何れ死ぬであろう私が鬼滅の世界を生き抜いた話。 作:蔓桔梗
合言葉は血鬼術・時間軸はご都合主義
宇髄天元とかまぼこ隊が
ようやく彼が起きた。
鋼鐵塚さんからの呪いの手紙を見た彼はあの子たちの助言に従い、鍛治の里に向かった。
これから起こるのは確か…。
上弦の陸が討伐されたことにオコな
で、その先鋒として
困ったことに私は鍛冶の里急襲編の結末を知らない。
その場にいた隊士は霞柱のむいむいと恋柱の蜜璃ちゃん、不死川玄弥そして竈門兄妹。
むいむいと不死川玄弥は無限城編で合掌なので死なない。蜜璃ちゃんもそんな話は聞かなかったので死なない。竈門兄妹は主人公だから言わずがもがな。
うん。隊士の方は犠牲者はいないのか。
隊士の犠牲者がいないってことは無事、二体とも討伐されるってことだ。
この短期間で下弦の伍、下弦の壱、上弦の陸、上弦の伍、上弦の肆と十二鬼月を五体も討伐してりゃ鬼たちも黙っていない。特にパワハラ上司。烈火の如く怒っているんだろうなあ。
ムカ着火ファイヤーインフェルノくらいしているのではないだろうか。
逆に鬼殺隊は士気が上がる上がる。だけど、不死川さんが言っていたように最近の隊士はクソ弱いらしいのでこれから攻めてくる十二鬼月たちに瞬殺されないように柱稽古ってやつをやるんだよね?
うん。これからやることがこれでもかと詰まっている。
とりあえず、私はお館様からお呼び出しを受けているので時間的に鍛治の里には間に合わないのは確定しているので彼らに頑張ってもらうしかない。
受け入れ態勢は万全にしておくから安心して死力を尽くしてほしい。
十二鬼月の二体同時討伐と禰豆子ちゃんの件で緊急柱合会議が開かれた。
まさか、禰豆子ちゃんが太陽を克服するとは思わなんだ。
それはそうと鬼舞辻無惨はパワハラ上司の称号では飽き足らずストーカーの属性も得るとは罪深い。いや、最初から罪深い存在なんだけどね?
里で頑張ってくれたむいむいと蜜璃ちゃんを労いながらも内心、考えていると。
「その件も含めてお館様からお話があるだろう」
幼女冨岡がいい感じにまとめた。
自分、柱じゃないですとか言ってるけどこれのどこが柱に相応しくないって思ってんの?
柱最弱であるおねーさんの目を見ていってごらん?ほら、怒らなから。
脳内で幼女冨岡をおちょくっているとあまね様がやってきた。
そう。お館様ではないのである。
残念ながらお館様は死にかけなので柱合会議に出ている場合ではないのだ。
なんでも産屋敷一族は呪い?のせいで短命だそうで…。
かと言ってお館様が死にかけているから会議しないとか言ってる場合でもないので奥さんのあまね様が出張ったわけだ。
「上弦の肆・伍との戦いで甘露寺様、時透様の御二人に独特な紋様の痣が発現したとの報告が上がっております」
マ?痣ってあれよね?確か煉獄さんのお父さんが柱やめるきっかけになったやつだけ?
いつの間にそんなことになっていたとはと横目でむいむいと蜜璃ちゃんの姿を確認するがどこにも痣なんてない。治療した時にも見かけなかったし当たり前だ。
とりあえず話を聞いてみよう。
「ぐあああ〜ってきました!!グッてしてぐぁーって!心臓とかがばくんばくんして耳もキーンてしてメキメキメキィッて!!!」
唖然。全員が同じように唖然とする姿はコントでも見ているかのようだ。
…蜜璃ちゃん…炭治郎タイプなんだね…薄々そんな気はしていた。
「……」
蜜璃ちゃんに恋する伊黒さんも何も言えずに頭を抑えるしかない。
うん…ご愁傷様です。
もう一人の当事者であるむいむいの証言からなんとか痣が出る条件は分かった。
ほえ〜心拍数二百越えかつ体温が三十九度以上ね〜
……うん、ムリだね!!
最弱の柱である私には出来ないとよく分かった。
それ出来るのって本当に人間??ちゃんと生きてる??いつの間にか死んでない??
