何れ死ぬであろう私が鬼滅の世界を生き抜いた話。   作:蔓桔梗

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何れ死ぬ私が藤の花に埋もれる話

 

胡蝶しのぶの代名詞(藤の花の毒)を本格的に作ろうと思う。

 

事前研究もある程度済んだし、要領は解ってきた。

ということで、早速取り掛かるがここで一つ問題。

 

前にもちょろっと言ったけど、彼女がどんな配合で毒を作っていたのか知らない。

ある程度解ってきたと言えどもそう簡単には作れない。彼女の知識を最大限駆使しながら一から作るしかないのだ。

 

最初から成功することは絶対ない。たくさん失敗して、それを改良してようやく成功作ができる。

つまり、何が言いたいのかというと。

 

 

効果があるか確認するための検体()が欲しい。あと、毒の材料(藤の花)もたくさん。

 

 

最初は任務と自前でいいだろう。でも、ある程度の確認ができた後はそうにもいかない。

細かい調整を任務のついでにやるのはちょっと無理があるし、そのために必要な材料だって増える。

 

私個人でやるのには限界がある。

 

なので、個人でやるのはスッパリと諦めてプレゼンすることにした。

知識を最大限駆使して藤の花の毒の有用性とか、推論とかを書き上げてそれを最低限証明するために自前で用意した藤の花の毒プロトタイプを作って試してみた。

 

結果はまあまあ成功?最低限、証明はできたと思うのでその結果も添えて鎹鴉に託しましょう。

 

行き先は困った時の元締め、お館様。

彼人なら絶対食いつくと判断した。

 

それに毒を作るのに必要なものを二つとも用意ができる人物なのだ。

いずれ大量生産するのだから、さっさと上に伝えて最大限のバックアップをしてもらった方が効率が良い。

 

 

私の睨んだ通り、鎹鴉に送ってもらったレポートにお館様は大層食いついたようで何が欲しいとすぐに尋ねてきた。

 

 

いやいや、そちらだって解っている癖に。悪い人ですね。

 

 

「藤襲山です。そこに放り込んだ鬼と狂い咲いている藤の花を支障のない範囲で」

 

 

返事は是。

許可も貰えたので入隊試験と被らない期間で山に入り浸る。

毒の有用性も解ってもらえたようだし、任務もほとんど免除状態。

さっさと毒を作れてことですね。わかります。

 

 

◇◆◇

 

 

「今晩は。ちょっといいですか?」

 

疑問符をつけているけど拒否権はない。

山に踏み入ってすぐに見つけた鬼を痛めつけて動けなくなったところで実験開始。

 

 

お注射打ちますねー。大丈夫ですよーちょーとチクっとするだけですからー

 

 

藤襲山の鬼は入隊試験の篩に掛けるためにいる存在なのでそこまで強くはない。

 

捕らえるのも簡単だし、ちょっと移動すれば他にもたくさんいるから検証するのに便利なのだ。

たまーに生き残って強い奴がいるらしいが、報告が上がり次第すぐに討伐される。

その報もすり抜けるやつもいるが。

 

 

そう、鱗滝さん大好き()な手鬼さんのことだ。

 

 

私も発見すれば討伐するように努力しているんだけどなかなか見つからない。

見つけたとしても、私の実力じゃあちょっと難しいかもしれない。

 

 

だって手鬼くんの頸、とっても固いのでしょう?

 

 

柱腕相撲ランキング安定の最下位である胡蝶しのぶに、普通の鬼の頸を切るのに苦戦している私に切れると思うか?

寧ろここで藤の花の毒の出番でしょ。

 

まあ、見つけたらちょっと交戦して無理そうだったら撤退。素直に管理者であるお館様に報告して討伐隊派遣してもらおう。

 

 

藤の花は山の間引きしたものを主にもらっている。

 

まさかお山の藤の花、間引きしているとは思っていなかったわー。

あの量だし、てっきり放置しているものだと…しかもすごい量。

 

 

いっぱい作り放題だね!!

 

 

ちょっと調整しては藤襲山に試しに行く。その結果を反映させてまた試しに行く。

蝶屋敷と藤襲山の往復を繰り返す日々。

 

任務はないが蝶屋敷での仕事もあるし、鍛錬を怠るわけにはいかない。

うん、オーバーワーク再びだね。あの時ほどではないけど。

 

 

 

試行錯誤すること何千回。

ようやっと出来ましたよ。藤の花の毒。

 

お館様もお気に召す成果を挙げられたので他の面々にも実用化するらしい。

ただ、この毒は鬼だけでもなく人間にも有害なので取り扱いがしっかり出来る人のみの運用らしい。

例えば、毒の取り扱いに長けている()とか。

 

大々的に使えば毒の対策されるかもよ?とそれとなく伝えておいたので毒の取り扱いに長ける人を作るということもないと思う。

 

 

私?製作者なのだから、普通に使うよ?頸切れなくて困っていたから作った面もあるし。

 

 

完成した毒を早速大量生産して出荷、出荷。

いっぱい作るのには苦労したけど労いとしてお館様から長めの休暇をするようにお達しをもらったのでしばらくはゆっくりと過ごそうと思う。

 

流石に私一人で全ての毒を作るのは負担が多すぎるので他に調合する人も作らないといけないけどそこまで人数を増やすつもりはない。せいぜい一人か二人かな?

 

他の人物がどのようにこの毒を使うのかはお館様にお任せだけど製造ラインだけは完全に任すつもりもない。

 

私が使う分を確保するのは大前提。だってこの毒の製作者なんだもん。

これくらいの我儘は通しても問題ないよね?製作者特権です。

 

 

◇◆◇

 

 

藤の花の毒が入った小瓶を前に私は思う。

 

この毒をどうするべきか。

 

毒使いになるのは最初から決めていた。そうしないと私はこの世界では生き残れない。

それほど私には剣士としての才能がない。

 

胡蝶しのぶは姉の仇(上弦の弐)を殺すために毒を使い始めた。

鬼の頸を切れないからという理由もあるかもしれなかったが彼女にとってはそれが至上目的だった。

 

私もそうだ。

鬼殺の剣士としてこの世界で生き残るため、あのサイコパス(上弦の弐)を殺すために藤の花の毒を作って毒使いになる。

 

 

毒使いになった私がどうすればあのサイコパス(上弦の弐)を確実に殺せるのか。

 

 

胡蝶しのぶは毒使いになっても姉の仇(上弦の弐)を殺せなかった。

命を削って頑張っても上から目線で煽られて自身の手で殺すことはできなかった。

 

 

それでも今更、あのサイコパス(上弦の弐)を殺さないという選択肢はなかった。

 

大切な家族である姉を殺された者として。

『鬼滅の刃』という話の先を知っている者としても。

 

学んだだろう、私。

楽観的希望は抱くなと。

あの男を殺すのに手段を選んでいる場合ではないのだ。

胡蝶しのぶも言っていただろう。

 

 

――――倒すと決めたら倒しなさい

 

 

ならば、手段を選ぶべきではない。

 

 

――――そう、例え何を犠牲にしても

 

 

脳裏に姉と妹の姿が思い浮かぶ。

 

 

姉は怒るだろう。

妹は悲しむだろう。

 

 

 

そう思いながらも私は―――――。

 

 

躊躇いはもう存在しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

――――そうして私は藤の花に埋もれた。

 

 

 

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