日本外人部隊   作:揚物

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フェン王国軍祭

 日本も軍祭に招かれ、イージス巡洋艦天龍のみが参加していた。

 列強に属さない各国の海軍や陸軍はお互いの軍事力を披露しあっているが、日本は観覧参加のみであり、港から少々離れたところに停泊していた。

 イージス巡洋艦天龍のレーダーは、西側から近づく飛行物体を捕らえていた。

 

「パーパルディア皇国方面からワイバーンと思われる飛行物体が複数接近中」

 

「フェン王国の軍祭に招かれているのではないのか?」

 

「確認致します」

 

 その飛行物体はフェン王国首都アマノキ上空に至ったが、何度もフェン王国側に問うものの、王国からの返答は無かった。

 

「返答はなしか。 これはフェン王国にはめられたかもしれんな。 いつでも出航できるよう錨をあげ、機関を全力稼動できるよう準備を」

 

 パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード部隊20騎は、フェン王国に懲罰的攻撃を加えるために、首都アマノキ上空に来ていた。

 

「ガハラの民には、構うな。フェン王城と、そうだな・・・あの大きな船に攻撃を加えろ!!」

 

 ワイバーンロードは上空で散開。隊を2つに分け1隊はフェン王国王城に向け、急降下を始めた。

 次の瞬間、10騎のワイバーンから放たれた火球は、王城の最上階に着弾し、木造の王城は炎上を始める。

 続いて、パーパルディア皇国の皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード10騎は、直下約500m付近に停泊中のイージス巡洋艦天龍に向かい、導力火炎弾を放出した。

 

 

「ワイバーン10騎が我が方へ攻撃!」

 

「機関出力最大! 回避せよ!」

 

 白い尾を引きながら加速するイージス巡洋艦天龍は降り注ぐ火炎弾を全て回避する。

 CICではレーダーにはワイバーンが全てこちらに向ってくる様子が写っていた。どうやらこちらに危険性を感じたようだ。

 

「威嚇攻撃のつもりか? いや、フェン王国の城は燃え上がっている。 敵は攻撃の意図ありと断定。 主砲照準及びCIWSを起動せよ」

 

 FCS射撃管制システムにより、敵との相対速度が計算され、飛行する敵の未来位置で迎撃できるよう、寸分違わず、54口径127mm単装速射砲主砲二門の砲身、そしてCIWSが上空を向く。

 

 2分と持たず上空にいたワイバーンロードはすべて消滅。運よく他のワイバーンロードの残骸がぶつかり、海に振り落とされたパーパルディア皇国、皇国監査軍東洋艦隊竜騎士レクマイア、彼のみが生存者であった。

 

 

 

 外務省は事態の悪化を防ぐため、情報収集を行ったところ、下記の事項が判明した。

 

○ フェン王国及び各国武官の反応から、襲ってきた部隊は、フェン王国西側約500kmにあるフィルアデス大陸の第三文明圏に属する世界5列強国の一つ、パーパルディア皇国で間違いないと思われる。

○ パーパルディア皇国の皇国監査軍と呼ばれる部隊であり、文明圏外の国を対象とする第3外務局の影響により動く部隊である。

 ○ フェン王国に対する懲罰的攻撃を、各国関係者の集まる軍祭に合わせ、自己の権威を高め、他国を従わせるために行われた、いわゆる砲艦外交のような攻撃と思われる。

 ○ 海軍の情報によれば、フェン王国西側約200kmの位置を、速力15ノット程度の速度で東へ向かう22隻の艦隊が確認されている。

 

 事態は切迫していた。

 本日の夕方、フェン王国側との会議が予定されていたが、外務省は急遽フェン王国外交部署に連絡を求める。

 フェン王国側は、即時会談に応じた。

 

 来賓室で待つ日本外務省の一団、フェン王国は貧しい国ではあるが、外交のための来賓室は、豪華さは無いが、おくゆかしさ、趣のある部屋であり、非常に質が高い。

 一時して、フェン王国騎士長マグレブが現れた。

 

「日本のみなさま、今回フェン王国を不意打ちしてきた者たちを、真に見事な武技で退治していただいたことに、まずは謝意を申し上げます」

 

 騎士長は深々と頭を下げる。

 

「いえ、我々は、貴国への攻撃を追い払ったのではありません。我々に攻撃が及んだので、振り払っただけであります」

 

 外務省はけん制する。これを理由に利のない一方的な安全保障のきっかけにされてはたまったものではない。

 

「さっそく、実務者協議の準備をしたいのですが・・・。」

 

 フェン王国は、もう日本を味方に引き入れたくて、たまらないようである。

 

「戦争状態にある貴国と、現時点でこれ以上交渉は出来ません。事態の重みを考えるに、一度帰国し、内容を詰めてから再度ご連絡いたしたいと思います。」

 

「解りました。良い返事を期待しています。ただ1つ、これだけは、心に留めおいて下さい。あなた方があっさりと片付けた部隊は、第3文明圏の国、しかも列強パーパルディア皇国です。我が国は、パーパルディアから土地の献上という一方的な要求をされ、それを拒否しました。それだけで襲って来たような国です。

過去に、我々のようにパーパルディアに懲罰的攻撃を加えられた国がありました。その国は、敵のワイバーンロードに対し、不意打ちで竜騎士を狙い、殺しました。

 かの国は、パーパルディア皇国に攻め滅ぼされ、国民は、反抗的な者はすべて処刑し、その他の全ての国民は奴隷として、各国に売られていきました。王族は、親戚縁者すべて皆殺しとなり、王城前に串刺しでさらされました。

 パーパルディア皇国、列強というのは、強いプライドを持った国というのを、お忘れなさらぬようお願いいたします。」

 

「すでに国交があるので存じております。 本日会議の時間をとって頂きながら申し訳なく感じております」

 

 外務省の一団は、王城から港に向かった。

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