「あまね殿も退室されたので失礼する」
緊急会議は一旦終了。これからは会議の内容から今後の話し合いって時に冨岡さんは堂々とサボることを宣言した。
「六人で話し合うといい。俺には関係ない」
抜け駆けは許さんぞ、冨岡。
柱稽古に参加しない私だって残るんだ。やる気なくても話だけは聞いてけよ。こっちもサボるぞオラ。
最近の行動は目に余るようで不死川さん、伊黒さんが詰め寄るが幼女冨岡にそれをやっても意味がないんだな。これが。
「冨岡さん、言葉が足りなすぎです。ちゃんと分かるように説明してください」
「……俺はお前たちとは違う」
は〜い、頂きました〜俺はお前たちとは違う〜〜
不死川さんは自分よりも強いって勘違いしたけど、本当は反対。お前たちの方が強いっていう意味。
マジふざけんじゃねーよ。
きちんと説明しろって言ったよね??全然分かってねーじゃねーか。那田蜘蛛山の気概はどこ行ったんだんだよ?今こそその気概を発揮するところでしょ。
後、柱最弱の地位は譲わけないだろ。馬鹿なの?お前如きが最弱なわけないから。
私が!!ワーストワン!!だ!!
オラオラ行けー不死川さんーそこだー
パアァン
内心、不死川さんを応援していると悲鳴嶼さんの喝が入った。
「座れ…話を進める…」
これにはサボろうとしていた冨岡さんも思わず座る。
さっすが鬼殺隊最強だなあ。
「最低でも柱二人、お館様の護衛につけるべきだぜ」
何とかできないのかと不死川が悲鳴嶼さんに掛け合うが無理だと一蹴される。
「柱という貴重な戦力は己一人の為に使うものではないとの一点張り…」
困ったものだと嘆く悲鳴嶼さんに場の空気は沈黙する。
「……」
己のために最高戦力を使うべきではない、か。
この場にいる全員は何も言わないし、お館様に護衛をつけるのは賛成なようだ。
「他ならぬ当人がそう言っているのです。護衛なぞつけなくてもよろしいのでは?」
ただ一人、私を除いて。
「しのぶちゃん…?」
「胡蝶、どういうことだァ?」
蜜璃ちゃんは困惑し、不死川さんは怒りを露わにする。
隣にいる伊黒さんなんて不死川さんが乗り移ったかのように睨みつけてくる。
「どうもこうもそのままの意味ですよ」
別におかしいことではないのに本当にみんな、お館様のことが好きみたいだ。
「付き合いの長い悲鳴嶼さんでさえ、護衛の説得は不可能だったのですから私たちが何を言ったって無駄です。それに産屋敷家の歴代当主は皆、誰一人として護衛をつけていなかったようではありませんか」
歴代のことも引き合いに出す。
歴代の柱たちだって一回位は考えたはずだ。
その点に関して当時の当主と対立したことはあるはずだ。
なのに誰も護衛をつけることはできなかった。
そして、それが答えだ。
「そこに無駄な労力を使うくらいならば柱稽古で有意義に使うべきです」
「テメェ!!何言ってんのか分かってんのか!!」
私の言葉が気に食わなかったようで不死川さんは私の胸ぐらを掴む。
彼の人に心酔していれば流せる言葉ではないと分かっているので甘んじて受けいれる。
決して避ける方がめんどくさいことになると思ったわけではない。
「ええ。少なくとも皆さんよりも現実を見ているつもりです」
今のお館様は死にかけだ。そんな状態で守ったところで別の意味ですぐに死ぬ。
彼を守りきったとしてもすぐに死に、その時に出た犠牲は無駄死にとなる。
素直に彼を囮にし、ご子息を守った方が犠牲は少ない。
第一、本人は鬼舞辻と心中する気満々だ。しかも妻や二人の娘を巻き込むつもりである。
「柱稽古についても話は終わりましたし、やることもあるので私はこれで失礼しますね」
これ以上、護衛について話すつもりはない。
そっと不死川さんの手を解き、部屋を後にする。
胡蝶、と悲鳴嶼さんに呼び止められる。
「どうしましか?悲鳴嶼さん」
さっき言外にもう話しかけんじゃねーよと言ったのにまだあるのかと内心、苛立ちながら聞く。
「お館様と何かあったのか」
襖にかけた手に力がこもる。
お館様と何かあったのか、かぁ…
悲鳴嶼さんは目が見えない分、他の感覚が鋭い。
蜜璃ちゃんだって私の発言に困惑していたんだ。彼も何か感じることもあったのだろう。
「いいえ。何も」
唇が上がり綺麗な弧を描きながら私はそう言った。
感情の制御ができないのは未熟者の証。
頭では分かっているし、そう自分に言い聞かせているが苛立ちは治らない。
ふとした瞬間にあの出来事が脳裏に蘇る。
特に意識していないのに頬の筋肉が釣り上がるのを感じる。
