何の為に剣を振るうか   作:虹眼の代替竜

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#06 明日香の強さ(前)

「あの、そろそろ新入生歓迎会の時間では」

 

「私は(あらかじ)め欠席の連絡をしてあるから大丈夫。あなたは1週間前から寮に居るのだから、歓迎会なんて今更でしょう? ということでデュエルなさい」

 

 ダメだ、この人デュエルするまで絶対に逃がさないつもりだ。

 

「……はぁ、分かりました。お相手しますよ、天上院さん」

 

「賢明な判断ね。ああそれと私、あなたと同じ学年だから敬語じゃなくていいわよ。呼び方も明日香でいいわ」

 

「あー、敬語は癖なので気にしないでください。同じく癖でデュエル中は逆に言葉遣いが荒くなりますので、そちらも気にしないでください。名前は明日香さんと呼ばせてもらいますね」

 

「ふーん。ま、いいわ。じゃあ近くのデュエルフィールドまで行くわよ」

 

 そう言うと明日香さんは僕の制服の袖を掴んで引っ張っていく。

 背が高くて運動神経も良さそうだから、隙を見て逃げるのは無理そうだ。

 

 引っ張られていった先は、先日丸藤先輩とデュエルしたフィールドと同じ場所だった。

 

「デュエルディスクは自前のがあるようだし、すぐに始めるわよ」

 

「分かりました」

 

 僕と明日香さんは、ソリッドビジョンが展開されるフィールドで向かい合い、ディスクをデュエルモードに移行する。

 

「さあ。亮が認める強さ、刮目させてもらうわ」

 

「こちらも、女子トップクラスの実力を見せてもらいます」

 

 

 

 

『デュエルッ!!』

 

 

 

 

  霧遊 響也  LP:4000

    vs

 天上院 明日香 LP:4000

 

 

 

 

 ディスクの乱数判定によって、先攻は明日香さんだ。

 

「先攻は私ね。ドロー! 私は《エトワール・サイバー》を攻撃表示で召喚!」

 

 

エトワール・サイバー

星4/地/戦士族/ATK1200/DEF1600

 

 

 両腕に包帯のようなリボンのような不思議な紐を纏った女性型のモンスターが明日香さんのフィールドに現れた。

 

「更にカードを2枚伏せてターンエンド」

 

 

 

天上院 明日香

LP:4000

手札:3枚

モンスター:エトワール・サイバー(攻)

魔法・罠:伏せ×2

 

 

 

「僕のターン、ドロー。僕は魔法カード《九字切りの呪符》を発動。手札かフィールドからレベル9のモンスター1体を墓地に送ることでデッキから2枚ドローする。僕は手札のレベル9モンスター《光の王 マルデル》を墓地に送って2枚ドロー。……カードを3枚伏せてターンエンド」

 

「……え、手札交換のカードを使って伏せカードだけって、モンスターは出さないの?」

 

「生憎と生け贄なしで手札から通常召喚するモンスターは、このデッキにはほとんど入っていない」

 

「なッ……!? そんなバランスの悪いデッキで亮と渡り合えるなんて……」

 

 まあ普通に考えるとバランスが悪いんだろうけど、【(ジェネレイド)】はレベル9モンスターで回すのがコンセプトだからなぁ。

 

 

 

 

霧遊 響也

LP:4000

手札:3枚

モンスター:無し

魔法・罠:伏せ×3

 

 

天上院 明日香

LP:4000

手札:3枚

モンスター:エトワール・サイバー(攻)

魔法・罠:伏せ×2

 

 

 

 

「負けても手札事故を言い訳にしないでね。私のターン、ドロー! 私は《ブレード・スケーター》を召喚!」

 

 両腕に大きな刃を付けたスケート選手のような女性型モンスター、ブレード・スケーターがエトワール・サイバーと並び立つ。

 

 

ブレード・スケーター

星4/地/戦士族/ATK1400/DEF1500

 

 

「バトルよ! エトワール・サイバーで──」

 

「バトルフェイズ開始時、リバースカードオープン! 《王の襲来(ジェネレイド・バトル)》!」

 

「攻撃宣言時じゃなく、このタイミングで!?」

 

「このカードは、まずデッキ・墓地から『ジェネレイド』と名のつくフィールド魔法を選んで発動できる。僕はデッキの《王の舞台(ジェネレイド・ステージ)》を選ぶ。そしてその後、相手は(・・・)デッキから1枚ドローする!」

