何れ死ぬであろう私が鬼滅の世界を生き抜いた話。 作:蔓桔梗
不快に思われたらすみません。
ちゃんと区別はついています。でも、そうだったいいなという願望はあります。
あの後、普段言わないことは絶対言わないと心に誓った私であったが、少し真面目に考察しようと思う。
『鬼滅の刃』って実を言うと時系列がはっきりしない。
いや、他の漫画もそうなんだけどこっちは前世の記憶って奴が公式であるためごっちゃになりやすい。
え?全然?
すまんな。私はなる。むしろ流れてきた過去捏造のエモいイラストを無意識のうちに組み込んでしまう。公式が発表したら泡沫になるがそれまでそれが過去なんだよおおお!となる。
だってみんなむちゃくちゃ考えている。どうしたらそんなことを思いつくの?
尊い。感動をありがとう。報われろ全員。
あーあ、あのイラストはどこ経由で流れてきたのか。熟読して好きを押さなかったのが悔やまれる。脳内に保存してもいずれ劣化するのは分かりきったことなのに私の馬鹿。
脱線した。話を戻そう。
さて、正直に言ってしまおうか。
姉が
妹引き取る時はまだ邂逅しないのは分かってる。むしろ、もう通り過ぎた。ただ、そっから先は飛びに飛んでもう今際の際なんだよ。
アレの消息もある程度知っているけど姉との邂逅前の消息は確か堕姫たちを鬼にした事だったはずだから…いや、まだ生まれてねーよ。
あとは伊之助のお母さんか?うーんでも伊之助、赤子でしょ?妹と同期だし、遥か過去の出来事か。
反対に考えてみようか。恋柱である蜜璃ちゃん。
彼女が鬼滅隊に入隊したのは原作開始から2年前。その頃には多分、姉は死んでいる。
蜜璃ちゃんと“私”がいつ会ったのかは知らないが、笑顔を絶やさない胡蝶しのぶに対して違和感を持っている様子が見えなかったので胡蝶カナエとは出会ってないのだろう。
うーん、ちょうどブラックボックスな空白期間なんだよなあ。
結論、分からない。
散々、記憶を捻り出したのに分からないで終わるなんてとても遣る瀬無い。
もうこうなったら姉を一人にさせないようにしないとって感じだ。
ひっつき虫は流石に呆られるし、上手いことするしかないな。
姉が殺されたのは住宅街っぽいし、アレのテリトリーであるなんたら極楽教とやらの範囲内と堕姫のテリトリーである吉原周辺に任務で行くことがあればついて行こう。
後はどうやって姉をサイコパスと引き合わせない。もしくはサイコパスに殺されないかだが。
正直言って今の私じゃあ、足手纏いだ。
少しでもそうならないために日々鍛錬だが限度がある。今の私は花の呼吸の使い手だが、如何せん筋力のパラメーターが『振るう力』にあまり振られてないのでほぼ頭打ち。
原作から見ると多分、幾分か早い蟲の呼吸に徐々にシフトしているが、柱の胡蝶しのぶでも死ぬ前提でやっと殺せたアレを今の状態で殺すなんてとてもとても出来そうにない。第一、私まだ毒使いでない。
姉と共闘したらどうなるのかはちょっと分からない。邂逅の仕方によってはイケるかもしれない。それほどアレの能力はチート。なんだよアレ。接近戦を長時間すれば敗北必須じゃないですか。やーだー。
と言うことで今のところ、姉とサイコパスを引き合わせないように全力を注ぐ所存。
勤務時間が深夜帯といっても夜が明けるまで働くとかダメです。
サクッと終わらせてお家に帰りましょう。理由?夜更かしは女の大敵なんですよ?
更に保険として他の柱の行動を把握しておこう。
特に姉の担当地域のご近所さん。もし、邂逅してしまっても柱二人とプラスαでなら殺せると信じたい。
こちらの勝利条件は姉の生存。
だが、あのサイコパスのことだ。邂逅してしまえば生きていれば地の果てまで執着する。
だって鬼殺隊士の中でも少ない女隊士の上に更に少ない柱やぞ?しかも美人。
奴が姉が柱だって知っていたかは微妙だが出会えば絶対喰う。見逃すとかありえない。
それだけは確信して言える。確信して言いたくないけど。
つまり勝利条件は姉の生存だが殺す前提でいかないとってことだ。
何ソレ、無理ゲーって思うかもしれないが死ぬ気でやれば運命だって覆せるんだよ。
死ぬ気でやれば運命だって覆せるんだって言い聞かせんだよ。
え??最初期で原作と同じ流れになる保証はどこにもない。むしろ違う流れになる可能性の方が高いかもしれないといってたじゃん?
