第7話 桜の母港へ
「まさか我が故郷、重桜に再び戻る日が来ようとはな。」
「三笠がいたのもあの母港?」
「うむ。以前と変わってなくて安心したよ。」
「だが、何もかも同じというわけではなさそうだ。新聞を見てみろ。」
エンタープライズが配達されたばかりの新聞を差し出す。本来なら、昨日までなかったはずの建物に新聞が配達されるという訳のわからん状況なのだが、昨日から異常事態の連続だったためか誰一人として気にも留めない。
「どれどれ?『セイレーンと異なる漆黒の艦隊現る。海軍はここ数日に渡って、重桜に攻撃を仕掛けてくる正体不明の艦隊の撃滅に成功していると発表した。この艦隊は世界各地で目撃されており、セイレーンと戦闘を行っている姿も目撃されていることから、彼らとは異なる第3の勢力と見られている。アズールレーンはこの脅威に対し、ユニオンと鉄血による解析が進められている。また、アズールレーンはこの正体不明の艦隊を「未確認艦隊通称アンノーン」と命名した。』か。」
「正体不明の艦隊って言うのは間違いなく昨日の深海棲艦って連中ね。でも、撃滅できたって本当かしら?」
「おそらく嘘だろうな。お前たちKAN‐SENの攻撃が通じなかったのに、撃滅なんてできるわけない。国民を不安にさせない為なんだろ。」
そう言ったツカサは陸軍将校の制服を着ている。首からポラロイドカメラをぶら下げているのは変わらないが。
「何なの?その格好?」
「知らん。机の上にあったから着た。見ろ、隊長クラスだ。たぶん朝潮が母港に入りやすいように用意したんだろう。というわけで、行ってくる。」
「ツカサ、我も行こう。久々に後輩たちの顔も見たい。」
「いや、内部の状況が分からん状態でむやみに出るのは危険だ。先に俺が様子を探ってくる。それまで待ってろ。」
「むぅ、分かった。では、状況が分かり次第、連絡してくれ。」
「あぁ。それから、ユニコーンを見張っとけよ?昨日みたいなことがあったらまずいからな。」
「大丈夫よ。今度はちゃんと目を光らせとくわ。」
重桜母港
「ここか。ちょっといいか?」
門の前に立っていた憲兵に話しかける。
「何か御用で?」
「今日からここに配属されるんだが?」
「辞令書はありますか?」
懐を探ると、封筒が出てきた。
「これだ。」
「拝見します。・・・・新しい隊長でしたか!そうとは知らず、失礼しました!」
「そんなに畏まるな。入っていいか?」
「はい!どうぞ!あ、ところで、そのカメラは?」
「あぁ、俺の趣味だ。丁度いい、1枚撮ってやるよ。」
「え?いや、しかし。」
「隊長が撮ってやるって言ってんだから遠慮すんな。別に魂を取られるわけじゃないんだから。」
「で、では、お言葉に甘えて。」
憲兵はかっこよく敬礼をしてみせ、ツカサはそれを撮影する。だが、出てきた写真を見ると「またか」というようにウンザリした表情を浮かべた。
「どうでしたか?」
「ハァ・・・やるよ。」
「よろしいのですか?ありがとうございます!」
写真を憲兵に渡すと、さっさと門の中へ入っていく。「なんじゃこりゃあ!?」という声を背にツカサは母港の探索を開始した。
ゲームでは年がら年中桜が咲いてるけど、どういう気候してんだろう?