新米執事としてツカサに割り当てられた最初の仕事は掃除だ。先輩メイドと一緒にロビーの掃除をすることとなったのだが・・・。
ガシャーン!
「シリアス!俺の仕事増やすな!」
「申し訳ありませんツカサさん!どうか、この卑しいメイドに罰を!」
「するか!バカ!」
人選ミスとしか思えない人物だ。だが、今のツカサにとっては好都合だった。
「この割れた花瓶捨ててくるから、細かい破片の掃除しておいてくれ。」
「後輩にフォローしてもらうような情けないメイドで申し訳ございません。」
「全く、どっちが先輩だか分かんねーよ。」
抜け出すことに成功したツカサは、割れた花瓶を捨てるとシリアスの所へは戻らずにジャベリンを探しに学園へ向かった。
(ミラー型の出現音の範囲は狭い。あの場にいたのは俺とメイド長とジャベリン、あの後メイド長と2時間ほど一緒にいたが何もなかった。つまりミラー型が狙っているのは。)
学園
ジャベリンは1人、教室の机に突っ伏してした。
(あの夢は何なの?ここ数日毎日見てる。しかも、食べられてた人達は新聞の行方不明の人達とそっくり。)
キィィィンキィィィン
「な、なに?」
突然、金属音のような音が聞こえてきた。音の発生源を見ると、窓ガラスに2体の黒髪の女性が映っている。しかし、教室にはジャベリンしかいない。
「イヤァァ!」
ジャベリンは教室から逃げ出し、校舎の裏側に来た。
「ハァ、ハァ、なんのあれ?」
キィィィンキィィィン
「また!」
ギュインギュイン
「シャアアアアア!」
「きゃあ!」
突如、窓ガラスから2体のミラー型深海棲艦ル級が姿を現す。
「やめろ!」
ツカサがル級とジャベリンの間に割って入り、ル級たちを蹴り飛ばす。ル級たちは窓の中に飛び込んで消えた。
「おい!大丈夫か!?」
「う、う~ん・・・。」
ジャベリンはあまりの出来事で気を失っているようだ。
「大丈夫そうだな。なら、あっちをやるか。」
ツカサは自身の腹部にバックルを装着する。
「変身!」
『KANMUSURIDE FUBUKI』
ツカサの姿がマゼンタ色のセーラー服とスカート、緑の瞳、襟に漢数字の十を模したバッチが付けられた艦娘ライダー吹雪の姿に変わる。
「ミラー型ならこいつの出番だな。変身!」
『KANMUSUIDE KAGEROU』
カードを読み込ませると、吹雪に鏡から出現した複数の鏡像が重なり合い、違う姿の艦娘ライダーの姿となる。赤いベストとスカート、瞳も赤く、髪は黄色のリボンでツインテール、左手には龍の頭を模した龍召機甲ドラグバイザーを持っている。ミラーワールドでの戦いに特化した艦娘ライダー陽炎だ。
「さて、行くか。」
陽炎はミラー型深海棲艦が飛び込んだ窓に飛び込んだ。
ミラーワールドと現実世界は異次元空間でつながっており、そこを移動するためには専用マシン「ライドシューター」を使用する必要がある。だが、吹雪はディケイドの能力の1つである次元移動能力によってわざわざライドシューターを介して移動する必要はない。
ミラーワールドに出現した陽炎の目の前にミラー型のル級が2体、待ち構えていた。
『ATTACKRIDE SORWDVENT』
カードが読み込まれると同時に、上空に現れたドラグレッダーが自身の尾を模した剣を投げて渡す。
「でりゃあ!」
陽炎は刀身を撫でると、ル級達に向けてドラグセイバーを振るう。ル級達は両側に逃げて回避し、陽炎に組み付いて動きを封じる。そこへもう1体が打撃を繰り出す。
「ぐっ!がっ!この!」
腰のライドブッカーの銃撃で退けつつ、組み付いていた方の腕を振り払って斬撃を食らわせる。
「レアとミディアムとウェルダン、どれがいい?」
『ATTACKRIDE STRIKEVENT』
陽炎の右腕にドラグレッダーの頭を模したドラグクローが装着される。クローを構えて腰を落とすと、クローの口から炎が溢れ出す。
「ハァァァァァァ!デヤァァァ!」
クローを突き出すと同時に燃え盛る炎弾が撃ち出される。耐えられると思ったのだろうか、ル級は回避することなく炎弾を受ける。当然耐えきれるはずもなく、ル級は爆散した。
「お前はこっちで料理してやる。」
『FINALATTACKRIDE KA KA KA KAGEROU』
陽炎の周囲をドラグレッダーが舞う。陽炎が跳躍すると、空中で錐揉みしながらキックの体勢をとり、ドラグレッダーが撃ち出した火炎弾を纏いながらル級に突撃する。
「っ!」
ル級は背を向けて逃走を図るが、如何せん遅すぎた。陽炎の必殺技ドラゴンライダーキックはル級の背中を捉え、ル級は爆発四散した。
「よし、こんなもんだな。ん?なんだ?」
不意に誰かの気配を感じ、視線を向けると人が立っている。しかし、胸より上は建物の影が覆い隠しており、顔を見ることはできない。辛うじて見える青いスカートがその人物が少女であることを証明している。そして、腰にはベルトと鮫のレリーフの青いカードデッキがはっきりと見えた。
(誰だ?それにあのデッキは?)
ライダーはデッキからカードを引き抜き、左腕の鮫のようなバイザーにカードを差し込む。
『STRIKEVENT』
ライダーの右腕に左腕のバイザーとは形状が異なる鮫のようなクローが装着される。ライダーは腰を落としてクローを構える。それを見た陽炎はとっさにカードを挿入する。
『ATTACKRIDE GUARDVENT』
ドラグレッダーの腹部を模した2つの盾を構えて防御態勢に入る陽炎。謎のライダーがクローを突き出すと、ライダーの背後から巨大な津波が出現し、陽炎に迫る。
「ちょ、それは無理!」
津波の勢いを小さな盾2つで防げるわけもなく、押し流されて建物に激突する。
「ゴハァッ!ゲホッゲホッ!」
大量の海水を飲み込んでしまいむせる陽炎、2つのドラグシールドは津波に流されてどこかへ行ってしまった。
「てめぇ!」
『ATTACKRIDE STRIKEVENT』
再びドラグクローを装着して構えた後、火炎放射を発射する。だが、ライダーはサメのクローの口から水流を発射する。炎と水がぶつかり合うが、火が水に弱いのはどの世界も同じ。水流は水蒸気を上げながら火炎を押し返していく。
「な、なんて威力!炎が蒸発してやがる!」
不利を悟った陽炎は水流が自身に命中する直前に回避する。
(このままじゃ勝てない。仕方ないか。)
陽炎は自分が出てきた窓に飛び込んでミラーワールドから脱出した。
「逃げたか。まぁいい、邪魔してくるなら今度は殺す。」
謎のライダーは暗がりの中へ消えていった。
何のライダーの力なのか、誰が変身してるのか、聡明な皆さんならもうお分かりだろう。
艦娘ライダー陽炎
仮面ライダー龍騎の力を得た艦娘ライダー。ミラーワールドに入ることが出来、ミラー型に対処できるライダーの1人。癖の強い陽炎型艦娘ライダー達のまとめ役であり、妹想いな長女。それ故に、静海元帥とともに離反した妹達と戦うことに迷いを抱いている。
使用カードは原典から変更はなく、サバイブにならなくてもストレンジベントが使用できる。
余談だが、アメリカには彼女と全く同じ力を得た艦娘ライダーが存在するらしい。