今の自分はさぞかしニッコリと微笑んでいるのだろう。
ああ、これではダメだ。
頭を振って深呼吸。
余計なことを考えるからダメなんだ。素振りしよう。
鍛錬場で無心に剣を振っていると近づいてきた気配が入り口で止まる。
「どうしたの?カナヲ」
やってきたのは妹だ。大方、柱稽古の話だろう。
「師範、柱稽古の参加を指示されました」
「そう。これからの戦い、今までのようには行かないわ。生き残るためにもしっかり励みなさい」
「あの…師範の稽古は誰の後でしょうか…?」
妹は上目遣いに聞いてくる。
私は深呼吸を一つする。
「私は今回、柱稽古には参加できないわ」
「え…ど、どうして……私、もっと師範と稽古、したいです」
モジモジと恥ずかしそうにおねだりする妹の姿に全てをぶん投げて稽古をつけてあげたくなる。
だが、そういうわけにはいかないのだ。
ここは心を鬼にして断らなければならない。
「最近のカナヲは自分の心に素直になってきたわね。いい兆しよ」
その背景には彼がいるのだろう。
よしよし順調に行っているなあとほくそ笑み、同時に複雑な気分になる。
自立していく妹の姿を見てお姉ちゃんは寂しいです…
妹の可愛いおねだりも見れたし、癒されもした。
大いに満足なので終わりにしたいところだが柱稽古中は時間が取れないだろうし、余裕があるうちに伝えておかなければならないことがある。
私が止まらないと決めた時からずっと、迷っていたことがある。
私は、彼女を私のようにしたくないと思っている。できれば巻き込みたくないとも。
だけど、妹が鬼殺隊に入った今、巻き込まないだなんて無理な話だ。
彼女は必ずあの場にやってくる。
そして、私はーーー
「師範?」
「いい機会だから伝えておくわ」
上弦の弐の討伐は必要なことだ。
討伐しなければ主人公の前に立ちはだかり、鬼舞辻の討伐は遠のく。
できれば私一人で終わらせたい。だが、それはできないだろう。
あれはチートだ。能力を分かっていても完璧に対応できない。
どう頑張っても足掻いても一人では勝ち筋が見えない。
「私たちの姉、胡蝶カナエを殺した鬼について」
「――――っ」
「姉さんを殺したのは十二鬼月。これからの戦いでは十二鬼月は必ず出張ってくるわ。遭遇する確率は以前より上がる」
それはカナヲにも分かっていたのだろう。
各地の鬼はいなくなり、今は嵐の前のような静けさなのだ。
何かが起こるということを肌で感じているのだろう。
「その鬼は氷の血鬼術を使うわ。姉さんの死因のうちの一つは肺を内部から潰された事。そこから考えるに敵のすぐ近くで息をするのはやめておいた方がいいわ」
「それは…どうすれば倒せるのでしょうか?」
接近した時、呼吸をするなと言われ、妹は困ったように聞き返す。
呼吸は私たち人間が鬼を倒すのに必要な技術だ。それをやるななど死んでくれと言ってるようなものなのだから疑問に思うのは当然だ。
「簡単な事よ。あの鬼のことだから必ず私のことを狙うわ。だから私が全力で奴を弱らす。そしてカナヲ、貴女が頸を落とすのよ」
「私が…?」
だけど私は敢えてどう対処すれば倒せるか伝えなかった。
変わりに重要なことを妹に突きつけておく。
決定打を与えるのは自分だと思わなかったようで聞き返してくる。
「ええ、隙をついてね。私には頸を落とせるほどの力はないから」
妹を抱きしめて撫でる。
「大丈夫。今のカナヲなら出来るわ」
私は本当に愚かな姉だ。
今、酷いことを託そうとしている。
不誠実なことをしている。
だけれども、私は、私のエゴで何も言わないことを決めたのだ。
「ありがとう、カナヲ。愛しているわ」
だから私は胡蝶しのぶのように全てを伝えることはしなかった。
しのなりさんの原作知識
鍛冶の里襲撃で時透くんがヤバめなところまでしか読んでいない。
その後、風の噂などでしのぶさんが姉の仇に毒食らわせて仇討ちしたり、お館様が奥さんとお子さんと共に鬼舞辻に自爆攻撃仕掛けたり、時透くんと玄弥が無限城編でお亡くなったり、上弦の壱が時透くんのご親戚だったりしたことを聞いた。
公式ファンブックは最初の用語解説とコソコソ噂話と後ろの方にしか興味を示さなかった。
主な情報源は布教して来た人とそこから青い鳥経由で流れて来たもの。
あとは某イラスト投稿サイトより。
ネタバレオッケーな人種のため青い鳥に流れるイラストを見て話がよく分からんぞってなったら検索をかけていた。
「よく分からないが尊いことだけは分かった。元になったものを知れば更に理解を深められると思ったんだ」