第17話 新米執事
「あらま。ちょっと困ったことになっちゃったわね。」
「ちょっと!ここはなんのなのです!?」
ここはディメンションゲートの中。白い小さなコウモリが作り出したその空間に偶然近くにいた綾波が入り込んでしまったのだ。
「ごめんね~。巻き込むつもりはなかったのよ?」
「なら早く戻してほしいのです。」
「う~ん、それは出来ないのよねぇ。」
「出来ないじゃ困るのです!」
「こうなったら仕方ないわ。話は通しておくから、向こう側でなんとかやってちょうだい。」
「向こう側って、ちょ!待っ!」
ゲートの空間を通り抜けた綾波が目にしたのは、明らかに重桜とは異なる西洋風の景色。
「ここは?」
『吹雪!』
『ハァ…ハァ…司令、官…私…勝ちました、よ。』
『ダメだ吹雪!逝くな!!』
『後は…任せ、ます…。この、世界、を…守護、って…。』
『吹雪ぃぃぃぃぃ!!』
「ッハァ!」
ツカサは目を覚ました。視線を動かすと、ツカサの左腕を枕にしてユニコーンが眠っている。
「夢か。ふぅ・・・。」
ユニコーンの頭を撫で、起こさないように腕を抜き、ベッドから降りる。机の上を見ると、きれいに折りたたまれた服が入ったビニール袋が置いてある。
「これがこの国での俺の役割か。」
着替えてポラロイドカメラを首から下げる。階下に降りると、他の3人はすでに起きていた。
「おはよう、ツカサ。その格好は?」
「おはよう。これがこの国での俺の役割らしい。」
「あら、執事服?よく似合ってるじゃない。」
「それより外を見てみるといい。変わってるぞ。」
外に出ると、昨日までの桜の母港は存在せず、西洋風な街並みと母港があった。
「ここはロイヤルか?あまり気が進まないな。」
「ツカサ?どうかしたのか?」
「エンタープライズか。なに、あそこに行くのが気が進まないってだけさ。」
「何故だ?」
「昔色々あってな。とはいえ、行かないわけにはいかない。飯を食ったら行くか。」
「心配なら私も一緒に行こうか?」
「イヤいい。あの人に会わないようにすればいいだけだから。」
ロイヤル母港
門番によってツカサはロビーに通された。そこにはツカサを待っていたと思われる銀髪のメイドがいた。
「初めまして。私はロイヤルメイド隊のメイド長、ベルファストです。」
「角谷ツカサだ。よろしく。」
「お話は聞いております。男性の執事を迎え入れるのは初めての試みだと。」
「まぁ、そんなところだ。で、俺は何をすればいい?」
「本日は私と共に1日の業務の確認をします。具体的な仕事内容はその後に。」
「分かった。」
「ところで、そのカメラは?」
「あ~、やっぱりダメか?」
「はい。業務に差し支えるかと。」
「仕方ない。おい、門番。」
「はい?」
「これ預かっといてくれ。壊すなよ?」
「分かりました。」
「では、参りましょうか。」
ツカサは誰に会いたくないのか?それは追々。