ヒロインにするなら壊しちゃ意味ないし……
……どうしよう。
足下ではまだ管理人がコワイコワイ言いながら震えている。
そりゃそうなるでしょうね……
何しろ管理人は、職員と違いアブノーマリティと面と向かって対峙したことなど無いのだから。
だからといって、管理人を臆病者呼ばわりするつもりは無い。
管理人は管理人にしか出来ない仕事がある。
だから──今私ができる事は──
「──管理人」
この生活が続くなら、これから管理人は沢山のアブノーマリティと接することになるだろう。
しかも今は規制フィルタ等は無しで。
「あなたのせいなんですからね?
あの会社での事も、この状況も、全部……」
聞こえるように耳元で言った。
この言葉には私怨も混じっていたかもしれない。
「だから──
これからも管理人は苦しみ続けて下さい」
「──!?」
……さっきの言葉……
「では私はこれで!」
「あっ……」彼女は行ってしまった。
ありがとう。誰とは言わないが。
おかげで目が覚めた。
「アブノーマリティ、な……」
確か管理人室には工具箱があったはずだ。
それで……
『……』
壁も床もぼろぼろだった。
そんな部屋の中に、一人の男が侵入した。
『……』
一瞬男は怯むが、その機械を見ても動じない。
と、突然機械は回りながら突進した。
男はひらりと身を翻す。
この位予想出来てるよ。そう言わんばかりに避けた。
ガッ。
機械が壁に当たったと同時に、男は機械に近づく。
「いい加減にしろよ……」
機械の可動部に、ドライバーやノギス、その他工具を刺していく。
ガガガガッ……と機械からしてはいけない音がする。
『警告、本機は行動不能に陥りました』
「ひとつ聞きたい事があるが……お前はそれを本当に“掃除”だと思っているのか?」
『……僕は知ってるよ』
「残念ながらお前のその考えは間違っている。
罰として君は正しい“掃除”を学ぶまでは掃除禁止だ」
そう言うと男は、機械の電源を落とした。
男の顔や体には複数の刃物で切られた傷がついていた。
「……はあ。私もそんなに暇ではないんですよ」紫色の髪をした黒子が言う。
「済まない、俺はプログラムの知識に疎いんだ」
「だからといって……オールアラウンドヘルパーのクリーニングプロセス消去とは……ずいぶん面倒な依頼を持ち込みましたね」黒子は肩を回す。
「君なら出来ると思って言っているんだよ」
「勝手な事を……そのせいで私達が被害に遭ったのを忘れたのか……?」忌々しそうに黒子が言う。
「……いや、違うな……
管理人が変わりないようで何よりです」
*やっと かけた。