日本外人部隊 作:揚物
パーパルディア皇国 皇都エストシラント
第1外務局長室では、今後の日本に対する措置について、前総司令官のソラテスを交えて話し合いが行われていた。
第1外務局長エルトが発言する。
「間もなく皇国陸戦隊から日本軍と交戦に入ったと報告が上がるはずです。」
ドアがノックされ、話が中断する。
「入れ!!!」
次長ハンスが汗をかきながら入室してくる。
「本会合に関係ある内容でしたので、失礼とは思いましたが、文書をお持ちしました。」
顔色が優れない。
次長ハンスは局長エルトに対し、文書を差し出す。
『緊急調査報告書』
そう書かれていた5枚程度の簡単な報告書が机上に置かれる。
次長ハンスは報告書の概要を口頭で説明する。
「第2文明圏列強ムーがフェン王国での戦いに関し、日本側へ観戦武官を派遣した事案につき、ムー大使に事実確認とその意図を調査した結果の報告書になります。」
「うむ」
ムーが観戦武官を日本側へ派遣した事を知っていた第1外務局は、ムーの意図を理解してた。
「結論から申し上げますと、ムーはフェン王国での戦いは日本が勝つと判断しています。ムーは、自らが入手した情報を分析した結果、今回の戦いは日本が勝つと思っているのです。」
沈黙……。
「やはりか…。」
日本の国力を知る者達は、もはや何も言う事はできなかった。挑めばこうなる事など、この場にいる誰もが理解していたからだ。
「失礼します!!!!」
汗にまみれた第1外務局の若手幹部が入室してくる。
「何だ」
「フェン王国に派遣していた皇軍は、戦列艦隊、揚陸艦隊、補給艦隊、竜母艦隊、陸戦隊、すべて全滅、残ったニシノミヤコ守備隊は、日本とフェン王国の連合軍に降伏しました。」
「……」
第1外務局長エルトは沈黙する。
フェン王国で、皇国が敗れた事はすぐに各国に広まるだろう。
73カ国の属国を抱える列強パーパルディア皇国が文明圏外国家に対し、局地戦とはいえ敗れることの意味、そして危険性を皆十分理解していた。
恐怖支配をしている属国に対し、宗主国が弱い姿を見せるとろくな事にはならない。恐怖支配の脆弱性である。
パラディス城 玉座の間
皇帝ルディアスはゆっくりと話始める。
「たかが蛮族どもに……列強たる皇国がこれほどまでに、なめられるとはな……。
私は不愉快だよ。
このような蛮族は殲滅し、皇国に逆らった愚か者はどうなるか、世界に知らしめなければならない。
……今、ここにパーパルディア皇帝ルディアスの名において、日本に対する宣戦布告及び殲滅戦を許可する!!!」
第3文明圏列強パーパルディア皇国は、日本に対し、民族浄化を原則とした戦争を行うことを決意した。
軍の最高司令官アルデは、自宅の机の上で頭を抱えていた。
途切れ途切れの魔信の情報でムーの関与が確定的となった日本軍、飛行機械についてはワイバーンオーバーロードの投入で、敵にムーの最新鋭機「マリン」がいたとしても、数さえそろえれば、優勢が確保出来るだろう。
しかし、問題は海上戦力だった。
戦列艦に搭載できる砲の大きさは限られている。パーパルデイア皇国の戦列艦の砲では、ムーの戦艦の装甲を抜けない。
しかし、ムーの戦艦の主砲はあっさりと皇国船を貫通するだろう。
日本がどの程度ムーの戦艦を購入しているのかは不明であるが、1隻でも脅威である。
アルデは、先の戦いでムーが観戦武官を日本側に派遣したのはこの事だったのかと考える。
「ちくしょう!ムーめ!!何故……。」
アルデはムーの脅威に頭を悩ませる。