日本外人部隊   作:揚物

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魔王

  ミナイサ地区から民間人を救い出した翌日、早朝~

 魔王が単身で出現した。

 これを魔王を倒す好機と捉えた北方貴族の騎士アボンは、配下200名を連れ、城門から出撃。相手はたったの1体、今なら数で押しつぶせる。

 馬は埃等を巻上げながら、大通りに単身で出現した伝説の勇者達ですら討ち取れなかった魔王ノスグーラに向かっていった。

 

 魔王ノスグーラからは、飛び上がると何かどす黒い魔力が目視出来るほど濃く出ている。

 魔王はトーパ王国騎士団に対して手をかざす。手の先からは、黒い炎が出現。

 

「魔界の王の名において命ず。魔界の獄炎の王、鳳凰、我の命により我に逆らいし愚かな敵を焼き尽くせ。

 魔王炎殺拳奥義、炎殺黒鳳波!!!」

 

 黒い獄炎で作られた炎の黒鳥は大きくなり、拡散して騎士団に襲い掛かる。

 騎士たちは、1人残らず、馬もろとも黒い炎に包まれ、消し炭となり、絶命した。

 城門の上で一部始終を見ていた者たちは、魔王の力に唖然とする。

 

「大いなる大地の王よ、その絶大なる力を解放し、我が配下となりし古の魔人を呼び覚ませ。

エンシェントカイザーゴーレム!!!!」

 

 大地が盛り上がり、岩の塊が現れる。岩は人の形をなし、動き始める。

 通常、亜人最強の魔力を有すると言われるエルフの中で、最高クラスの魔導士が使役するゴーレムは高さ2mくらいであるが、このゴーレムは17mくらいの高さがある。

 

 トーパ王国兵は、城が迫ってくるかのような圧倒的な大きさ、なす術が無いほどの質量に絶望する。

 その時だった。

 

「退いてくれっ!!!」

 

 黒いローブを着用し、金環を頭にのせた集団が城壁の上に上がってくる。その数10名

 トーパ王国の誇る、古の勇者すらも凌駕すると言われた魔導の超エリート部隊、王宮戦闘魔導衆特戦隊が城壁に現れた。

 

「一撃必殺でいくぞ!!!全魔力を集中!!!!眼前のゴーレムと魔王をまとめて吹き飛ばすぞ!!!」

 

 リーダー格の男が指示を飛ばす。

 王宮戦闘魔導衆特戦隊の10名は魔法の詠唱を開始する。

 

「舞え!!風の精霊、荒れ狂え大気の王、我らが魔力を糧としてその大いなる力をもって、眼前の敵を滅せよ!!!!

 ドラゴンサンダーストーム!!!!!」

 

 雷を交えた強烈な竜巻がエンシェントカイザーゴーレムと魔王のいた位置に発生する。

 城門の上にいた兵たちは、感嘆の声をあげる。

 

 竜巻が収まる。しかし・・・。

 

「な・・・ま・・・全く効いていないのか!!!!」

 

 10人の魔導師は崩れ落ちる。肩で息をしており、完全に魔力は尽きた。

 魔王は体から目視できるほどのすさまじい魔力を発している。その色はどす黒い。

 

「人間ども・・・小賢しいな。」

 

「行け!!!」

 

 魔王の指示により、高さ17mもあるエンシェントカイザーゴーレムはミナイサ地区南側の城門に向け歩き出す。

 

 城門が破られた場合、大量の魔王軍がなだれ込んでくる。

 奴の大きさと質量なら、一蹴りで、城門は吹き飛ぶだろう。

 誰もが絶望したその時だった。

 

 上空よりC-130輸送機により、12式装甲歩行戦闘車改が降下。

 降下体制のまま低反動型M256 120m滑腔砲の狙いをカイザーゴーレムに狙いを定め連射、ゴーレムは全身を砕かれ崩れ落ち、止めを刺すかのように70ミリロケット弾の雨を降らせ着地した。

