日本外人部隊 作:揚物
パーパルディア皇国 皇軍
超F級戦列艦パールの艦上で、将軍シウスは悩んでいた。
フェン王国を支配せんがために派遣された皇軍、当初の戦力であればあっさりとフェン王国を支配できていたはずだった。
現にニシノミヤコはあっさりと落ちた。
第2外務局の命令により、日本人を処刑してから何かが変わり始めた。
先ほど竜母艦隊のあった所に偵察に行った砲艦4隻から竜母艦隊壊滅の報が来た。
壊滅的被害ではなく、壊滅である。
上空を飛んでいたワイバーンよりも圧倒的な速さを誇るワイバーンロードの12騎も超高速で飛翔する鉄竜により、あっさりとなす術も無く撃墜されている。
そして、何よりも懸念すべきことは、そろそろ魔信不感地帯から出るはずの陸戦隊とも、支援攻撃のための戦列艦とも連絡が取れない。
「まさか……全滅か!?」
いや、そんなハズは無いと否定したい自分もいるが、現に竜母は壊滅し、ワイバーンロードを落した鉄竜は常識を遥かに超える速さだった。
「南西方に未確認艦6!!!」
見張り員から報告があがる。
「来やがったか!!!」
将軍シウスは皇軍に戦闘を指示する。
(まだ、数において、圧倒的に我が軍が有利だ!!!)
パーパルディア皇国、皇軍の戦列艦183隻を含む284隻の大艦隊は向かい来る日本軍8隻を撃つため、戦闘態勢に移行していた。
列強たる皇国の技術とプライドの結晶たる100門級戦列艦隊が前に出る。
パーパルディア皇国最大最強であり、大艦隊の指揮をとる超F級戦列艦パールに乗艦する将軍シウスは日本軍を眺める。
「ダルダ君、君は勝てると思うか?」
隣に立つ艦長ダルダに尋ねる。
「これほどの大艦隊と、最新の戦列艦をもってすれば、神聖ミリシアル帝国の有名な第零魔道艦隊を相手にしても負けますまい。
海戦の強さを決するのは、戦列艦の質と量です。
第3文明圏最高の質と、戦列艦183隻の量を超える者など、ここには存在しません。」
話は続く。
「もし仮に、日本軍の艦の性能が我が方を凌駕していたとしても、砲も少数、そしてたったの8隻ではどうにもなりますまい。」
艦長ダルダは絶対の自信を見せる。
戦列艦隊は魔力を出力最大にした風神の涙を使用し、帆いっぱいに風を受け、波を裂きながら進む。
日本軍は艦を1列に並べて進んでくる。
将軍シウスは日本軍を注視する。
日本の艦は見たことが無いほど大きい。砲は2基2門、艦前後に設置されている。
砲の大きさから見て、第2文明圏の列強ムーの戦艦ラ・カサミの回転砲塔に近いものなのだろう。
日本の艦も、過去に魔写で見たことのある戦艦ラ・カサミと同様に帆が無い。
いやな予感がする。
1発あたりの威力は、我が方の100門級戦列艦よりも大きそうだ。
しかし……。
「速いな。」
敵艦の速度が自分の知る船の常識からかけ離れている。
これほど速いなら、魔導砲を当てるのも大変だろう。
「まあ、それは敵も同じ事か…。 ん?」
先頭の船が退き、巨大な筒を高く掲げている船が先頭に現れた。
「まっ、まさか!?」
日本軍との距離は、近い所で20kmをきっている。緊張が走る。
最前列にいる艦の筒が光り煙が発生する。
冷や汗が流れる。もしあれが砲であったのなら、あれだけの巨体なら届いてしまうかもしれない。
突如として皇軍の最前を進んでいた100門級戦列艦群に何かが降り注ぎ光が走る。
散弾の雨は木造甲板を撃ち破り搭載されていた魔石砲弾にぶちあたり、爆発を巻き起こした。
「戦列艦ロプーレ、ミシュラ、レシーン、クション、パーズ轟沈!!!」
沈み行く船が多すぎて、報告が間に合わない。
敵船は未だ我が方の射程距離のはるか先にいる。
一回の発砲音で大量の味方の船が沈んでいく。
逃げ惑い始めた艦隊がまとまったところから次々と海の藻屑に変わっていく。
「なにが、なにがおこっているのだ!!!???」
将軍シウスは閃光と共に、強烈な揺れと衝撃に見舞われ、壁に叩きつけられる。
「左舷に被弾!!!!」
120門級戦列艦パールの左腹に大きな穴が開く。
海水が艦内に流れ込み、バランスを崩したパールは、徐々にその巨体が傾き始め、やがて転覆、艦内に入り込んだ海水によって浮力を失いゆっくりと沈んでいった。
将軍シウスは海を漂う。
流れてきた木材に捕まり、海上から皇軍を見る。
信じられないほどの短時間で、第3文明圏最強の国、列強パーパルディア皇国の大艦隊はたった8隻の船を相手に、海の藻屑と消えた。
パーパルディア皇国皇軍284隻は日本外人部隊の艦7隻と交戦、284隻全てを失い全滅した。
その数時間後、ニシノミヤコに残存していた皇軍はその主力を失ったため、ニシノミヤコを奪還に来たフェン王国軍に降伏、列強と2カ国連合軍の戦いは、2カ国連合の圧勝に終わった。