ドラゴン使いの少女は。   作:トリスティティア

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どうも、最近昔の話ばかり読んでいるトリスティティアです。


ゴーストは食欲減退の兆し。

 

帽子は叫んだ。

 

「グリフィンドール!」

 

と。

少女がこちらのテーブルに歩いて来る。ぱらぱらと拍手が起こるが、それは何人かの心優しい先輩のものだった。

私の前に座ったのを見届けてから、マクゴナガル先生の名前を呼ぶ声が沈黙を打ち消した。

彼女は座ってすぐにうつむいてしまった為、感情はもちろん表情も読み取る事はできない。

何だか、前世での私を見ているようで辛かった。一瞬話しかけようかと思ったが、すんでのところで押し留めた。

今話しかけてもきっと拒絶されるだけだろうし、そして何よりいじめられっ子だった私と重ね合わせて考えるのはとても失礼な行為だろうからだ。まあ悲しい事に前世の私と彼女では容姿のレベルがあまりにも違いすぎるのだが。

 

ハリーやハーマイオニーがグリフィンドールに来る中、遂にシェリーの組み分けがやって来た。

私にとってはこれから七年間の学校生活が地獄か天国か決まる瞬間である。新学期にクラス分けの表を見る少女と同じくらい緊張している。私はどくどくと鳴り止まない心臓を胸に抱えながら、組み分け帽子の方を凝視していた。

 

だから、気がつかなかった。ハリーの名前が呼ばれても一切見ようともしなかった目の前の少女が、シェリーの名前が呼ばれた時にほんの僅かにそちらを見た事を。どんな表情をしているのか、どんな感情を持っていたのかも、気づいていなかった。

  

 

どうやら私の念が通じたらしく、シェリーは晴れてグリフィンドールの一員になった。命拾いしたな、帽子。

満面の笑みを浮かべたシェリーがグリフィンドールテーブルに来て、私の隣に座る。

 

「一緒の寮ですね!」

「うん、良かった」

 

顔をほころばせて同意する。

これでシェリーと違う寮だったら私、もう立ち直れなかったかもしれん。

 

「リア……!」

 

シェリーはブラックさんを見て一瞬表情を明るくしたかと思えば、すぐに行き場なさげに視線を下に向けた。

 

後から思い返してみれば私はこの時我が「友人」のフォローをすべきだったのだろうが、生憎とその時の私はそんな事には気がつかなかった。

何故なら、さっきまで感じていた既視感と微かに残っていた記憶がシェリーの一言でかっちりとはまったからだ。

 

「リアって、あの時、本屋さんにいた子……ですか?」

 

何だか微妙に疑問形になってしまったが、不思議と私は目の前の少女があの時の黒髪の女の子である事を確信していた。

こうして目の前にして見てみると、やはり記憶の中の顔と同じに見える。

 

「え?」

「フローラ、リアの事知ってるんですか?」

「いや、知ってるというかその……」

 

一瞬見ただけだったけど。

凄く綺麗な兄妹だったから、よく覚えていた。

近くでじっくり見てみると、本当に整った顔をしている。今は無表情だが、笑ったら男女問わず魅了されるのではないだろうか。

そんな事を考えていると怪訝な眼で見つめられた。つい食い入るように見つめてしまっていたらしい。

 

「あ、ご、ごめんなさい。私、フローラ・アルテミルです。よろしく」

「………アステリア・ブラックです」

 

慌てて笑みを作ってから名乗ると、いかにも渋々といった感じで名乗ってくれた。無視しないところを見るに、意外と悪い子じゃないのかもしれない。まあ完全なる直感なのだが。

それにしても、ブラック……。うーん、何だか大事な事を忘れているような気がしてならない。

その時、丁度ロンの組み分けが終わった時の歓声で、また私の違和感は消し飛んだ。

 

最後の子の組み分けが終わった後、校長先生が立ち上がる。

 

「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。

では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」

 

ダンブルドアの挨拶に、拍手と歓声が沸き起こった。

ちら、とアステリアの方を見ると、氷の様に冷たい瞳でダンブルドアを見ている。いや、彼女の場合誰にでもそうなのかもしれないが。

それとは対照的に、シェリーは笑っていた。

 

「面白い人ですよね」

「そ、そうだね」

 

私がダンブルドアを面白い人と言ってのけるシェリーに驚いていると、ぷんと美味しそうな匂いが漂って来た。

 

見ると、金の皿に色々な料理が出現している。

ポテト、フライドチキン、ローストビーフ、ヨークシャープディング。

 

早速皿にとって食べ始めた。

イギリスの飯は不味いと良く聞いていたが、そんな事は無い。寧ろ美味しい。

 

ゆっくりと味わっていると、ポケットら辺で突かれた様な感触。

そういえば、シオンの事を忘れていた。

 

ポケットから出して、テーブルの下に隠れる様、スカートの上に乗せる。

 

誰も見ていない事を確認してから、ローストビーフを一、二枚シオンに食べさせた。

綺麗に完食したシオンが瞳を輝かせる。ホグワーツの食事は口に合ったらしい。

 

だが、シオンにばかり構ってもいられない。

私も食事をしなければ。

フライドチキンを齧りつつシェリーの方を見ると、美味しそうにシチューを啜っている。

 

「うわっ!」

 

そこに、ロンの驚く声が聞こえた。

どうやら、チキンを取ったらゴーストが顔を見せたらしい。

 

「美味しそうですね」

 

チキンの皿から首を出したままほとんど首無しニックが言う。

……取り敢えず皿から出て欲しい。食欲がなくなるじゃないか。

 

「食べられないの?」

「かれこれ四百年、食べておりません。勿論食べる必要は無いのですが、懐かしくて。まだ自己紹介しておりませんでしたね。ニコラス・ド・ミムジー-ポーピントン卿と申します。お見知りおきを。グリフィンドール塔に住むゴーストです」

 

する、と皿から出ながらニコラス卿は言う。

名前が長い。いや、四百年前の人なら普通の長さなのかもしれないが、それでも長い。

 

「僕、君のこと知ってるよ!兄さんから聞いてる。『ほとんど首無しニック』だ!」

「むしろ、呼んでいただくのであれば、ニコラス・ド・ミムジー……」

 

フルネームで呼べとでも言うのだろうか。このままだと堂々巡りする事を察したのか、シェーマスが彼の言葉を遮って食い気味に言う。

 

「ほとんど首無し?どうしてほとんど首無しなの?」

「ほら、この通りですよ」

 

少々腹立たし気にニコラス卿が自分の片耳を掴んで引っ張ると、頭が首の皮一枚残してぐらりと落ちた。あえて描写はしないが、透けているとはいえ、普通に首の断面を見せられた私の気持ちを察して欲しい。

……食事中にショッキングなもん見せやがって。

ニコラス卿は生徒達の驚いた顔に満足したのか、頭を戻す。なかなか悪趣味な幽霊殿である。

 

「さて、グリフィンドール新入生諸君、今年こそ寮対抗優勝カップを獲ってくださるでしょうな?スリザリンがここ6年間、ずっと勝ち続けているのですぞ!『血みどろ男爵』はもう鼻持ちならない状態です……あ、スリザリンのゴーストですよ」

 

ニックが指差したスリザリンのテーブルの方を見ると、銀色の血まみれの男が座っている。

その隣のマルフォイは気分が悪そうだった。

分かる、その気持ち。

肉料理を食べる気を失くした私は無言でポテトを口に入れた。

 




ゴーストって不思議ですよね。
あと、最近もうサブタイトルが適当になっている気がしないでもないです。
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