いやいやソレは希望的観測。
原作と同じ流れになる保証もなければ違う流れになる保証もない。正しくシュレティンガーのネコ。
だったら、違うと信じながらそうだった時の対策をするのは至極当然。
なので今日も元気に鍛錬に精を出してそれとなく姉について行って柱の所在を探り探りしながらご機嫌伺い。
「最近、ずっと一緒に任務ね」
「家族だし、継子だし、当然よ」
姉の疑問に当然のように返せばそれもそうねと笑う。
「…私だって姉さんを守りたいのよ。だから、姉さんを超えるわ」
とってつけたような理由は本心でもある。昔から姉さんに憧れていたのは事実だし、守りたいと思ったことも嘘じゃない。思い出す前も後も。
私の言葉に姉はうんうんと頷く。
「鍛錬頑張っているものね。それに他の柱の人たちと積極的にあっているものね」
やだ、しっかり見てくれるなんて嬉しい…じゃなくてこれでこの行動について姉が疑問に思うことはないだろう。
柱の人たちは多分、私が柱になりたいと思いながら邪な気持ちで近づいているのを知っている。
悲鳴嶼さんに生暖かい目で見られているし、いつも泣いているけど更に泣いてたから。
ちょっと心が痛いけど、これも全部私の家族を死なせないためだ。傲慢かもしれないが家族の運命も覆せない者が他人の運命を覆せるわけがないのだ。
姉の死亡フラグを叩き折ったら他の人たちの死亡フラグもできるだけ叩き折るからそれで許して欲しい。
「しのぶはとても頑張っているわ。でもねーー」
「早く終わらせましょ。屋敷でカナヲが待っているわ」
意識を任務モードに切り替えていたら丁度、姉のお話の途中だった。
「…ええ、そうね。早く終わらせましょうか」
やっちまった…と思うものの今更、聞き返せる雰囲気じゃない。
姉も続きを言う気はないみたいでカナヲちゃん、ちゃんと寝ているかしらとカナヲがきちんとお留守番できるかに関心が向いている。
「…寝ていてってカナヲに言ったからきっと寝ているよ」
『あなたは頑張っているけれど、本当に頑張っているけれど…』
『多分しのぶは…』
胡蝶しのぶの回想が頭によぎる。
きっと、その先に進む言葉は『あの鬼に殺される』だろうか?それとも『倒すことはできない』?
そして今、姉が言おうとした言葉の続きはきっと「柱になれない」だと思う。
…解っている。胡蝶しのぶのアレは自称ではなく、事実だ。
このまま行くのならば鬼の頸を切れないと言う問題はすぐに直面する。
その時、姉は私に剣士ではなく医療従事者の道を示すだろう。
毒を使えばその問題はなくなるが、心優しい姉のことだ。毒に侵された鬼の末路を見れば止めることは分かりきっている。
解っているのだ。この世界が残酷なほどに人間に厳しい世界だと言うことを。
それでも、私は。
私は自分の望む結末を手に入れるために運命に抗うのだ。
「……でもね、ずっと頑張っていたら疲れてしまうわ」
カナエはここのところ鍛錬ばかり続けている妹を不安そうに見つめる。
妹が、しのぶが何に焦っているのか、分からない。実の姉であるのに、あるはずなのに分からない。
不甲斐ない。姉失格だと思う。ただ…
『
ただ、この言葉は心からそう思っていることだけは何故だか確信できた。
きっとあの子はそれを達成するのがとてつもなく難しい事だと理解している。
私は鬼殺隊、柱が一人。身内だからと言って甘くは見ない。むしろ身内だからこそ、厳しく見る。
柱として言わせてもらうとあの子が柱になることは、ない。
それでも、あの子はしのぶは努力をやめない。私が止めてもきっと私に隠れて続ける。
「だけど、頑張りすぎて壊れてしまったら元も子もないわ…」
きっとこの言葉は今のしのぶには届かないだろう。
だから今の私ができることはあの子が無茶をする前に守り、大丈夫だと宥めることくらいだろう。
「本当に…姉失格ね…」
漏れ出た自嘲にカナエは口に手を当てる。
いけない。しのぶが聞いたら不安がる。
「また一緒に寝た方が良さそうかしら?」
きっと嫌がるがなんだかんだ言って拒否しないのでどんどんするべきだろう。
自分の心の安定のためにも、しのぶの心の安定のためにも。