何の為に剣を振るうか   作:虹眼の代替竜

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デュエル無し短め
他作品キャラ台詞のみ微登場


#04 戦いの後

 デュエルの決着がついたのでソリッドビジョンが消えていく。

 

「いやぁ、負けました。完敗です」

 

「……ああ。今の(・・)霧遊のデッキならば、おそらく俺の勝率が高くなるだろう」

 

 丸藤先輩は釈然としない様子で言葉を続けた。

 

「単純にデチューンしたわけではない。以前は使っていなかった相性の良いカードも入っていた。『発展させつつ出力を抑えた』と言ったところか」

 

「ご明察」

 

 ただギミックを劣化させれば、手を抜いていると思われる。だったら、ギミックそのものを入れ替えればいい。

 本筋から枝分かれした細いルートを選び、そこを精一杯辿ればそれは『本気』だ。

 

「だがそれは『本気』であっても『全力』ではない。そしてそれは『禁じ手』が存在するサイバー流にも言えること。ゆえにその事に関して俺は文句を言うことができない。なんとも君らしい理論武装だ」

 

「……今日は疲れたので、もう休みます」

 

「ああ。疲れてる中、誘ってくれてありがとう。

……そして俺の自己満足に付き合わせてすまない」

 

 僕は話の途中からデュエルフィールドの出入り口に向かっていたので、最後の言葉を丸藤先輩がどんな顔で発したのかは分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自室へ戻り、ドアの鍵をかける。

 

「……疲れた。久しぶりに長めのデュエルだったな」

 

 平均的な同年代とのデュエルでは、ナグルファーが出たあたりでほとんとの人が戦意喪失する。

 

「満足したかい? みんな(・・・)

 

 僕がそう言うと、周囲に黄緑・紫・金色の光る粒子が現れ、それぞれが人型に集まっていく。

 

《ええ、フィールドと墓地の反復横跳びがなければ尚良かったですわね》

 

《すまぬ……、わらわの守備力が足りぬばかりに主様の負けに……》

 

《お二方、主君はお疲れになっておられる。そのような心労を与える言動は(つつし)まれよ》

 

 粒子の発光と凝縮が止むと、そこには《光の(ジェネレイド) マルデル》、《死の(ジェネレイド) ヘル》、《(つるぎ)(ジェネレイド) フローディ》の三体が半透明の状態で宙に浮いていた。

 

「マルデルはごめんね。ヘルは気にしないで。フローディは気遣ってくれてありがとう。他の子たちは?」

 

ドヴェルグス(鉄の王)は各パーツのメンテナンス、

ニードヘッグ(氷の王)は出ただけだから辞退、ナグルファー(炎の王)はほとんど暴れられなかったと不貞寝、

ウートガルザ(虚の王)は何を考えているかよく分からないので置いてきましたわ》

 

 少し不機嫌だけど、他の王たちの様子を伝えてくれるマルデル。

 

「あー、現状で短時間で可能なことならなんでもするから機嫌直してよ、マルデル」

 

 僕がそう提案すると、マルデルは『待ってました!』と言わんばかりに満面の笑みに早変わりした。どうやら不機嫌な様子はポーズだったらしい。

 

《それではご主人様。わたくし、膝枕というのをしてみたいですわ。もちろん寝転がる役はご主人様の方でしてよ?》

 

 いそいそとベッドの枕側に座り、実体化してから自らの太ももをポンポンと叩いてこちらを急かす。

 

《なッ!? マルデル! 膝枕(それ)の順番はジャンケンで決めると申したであろう!!》

 

「出てきてからずっと謝罪し続けるあなたが相手では、ご主人様も気が休まらないと思っての配慮ですわ」

 

《ぐっ、その通りなので言い返せぬ……》

 

「というわけでご主人様。どうぞこちらへ♪」

 

 僕は促されるまま、マルデルの太ももに頭を乗せて仰向けに寝転んだ。

 花のようないい匂いがして、若干強張っていた身体の力がゆるゆると抜けていく。その心地よさに、

(まぶた)が重くなる。

 

「夕食のお時間には起こして差し上げますわ。今はどうか、お休みになってくださいませ」

 

 先ほどまでと違い、穏やかな声色でマルデルは囁く。

 

《しばし休まれよ、主様。因果ある者との決闘は消耗しやすい。心も、(バー)も》

 

《警備はお任せを。主君の安寧を妨げる者は何人たりとも近づけさせません》

 

 うん、おやすみ。

 

 声に出す前に途切れた僕の言葉に、3つの返事が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、イエロー寮内。

 

 

「えーと、霧遊くんのお部屋は……あれ? どこなの?」

 

「おかしい。キリューの部屋に辿り着けない」

 

「ここ男子寮やねんから、はよう見つけんと騒ぎになるで?」

 

「カイザー先輩の証言だから、少なくともアカデミア内にはいるはずよ」

 

「もしかしたら、まだ寮に帰ってないのかもしれないよ?」

 

「丸藤のやつもデュエルフィールドで別れたらしいからねー。今日はとりあえず退却しましょ」

 

 

 6人の女子生徒が侵入していたが、幸か不幸か寮生には気づかれることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕飯の時間の10分前、マルデルに揺り動かされて目を覚ました。

 その後、軽く身支度を整えてから寮内の食堂へ出向いた。

 

 イエロー寮の在校生には『見ない顔だな』と首を傾げられたが、食事前に寮長の樺山(かばやま)先生の紹介で、僕が新入生である事・持病の関係で他の新入生より先に来ている事・具合が悪そうだったら自分か鮎川先生に連絡してほしい事を周知してくれた。

 ラーイエローはオベリスクブルーほどではないが選民思想に染まっている者もいると聞いていたが、少なくとも表立って敵意や悪意を向けてくる人はいなかった。

 

 夕飯のカレーは、本格的でとても美味しかった。

 

 




さーて、6人ほど正体不明ガールズが少しだけ登場しましたが、本格参戦はもう何話か先の予定
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