 501機動対戦車中隊 通称ガングリフォン 幾多の戦場を潜り抜けた精鋭中の精鋭部隊。

 

「馬鹿な!!」

 

 魔王ノスグーラが驚愕し踵を返して逃げようとしたが、12式装甲歩行戦闘車改もローラーダッシュから跳躍、300kmを超える速度で飛行し、魔王に近付くと低反動型M256 120m滑腔砲の照準を合わせトリガーを引いた。

 魔王の体を貫き衝撃でばらばらに引き裂きながら魔王の残骸は地面に散らばる。

 誰もが、トーパ王国軍でさえもその光景を唖然として眺めていた。

 何十人もの騎士が殺され、太刀打ちできなかった魔王を、まるで飛び回る邪魔な虫を殺すかのように叩き潰してしまった。

 

「おのれぇぇぇぇぇ」

 

 頭だけとなった魔王から声が聞こえる。遠くまで良く響く、猛烈に大きい声だ。

 

「太陽神の使いめぇぇぇぇ!!!1度ならず、2度までも我の野望を打ち砕きおってぇぇぇ!良く聞け!!下種どもよ!!近いうちに魔帝様の国が復活なさる!!!おまえら下種の世界も間もなく終わるぞ!!!圧倒的な魔帝国軍によって、お前らは奴隷と化すだろう。はーっはっ・・・・」

 

 声は弱くなっていき、魔王の頭は石化し、崩れ落ち、砂となった。

 頭を失った魔王軍の魔物たちは、叫び声をあげ、雪崩のように北方の魔物の大陸、グラメウスへ逃げていった。

 

「た・・・倒しちまった・・・。」

 

 ガイはその戦いを見て絶句する。

 トーパ王国軍も眼前の伝説を目に焼き付ける。

 

「ウオォォォォォォォーーー!!!!」

 

 城壁の上から歓喜の声があがり、民衆を包み込む。

 その声は伝播し、城塞都市トルメス全体を包み込んだ。

 

 

 

 トーパ王国軍と魔王軍の戦いを見物に来ていた、誰もが認める世界最強の国、神聖ミリシアル帝国の情報官ライドルカは、驚きに震えていた。

 古の魔法帝国の遺産の一つとされる魔王ノスグーラ、奴がどの程度の魔力を持ち、どういった魔法を使用するのかを、一般人に紛れ確認する。

 それが彼の仕事だった。

 伝説の魔獣といわれたレッドオーガとブルーオーガ、奴らのタフさはすごかった。

 魔力総量の多い魔獣が微弱な回復魔法をかけ続けると、ああいった戦いが出来るのだ。

 2体のオーガが倒された瞬間は確認できなかった。

 そして・・・問題は魔王だった。

 まずやはり、制御不能の魔物たちを制御する能力はすごいものだ。

 魔王は飛び上がり身の毛もよだつような凄まじい魔力を発した。

 使用された日本の兵器、伝説に残っている魔帝が使ったと言われる巨大な人型兵器、それよりも小型ながらいとも簡単に魔王を倒してしまった。そんなもの我々でもはるか未来の兵器だ。

 魔王が死に際に言った台詞が、今回一番の衝撃だった。

 

「間もなく古の魔法帝国が復活する」

 

 人族よりも、いや、あのエルフでさえも遥かに上回る魔力総量を持った人間の上位種たちが作り上げた歴史上最強の国家。

 神聖ミリシアル帝国でさえ、かれらの遺産が高度すぎて解明できていない点が多い。時々発掘される遺跡からも、とても高度な文明だったことが伺える。

 その進みすぎた文明ゆえに、神々に弓を引いたとされる古の魔法帝国。

 恐怖の国の復活が近いと魔王の口から出た。

 

「こ・・・これは、帝国に報告しなければ!!!」

 

 ライドルカは早急に帰国準備にとりかかるのだった。

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