比那名居天子(♂)の幻想郷生活   作:てへぺろん

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リアル事情が忙しいですが、頑張って投稿するために参上仕った!



本編どうぞ!




8話 白玉楼にて

 白玉楼で天子の前で土下座する一人の娘がいた。

 

 

 「本当にごめんなさい!妖夢を救っていただいたのに私はなんてことを……!」

 

 「いえ、大丈夫ですよ幽々子さん……私はこの通り生きていますから……」

 

 

 幽々子さんに誤解され、危うく【死を操る程度の能力】で殺されかけた。名前の通りの能力で即死攻撃持ちの幽々子さん……マジで死ぬかと思ったわ……妖夢を支えているし、幽々子さんに攻撃するなんて論外だったから、妖夢が止めてくれてないと本気で死んでいたと思う。防御力なら私は自信があるが、即死攻撃といったものに耐性を持っているかわからなかった。試してみてもいいかと思ったが失敗すればあの世行きだ。それは勘弁だったので、久々に汗をかいた。

 誤解を解くために、経緯を説明すると幽々子さんはわかってくれたらしく目の前で綺麗な土下座をしてくれている。なんか申し訳ない気がする……あの状況を想定しておけばよかった。幽々子さんが帰りの遅い妖夢を心配して待っていることだって想定できたはずだったのに……

 

 

 「それでも、妖夢を妖怪から守ってもらったあなたにこんなことを……!」

 

 

 何度も何度も謝る幽々子さん。いつもならゆったりとしているイメージだが、妖夢のことになると人が変わったように真面目だ。いつもは真面目じゃないとは言っていないのだけど、私はゲームの中の幽々子さんしか知らなかったけれど滅多に見れない幽々子さんの姿に釘付けだ。でも、そろそろ何とかしないとずっと謝るんじゃないかなぁ?幽々子さん……

 

 

 すると、廊下から足音が聞こえてきた。妖夢だ。幽々子さんに事情を説明した後、お風呂に入りに行った。私の体についた妖怪の血が妖夢に肩を貸した時についてしまったし、服もボロボロなので変えることも必要だった。何より妖夢の精神的にも疲れが溜まっていると思ったので先にお風呂に入るように勧めておいた。

 廊下から現れた妖夢は同じ服装だ。あの服は何着かあるみたいだ。私も一度着てみたい……それは今は関係ないのでパスだ。それよりも妖夢は大丈夫か様子を見よう。

 妖夢の様子を窺うと何故か一瞬だけこちらを見たがすぐに逸らされてしまった。何故?私は妖夢に何かした?もしかして下着見たのが不味かった?あれは不可抗力です!それに私は中身は女の子なので妖夢が可愛らしい下着を履いていたとしても私は気にしないよ!

 

 

 天子は内面そわそわしていると幽々子の元へ近寄る。

 

 

 「幽々子様、それくらいにしておきましょう。天子さんが困ってますよ」

 

 「妖夢……ごめんね!私がわがまま言ったばかりに怖い思いをさせてしまって!」

 

 

 妖夢を抱きしめて大泣きする幽々子。妖夢も幽々子を抱き返す。

 

 

 よかった……そう思った。幽々子さんと妖夢の間にこれ程の愛情で繋がれているなんて羨ましい。妖夢のことをいろいろいじっている幽々子さんらしいけど、やっぱり妖夢のことが大事だったんだね。誰かに大切にしてもらえるって温かいことだと私は思う。生前の私は大切にしてもらえていなかったと思う。存在感も興味も持たれない私にとって今の光景は心にくる……妖夢を守れてよかった……

 

 

 天子はこれ以上この場にいるのは良くないと思い、部屋から出て行こうとすると……

 

 

 「天子さん待ってください!」

 

 

 妖夢に呼び止められた。

 

 

 私のやること終わったし、妖夢も無事に帰ってこれたからこれ以上のことはないんだけど、絶対お礼とかされるよね?私お礼目的に助けたわけではないし、幽々子さんと妖夢の時間を奪いたくない。今日はお互いにいろいろとあるだろうし、部外者の私がいるなんて空気読めないのか?って思われる……この場に妖夢達と私以外いないけれど何故かそう思われる気がする……私って被害妄想激しいのかな?やんわりと断って帰ることにしよう。

 

 

 「妖夢……私のやることは終わった。あなたを送り届けたし、帰るとするよ」

 

 「え、えっと……その……」

 

 

