日本外人部隊   作:揚物

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パーパルディア編
パーパルディア皇国の分析


 エルトとソラテスの尽力によりレミールを含む少数の皇族の方々も日本に訪れ、その国力の差を嫌と言うほど知るも、訪れた者以外決して国力の差を信じる事はなく、国力差を知る者達はただ頭を抱えるだけだった。

 レミールに至っては日本に訪れた皇族の中で、もっとも地位が高い為、貴族達が集まりほぼ連日会議が行われていた。

 

 

  レミール邸 別荘 会議室

 王都から少しはなれ、港に程近く静かな場所に建築された別荘に今人々が集まっていた。

 国交によって日本から輸入される品々の技術に徐々に恐れを持ち、知識ある層は軍事的に勝てない事を理解していた。

 席の左側に座る者のほとんどが日本に訪れた使節団の面々、日本を自ら体験し、その実力を嫌と言うほど理解していた。その為日本とは対話や交流すべきと暗に活動している。

 

「では、お前達は日本との戦争はなんとしても避けるべきだというのだな」

 

「品々から見ても、我々の国力が劣っているのは明白です」

 

 席の右側に座る者達は日本に訪れては居ないものの、情報に鋭い者や日本の品々で国力の差を薄々感じていた者達。

 

「こちらを御覧下さい」

 

 意図的にパーパルディア皇国に流されていた、一丁の回転式拳銃のモデルガンが卓の中心に置かれる。

 

「これは日本の警備組織の物ですが、我々の最新式銃よりも小型で高性能です。 なんとか入手いたしましたが、最低でも軍にはこれが量産配備されているはず。 陸軍では勝ち目がなく、海軍についてはあのムーと同じ鋼鉄の船です。 空軍については不明ですが、船を輸入しているのですから、飛行機械も輸入しているかと思われます」

 

「我々の技術官が解析を試みましたが、3倍ほどの大きさでなんとか基礎構造を真似る事しかできません。 重要な弾丸の発射構造、これなどなにがなにやら。 もはや技術が隔絶しすぎて判断がつきにくいのです」

 

「仮に日本が軍事兵器を全てムーから輸入しているとしよう。 皇国軍は勝てるのか?」

 

「どの程度輸入しているかにもよるが、勝ったとしても損害が多すぎて属領の支配に綻びが生じる。 海軍に限定すれば、ラ・カサミ級戦艦を3隻でも持っていれば、勝てん」

 

「蒸気機関でさえ、いまだ満足なものを作れておらん。 あんな超精密工作まだまだできんぞ」

 

 各部門の知識層が知恵を出し合い、何とか打開策を練ろうとするが、情報を出し合えば出し合うほど手が無い事だけが分かっていく。日本を直に見ていなくとも、冷静に分析できる者達は勝てないという結論に達していた。しかしこのこと理解しているのはほんの一部であり、ほとんどのものが信じようとはしなかった。

 

「クワ・トイネ及びクイラについても同様です。 どちらも急速に発展しており、規模こそ劣るもの兵器の質は我々に近付いております」

 

 対応を一歩間違えれば戦線を開き、ルディアス陛下は属国化に向けて動いてしまうだろう。そうなれば日本が関わってくる可能性がある。そうなればパーパルディア皇国は…

 

「確かに一度訪れてみれば分かるが、日本は恐ろしいまでに発展している」

 

「私は軍事訓練を見る機会もあったが、その銃など彼らにとっては玩具のようなものだ」

 

 使節団員であり、その後何度も日本に訪れ、軍事について調べていたソラテス前司令官ははっきりと言い切る。

 

「我らのワイバーンオーバーロードも、120門戦列艦も、銃士隊も、彼らにとっては児戯のようなもの、勝ち目などない。 戦えば我らパーパルディア皇国は終わりだ」

 

「では、どうすればよいのだ。 ルディアス陛下はいずれ日本にさえ出兵を決められるだろう。 しかし文明圏外に突如現れた第二列強級の国を御理解されるとは思えん」

 

 ルディアス皇帝の覇権主義は徹底しており、いずれ第一第二列強に挑む事も視野に入れ、軍事技術の研究開発には余念がない。そのような状況で格下とみなしていた地域から、列強と並ぶ国家が現れたと言っても信じることはないだろう。

 

「レミール様、ルディアス陛下に日本と国交のある国への侵略を控えてもらえるよう、お伝え願えないでしょうか」

 

「……陛下に伝えておこう」

 

 すでにこの時、皇族の一部は、非常時に備え密約の話が出始めていた。末席の皇族を日本の有力者や皇族に嫁がせてはどうかという案まで出ていた。

 近縁のある国同士であるならばルディアス陛下も侵略せぬだろうという考えでもあったが。

 日本がパーパルディア皇国に蒔いた種は確実に芽吹き、武器を使わない戦争が始まりつつある。

 

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