無事に二時間かけて杖を買った夜。
弟と妹が寝静まった後、私は両親に呼び出されあの球を携えてリビングへと向かった。
そこには両親と兄、セシルの姿が。
……何をするのだろうか。
「フローラももうこんな歳か……」
「クリスは大袈裟なのよ。めでたい事でしょ?」
「いやあ、あの時は僕も嬉しかったよ……」
「はい?」
感動しているお父さん、それに冷静に突っ込むお母さん、若干6歳にして過去を懐かしむ(?)セシル。そして、呑気そうに欠伸する3頭の犬達。
状況が理解できないのですが。
え、ちょっとマミーとパピー、助けて。え、兄?頼りにならなさそうだから良いや。
「え、何?何をするの?」
「ああ、フローラ。それを貸してごらん」
一瞬で真剣な顔に戻ったお父さんは、そう言った。
言われるがまま、球を渡す。
お父さんはそれを両手で持った。
「そして、両手をこれにかざす」
「う、うん」
指示通りに手をかざすと、球が強く光った。
一筋の風が髪を揺らす。
何となく、吸い込まれるような感じ。
これに、魔力を吸い取られでもしているみたいだ。
この世界に、魔力という概念があるかどうかは分からないが。
球がもう一度更に強く光って、思わず目を瞑る。
目を開けるとそこは……花畑だった。
どこまでも繋がっていそうな色とりどりの花畑。
パンジー、向日葵、チューリップ……季節感とか全く無視の花畑。
そこに、私は1人で突っ立っていた。
……いや、正確には1人では無いようだった。
ルルル……と、小さな鳴き声が聞こえて来る。
鳴き声を辿っていくと、花畑に真っ白な……
「犬?」
羽が生えた犬が、こっちを見ている。
大きな金色の瞳で、私を見つめたまま動こうとしない犬に、恐る恐る触れようとしたところで、私は突然現実に引き戻された。
まさかの夢落ちかと思いきや、腕には確かな重みと柔らかな感触があった。
「「「おめでとう!」」」
「へ?」
下を見ると、そこにはさっきの……犬がいた。
あの、羽が生えた犬である。
「フローラも、遂にドラゴン使いか!」
「気が早いわよ、クリス」
「うわぁ、真っ白!」
ド、ドラゴンですと?
確かにうちは犬がまあまあ沢山いる。
信じられない跳躍力を持つ犬が。
時々本棚の上で寝ていたり、大きさに違和感を感じたり。
……え?
「フローラ、落ち着いて聞いてね」
「は、はい」
「アルテミル家は……」
その時、3頭の犬が父、母、兄の後ろで、羽を広げて……空中に浮かんでいた。
そう、まるで獣型のドラゴンのように。
「ドラゴン使いの家系だ」
……………ゑ?
短いですね……