 

「わ、私がドローするの? なんだか凄く損をするカードのような……?」

 

 《王の襲来》の効果の微妙さに困惑しながらもドローする明日香さん。

 

「その疑問はこのフィールド魔法によって解決だ。相手がデッキからカードを手札に加えた瞬間、《王の舞台》の効果発動! デッキから『ジェネレイド』と名のつくモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。来い、《死の王 ヘル》!」

 

 アンデット族の女王が『ゴゴゴゴゴッ』という効果音を響かせながら厳かに出現する。

 いやいや、前回の事を気にしてるにしても気合い入り過ぎだろ。

 

 

死の王 ヘル

星9/闇/アンデット族/ATK800/DEF2800

 

 

「そして相手ターン中に『ジェネレイド』と名のつくモンスターが特殊召喚されたことで《王の舞台》の更なる効果を発動! 攻守1500の《ジェネレイドトークン》を攻撃表示で可能な限り特殊召喚する!」

 

 

ジェネレイドトークン ×4

星4/光/天使族/ATK1500/DEF1500

 

 

「私のターンにモンスターを一気に5体も並べるなんて……。しかもエトワール・サイバーとブレード・スケーターの攻撃力ではどのモンスターも倒せない……! 仕方ない、バトルフェイズを終了するわ。メインフェイズ2で魔法カード《融合》を発動!」

 

 あ、融合握ってたんだ。

 こっちにモンスター居なかったから、ダメージ量の多い融合前の2体で先に攻撃しておこうと思っていたようだ。

 

「フィールドの《エトワール・サイバー》と《ブレード・スケーター》を融合! 真のプリマは自らの光で舞台を照らし踊り続けるのよ! 来なさい、《サイバー・ブレイダー》!」

 

 長い髪をたなびかせ、赤いバイザーで目元を覆うバレリーナ、サイバー・ブレイダーが明日香さんのフィールドに舞い降りた。

 

 

サイバー・ブレイダー

星7/地/戦士族/ATK2100/DEF800

 

 

「更に私は永続魔法《一族の結束》を発動! このカードは私の墓地のモンスターの種族が1種類の場合、同じ種族の私のモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせるわ! 私の墓地は戦士族のみ。よって同じく戦士族のサイバー・ブレイダーの攻撃力は2900となるわ!」

 

サイバー・ブレイダー

ATK 2100 → 2900

 

「私はこれでターンエンド」

 

「ならばそのエンドフェイズ中に《死の王 ヘル》の効果を発動! この効果は相手ターンでも発動できる。自分フィールドの『ジェネレイド』と名のつくモンスターである《ジェネレイドトークン》1体を生け贄に捧げ、それとは名前の異なる自分の墓地の(ジェネレイド)《光の王 マルデル》を守備表示で特殊召喚する。現れろマルデル!」

 

 ヘルが骸骨の杖を掲げて怪しげな呪文を唱えると、ジェネレイドトークン1体の下に魔法陣が現れてそのトークンを呑み込む。するとその魔法陣から暖かな光が溢れ出し、蝶の羽を持つゆるふわ美女が姿を現した。

 

 

光の王 マルデル

星9/光/植物族/ATK2400/DEF2400

 

 

こっちも気合いが入っているのか、いつもより3割増しで輝いていて眩しい。

 

「そして特殊召喚されたマルデルの効果を発動! デッキから『ジェネレイド』と名のつくカード、《王の試練(ジェネレイド・クエスト)》を手札に加える」

 

 マルデルの周りを漂っている光の粒子がデッキに集まると、効果で選んだカードを指し示すようにソリッドビジョンがデッキの一部を通過していく。

 

「最後に《王の舞台》の効果で特殊召喚されたジェネレイドトークンはエンドフェイズに破壊される」

 

 残り3体のジェネレイドトークンがガラスのように砕けて消えた。

 

 

 

天上院 明日香

LP:4000

手札:2枚

モンスター:サイバー・ブレイダー(攻)

魔法・罠:一族の結束(永続魔法)、伏せ×2

 

 

霧遊 響也

LP:4000

手札:4枚

モンスター:死の王 ヘル(守)、光の王 マルデル(守)

魔法・罠:王の舞台(フィールド)、伏せ×2

 

 


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