さて、私は本当に『ハリー・ポッター』の世界に転生してしまったようである。
成長するにつれて、その事がはっきりと確信出来てしまった。
……お父さんとお母さんは普通に杖で魔法使ってるし。
……何か凄く跳躍力高い犬居るし。
前世で犬を飼った事は無いが、大型犬は2、3メートルも跳べるものなのだろうか。そこらへんよくわからない。
犬の謎はさておいて、私はハリポタが嫌いとか、転生したのが嫌だとかでは無いのだ。
『ハリー・ポッター』は寧ろ前世でもよく読んでいて、結構好きな小説だった。
家で読むと殴られる為、図書館や本屋、学校で読んで、一年かけて全巻読破した程。
私が嫌なのは、「痛い」事だ。
痛みなんて、もう前世で感じた分で充分でしょう、神様?
そういう意味では、『罪と罰』のリザヴェータとかに生まれなくて良かったのかもしれないが。
……まあそれはともかく、取り敢えずマグルでは無い、暖かい家庭に生まれて良かった。
マグルだと、無駄に殺される。何によって、どうして殺されたのかも分からずに。
そんなのは嫌だ。
それに私の今世での家、アルテミル家は大分教育熱心で、小さい頃から魔法薬の調合などを教えて貰えた。
勿論、英語も。
私の地頭が良かったのか、すぐに簡単な英語なら聞き取れるようになった。
中学生程度の英語力があった事も幸運だったのだろう。
ただ、本格的な杖を使った魔法は四歳からと決まっていたようで、それまで杖には触らせても貰えなかった。
その代わり、三歳の誕生日に何やら水晶の球のような物を貰った。
簡単には割れないほど硬い、真っ青な球である。
中央でキラキラと金色の光が瞬いている。
果たして両親はこの純真無垢(見た目だけ)な3歳の幼女に、この球で何をさせようというのか。
少なくとも、占いは無い。
別に両親は占い反対派というわけでは無いが、流石に三歳の少女に水晶玉は与えないだろうし、私もたいして占いというものには信用も興味も無い。
どうやら占いは信じていないと駄目な様だし、そこをみても私には才能は無い。
家族はニヤニヤしてるだけで、教えてくれやしないし。
挙げ句の果てに、球が収まる籠と、そこに敷く羽毛布団もくれた。
スーパーで買ってきた鳥の卵を暖める純真な子供じゃないんだから、と少し思うが物凄く綺麗な球なので、愛着も湧くというもの。
毎晩籠の球を磨いたり、タオルをかけておいたり。
気のせいか、段々全体が輝いて来たように見える。
私が近づくと、輝きが強くなるし。
まるで、生物みたいに。
……まさか、本当に卵じゃ無いよね?
そして私は、4歳の誕生日にその球の正体を知ることになる。
水晶玉の下に敷く座布団?の名前が分からない……!