何れ死ぬであろう私が鬼滅の世界を生き抜いた話。 作:蔓桔梗
ありがとうございます…!
そうだ。刀を改良しよう。
ゆくゆくは花の呼吸からその派生、蟲の呼吸に完全シフトすると言った。
派生といえども違う呼吸。一から作るのは時間がかかると思うだろ?
しかし、そこは原作知識。型のイメージならもう出来てるんだなこれが。後はそれを再現するだけ。
しかも身体の動かし方はちゃんと理解しているようで…想像していたより早くなりそうなのだ。
「前から思っていたのだけどやっぱり、しのぶは刀を『振るう』よりも『突く』方が向いているのよね」
柱である姉の言である。
原作だってそうだったし、姉のお墨付き。
もうこれ、全力で
と、言うことで鎹鴉に「刺突特化の刀が欲しいです」と認めた文を託して刀鍛冶の里に行ってもらった。
まだ一般隊士とそう変わらない地位だから鍛冶担当によっては順番待ちと突っ返されるかもしれない。
一応、姉の継子なのですぐ対応されると思いたいなあ…
まあ、刀なんてすぐに出来る代物じゃないので気長に待ちつつ、今日も鍛錬、鍛錬と言いたいところだが。
私、住んでいるところ、蝶屋敷。
蝶屋敷、負傷した鬼殺隊士が来るところ。
つまり、診る人や看病する人が必要なわけで…今日はこちらに専念しようと思う。
今までは鍛錬の合間合間にやっていたのだが、最近はそうも言ってられない様子。
私は医療従事者ではないけれど胡蝶しのぶはそっち方面に関しては今の段階で姉を超している。
“私”が私になってもそれは変わっていなくて呼吸と同じく身体は覚えているみたいだ。
人様の命を預かっているんだから内心、おっかなびっくり対処していたがそろそろ本腰入れておさらいしなくては。
ついでに毒もとい薬生成についての勉強も更にしておこう。
心優しい姉に見つかればきっと怒られるが、保険だ。姉が生きてるうちは使う予定はないし、表に出さなければバレない。
それにまだ準備学習期間だから姉もいい方向で勘違いしてくれるはず…。
だって毒だって用法用量をしっかり守れば薬になるんだぜ?
藤の花の毒をどうやって薬にするんだってツッコまれれば終わりだけど、まだ藤の花には手をつけてないから。
患者をバッサバッサと捌きながら鍛錬、任務。そんでもって研究。
細かいところは蝶屋敷に住んでいる子達に任せたりしているけど、それでも我ながらオーバーワーク。
それも
「しのぶ、最近働きすぎじゃない?少しは休んだらどうかしら」
「大丈夫よ、姉さん。もう少しで終わるもの」
姉の進言にそう返すと背中から抱きつかれた。
一瞬、カナヲだと思ったけど今のあの子にはそうするという思考がない。
遅れて香ってきた花の香りにああ、姉が抱きついてきたのだと理解した。
「大丈夫よ、姉さん。今はちょっとやりたいことが多いだけだから」
いつ終わるか分からない『もう少し』と『今』。
すぐに終わるわけがないと分かっていながら、すぐに終わると気休めにもならないことを言う自分に嫌気がさす。力がない自分が憎たらしい。
それでも、私は。
「全部片付けたら、カナヲたちと一緒にお出かけしよう。きっとカナヲも喜ぶ」
「…………………そうね」
姉と私、そして妹。三人が揃っている幸せな未来を望んでいるのだ。
「それなら次の春にお花見に行きましょう。鬼殺隊士だけれども女の子だもの。いっぱいおめかししないと」
姉はどんな着物がいいかとまだ先のことなのに想像を膨らませる。
「しのぶはきっと薄紫色が似合うわ。それならカナヲちゃんは薄紅色かしら?うーん…悩むわね。二人とも可愛いから何を着ても似合いそう」
「姉さんの着物は?」
「私?私はいいのよ。二人が可愛いくて楽しそうだったら何でも」
「…着飾るなら姉さんも着飾らないと楽しくないわ」
私の漏れた呟きに姉はキョトンとして。なら、しのぶが楽しめるように私もおめかししないとねと破顔した。
花が咲くような笑みに同性であり家族でありながら見惚れてしまいそうになる。
この姿が見れる日がずっと続けばいいと心の底から願った。
相変わらずの姉の美人さを思い出しては幸せを噛み締めて目の前の代物に手を伸ばす。
私の文に目を通した刀匠がわざわざ此方に来てくれて私の要望に沿った刀を作ってくれた。
製作者は鉄地河原鉄珍。
いやいや、里長が何で此処まで来てんの。こっちが趣く側でしょ。
しかも刺突特化の刀だぞ?まだ毒調合の仕掛けつけてないんだぞ?普通、他の刀匠でしょ。
まあ、最終的には里長しか作れないような機能追加する予定なので関係ないけど。
断りを入れてから新しい刀を鞘から引き抜くとどことなく見覚えがあるような形だ。
これがあれこれされて最終的には毒調合のからくり仕掛けの胡蝶しのぶの刀になるのだと思うと感慨深い。
かるーく振ってみてもイイ感じ。
流石、里長。良い仕事しますね。
刺突特化の刀をと言う注文は中々無いらしい。そら当然だろうな。突くことを主眼に置いている隊士は胡蝶しのぶくらいだし。
なので、不備があれば言ってくれとのこと。
わざわざ来てくれた里長に診療所だけど出来る限りの歓迎をして帰ってもらった。
里長を長時間、里から離れさせるのも…かと言ってすぐにお帰りいただくのも…と言うジレンマがあったので短時間だが。
と、言うことで私は新しい刀を手に入れた。
段々と蟲柱の胡蝶しのぶの装備が出来上がってきているが、姉の死亡フラグを叩き折れば問題ナシ。
新しい刀も手に入れたことだし、手に馴染ませるためにも鍛錬、鍛錬。
「もう花の呼吸とは言えないわね。どうかしら?新しい呼吸を作ってみたら」
「ええ、そうするわ。花の呼吸が元だし、突き技が多いから……蟲の呼吸とかはどう?」
姉の進言にさも、今思いつきましたとばかりに提案。
あら、良いわねと賛同のお言葉をもらえたのでこれからはどんどん、蟲の呼吸を宣伝していこうと思います。
よーし、死亡フラグを叩き折るためにも頑張るぞー!!