 妖夢は指と指を交差させて何かを言おうとしているが、口をパクパクさせるだけで何も出てこない。妖夢の顔も赤く染まっており、そわそわと落ち着きがない。目線も天子を見てもすぐに逸らしてしまう。

 

 

 こ、これは!?もしかしたら私に対する恋に芽生えたとか!?私ってば妖夢を攻略してしまったの!?私ってば罪づくりな天人のようだ。妖夢の状態が完全にギャルゲー(ギャルゲーム)に出てくる恋する初心な乙女にしか見えない。まぁ、私はイケメンだし、状況が完全に愛が芽生えるシチュエーションだったためわからないことはないけど……駄目だよ妖夢、それは一時的感情よ。つり橋効果と呼ばれる不安・恐怖を感じている状態で出会った人物に恋愛感情を持ちやすくなる心理効果よ。そのせいで、興奮と外的な刺激による興奮が混ざって恋愛感情として脳が誤解している状態なの。だから、私に恋するのはやめておいた方がいいわ。何よりも私自身が女だからってのがある。体は男だけれど、今だに下半身についているものにまだ慣れていないし……それに妖夢みたいに真面目でかわいい子にはもっといい男性がお似合いだろうしね。幽々子さんも反対するんじゃないかな……

 

 

 そう思っていると妖夢がようやく口にする。

 

 

 「天子……さん……私あなたにお礼しないと……」

 

 「お礼などいらない。私は通りすがりの天人だからね」

 

 「そ、それでも!!」

 

 

 うーん困った……妖夢の必死な視線が私の良心を刺激して、足止めをくらっている。妖夢侮れない子!お礼をしてもらうこともないので、幽々子さんに助けを求めようか……

 

 

 天子は幽々子に密かに視線を向ける。幽々子は困った天子の視線に気づいて手助けしてくれるはず……

 

 

 「駄目よ妖夢、天子さんに無理を言ってはいけないわよ」

 

 

 お!やっぱり幽々子さんはわかってる!隠れたカリスマ性を持っているだけはあるわね!

 

 

 「でも、私も天子さんにお礼したいわ。妖夢を助けてもらっておいてお礼の一つも与えないだなんて西行寺家としても名折れになってしまいますわ。新聞に載っていた限りでは、比那名居家も名高い家系だとお見受けします。ここは妖夢のためと私のためと思ってお礼を受けてもらえませんか?」

 

 

 幽々子さんは頭を下げた。妖夢もそれに続いて頭を下げる。確かにお礼を受けないってのも相手側に対しても失礼に値するか……それに幽々子さんが頭を下げてまで私にお願いしたし、妖夢も必死に私にお礼したいって言ってくれたから、これは受けないと私的にも比那名居の名を持つ者として受けねばならないね。

 

 

 「わかった。私も比那名居家に生まれた者……幽々子さんと妖夢の思いを無下にはできませんので、お受けしましょう」

 

 「ありがとう天子さん……なんですが、その前にお召し物を洗わないといけませんわよ」

 

 「あっ……」

 

 

 妖夢が思い出したように天子の服を見る。天子も同じように自分の服を見ると時間が経って忘れていたが血に染まっているし、臭いも問題だ。こんな格好で白玉楼に上がっていたなんて……自分が情けないと改めて天子は思うのであった……

 

 

 ------------------

 

 

 ようやく帰ってこれた……もう戻れないと思っていた場所に……幽々子様がいるこの白玉楼に……

 

 

 白玉楼に帰ってきて私達を待ち受けていたのは幽々子様の冷たく怒りを宿した眼差しだった。帰りが遅くなって怒っているのでも料理が食べれないことで怒っているのではなかった。幽々子様は私のために怒ってくれた。私が何かされたのではないかと思って怒ったのだ。嬉しかった……ここに帰ることができて……幽々子様に必要とされているとわかると目頭が熱くなった。でも、幽々子様を止めないといけなかった。私を支えてくれている天人の天子さんは私の恩人であり、私を絶望から救ってくれたお方だ。その天子さんが幽々子様に勘違いされている。幽々子様は天子さんを殺すつもりだった……それはダメだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幽々子様に事情を説明した。嫌な記憶をすぐに消したいし、気分も悪くなる……自分の醜態が言葉となって幽々子様の耳に届く。自分の醜態を自分自身で語らないといけないのが辛い……でも説明しないと天子さんに危害が及ぶ……

 私が説明したことで天子さんの疑いが晴れた。何とか場は落ち着きを取り戻していつもの幽々子様に戻った。天子さんと幽々子様は私を一足先にお風呂に入ることを勧めた。二人の元を離れるのは失礼かと一瞬思ったが、素直に従った。幽々子様も天子さんに謝らないといけないし、私もこの体を今すぐに洗いたい。

