日本外人部隊 作:揚物
ムー観戦武官の技術士官マイラスと戦術士官ラッサンはイージス巡洋艦天龍に乗船し、それを眺めていた。
先進的なデザインではあるが、ムーの誇る戦艦ラ・カサミに比べ、船長は長いが船幅は小さい。
砲も単装2基しか無く、やはり頼りない。
機械動力艦であるため、パーパルディア皇国の帆船に射程距離まで近づかれる事は無いだろうと思いたいが、こんなに弱々しい艦であれば、もしかしたら戦列艦隊に捕らえられて被害を受けるかもしれない。
そう思っていた。
しかし、たったの1隻で、大型砲艦1隻で列強パーパルディア皇国の20隻もの艦隊に戦いを挑み、一方的に全滅させてしまった。
ムーでは製造不可能な巨大な砲、鼓膜が破れるのではないかと思うほど巨大な発砲音を上げ、降り注ぐ散弾の雨によって戦列艦は次々と沈んでいく。砲の射程距離は長く、常識では考えられない圧倒的火力である。
自分たちの戦術の常識がガラガラと音をたてて崩れ落ちる。
これほどの砲であるのであれば、たった1隻でも目的を達するのだろう。
800mm単装砲艦。
2011年日独交流150周年を記念及び、長門及び榛名の主砲更新の為、技術交流を計り独逸と日本で一門ずつ生産された800mm砲。それを廃艦予定だったコンテナ船にほぼ全ての上部構造物を撤去し搭載した急造艦。40kmの射程と大口径対地散弾を搭載する事で最大半径600mの対地攻撃が可能となった。
一方で突貫作業による改造や上部構造物の撤去、自動装填装置やFCSもなくイージス艦隊が居なければ何一つする事が出来ない。連射も出来ないため、言わば誤認させるだけの兵器だ。
パーパルディア皇国陸戦隊は、眼前で偵察用のワイバーンロードが撃墜され、目視範囲にいた第3文明圏最強の皇軍戦列艦が連続して爆発し、轟沈するのを目の当たりにし士気が低下する。
突如として爆発音が上空で鳴り響き、何かに体を貫かれたリントヴルムが絶叫を上げて倒れていく。
「なっ何だ!?」
空を見上げると大きな16個の人型の物体が甲高い音を立てながら降りてくる。
日本外人部隊 機動対戦車中隊 第501中隊 ガングリフォン及び第502中隊 ワイバーンの保有する12式装甲歩行戦闘車であった。
ドルボは物体のことをまったく理解できない。
地面に降り立ったる異形の鉄騎士を見た地竜のうち何体かは、命令を待たず導力火炎放射の準備にかかる。
地竜の口内に、火球が形成されはじめるが、鉄騎士は見たこともない速さで動き始め、リントヴルムや兵士達は追いきれない。
「なっなっ、 なんなんだあれは!?」
「けっけん引式魔導砲であの化け物を仕留めろ!!」
皇軍兵は騎兵にけん引させてきた魔導砲で狙いをつけようとするが、鉄騎士が持つ巨大なマスケット銃のような物の攻撃を受け破壊されてしまう。
「そんな……そんな馬鹿な!!」
巨大なマスケット銃のような物を連射し、リントヴルムは次々と耳を覆いたくなるような悲鳴を上げて倒れる。
兵士達がマスケット銃の狙いを定めようとするが、余りの速さにほとんどが外れてしまい、偶然当たった弾も鉄にぶつかるような音が響き弾かれてしまう。
「地竜、全滅!!」
手も足も出ない状況に脳裏に降伏の2文字が浮かぶ。
全てのリントヴルムが倒されると、今度は兵士達に攻撃がおよび始める。
高速で走り回り、銃撃が連続して陸戦隊に向かい、声を発する暇も無くそれは着弾、陸戦隊の後方、右後方、左後方が被害を受ける。
隊の後方は恐怖に駆られ、前方の中心部に逃げる。
しかし、隊の最前列は停止しているため、密集隊形となる。
味方は既に脅えきっており、主力の地竜も全滅、敵については鉄の騎士を倒す術は見つからない。
鉄の騎士は空中に舞いあがる。
「とっ飛ぶことまで出来るのか!?」
「ドルボ様、ドルボ様っ!!!」
陸戦策士のヨウシはドルボに必死に語りかける。
「何だ!!!」
「早急に降伏を進言い」
すでのそのときには、囲うように空中に舞っていた12式装甲歩行戦闘車は、装備する70ミリロケット弾ポッドの全火力をもって、密集隊形にあるパーパルディア皇国皇軍陸戦隊に対し攻撃を開始。
徹底した面攻撃によってパーパルディア皇国皇軍陸戦隊は、フェン王国コウテ平野において生存者なく全滅した。