきすぎている貧相な女が気に入らないと挨拶がてら躾けてやろうと現れたのだが、天子と霊夢に気づかれてしまったのならば仕方ないことだ。暴れるわけにもいかずに大人しく天子に甘えようと決めた。
ギュッと天子の腰に抱き着く小鬼。天子の背後でギリッと歯を噛みしめる音が聞こえてきたが無視をする。どうせあの竜宮の使いがやきもちを妬いているに違いないのだから。お前の傍にはほぼ毎日のように天子がいるのに、自分はこうしてたまにしか会えない……鬼は寂しがり屋だ。力も強いし、天狗や河童から恐れられては避けられる。宴会を開けばみんな縮こまり馴染もうとしない。大勢いるのにまるでそこには自分しかしないような錯覚にも覚えてしまう。だからこそ、今こうして天子に会える時間が嬉しいのだ。一人ではないのだと実感できるから。腰に抱き着いている腕に力が籠る。
「萃香よ、力が強いぞ……ちょっと痛い」
「罰なんだぞ?こんなに好きなのに他の女に現を抜かしているからだ……そのうち力ずくで奪い取っちまうかもよ♪」
腰に抱き着いていた萃香が顔を上げ、頬を染めてねっとりとした視線で訴えかける。幼き姿をしても彼女は鬼であり、昔は四天王に数えられた一人である。その表情から幼さなど感じさせず、大人の色気を感じさせる程の魅力を放っていた。男ならば抱きたいと本能が獣に変わってしまうぐらいの誘惑に近かった。
ふひぃ!幼女の体でありながら大人の色気を漂わせ私を魅了してくる!本当に私が男だったならば即お持ち帰りしてたわ……いえ、逆にお持ち帰りされる側ねきっと。女の私でもこれはノックアウトされちゃうわ……実にエロい!だけどそこがいい!!!だが我慢よ、ここは博麗神社で周りには霊夢や魔理沙と言った子供がいるんだからこれ以上は刺激が強すぎます。ので名残惜しいけどここまでよ。
「萃香、ここは博麗神社だ。その視線は刺激が強い……周りのお子様達にはまだ早い光景だぞ」
辺りを見回すと顔を真っ赤にしている魔理沙と針妙丸、クラウンピースはまじまじと興味深そうに見ていた。霊夢は平静を装っているが、視線を逸らしていた。大人の色気ムードはどうも慣れていないようだ。衣玖は……地獄の業火が瞳の中に映し出されていた。様々な感情が雄たけびを上げているのであろう。そして依神姉妹はというと……
「ほわぁ~」
「な、なな……ななななな!!?」
意外にもこのやりとりをのんびり眺めていたのは紫苑であり、口をパクパクさせて頭から湯気が立ち上る女苑だった。妹の方がこういうムードには弱い様子で魔理沙達と同じく
周りから視線を萃香の方へ向けるとその視線は紫苑と女苑を捉えていた。そこで天子は気づいた……萃香は二人がどんな反応をするのか試したのだと。天子にもし好意が芽生えているのであるならばそう言った素振りを見せるのではないか。いわば萃香の偵察だ。依神姉妹が自分の恋敵になり得るのか探りを入れたようだった。そして結果を見れて、周りの反応も見れたし楽しんだ様子の萃香は天子から離れて伊吹瓢に口をつける。
「満足したか?」
「ああ、また敵が増えそうだ」
「「???」」
視界の端で紫苑と女苑を捉えてボソリと呟いた。その呟きを耳にした依神姉妹は自分達のことを言われているとは夢にも思わなかった。
そしてそのすぐ後に萃香は衣玖とひと悶着あるのだが……紹介したい相手がいるので天子達は次の場所へと向かって行った。
「比那名居天子か……ご主人様とご友人様に伝えて面白い奴が来たと言わないとな!」
博麗神社で出会ったクラウンピースは面白い玩具を見つけたように自分の帰りを待つ存在へと報告しに行った。これによって天子は某女神に目を向けられるようになったとか。