 

 

 私はボロボロになって妖怪共の穢れた血がついた服の代わりを用意してから風呂場に向かう。服を脱いでいるとあの時の光景が頭をよぎる……あの妖怪の顔が私を気持ち悪い目で見て、口からはよだれが垂れ、臭い息が今でも鼻につく……あの妖怪の手が舌が……私の体を貪り尽くす光景を想像すると吐き気がしてきた。怖かった……絶望した……もう幽々子様に顔向けできないと思って涙が溢れた……死にたいとも思った……だけど、私は今ここにいる。この体も綺麗なままだ。吐き気もいつの間にか消えてなくなっていた。あの方が私を助けてくれたから……!

 

 

 比那名居天子という天人の男性……人里で人達が話していたのはこの方のことだった。

 私も新聞を読んだ。あの天狗のことだから大体が捏造で作り上げたでっち上げだろうと思って気にも留めなかった。鬼の伊吹萃香に勝ったなんて冗談だと思った。私は一度彼女にあったことあるけれど、あれは勝てないと思った。半人前の私ではどうすることもできないと……だから、賭け事かゲームで勝ったのだろうと思って深く読む気にはなれなかった。それに幽々子様の食事の準備に取り掛からないといけなかったから……

 

 

 「……ふぅ……」

 

 

 風呂で一息つく……寧ろ自然に出たといった感じだ。

 

 

 「……天子さん……」

 

 

 妖夢は口から天子の名がぼそりと出た。

 

 

 妖怪共を斬り倒し、戦う姿は美しかった……鮮血が巻き散り、屍すら肉塊に変えるその非情な姿に恐怖したなんてことはあの時の私にはなかった。私は天子さんの姿にいつの間にか夢中になっていた。強い……心の底から感じた。妖怪共の攻撃を軽々と受け流し、葬っていく姿は私にとっては恐怖よりも憧れだった。そして何よりも天子さんの剣術が私の目を釘付けにした。変わった剣を手にして妖怪を軽々と斬る……まるで妖怪の強固な肉体がただの脂肪の塊にすぎないかと思う程であった。見惚れていた……天子さんの姿は女である私でもとても美しいと感じた。

 さっきまで怯えていた体がゆっくりとだが安心している気がした。この方がいるなら大丈夫とか思っていたのかもしれない……あの妖怪の最後を見届けると全てが終わったんだと感じた。血に染まった服に身を包んだ彼がこちらに向かって来たけど不思議と怖くもなかった。

 天子さんがあの妖怪共の仲間を殺したことで今回の出来事が起こったようだった。でも、天子さんは何も悪くない。子供を助けたのに、自分を責めるなんて……不甲斐ないのは私の方、妖怪共を甘く見て油断したのは私の方だ。天子さんが私に謝るなんて間違っている……

 

 

 天子さんが笑った……美しい綺麗な笑顔だった。私は自然と見惚れてしまっていた。男性なのにこれほど美しく心惹かれてしまう表情ができるのだろうかと……

 それに私のことを知っていた。なんだかわからないけど嬉しかった。天子さんが私のことを知っていてくれたことに喜びを感じていた……なんでだろう?

 

 

 妖夢は自分に疑問を感じたが、それが何かわからなかった。

 湯船に浸かる妖夢はあの時のことを思い出す。腰が抜けてしまい、天子に肩を貸されたあの時に、破れた箇所から見せてしまった肌と下着のことを……天子に言われるまで忘れていたことで混乱して、つい天子の顔を殴ってしまったこと、天子は許してくれたが自分が情けないと思うばかりである。

 

 

 「はぁ……」

 

 

 ため息が出る。私は救ってくれた天子さんになんてことをしたんだろう……そ、それに私の下着を見せてしまうなんて天子さんに失礼だったのに……

 私を運ぶ前に、事件に巻き込まれ周りで死んでしまっていた小妖怪達を天子さんが丁重に墓を作ってあげていた……あんな優しい方はそういないと思う。あの方が居てくれたから今の私はここで湯船に浸かることができている。幽々子様の顔をもう一度見ることができた。そして、天子さんに出会えた……天子さんの戦いに魅了された、天子さんの優しさが身に染みた、天子さんの強さに憧れた、天子さんの笑顔がとても素敵だった……天子さんの傍にいたい……

 

 

 妖夢は気づく、先ほどから天子のことばかり考えている自分がいることに、天子のことを考えると心がドキドキして体温が熱くなることに……

 

 

 「わ、わたしったら!天子さんのことばかり……!?て、てんしさんのことは確かにカッコよくて綺麗で憧れだけれど……天子さんの事ばかり考えてしまうのは……どうして?」

 

 

 妖夢は答えを出すことはできなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞こえてきた。幽々子様が天子さんに謝っている声がする。勘違いだとは言え、天子さんを殺そうとした幽々子様……もし幽々子様が天子さんを殺してしまったら私は幽々子様にどんな感情を向けていたでしょうか……?

