日本外人部隊 作:揚物
日本 防衛省 会議室
「まずはご報告から。 第二列強たるムー国に赴いていた外交官から、友好及び軍事的同盟及び交流を行いたいと打診が来ました。 どうやらこちらの技術力を理解し、友好的交流に成功したようです」
「まぁ、友好的といっても、ムーの技術力は高くは無い。 せいぜい民生品の輸出相手となるくらいだろう」
外交が成功すれば各自衛隊及び外人部隊にとって用は無い。後は外交官や政治家の仕事であり、兵器管理程度しか仕事はない。
「では第一の議題です。ムー国からは軍事兵器についての交流を優先したいと連絡があり、それに向けて調整いたしたいと思います。 またアルタラス王国の軍事教練及び兵器購入について調整いたします」
「ムー国との技術的交流については、比較的可能かと思われます。 ですが工業技術レベルは第一次大戦程度であり、高度な工作技術はありません」
「アルタラス王国は海峡内にあり、第一次防衛ラインを築くのに最適です」
「アルタラス王国につきまして技術は絶望的です。 クワ・トイネなどよりは技術はありますが、おかげで解析される心配がないのは救いです」
「ムーに関しては展示しているるWWⅡ時代の三式中戦車 チヌを解析用に貸し出しいたしましょう。 それでも大分苦労するとは思いますが、問題は航空機です。 彼らの技術に見合ったものがありません」
「新たに開発する余力はない。 どの企業も兵器のブラックボックス解析による国産化でてんてこまいだ」
「ゼロ戦なら博物館で静態保管されているが、レシプロ機用のエンジンなどどこにもない。 これが問題だ」
「第二次戦中は女子学生がエンジンを組んでいたのだ。 解析すればどうにかなるだろう。 産学連携してる大学と中小企業にでも任せれば良い」
「アルタラスにはクワ・トイネ及びクイラからフリントロック式マスケット銃の販売許可を出し使わせます」
「艦船に関してはどうするのだね」
「ムーから一隻のみですが、建造依頼も着ています。 恐らくこちらの技術レベルを計るつもりでしょうが、技術流出防止法があるため、どの程度にするかも決めなければなりません」
「工作技術及び精度の問題がある。 基礎工業技術が上がるまで意味は無いでしょう」
ムーの軍事技術力は大よそWWⅠとWWⅡの狭間期にあたる。貸し出す三式中戦車チヌだけでも、数年はリバースエンジニアリングに時間を要するだろうと、予測がされている。
「アルタラスにおいては、クワ・トイネによって建造している大型ガレオン船を売却します」
「対等な国家である以上、対価は如何にするか。 そこが問題となる。 軍事技術は特に高価だ」
「ムーにかんしては相応の技術料受け取り、マイカルの一部を200年ほど無償租借地とさせてもらってはどうか」
「妥当なところでしょうか。 ではアルタラスについては?」
「東部港湾部を無料租借地として200年。そして基地を建設いたします。 むろん50年分割払いで支払いも行ってもらいます」
「それが妥当な落しどころでしょうか。 アルタラス王国への諜報の結果は?」
「パーパルディアとの戦争に備えているようです。 どうも随分と無理な条件を突きつけられているようで。
国民性ですが、民度はそれほど高くはありませんが、比較的まともな王政の為、王家への信頼も厚く、治安はよいですね」
「パーパルディアは覇権主義国。 第三文明圏と言ったか。 それを全て制圧するまで手を緩める事はないだろう」
「早めに手を打たなければ、力をつけ万全な体制で我々にも牙を剥くでしょうな」
「外人部隊だけではなく陸海空の自衛隊も拡張しなければな。 予算ばかりが掛かる」
「外人部隊の増員も急務だろう」
日本外人部隊は戦場を経験している精鋭ではあるが、如何せん少数であった。陸軍一個師団、海軍一個艦隊、空軍一個旅団、たったそれしかないのだ。自衛こそできれど侵攻はほとんどできない。
財務大臣が頭を抱えているのを皆が横目に見つつ、会議は続けられる。
「次はワイバーンについてです。 クワ・トイネから融通頂き順調に成長しておりますが、やはり大型成長化を促すのは難しく難航しております。 食育と運動で平均よりも1割ほど大型化しておりますが、想定しております2倍は難しいかと」
「複葉機を輸出をするべきだと提案いたします。 大型化してもワイバーンは制空戦に向かないと考える」
「クワ・トイネに飛行機は早過ぎるだろう。 融通したとしても構造を理解できる基礎学力がたらん」
「品種改良とは時間が掛かるもの、気長に遣っていくしかないんですよ。 ワイバーンであれば知性もありますので最悪パイロットの判断ミスもカバーできます」
「クワ・トイネ及びクイラにはワイバーンに対応した空母、竜母とでもいいましょうか。 建造すべきと考えます。 我々がいつまでも守るのはかの国の運営として問題でしょう」
「技術庁としてましては、これ以上の急速の発展は基礎技術の理解が曖昧になる可能性を指摘します。 ワイバーン種の大型化に賛成いたします」
「基礎技術格差には各軍部や省庁においても考慮するように。 今は平和主義の国とはいえ、国力が着けば野心を持つ者たちが出始める。 私達の技術が戦乱の元となってはならん」
「以上で本日の議題を終了いたします」