えっ?錬金術って釜かき混ぜるだけじゃないんですか?   作:どか0623

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※ダイの大冒険SSは適当に進めすぎたためにストーリー調整中です。


燃える砂

 俺の店のラインナップは、ちょっと変わっている。

 別の地方で商売をしている両親から、アーランド周辺では手に入らないような品が送られてくるのだ。

 

 たとえば、これ――名を「カノーネ岩」という。

 カノーネ岩は、なんとも珍しい“燃える岩”である。

 

 すごいだろ? でも驚くべきなのは、そこじゃない。

 このカノーネ岩、本来なら「ザールブルグシリーズ」と呼ばれるアトリエ作品に登場するアイテムだ。

 

 今いる世界――ロロナのアトリエ、つまり「アーランドシリーズ」では存在しないはずの代物なのである。

 ……俺の両親は、いったいどこにいるのか。謎は深まるばかりだが、それはまぁどうでもいい。

 

 重要なのは、このアイテムをうまく加工すれば、この店ならではの名物を作れるという点だ。

 というわけで、さっそく取りかかろう。

 

 ■用意するもの

 ①カノーネ岩(手に持った感じで約500グラム)

 ②てごろな布きれ

 ③てごろな容器(瓶など)

 ④乳鉢

 

 以上。念のため、砂の入ったバケツも用意しておこう。

 

 よし、それじゃあ作業開始だ。

 まずカノーネ岩を布できっちりくるみ、乳鉢の棒でガシガシ砕いていく。

 

 小石ほどの大きさになったら、それを乳鉢に入れよう。

 

 あとはひたすら擦るだけ。

 乳鉢の棒は、外側から円を描くように中央へ。これがコツだ。

 

 この動作を、延々と、繰り返す。

 

「お、おわったぁ~」

 

 思わず声を上げ、椅子にもたれて背中をあずける。

 

 作業開始から、いったいどれくらい経ったのだろう。

 窓の外を見ると、空は白み始め、やさしい陽の光が街を照らしていた。

 

 あれだけ大きかったカノーネ岩も、砕いて砂状にするとなると時間がかかる。

 

 丸一日かけて作った赤い砂を、丁寧に瓶へと移し替える。

 掌に収まりきらなかった岩が、ようやく瓶ふたつぶんの砂になった。

 

 ――アイテム名は「燃える砂」。火をつけると、よく燃えるぞ!

 

 ネーミングはそのままだが、まぁいい。

 瓶をじっくり鑑賞したあと、俺は作業台も片付けずにソファーで一眠りすることにした。

 

 午後になって目を覚ました俺は、さっそく新商品を店頭に並べることにした。

 ……が、客も来ない店に新商品を並べたって意味がない。

 

 ましてや、誰も知らない「燃える砂」が、エスティさんの依頼で注文されるなんてあるはずもなかった。

 結局俺は、商品の知名度を上げるべく、エスティさんの元へと足繁く通い詰めることになった。

 

 そんなある日のこと――

 

 城で、とある少女とすれ違った。

 その姿を見た瞬間、脳裏に電流が走った。

 

 地獄がどうとか、神様の課題とか、クリア条件とか言っておきながら……こんな基本中の基本を忘れていただなんて、どうかしていた。

 城を出ていこうとする少女を小走りで追いかけ、俺は陽気な調子で声をかけた。

 

「へいへい、ひゅ~。お嬢ちゃん、可愛いね」

「っきゃ!? なっ、なんですか? あ、あの……えーっと」

 

 突然の声かけに、少女は明らかに困惑していた。

 あたふたと右往左往する姿を見て、ようやく自分のテンションが異常であることに気づく。

 

 このままでは完全に変質者だ。

 少しテンションを落とし、笑顔で言葉を続けた。

 

「可愛いね、その服。どこで買ったの?」

「あ……ああ、服ですか。ふぅ、びっくりした……えっと、この服は師匠が用意してくれた特別なもので、なのでどこで買ったのかはちょっと……」

「ふーん。俺も買おうかと思ったんだけどね」

 

 すると、少女は目を丸くして、小さく確認するように口を開いた。

 

「あの、男の人……ですよね?」

「見ての通り、男だよ。でも、変わったものなら何でも欲しくなっちゃう性分でさ。俺、雑貨屋やってるんだ」

「あー、なんだぁ。雑貨屋さんなんですか。驚かせないでくださいよ。てっきり――」

 

 言いかけて、慌てて口をふさぐ少女。

 どうやらようやく軌道修正できたようで、なによりだ。

 

「そゆこと。職人通りの外れで雑貨屋やってる。良かったら来てよ。可愛い子にはサービスするからさ」

「可愛いなんて、そんな……。あっ、私も職人通りでお店開いてるんです。お仲間さんですね!」

 

「へぇ、そうなんだ。今から見せてもらってもいい?」

「いいですよ。ちょうど帰るところですし」

 

 やったぜ。

 少女の後ろ姿を追いながら、小さくガッツポーズを決めた。

 

「あっ、そうだ――」

 

 少女はふと立ち止まり、笑顔で振り返った。

 

「自己紹介がまだでしたね。私はロロライナ・フリクセル。ロロナって呼んでください。あなたのことは、なんて呼べばいいですか?」





本当は現実の化学やら何やらで面白く書きたいんですが、そんな知識はないので仕方ないね!
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