 

 

 妖夢は部屋に入ると一瞬だけ天子を横目で見ると顔を逸らしてしまう。意図的にやったのではない。何故か逸らしてしまったのだ。妖夢自身もわからなかったが、今は幽々子をどうにかする方が先だと判断した。

 

 

 「幽々子様、それくらいにしておきましょう。天子さんが困ってますよ」

 

 「妖夢……ごめんね!私がわがまま言ったばかりに怖い思いをさせてしまって!」

 

 

 幽々子様……幽々子様のせいではありません。私が半人前だったばかりに後れを取ってしまっただけなのに……

 私の体を抱きしめる幽々子様の瞳から大粒の涙が流れる……ああ、やっぱり私はここに帰って来れてよかった。いつもは私をいじる幽々子様がこんなに私を大切にしていてくれていたなんて……ありがとうございます。幽々子様の愛情が伝わってきます……

 

 

 妖夢が感激しているとどこかへ去ろうとする天子の姿が目に入った。妖夢の体が勝手に天子を引き留めていた。

 

 

 「天子さん待ってください!」

 

 

 私は言っていた。どこかへ去ろうとする天子さんに向かって……

 

 

 「妖夢……私のやることは終わった。あなたを送り届けたし、帰るとするよ」

 

 「え、えっと……その……」

 

 

 何か言わなきゃ!で、でも何を話せばいい?天子さんも帰らないと天子さんの帰りを心配する方がいるはず……時間をとらせたくない。けど、言葉が見つからない……探せど探せど選べない……何を言ったらいいのかわからない。もし天子さんの気を悪くさせてしまうことを言ってしまったらどうしよう……そ、それに、天子さんを見ると心がドキドキする。一体……こ、これは何なの……ですか……?

 

 

 頑張って選んだ言葉が妖夢の口から出た。

 

 

 「天子……さん……私あなたにお礼しないと……」

 

 「お礼などいらない。私は通りすがりの天人だからね」

 

 「そ、それでも!!」

 

 

 それでもなにかお礼をしないと私の気がすまないんです!天子さんに助けてもらっていて何もお返しできずに天子さんと会えなくなるのは嫌……です!

 

 

 「駄目よ妖夢、天子さんに無理を言ってはいけないわよ」

 

 

 幽々子様が私と天子さんの間に割り込んだ。そうです……よね。これは私のわがままですし、天子さんを困らせることはしたくない……

 

 

 「でも、私も天子さんにお礼したいわ。妖夢を助けてもらっておいてお礼の一つも与えないだなんて西行寺家としても名折れになってしまいますわ。新聞に載っていた限りでは、比那名居家も名高い家系だとお見受けします。ここは妖夢のためと私のためと思ってお礼を受けてもらえませんか?」

 

 

 幽々子様も同じ思いでしたか……私もそうです。私も幽々子様に続いて頭を下げた。

 

 

 「わかった。私も比那名居家に生まれた者……幽々子さんと妖夢の思いを無下にはできませんので、お受けしましょう」

 

 「ありがとう天子さん……なんですが、その前にお召し物を洗わないといけませんわよ」

 

 「あっ……」

 

 

 天子さんの服を見るとあの妖怪共の穢れた血がついていた。天子さんはそのまま帰ろうとしたのか……それはいけません!天子さんを汚した状態で帰すなんて私が許せない。私が天子さんの服を綺麗にしないと……!

 

 

 ------------------

 

 

 「お似合いよ天子さん」

 

 「ありがとうございます幽々子さん」

 

 

 天子は着物を着ていた。男性用の服が白玉楼にあるのかと疑問に思ったが、妖夢の祖父のお古だった。お古を着せるのはどうかと幽々子は思ったが、これ以外に男性用のがなかったので失礼ながらそうしたのだ。天子は全く嫌がっておらず、着物を着ていることに喜んでいるように見えた。

 

 

 「着物を着たことがなかったので新鮮な感じです」

 

 「いつもあの服を?」

 

 「ああ、あの服は特注品で素材も天界でもレア物でしたが、通気性に耐久性に何といっても私の身に合った服でしたのでお気に入りなんです」

 

 「そうだったの。なのにごめんなさい……()()()()()()()()()()()()なんて……」

 

 

 幽々子は謝ったが天子は言った。

 

 

 「幽々子さんそれは違う。『()()()()()()()()()()()()』なんてことは言っちゃダメだ。妖夢を守れたし、彼女の幸せそうな顔を見れた。それに幽々子さんのためでもあるんだ」

 

 「私の……ため?」

 

 

 幽々子は意味がわからなかったが天子は続ける。

 

 

 「幽々子さんが居て、妖夢が居る。一人もかけてはならないし、不幸になってはいけない。お互いに支え合える存在なんだ。二人の幸せを守れたんだから私は満足さ」

 

 「天子さん……!」

 

 

 幽々子は天子を見つめる。その瞳はどこかとても輝いているように見えた。

 

 

 「幽々子様、天子さん、準備ができました」

 

 「わかった。それじゃ、行こうか」

 

 「ええ!」

 

 

 白玉楼で小さな宴会が執り行われた。

 

 

 ------------------

 

 

 「お似合いよ天子さん」

 

 「ありがとうございます幽々子さん」

 

 

 実は私は着物を着るのは初めてだ。生前でも着物なんて来たことなかったし、興味もなかった。けれど、今もの凄く楽しんでいます。この服は妖夢のおじいさんである【魂魄妖忌】のお古らしいけどしっくりくる。やはり体が男なので男性用じゃないとダメだな。

 

 

 【魂魄妖忌

 設定上のみの存在ではあるが、数少ない男性キャラの一人で、魂魄妖夢の祖父であり、彼女の剣術の師匠でもある。白玉楼の庭師と剣術指南をしていたが、突如失踪し、庭師の役目は孫娘の妖夢に受け継がれることになる。設定だけなので、容姿は不明だ。

 

 

 そんな妖忌の着物なんだが、これがカッコイイ!正にこれを着ると私は和の(おとこ)って感じがする。お古だけど大丈夫と聞かれたけど問題ない。あの妖忌が身に纏っていた着物を着ると私も妖忌になった気分だ。「斬れぬものなど何もない!」なんちゃって♪

 

 

 「着物を着たことがなかったので新鮮な感じです」

 

 「いつもあの服を?」

 

 「ああ、あの服は特注品で素材も天界でもレア物でしたが、通気性に耐久性に何といっても私の身に合った服でしたのでお気に入りなんです」

 

 「そうだったの。なのにごめんなさい……()()()()()()()()()()()()なんて……」

 

 

 あら?幽々子さんなんで謝るの?それにそんなこと言っちゃダメだよ。妖夢のためだけじゃない。幽々子さんのためでもあるんだ。結果的にそうなったけど、私は何も気にしない。幽々子さんは笑顔でいてくれるんだ。妖夢も幽々子さんの笑顔を見れる。私自身はどうなってもいいんだ。服についた血なんて洗い流せる……身も心も穢されてしまったら洗い流せないんだから……

 

 

 「幽々子さんそれは違う。『()()()()()()()()()()()()』なんてことは言っちゃダメだ。妖夢を守れたし、彼女の幸せそうな顔を見れた。それに幽々子さんのためでもあるんだ」

 

 「私の……ため?」

 

 

 そうだ。幽々子さんのためだよ。私のエゴだけど、幽々子さんと妖夢の幸せを見ると心がポカポカする。それに二人が居ての白玉楼なんだし、人の幸福を嫌う人はいるけど私は好きだ。だから私はこれでよかったと思っているわよ。

 

 

 「幽々子さんが居て、妖夢が居る。一人もかけてはならないし、不幸になってはいけない。お互いに支え合える存在なんだ。二人の幸せを守れたんだから私は満足さ」

 

 「天子さん……!」

 

 

 幽々子さんの瞳がめっちゃ輝いている気がするんですけど……あれ?慧音の時も見た気がするけど気のせいかな?

 

 

 そうしていると宴会の準備をしていた妖夢がやってきた。

 

 

 「幽々子様、天子さん、準備ができました」

 

 「わかった。それじゃ、行こうか」

 

 「ええ!」

 

 

 白玉楼で小さな宴会が執り行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、宴会の最中の出来事……

 

 

 「天子さん、私を弟子にしてください!」

 

 

 妖夢が私に弟子入りを希望したのであった……

 

 

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